【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
快晴の青空の下、数千人がLBU軍基地の広場に集まっていた。
ペンシルベニア星の殆どの住民が来ている。といっても殆どが軍人で、この惑星の一般住民は少ない。
軍人は制服を着ているが、それは元連邦軍のものだ。LBU軍専用の制服は、金銭的にも時間的にも用意できなかった。その代わり、左上腕に青いスカーフを巻いている。それは貴族への反抗の証。
広場の前方に大きな舞台が設置され、軍の高官が並び、中央に女性が立っていた。
現在は、その女性、聖女教皇がLBU軍の活躍ぶりを紹介している。
この様子は銀河ネットで公開され、全銀河国家群が注目していた。フィルターが掛けられている連邦南西部以外は。
聖女教皇が一通り紹介すると、改めて声量を上げる。
『では、一番の功労者をご紹介しましょう!』
彼女が手を上げて後方を示す。舞台の後ろに居た女性が進み出る。
輝くような長い金髪。見目麗しい顔立ちの横には、青く細いリボンを編み込んだ一筋の髪が垂れていた。青いドレスのロングスカートを保護するように、白銀の鎧を組み合わせた気品ある装束を纏っている。
『
聖女教皇がその名を挙げると、その日一番の歓声が上がった。
ユイは聖女教皇からマイクを受け取り、舞台の前に立つ。
「聖下、ありがとうございます。さて、惑星占領部隊を制圧し、星系州からANU軍を放逐できました。そして運河を封鎖したことで、北東部は私達に開放されました。LBU軍の皆様のご尽力のおかげです」
歓声がひときわ大きくなる。LBU軍内で聖青の戦姫の名は轟いていた。戦闘での活躍以外にも共同作戦や戦闘後の処理、はては救助活動などで、彼女が精力的に、時には泥まみれになりながら働いていたことを目の当たりにしていたためだ。その人気は、北東部開放の大きな原動力と言えるだろう。
「これより、今後についてお話ししたいと思います」
観衆は一旦歓声を止め、彼女の声に注目する。この後のユイの言葉は、後に『ゲティスバーグの演説』と呼ばれ、後世に語り継がれることになる。
「約1300年前、私の祖先『始まりの四家』が、新たな国家、地球自由連邦を建国しました。国名にあるように、自由を原点として生まれています」
観衆は知っている。ユイは、始まりの四家の一つ、デヴォンポート家の末裔だ。
「ですが! 今の連邦は貴族が領民を食い物にし、義務を忘れ、私欲に塗れています! 領民に自由はありません!」
そこかしこで「そうだ!」の声が飛び交う。
「今、私たちはたいへんな内戦の渦中にあります。私たちはその戦争の激戦地に集まりました。この地ゲティスバーグです。そして勝利しました!」
再び歓声が上がる。しばらく待って、再び言葉を紡ぎ出す。
「私たちの前には大いなる責務が残されています。私たちの手に再び自由を取り戻すことです」
ユイは言葉を切って、顔を上げる。
「これからお話しすることは、聖女教皇聖下、LBUをまとめ上げている方々の了解を得ています」
観衆に向けて言葉を続ける。
「人民の、人民による、人民のための国を造りましょう!」
観衆はその言葉の意味が分からず戸惑う。
「ここでいう人民とは、皆さんだけではありません。領民も貴族も
貴族も、というところでざわつきがあったが、観衆は理解できた。これまでの貴族制度とは違うということを。
「ですが、今の貴族制度が残っていてはダメです。南西部を支配しているエイトリア貴族同盟が既得権益を求めて、再び戦争を起こすでしょう!」
改めて貴族を否定したことで、再び歓声が上がる。
「私は宣言します。貴族を打倒すること! そして私の祖先が作り上げた
LBU軍人たちが腕を突き上げる。
「そして皆さんの手で、新たな国家を造りましょう!」
歓声が最高潮に大きくなる。
「その国の名は
続く