【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-D

 帝国軍第1機動隊群旗艦、空母『グラーフ・ツェッペリン』の艦橋。帝国皇帝フリードリヒⅣ世は、立派に整えられた顎髭を弄りながら、不満げに独りごちた。

 

「弱い。弱すぎる」

 

 帝国軍がクライーナ国開放のため、ラヴァーグ国および属国ベラル国の合同軍と戦闘を開始してから、3ヶ月が経過していた。

 

 既にクライーナ国内に駐留していた合同軍は駆逐され、帝国軍はその勢いのまま、ラヴァーグ国星系域の外延部まで進出を果たしている。

 今、彼らの眼前に横たわるのは、ラヴァーグ国が誇る最終防衛ライン『セバストポリ要塞』であった。

 

「もう少しは楽しめると思ったのだがな。まさか3ヶ月で大勢が決してしまうとは」

「まあ、以前の大八洲皇国との戦闘で、連合軍は大幅に弱体化していましたからね」

 

 傍らに控えていた艦隊司令が、皇帝の退屈しのぎのような愚痴に淡々と付き合う。

 

 皇帝が座乗する『グラーフ・ツェッペリン』は、全長1,200mにも及ぶ巨大艦だ。

 空母という艦種ではあるが、皇国のDDHとは異なり自衛用の武装すら殆ど持たず、機動兵器の運搬と整備、補給に特化している。その脆弱さゆえに直衛艦隊による厳重な護衛が必須であり、決して戦線の表に出ることはない。

 

 艦内に搭載されている兵器は、最新のHFの他に、旧式の機動戦闘機が多数含まれている。連邦や皇国ほどHFを潤沢に保有していない帝国では、戦力数を補うために航空機型の機動戦闘機も未だ現役で運用されていた。

 一般的に航空機型機動戦闘機は、かつて大気圏内を飛行していた航空機と同様に主翼を有している。ただし、その翼は最新のヒッグス推進(Higgs Propulsion)フィンが装備されていた。

 

 これらは帝国においてBf109『メッサーシュミット』と呼ばれ、現在の航空機型機動戦闘機の主力を担っている。

 

「大八洲皇国か。やはり、連中の方が歯ごたえがありそうだな」

「不可侵条約により、あと2年9ヶ月は戦えませんがね」

「ああ、そうであった……!」

 

 わざとらしく頭を抱える皇帝に、艦隊司令は冷淡な口調で言葉を継いだ。

 

「ご自分で決断されたことでしょうに。……ですが、そう退屈もしていられないかもしれませんよ。赤壁連合の瓦解を契機に、他国でも不穏な動きがございます」

「ふむ。では、まずはこの詰まらん(いくさ)を終わらせるとするか」

「御意。機動兵器の展開、間もなく完了いたします。陛下、御出陣は?」

「ふん。この程度の相手に、カイザー・ティーゲルを出すまでもない」

 

 前方に見える『セバストポリ要塞』は、球形の大型宇宙ステーションだ。本来であれば膨大な艦隊と機動兵器を収容し、星系防衛の要として機能するはずだが、今の要塞には防衛を担うべき艦艇もHFも殆ど残っていなかった。

 

 守るべき牙を失った要塞は、もはや巨大なガラクタに過ぎない。

 

 帝国艦隊の各空母から発艦したHFティーガー、およびメッサーシュミットの編隊が、最終攻撃の配置に着く。

 

「蹂躙せよ」

 

 皇帝の短い号令とともに、戦闘という名の、一方的な破壊行為が幕を開けた。

 

 

続く

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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