【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
Part-A
「ここです。戦姫さま」
「ありがとう」
ユイは、LBU軍の捕虜担当官に案内されて、尋問室に着いた。
ドアを開くと正面に机があり、椅子に拘束されているビリーが見える。部屋には尋問を続けていた軍人と、記録係が居た。
「戦姫さま! ご足労ありがとうございます!」
「いえ、問題ないです」
「彼、ビリー・エドワーズが、どうしても戦姫さまと話したいと……」
困った顔をした軍人から説明を受ける。ビリーは師団長で12貴族の子息だ。扱いに困っていたのだろう。
「分かったわ。拘束を解いてくれる?」
「え? 大丈夫ですか?」
「大丈夫よ」
軍人が、ビリーにかけていた手錠を外す。ビリーは手首をさすり、大人しくしている。
「2人で話したいわ。席を外してもらえる? 外で待機してて」
軍人と記録係は、心配そうな顔をしながら部屋を出た。
ユイとビリーが2人きりになる。
「Ms.ユイ! 会いたかった!」
「お久しぶりです。まあ、落ち着いて。エドワーズさん。それで、私に聞きたいことって?」
ユイは対面に座ってビリーを見つめた。ビリーはユイと会えた興奮を抑え、考えをまとめようとする。
「……貴女の演説を聞きました」
「ありがとう」
「あれを聞いてから、色々考えました。今の連邦とは。貴族制度とは」
「うん」
慎重に考えながら、言葉をひとつずつ紡ぎ出す。
「まず、今の連邦は問題だらけです。特に己の能力に関係なく、爵位で全てが決まる絶対貴族主義は間違っています。爵位が下の者は、上の者を正すことができないからです」
「そうね」
「そして今、貴族の殆どは金儲けばかりを行っています。そのため領民は犠牲になっています。本来は守らないといけないはずの領民が。開魂者になるためでさえ、お金が掛かり、貧富の差は増すばかりだ」
「うん」
ユイは言葉少なく、聞き役に徹している。
「でも、そうでない州もあるのです! 全ての貴族が悪政を行っている訳ではない。領地が豊かで、平和なところもある……。これは貴族制度そのものが悪いとは思えないのです……。連邦は1000年、この体制でいました。どうすれば、連邦を良くできるのか、オレには分からないのです……」
「……」
「貴女は演説で連邦の問題を提起した。いったい、この連邦をどうしようと考えているのでしょうか?」
ビリーは言いたかったことを全て吐き出し、口をつぐんだ。ユイの反応を待つ。彼女は少し目を閉じていたが、答えがまとまったのか、目を開いてビリーを見据えた。
「それはね、新たな国を造るのよ。私達の手でね!」
そう言い切るユイ。
その言葉を聞いたビリーは、幼い頃に聞かされた連邦建国の物語を思い出した。彼らもこんな笑顔で連邦建国を始めたのだろうか。