【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

50 / 292
Part-B

「ひゃっほー!」

『あぶないよ、01』

 

 合同演習開始から一週間。『かが』の第401人型機動戦闘飛行隊は、対HF戦シナリオに臨んでいた。

 内容は4対4のHF戦。戦場に指定されたのは、巨大ガス惑星の環の内部だ。かつて衛星であった天体が崩壊して形成されたというその環は、数メートルから数百メートル級の岩石が無数に漂うデブリ帯となっている。

 

 勝利条件は敵陣奥にあるフラッグの奪取、もしくは敵機4機すべてに対する撃墜判定の取得だ。ただし、環の空域外へ出ると減点、さらに浮遊する岩石を破壊しても減点対象となる。

 星間機動戦の訓練も兼ねているため、今回は近接武器の使用も禁止されていた。

 

 ブルーリボン中隊第一小隊の4機は、二機ずつのツーマンセルに分かれて敵陣を目指す。

 仮に敵が4機で固まって行動していた場合、一時的な数的不利は否めないが、その隙に別動隊がフラッグを掠め取る作戦だ。

 

 現在、横田ユイのブルーリボン01と星菱レイの02がペアを組み、先行して進攻中である。

 ユイは岩の間を縫うように、軽快に飛び回っていた。障害物に満ちた複雑な空間での機動を、彼女は心から楽しんでいるようだ。

 

「大丈夫、大丈夫! って、おっとっと!」

 

 01が巨大な岩に激突しそうになり、大の字の姿勢で強引に急制動をかける。寸前で衝突を回避し、機体を反転させた。

 

『ほら、危ないって言っただろう』

「てへへ」

『気を付けないと……』

 

 レイが小言を言いかけたその時、別回線から割り込むように通信が入った。

 

『03のおバカ! 岩を壊したら減点だって言われたでしょ!』

『すまん、04。つい邪魔だったもんでな』

 

 環の反対側ルートを進んでいるのは、信太山ケイの04と海田ガイの03だ。

 

『03と同じレベルになるよ』

「それは勘弁」

 

 ユイたちは既に予定行程の半分ほどにまで達していたが、未だ会敵の兆候はない。

 

 開けた宇宙空間なら一瞬で到達できる距離だが、大小様々な岩石群を回避し、索敵を行いながらの慎重な進軍となれば、それなりに時間を要する。

 障害物が密集する閉所戦闘を想定した、極めて難易度の高いシナリオであった。

 

「なかなか会敵しないわね。もしかして敵が岩陰に潜んでいて、見逃しちゃったとか?」

『いや、それはないよ。ボクが全周囲を確認しながら進んできたからね』

「そ、そうよね……」

 

 ユイは抜け目のないレイの索敵能力に感心しつつ、その完璧さに若干引いている。と、ケイから緊迫した通信が入った。

 

『01、こちら04! 2機のHFとエンゲージ!』

「01了解!」

 

 2機ということは、敵も戦力を二分しているということか。ユイとレイは、自機の周囲に対する警戒レベルを最大にまで引き上げる。

 

「こういう時、リンとシュユがいると助かるんだけどね」

『そういう想定(シナリオ)だからね。実機の性能のみで戦わなければならないのは敵側も同じだよ』

「402の娘たち、今頃何してるのかしら」

『アラヤと一緒に買い物に出かけるって言ってたよ』

 

 警戒を維持しつつ、この場にいない二人の噂話をしていた、その時。

 

 突如、コックピット内に鋭い警報音が鳴り響く。

 

 ユイの視界の隅に、幾筋もの光る紐のような軌跡が、音もなく迫るのが映る。

 

「AIM警報! エーテルフレア、発射!」

 

 直後、01と02の周囲で、鮮烈な爆発の花が次々と咲き乱れた。

 

 

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。