【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

334 / 339
第九十八話 封鎖
Part-A


「ここです。戦姫さま」

「ありがとう」

 

 ユイは、LBU軍の捕虜担当官に案内されて、尋問室に着いた。

 

 ドアを開くと正面に机があり、椅子に拘束されているビリーが見える。部屋には尋問を続けていた軍人と、記録係が居た。

 

「戦姫さま! ご足労ありがとうございます!」

「いえ、問題ないです」

「彼、ビリー・エドワーズが、どうしても戦姫さまと話したいと……」

 

 困った顔をした軍人から説明を受ける。ビリーは師団長で12貴族の子息だ。扱いに困っていたのだろう。

 

「分かったわ。拘束を解いてくれる?」

「え? 大丈夫ですか?」

「大丈夫よ」

 

 軍人が、ビリーにかけていた手錠を外す。ビリーは手首をさすり、大人しくしている。

 

「2人で話したいわ。席を外してもらえる? 外で待機してて」

 

 軍人と記録係は、心配そうな顔をしながら部屋を出た。

 

 ユイとビリーが2人きりになる。

 

「Ms.ユイ! 会いたかった!」

「お久しぶりです。まあ、落ち着いて。エドワーズさん。それで、私に聞きたいことって?」

 

 ユイは対面に座ってビリーを見つめた。ビリーはユイと会えた興奮を抑え、考えをまとめようとする。

 

「……貴女の演説を聞きました」

「ありがとう」

「あれを聞いてから、色々考えました。今の連邦とは。貴族制度とは」

「うん」

 

 慎重に考えながら、言葉をひとつずつ紡ぎ出す。

 

「まず、今の連邦は問題だらけです。特に己の能力に関係なく、爵位で全てが決まる絶対貴族主義は間違っています。爵位が下の者は、上の者を正すことができないからです」

「そうね」

「そして今、貴族の殆どは金儲けばかりを行っています。そのため領民は犠牲になっています。本来は守らないといけないはずの領民が。開魂者になるためでさえ、お金が掛かり、貧富の差は増すばかりだ」

「うん」

 

 ユイは言葉少なく、聞き役に徹している。

 

「でも、そうでない州もあるのです! 全ての貴族が悪政を行っている訳ではない。領地が豊かで、平和なところもある……。これは貴族制度そのものが悪いとは思えないのです……。連邦は1000年、この体制でいました。どうすれば、連邦を良くできるのか、オレには分からないのです……」

「……」

「貴女は演説で連邦の問題を提起した。いったい、この連邦をどうしようと考えているのでしょうか?」

 

 ビリーは言いたかったことを全て吐き出し、口をつぐんだ。ユイの反応を待つ。彼女は少し目を閉じていたが、答えがまとまったのか、目を開いてビリーを見据えた。

 

「それはね、新たな国を造るのよ。私達の手でね!」

 

 そう言い切るユイ。

 

 その言葉を聞いたビリーは、幼い頃に聞かされた連邦建国の物語を思い出した。彼らもこんな笑顔で連邦建国を始めたのだろうか。

 




評価、ご感想お待ちしています。

【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。