【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
「そんな……。父様、母様が……」
ミヤコは絶句した。
職員が声を震わせながらする報告によれば、サミット会場で爆破テロが発生し、両陛下ともに死亡が確認されたという。随行していた多くの宮内庁職員や近衛兵も、犠牲になったとのことだった。
騒ぎを聞きつけた他の職員や、緊急招集された内閣の各大臣が、続々と謁見室へと集まってくる。皆、不安と狼狽を隠せない表情であった。
「陛下……なぜ……」
「ええい、近衛は何をしていたのだ!」
「皇国はどうなる……」
両親を失ったばかりのミヤコは、その場で泣き崩れたかった。だが、狼狽える臣下たちの姿を見て、自身に課せられた皇族としての責務を痛感する。
「殿下……今このようなことは申し上げたくありませんが、帝ご崩御に伴い、早急に皇位継承者を決定せねばなりません……」
重苦しい空気の中、内閣総理大臣が進み出て発言した。
現在の皇位継承順位第一位は、ミヤコの弟ケンヒトだ。しかし、彼はまだ5歳である。
皇室典範では皇位継承は男系男子が原則だが、正当な継承者が幼少であり、国難に際して帝の重責に耐え難いと判断される場合、女性皇族が皇位を継承する特例が認められていた。
ミヤコは迷った。しかし、ケンヒトはあまりに幼い。歳の離れた弟の無邪気な笑顔が脳裏をよぎる。
(ケンちゃん……)
11歳差の弟を、ミヤコは溺愛している。この混乱の中で、幼い彼に重責を背負わせ、苦労させるわけにはいかなかった。
ミヤコが逡巡していると、謁見室の扉が開き、モーニング姿の老人が入ってきた。
「上皇陛下!」
「おお、上皇さま……」
別室で待機していたミヤコの祖父、上皇閣下の登場に一同が道を空ける。
部屋の中央まで進み出た上皇は、ミヤコと対峙した。
「ミヤコ、そなたが皇位を継ぎなさい」
「しかし、おじい様……」
「ケンヒトはまだ幼い。この非常事態を乗り切るには、そなたが立つしかないのだ。そなたならば立派に務められるだろう」
上皇はミヤコの瞳を真っ直ぐに見つめて言った。
「そうです、殿下。殿下ならば国民の支持も厚い」
「国民は皆、不安に駆られております。心の支えが必要です。殿下ならば、この上ない適任かと」
他の大臣たちも上皇の言葉に同意し、次々と声を上げる。
ミヤコの傍らに控える側近の二人も、段を降りてミヤコの前に跪いた。頭を下げたまま、シズカが促す。
「殿下、いえ陛下。ご決断を」
確かに、国民の動揺を鎮めるには、強力なリーダーシップが必要だ。ケンヒトが成人するまでの中継ぎとして、自分が皇位を預かればいい。ミヤコはそう考え、腹をくくった。
「分かりました。
謁見室の全員が、ミヤコの宣言に深く平伏した。
「「「陛下の御心のままに」」」
ここに、皇国が銀河に進出して以来初となる、女帝が誕生した。
方針が決まったことで、各大臣や職員は次々と退出し、山積する課題への対応に走り出す。
上皇も最後に、「上手くやりなさい」と短く言い残し、部屋を去った。
残されたのは新女帝と、側近の二人だけである。
「お見事な決断でした、陛下」
「あ、ありがとう。シズカ、それとモミジも。これからもよろしくね」
「「御意」」
二人は再び跪いて礼をした。顔を上げたシズカは、いつもの柔和な表情で付け加える。
「ちなみに一人称は、
「そ、そう?」