【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
「どうだ?」
『どこもダメです、隊長。森への突入は厳しいですね……』
HFの肩を掴み、部下と接触通信を用いて会話する。
ビリー・エドワーズが率いる部隊は、森の東側を包囲していた。だが、突如始まった通信妨害で、全体の状況が分からない。
LBU軍のHF隊が森へ逃げ込んだため追撃しようとするが、森が防御陣地化されており、むやみに突入できなくなっていた。森へ侵入すると、伏兵が潜んでいたり、ワイヤーによる妨害や足を拘束する罠、果ては落とし穴まである。
どうにか突破できる場所はないか探っていたところへ、通信妨害が始まった。
「無茶はするなよ。悪い予感がする」
『はっ! あ、斥候が戻ってきたようです』
他の状況が分からないため、斥候を出していた。そのイーグルが北側から走って戻ってくる。だが、様子がおかしい。
何かを訴えるように手を伸ばしていたが、そのまま倒れてしまう。
「何だ!?」
倒れたイーグルの後ろに、青いHFがいた。さらにその後ろから、LBU軍のHF隊が走り込んでくる。
「全機、2時の方向! 敵だ!」
外部スピーカーで咄嗟に叫ぶ。敵は森からではなく、北側から回り込んできた。アラスの部隊はどうしたのだろうか。
『隊長! 10時の方角! 反対側からも!』
今度は森の中からLBU軍のHF隊が飛び出してきた。
「反対側の指揮を頼む! 俺はこちら側を!」
『了解!』
状況は最悪だ。完全に挟撃された形である。なるべく数的不利を作らないよう、二機で行動しろと味方へ指示を出すが、おのずと乱戦になってしまう。
そんななか、ビリーはLBU軍のHF隊の中に『
「あれは、Ms.ユイ!」
会いたくて会いたくて、しょうがなかった相手がそこにいた。
思わず接触するため、『聖青の戦姫』のHFへ向かおうとする。だが、その行く手を塞ぐ者が現れた。先ほど斥候を倒した青いHFだ。連邦では珍しい太刀と小太刀を抜き放っている。
「あれは!」
正面に立ちふさがる青いHF。刀使いで、Ms.ユイを守るのはただ一人。
「貴様はMr.レイ!」
『ユイには近づかせない』
なんと通信を繋いできた。向こうが無線を使えるということは、この通信妨害は彼らの仕業ということか。ビリーは無線通信へ切り替えて叫ぶ。
「頼む! Ms.ユイに会わせてくれ!」
『だめだ』
「そうか。では、力づくで押し通る! リムロックでは1勝1敗だったな」
『チームではボク達が勝っている』
剣術大会とHF対HFの訓練での出来事だ。確かにチーム単位ではビリーは両方負けている。
「ふん! それはあくまで訓練だ。この戦いで決着を付けよう」
『望むところだ』
今は試合中でも演習でもない。審判も監視員もおらず、開始の合図もない。これは実戦であり、戦争であり、殺し合いだ。
通信ウィンドウ越しに、因縁の相手であるビリーとレイが睨み合う。
ビリーはHFの背中にマウントされている二本の大剣を両の手で掴む。
レイは太刀と小太刀を平行に構える。
「マクドネル・ダグラス流ビリー・エドワーズ。参る!」
『テン・シント流星菱レイ。絶対に負けない』
赤いマントのHFF-15E ストライクイーグルと、青いHFF-16カスタム『バイパー・ゼロ』が戦場で激突する。
続く