【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
Part-A
太陽系第三惑星地球。人類発祥の惑星であり、銀河国家群間のルールを定めた『地球条約』を締結した場所でもある。後、銀河標準時の元となったのもここ。
銀河国家群の居住惑星は平均で1億人。最大でも3億人であるのに対し、地球では一時期60億人以上もの人々が一つの惑星に住んでいたらしい。信じられない話だ。
宇宙空間でも放射線を気にせずに生きることができる体を手にいれた人類だが、さすがに食料なしでは生きられない。惑星上で食料の大量生産が必要で、居住惑星の住民の7割は農業に従事している。
60億人をどうやって食わせていたかは謎だが、地球には現在、一般人は殆ど居ない。
地球自由連邦は、地球を特別直轄地として居住を制限していた。理由は色々あるが、一番には、これまで人類が何度かの戦争や災害などを起こして惑星を消費し、居住に適していなくなっていたこと。
人類は、これまで何度も全滅の憂き目に会いながら、なんとか生存してきた。しかし、このままではいつか本当に全滅してしまう。当時の統合政府が地球外に生存領域を求めたのは必然だろう。
残る人、残らない人で分けると差別が生まれてしまうので、全人類地球を出ることに。
現在は、現地駐在官と環境調査の学者、宗教的聖地巡礼対応のための特別現地員が定住し、一般人は厳正な抽選で選ばれる少数の観光客or巡礼者が来る程度。抽選は5年後まで埋まっていた。
人類が居なくなった地球は徐々に自然を取り戻し、ヒト以外の生物の楽園になっている。
その地球の赤道上に、とてつもない高さの白い巨大な塔が立って居た。塔は成層圏を突き抜け、静止軌道以上まで伸びている。軌道エレベータと呼ばれるものだ。
軌道エレベータは重力制御技術ができるまでは、惑星上から物資や人を宇宙空間に安価に送ることができる唯一の方法だった。
人類が外宇宙に進出するころには重力制御を持っており、軌道エレベータを持つ惑星は、この地球だけだ。メンテナスはしているが、殆ど遺跡と言う感じで観光の目玉にもなっている。
主要国首脳会議サミットの会合が行われるのは、この軌道エレベータだ。
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陣羽織を着せた星菱96式HFが、重力制御により地球大気圏内を飛行していた。搭乗しているのは、
「この辺りのはずだが……」
しばらく飛行すると陸地が見えてきた。大陸ではなく列島のようだ。
帝は陣羽織をはためかせ、高度を落して陸地に近づいた。護衛も帝に続く。
陸地は緑で覆われていた。
人工物はあるがかなり古く崩壊していたり、サビや蔦などに覆われている。もちろん人影はない。
さらに飛行していくと、海の上にそびえる大きな鳥居が見えた。
元は朱色だったろう、その鳥居は汚れが目立ち一部崩壊している。奥の方には木造の建築物が見えるが、ほぼほぼ形を失っており、緑に埋もれていた。
皇国の祖先が、この星を出たのは二千年以上前だ。
必要な書物や物資は回収しているが、やはり残すものも多かった。後ろ髪を引かれる思いで移民船に乗り込んだと聞く。
安住の地までの旅は過酷極め、皇国民も大分減ってしまった。それでも、他の国のように戦争だったり、AIの反乱などで全滅するようなことはなく、今のヤマト州を見つけ定住できた。
祖先の苦労によって、現在の皇国があるのだ。
今、地上に降りて探せば、なにか見つかるかもしれないが、条約で禁止されており、その気もない。
皇国の国教であるシントウ教では、自然に寄り添い感謝することを教えとしている。
緑に覆われた大地を見て帝は思う。
「これでよい。これで」
帝が思いにふけっていると、護衛機が近づいて来た。
『陛下、お時間です』
「うむ。分った」