【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
「何事だ!?」
「システムがハッキングを受けています!」
「なんだと! 対抗しろ!」
「やってますが、かなり浸食が早いです! 防壁を展開……突破されました!」
担当オペレータが必死でキーを叩くが、状況は悪化するばかり。
ついには、状況を示すモニターの正常を示す緑色が消え、全て真っ赤になった。その途端、照明がブラックアウトする。
「キャー!!」
女性オペレータの悲鳴が聞こえた。だが、その暗闇は長く続かず、照明が再点灯される。全ては元通り……にはならなかった。
全モニターに、デフォルメされた少女の笑顔が表示される。オペレータが端末を操作するが、まったく受け付けない。困惑した彼らの頭上にあるスピーカーから女性の声がした。
『こちら
サルガス運河は、
「守備隊に連絡!」
「ダメです! 全ての回線が繋がりません!」
室長が指示を出すが、通信妨害のため実行できなかった。
このコントロールルームがある球形ステーションには、霊符着空機管理施設や交代要員を含む職員用居住区、旅行者用商業施設、娯楽施設などがあるが、警備のためのフリゲート艦も駐留している。
しかし、守備隊に連絡がつかない。向こうも動けない状況だろう。
『皆さんに危害を加えるつもりはありません。大人しくしたがっていただけると幸いです』
ここの職員は民間人だ。『局所泡南北戦争』には加担していない。それを分かったうえでの宣言だろう。とはいえ、不安には思う。
『しばらく、そちらのシステムをお借りします』
その言葉と同時に、モニターのいくつかが元に戻った。しかし入力は受け付けず、処理だけが続いていく。
「遠隔操作か!?」
オペレータ達は何もできない。ただ、次々と処理されていくモニターを眺めることしかできなかった。
しばらくすると、外部監視用モニターに光点がいくつも生まれる。
「LBU軍艦隊だ……」
室長が呆然とした声を漏らす。
敵の目的は、ここの施設を乗っ取り、次元弾道跳躍で艦隊をここに着空させることだったのだろう。完全にANU軍艦隊が移動した後の隙を狙っている。
「直ぐにLBU軍兵士がここへ制圧に来るぞ。お前ら、抵抗するなよ」
こうなると、敵――いや、LBU軍が非道をしないことを祈るばかりだ。
──
「ありがとう、シュユ3等術佐。貴女の支援で制圧が最速でできました」
『いえいえ、そっちのサポートがあったからです。ふくちょー。あ、かんちょー代理!』
『伊ー400』の艦長席に座っているのは、呉ナトミだ。スージーがペンシルベニア星に残ったため、彼女が艦長代理を務めている。
ANU軍艦隊の撤退を察知したLBU軍は、『伊ー400』で追尾。艦隊最後尾の駆逐艦が離空した後、間を置いて次元弾道跳躍し、霊符着空機『サルガス3』に着空。通常、管制を受けないと霊符着空機へのピンポイント着空は難しいが、駆逐艦の速度とベクトルを正確にトレースすることで可能とした。
舞鶴シュユが乗るHFEA-18G グラウラーの強力な霊電子戦能力を使い、短時間でシステムを掌握。管制システムを遠隔操作し、後続のLBU軍艦隊を問題なく次元弾道跳躍させる。
目的はサルガス運河の封鎖だ。
現在、連邦領北東部と南西部は、2つの運河でのみ行き来ができる。もう一方の
そこでサルガス運河の占領を計画し、
「あとは、LBU軍艦隊に任せて、私達は戻りましょう。貴女も帰艦してね」
『りょーかい! そういえば、スージーちゃんかんちょーは何してんでしょうね』
「ちゃんって……。艦長はジョージ君の救出に成功したそうよ。今頃は別件で忙しいんじゃないかな」
続く