【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-C

「なあ、シュユ」

『なあに? アラヤちゃん』

 

 最近、舞鶴シュユは姉弟子であることを強調するため、佐世保アラヤのことを『ちゃん』付けで呼ぶようになった。アラヤは同い年で自分より背の低い姉弟子にそう呼ばれるのを嫌がったが、まったく聞く耳を持たないので既に諦めている。

 

「これなんだ?」

 

 アラヤの乗る人型対艦攻撃機、コールサイン『ブラックボマー』の横に、全長25mほどの巨大な亀が漂っていた。

 

『何って、新型魚雷『ストロングシェル』君だよ?』

「いや、なんで亀の形なんだよ」

『陰陽術と言えば四聖獣じゃない? その中の玄武を模してみたの』

「いや! これ海亀じゃねーか!」

『似たようなもんでしょ?』

「全然ちがーーーーう!!!」

 

 アラヤがツッコミを入れた新型魚雷『ストロングシェル』は、どう見ても海生生物のウミガメであった。玄武は北方を守護する水神であり、一般的には脚の長い亀に蛇が巻き付いた姿で描かれる。その亀はどちらかと言えば陸亀に近い。

 

「はぁはぁ。もういいや。疲れた……。で、どんな感じで使うんだ?」

『甲羅に座ってみて』

「こうか?」

 

 全長40mのHFが25mの亀にまたがると、亀が小さくてかなりアンバランスだ。正直、見た目はかなり間抜けであった。

 

『ぷぷぷー、浦島太郎みたい!』

「おい」

『甲羅に霊子を送ってみて?』

「む、こうか?」

 

 HFから霊子を亀の甲羅へと流し込んでみると、吸い出されるような感触があった。

 

「お、おお、霊子が吸われてく。これでいいのか?」

『うん、中に小型の蓄霊凝縮装置(Aether Condenser)が入っていて、霊子を保持するの』

「艦船にあるやつか。どこまで籠めればいいんだ?」

『満タンになると甲羅が光るから、それを合図にしてね』

「分かった」

 

 30秒ほど注入し続けると、甲羅がぼんやりと発光した。霊力の供給を止めて離れる。

 

「満タンになった。これ座らないとだめなんか?」

『いいや? 甲羅の表面が神金(orichalcum)でできているから、手で触れればいいよ』

「早く言えよ!」

 

 神金は蓄霊凝縮装置(Aether Condenser)人型出力炉(HFR)を繋ぐ伝達ケーブルにも使われている、極めて導霊性が高い合金だ。金ベースなので当然値段も高く、量産など夢のまた夢であった。

 

「まあいい。早速使ってみよう」

 

 アラヤは光子魔術(Photonic Magic)を発動し、対艦光子神槍(Anti-Ship Photon Divine Lance)を2本生成して放つ。光の槍が虚空を駆け、直径2kmもある2個の小惑星に着弾、瞬時に蒸発させた。

 

「おお、全然疲れねぇ! 前は2発撃ったらヘトヘトだったのに」

『『ストロングシェル』が霊力場(Aether Force Field)を離れると霊子供給できないから気を付けてね』

「おうよ」

『蓄霊中は甲羅が盾としても使えるよ。光子砲も付いているから魚雷迎撃もできるし』

「へー、いい感じだな。全然玄武じゃねーけど、気に入ったぜ」

 

 これまでアラヤが出撃するときは、霊力切れをカバーするために必ず護衛が付いていたが、これなら単独行動も可能になりそうだ。

 

『あと、もう一機。アラヤちゃん向けの新型魚雷があるよ』

「おお、まだあるのか!」

『おいで! 『グリーンコロナタス』君!』

 

 シュユが呼び出すと、体を丸め回転しながら急速接近してくる物体があった。

 

 『ブラックボマー』の傍に来ると停止して体を伸ばす。全身が緑色の鱗状装甲に覆われ、口は管状の吻が前方に突き出ており、これが光子砲になっているらしい。また尾は長く、先端に鍵爪が付いていて近接攻撃も可能なようだ。

 

『四聖獣の青龍を模した『グリーンコロナタス』君です!』

「タツノオトシゴじゃねーーか!!!!」

 

 全力でツッコミを入れるアラヤ。そんな彼のHFの腕に、『グリーンコロナタス』はタツノオトシゴのように尾っぽを絡ませて固定された。

 

 ……なんだか懐いているように見える。

 

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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