【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
ジョージは、アラスのHFに向けて、両手棍を何度も叩き込んでいるが、まったく防御を崩せない。
「くそっ! まるで亀だ!」
アラスのストライクイーグルは、イーグル系標準装備のバスタードソードと
アラスの得意技は、こうやって防御に徹し、接近してきた敵に対してカウンターを仕掛けること。その攻撃は意外にも刺突が主体で、盾の影から最速の突きを放つ。防御を崩せず、不用意に近づくと一撃で葬られる。盾を持つ左手側から攻めても、その盾を打撃武器として使うため、油断ならない。
周囲を見渡すと、LBU軍はなんとか健闘しているようだが、イーグル相手では厳しい戦いを強いられている。ジョージの周囲はソフィアが守ってくれているが、皆の負担を早く減らす必要がある。
アラスの強さは、元
確かに強い。だが、ジョージも、もうあのころのジョージではない。
「見せてやろう、俺の新しい技を! クライド流棍術カンガルーキック!」
ジョージのHFF-16 カスタムは、少し距離を置き、助走をつけ、両手棍を地面に突き刺した。その反動を利用して飛び上がる。
アラスは反応し、視線を上へ向けた。先ほど方陣を崩した技が印象に残っていたのだろう。
だが、HFF-16 カスタムは横へ飛んだ。ストライクイーグルの盾に向かって。両手棍のしなりも利用して反動をつけ、両足を揃えた蹴りを放つ。まるでプロレスのドロップキックのようだ。HFの重量全てを盾にぶつける。
完全に不意を突かれたアラスは、騎士盾で防御したものの、衝撃で吹っ飛び、転倒してしまう。
この技は、ユイに教わったテン・シント流棒術から着想を得ていた。棒術は武器だけでなく体術も駆使するため、蹴りなども技に組み込んだ。
ジョージは追撃したが、ストライクイーグルは転がって避け、土塗れになりながら距離を取る。
蹴りで歪んだ盾を構えたが、すぐに捨て、バスタードソードを構えた。
「まだやるか、アラス。いいだろう。決着を付けてやる」
ジョージは、両手棍『ロウ・スタッフ』を構え直す。
――
ペンシルベニア星低軌道上で、2つの魔術が衝突し、大爆発を起こす。
(くっ!)
その閃光で、ミリィが目を晦ませる。視力が回復する前に、繋ぎっぱなしだった通信からカタリナの声が聞こえてきた。あの状況で再び攻撃魔術の呪文を唱えていたようだ。
『――ハーム射出! FOX3!』
(ハーム!?
(リンが危ない!)
この空域で一番強力な霊探を使っているのは、横須賀リンのHFE-3セントリーだ。対霊探攻撃魔術なら、真っ先にそこを狙うだろう。
「
ミリィのカスタムホーネットが、サーベルの剣先で素早く魔法陣を描く。
「
魔法陣から光の矢を射出し、ハームを追跡させた。
「はぁ、はぁ、はぁ……どうやら間に合ったようですね」
カタリナが放った対霊探攻撃魔術に、光子矢がなんとか追いつき、途中で迎撃する。だが、その放った本人はすでに姿を消していた。
「……さすがに、しばらくは動けません。皆様、どうかご武運を……」