【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
修道女たちが片付けを始めた頃、リンたちの存在に気付いた白い修道女が静かに歩み寄ってきた。
「お久しぶりね、リン」
「お久しぶりです、聖女ニューズ・ニューポート。……まずはお祈りをさせてください」
「ええ、どうぞ。ゆっくりしていって」
礼拝堂の奥に安置された「祈る少年」の像の前で、リンはひざまずき、静かにⅩ字を切って祈りを捧げた。少年の像の背後では、色とりどりのステンドグラスが柔らかな光を受けて美しく輝いている。
祈りを終えたリンは、ニューズに案内されて教会の応接室へと通された。
「まずは自己紹介が必要かしらね。私はニューズ・ニューポート。この教会で教えを広めています」
「舞鶴シュユです! リンちゃんの友達です!」
「どうも。同僚の佐世保アラヤです」
「私は……別に改めて紹介しなくてもいいわよね」
「えー、リンちゃんも自己紹介してよー」
「そうだそうだ。1人だけサボるのはずるいぞ」
「だって、もうお互い知り合いじゃない……」
「ふふ、本当に仲がいいのね」
3人の賑やかなやり取りにニューズが微笑むと、リンは気まずそうに頭を掻いた。
「すみません、お忙しいところに突然押しかけてしまって」
「いいのよ、リン。礼拝も終わって、ちょうどしばらくは手隙の時間だから」
「ありがとう、ニューズ」
先ほどの儀式の様子や洗練された立ち振る舞いからして、ニューズはこの教会でもかなりの高位に就いているようだ。
アラヤは、リンと彼女のあまりに親しげな関係が気になり、率直に尋ねてみた。
「えーっと、ニューポートさん、いや聖女さま……は、リンとは以前からの知り合いなんですか?」
「ニューズでいいわよ。ええ、だってリンが5歳のときに、洗礼名を授けたのは私ですもの」
「え! リン、お前洗礼名なんて持ってたのか!?」
「もう、ニューズったら……。ずっと隠してたのに……」
「あら、ごめんなさい。でも立派な名前なんだから、誇っていいのよ?」
「リンちゃんの洗礼名って、どんなの?」
シュユが
「……私の洗礼名は、Arielよ。天使に由来するらしいわ」
「えー! かっこいい!」
「天使ぃ? お前が?」
シュユは素直に称賛するが、アラヤはニヤニヤといじわるな顔でからかってくる。
「もう! だから知られたくなかったのよ」
「ふふふ、本当に仲がいいのね。もっと君たちのことを知りたいわ。そういえば、どうしてこちらへ?」
リンは、3人とも皇国軍人であること、環局所泡合同演習でこの星に来ていること、そして先ほどまで魔女サン・ディエゴに会っていたことを伝えた。
「あら、サンのお弟子さんなのね」
「あれ? 先生のこと、ご存じだったんですか?」
「ご存じもなにも、幼馴染なのよ、サンとは」
「「「えー!?」」」
聖女ニューズ・ニューポートと魔女サン・ディエゴは、
「ししょーのお友達だったんだ!」
「ええ、そうよ。まあ、彼女は堅苦しい場所が嫌いだって言って、教会には寄り付かないけれどね」
「ああ、それで誘っても来なかったんだー」
「教会はこんなにいいところなのにね」