【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第十六話 舞踏
Part-A


 環局所泡合同演習リムロックの最終日は訓練ではなく、レセプションパーティーが開かれていた。

 

 連邦が用意した大きなホールに、豪華なシャンデリアが飾られている、いかにもな貴族のパーティ会場に参加国の軍人たちが集まっていた。

 

「すごい豪華ねぇ……」

「なんか場違いな感じ」

 

 ユイは、私物の水色のドレス。ロングスカートがふわりと広がり、周りの貴族女性のドレスにも負けていない。髪も下ろし小さなティアラも付けている。まるで物語のお姫様のようだ。

 

 名家のご令嬢なだけあって、この雰囲気に飲まれず落ち着いていた。

 

 対してレイは借り物のタキシードを着ている。パーティのドレスコードが無ければ、普通に軍服で参加するつもりだった。この場に慣れてなく落ち着かない。

 

 第401人型機動戦闘飛行隊の面々も参加している。女子は全員ドレス姿だ。

 

 周りを見ると皇国軍人の他にも連邦やフランクス王国などの軍人が談笑していた。

 

 料理も各テーブルに大量に置かれており立食式で自由に食べることができる。会場にはメイド服を着て働く使用人の女性が飲み物を配っていた。

 

 

 メイドさんに飲み物を貰い、しばらく401の面々と歓談していると、知っている2人近づいて来る。

 

「やあ、また会いましたね。Ms.ユイ、Mr.レイ」

 

 男はビリー・エドワーズ。いかにも貴族男性という恰好だ。

 

「こんばんはエドワーズさん」

 

 社交の場なので、邪険にするわけには行かない。ユイは笑顔でビリーに挨拶する。

 隣の女性はミリィ・メイポートだが、前に合った時とは違ってドレス姿だった。

 

「ミリィさんもこんばんは。……今日はメイド姿ではないんですね」

「こんばんはMs.ユイ。あれは趣味ですので」

「趣味?」

「ミリィはメイドではないですよ。名門メイポート家の令嬢です」

「えええーー!」

 

 あんな恰好していたから、てっきり使用人かと思ったら違ったらしい。ビックリ。

 ビリーとは幼馴染であり小さい頃から一緒で、そのまま軍人になっても同じ隊に所属しており、ミリィ曰く腐れ縁とのことだ。

 

 そのまま訓練で相対したことの話になり、お互いの健闘を称え合った。

 

 またの再戦を希望される。こちらとしては避けたいところだが、口には出せない。

 

 談笑しているとビリーに別の客が来たので、一旦離れる。さすが12貴族のエドワーズ家は注目度が高いようだ。

 

「ユイ!」

「あ、ヒルダ!」

 

 剣術大会で会ったヒルデガルド・ラムシュタインとその友達たちが、ユイを見つけて寄って来る。短い期間でかなり仲が良くなったらしい。きゃいきゃいとおしゃべりを始めた。

 

 レイは、ちょっと離れてテーブルの食べ物を皿によそって食べてみる。

 

「うーん。素材は最高なんだけど味付けが大雑把だな。連邦の食事はみんなこんな感じだけど……」

 

 しばらく一人でいると、レイに声を掛けて来る人物が。

 

「こんばんは、レイ・ホシビシ」

 

 レイが振り返ると、少し長めの銀髪で整った顔した同い年くらいの少年が居た。一瞬誰か分からなかったが、格闘大会でゴウガと決勝で戦った相手であることを思い出した。

 

「どうも、えっと……」

「ワタシはトロワ・ダッソーナ。フランクス王国軍人だよ」

 

 剣術大会の個人戦決勝で、ゴウガを負かしたフランクス人だ。そのときレイをじっと見つめてきたのは覚えている。

 あのときは挨拶もしていないので、何故自分の名前を知っているのか分からない。そのことを尋ねると、

 

「ふふ、失礼だが、君は自分の立場を、もう少し自覚した方がいいね。リムロックに参加した軍人の間では有名だよ。『血色の影(Blood Shadow)』の名はね」

 

 ユイの『青い稲妻(Blue Lightning)』と並んでレイに付けられた二つ名。正直あんまりよく思ってない。二つ名自体もそうだが、ユイと比べられること自体が不本意だ。

 

「別にボクが凄いんじゃない。ユイが強いだけだ」

「なるほど確かに彼女は強い。だが、それは君のお陰さ。君が確実に後ろに居ることで彼女は大胆に敵に突撃でき戦果を挙げることができている。後ろを全く気にしないで戦えているのは君の強さに寄るものさ」

「そっ……」

 

♪~

 

 レイは反論しようとするが、急に会場に音楽が流れ始めた。

 

 音楽を奏でているのは、会場の奥にいるフルオーケストラ。録音ではなく生の演奏。いかにも貴族らしい贅沢なやり方だ。

 

「おや、どうやらダンスの時間のようだ」

 

 人々は、会場の真ん中を開け始めた。ところどころで男性が女性に手を差し伸べている。

 

「もっと話したかったが、これまでのようだね」

 

 トロワと名乗った少年は、レイに一礼すると、その場を離れる。

 

 そしてレイの横を通り過ぎる際に小声で

 

「……ワタシは、君の母親の死因を知っている」

 

 そういってユイの方へ向かっていった。硬直するレイ。

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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