【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第十二話 対決
Part-A


「また、お会いできましたね。Ms.ユイ」

「……」

 

 各国が参加する環局所泡合同演習(Rim of the Local bubbles Exercise)、通称『リムロック』。そこでは軍事訓練のみならず、多彩な親善交流行事も開催されている。

 その一つであるスポーツ大会では、サッカーや野球、バレーボールといった球技も行われているが、参加者の大半が開魂者(Openian)であるため、身体強化をフル活用した超アクロバットな試合が繰り広げられていた。

 

 ユイとレイがエントリーしたのは、その中でもひときわ注目を集める武闘大会である。武道は軍人にとって必須の技能。たとえ交流戦といえども手を抜くことは許されず、どの参加者も本腰を入れて勝利を狙いにきていた。

 

 ビリーと再会したのは、剣術部門の団体戦――しかも、その決勝という最高の舞台。

 

「ふふ、これはもう運命と言っても過言ではないのでは?」

「いや、単なる偶然……だと思いたいわね……」

 

 皇国チームの布陣は、先鋒・横田ユイ、次鋒・星菱レイ、中堅・三沢ナユ、副将・背振山モモ、大将・高良台ツクミ。レイ以外の全員が女性で構成されたこのチームは、ここまで全勝という圧倒的な成績で勝ち上がってきていた。

 

 対する連邦チームも、ビリー・エドワーズを先鋒に据え、残る4名が女性という似たような構成だ。こちらもまた、負けなしで決勝へと駒を進めてきた強豪である。

 

 剣術部門では身体強化の使用を前提とし、防具を着用せずに木剣を使用する。相手に有効打を与えれば「一本」。チームの勝敗は星取り戦形式で、計5戦の勝利数によって決せられる。

 

「いやはや、皇国の武道着姿もまたお美しい。Ms.ユイの凛々しさがより一層際立ちますな」

「はぁ、どうも……」

 

 ユイたち皇国チームは白の上衣に黒袴の道着姿。対して連邦側は、意匠を凝らした騎士服を着用していた。

 

「しかしなぁ、お相手をしたいのは山々なのだが……。審判、順序の入れ替えは可能か?」

「どうされましたか?」

「いや、騎士としてレディを斬るのは、いささか不本意でね……」

 

 ビリーは騎士道精神からか、女性を「守るべき対象」として見ており、戦うべき相手としては認識していないらしい。

 ちなみに開魂者においては、女性の方が平均的に霊力が高く、戦闘能力で男性を上回ることも少なくない。そのため剣術大会の参加比率も女性が高く、男女混合で行われるのが常識であった。

 

「「「「「はぁ!?」」」」」

 

 ビリーの発言に反応したのは、ユイだけではなかった。彼のチームメイトである女性4名が、一斉に抗議の声を上げる。

 

「ビリー! 貴方、まだそんな寝ぼけたことを言っているの!?」

「差別してんじゃないわよ、ビリー!」

「そうよ! この無自覚な女性蔑視者!」

「ばーか!」

 

 味方からも大ブーイングの嵐。どうやらビリー、実力はあってもあまり慕われてはいない様子だ。

 

「え? なんだお前ら。女性に優しくするのは当たり前だろう?」

 

 ビリーは心外そうに言い訳をするが、それがさらに火に油を注ぎ、女性陣からの罵声はより一層強まるばかり。

 

「あの、審判。ボクが先鋒に変更してもいいですか?」

 

 騒ぎの中、レイが審判に順序の入れ替えを申し出た。ルール上は双方の合意があれば変更は可能とのことだ。

 

「レイ? いいの?」

「うん。なんか、無性にイラっときたからボクがやるよ。ユイは次鋒をお願い」

 

 珍しくレイが不機嫌さを隠さない。どうやらユイが「戦う対象外」として避けられたことを、彼女の戦士としての矜持を侮辱されたと感じたらしい。

 

「お、いいぞ。お付きの君」

 

 味方にボロクソに言われていたビリーは、レイが先鋒を引き受けたことに満足げな笑みを浮かべた。しかし、街で自己紹介を交わしたはずにもかかわらず、やはりレイの名前は彼の記憶に刻まれていないらしい。

 

「お付きじゃない。星菱レイだ」

「そうかMr.レイ。こっちは全力でいくぞ」

「当然」

 

 レイは武器置き場へと向かい、太刀を模した木刀と、短めの小太刀を手に取った。

 

「ほう、貴殿も二刀流か?」

「ボクの流派――テン・シント流では両刀術って言うんだ」

「なるほど、貴殿も武道を修める者か」

 

 ビリーは巨大なツーハンドソードを模した木剣を2本、軽々と持ち上げた。

 二人は審判に促され、試合場の開始線に立つ。両チームから熱い声援が飛ぶが、なぜか連邦チームの女性陣までがレイを応援しているようだ。

 

 ビリーは巨大な剣を胸の前でクロスさせ、レイは大小の木刀を並行に構える。

 

 呼吸を整え、身体強化のイメージを鋭く練り上げると同時に、木刀の強度を霊力で極限まで補強する。

 

「マクドネル・ダグラス流、ビリー・エドワーズ。参る!」

「テン・シント流、星菱レイ。よろしくお願いします」

「始め!」

 

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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