【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
その黒いHFから聞こえてきたのは、ラファエルの声だった。嘲笑を残して、黒いHFが変形。イオンドライブスラスターを全開にして、上空へと飛んで行った。
「な、何故だ……」
唐突なラファエルの行動に動揺するアラス。あの剣が刺さっている位置は、人間の心臓付近。つまり
直後、またカタリナからの通信が繋がる。
『一瞬だけ、妨害を掛けます! 大佐、離脱してください!』
確かに今がチャンスだ。他の隊員の状況は良くない。何機かは大破しているようだ。HFの腕を上げ、撤退の信号弾を上げる。信号弾に気が付いたものは煙幕弾を放ち、重力制御で上空に退避を開始した。
『広帯域霊電子妨害!
カタリナの詠唱後、強力な通信妨害が発生。LBU軍HFも影響を受ける。
アラスも完全に停止したジョージのHFを視界の隅に入れつつ、煙幕を張って飛行を開始し、上空に退避する。
青いHFF-16カスタムは、膝を着き、倒れた。
『ジョージ!? いやーーーー!!』
ソフィアの、悲痛な声が響き渡る戦場を後にする。
「すまん……」
──
後にゲティスバーグの戦いと呼ばれるペンシルベニア星での戦闘は、ANU軍の撤退という形で終了した。
ANU軍42機のイーグルと、LBU軍28機のファイティングファルコン+
南の森を防御陣地化し、聖青騎士団を遊撃として機能させた。森を利用した作戦は、LBU軍のミード将軍の案だ。
『局所泡南北戦争』が始まった当初、LBU軍は寄せ集めだったり新兵ばかりだったりしたが、この半年で急激に成長。もう十分、ANU軍に対抗できる軍になった。
戦いが終わって既に6時間ほどが過ぎ、LBU軍基地は深夜で静まり返っている。ただ、HF格納庫で作業する人影があった。そこに男性が近づく。
「艦長」
「ん? レイちゃんか。ユイちゃんは、一緒じゃないの?」
格納庫に3m大の紅玉が置かれており、さまざまな検査機械が接続されている。スージー艦長は、その検査機械で何かを調査していた。
「ユイは、今、捕虜と話しているよ……」
捕虜とは、レイが捕縛したビリー・エドワーズだ。別のLBU軍兵士が尋問をしていたが、どうしても『
「アタシが一人で会うわ。あの人はアタシが連邦をどうしたいか聞きたいらしいから、ちゃんと自分の言葉で伝えないとね。レイは待っててね」
と、すげなく断られた。
「あはははは! それで、しょんぼりしてるのね」
「別に……」
「まあまあ、ユイちゃんだったら大丈夫よ。そのビリー?って子も仲間になってくれると嬉しいね」
「いらないよ……それで、そっちはどうなの?」
スージーが調べている紅玉は、ジョージが乗っていたHFの
その操魂球は、一部が欠けていた。戦闘の最後で謎の黒いHFに背後から刺されて大破。通常、操魂球が完全に破壊されると、パイロットは死亡となるが、今回は一部が欠けていただけで、まだ分からない。そのため、スージーが調査を始めている。
「大丈夫よ。HF内に残っていた欠片も全て回収したし、95%以上が残っていれば元に戻せると思う。ソフィアちゃんのためにも頑張らないとね」