【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
フランクス王国北部にあるマジノ州。この星系は汎ペルセウス帝国と接している。帝国へと繋がる唯一の銀河航路が存在しており、ここを経由しなければ王国へ入ることはできない。
銀河航路とは、線ではなく「点」で存在していた。点には有人無人の観測ステーションが設置されており、その空域が
光学・電磁波の観測だけでは、数年前の状況しかわからない。実際に行ってみないと、現在の状況が変化しているのか判別できないのである。事実、銀河航路開発業者は、未開拓の銀河航路予定空域に次元弾道跳躍した際、幾度も事故を起こしている。新規銀河航路開発は、文字通りのギャンブルに近い。
要衝マジノ州は、天然の要塞と化していた。星系を囲むように、かつて岩石惑星だったものが砕けた小惑星帯が無数に広がっている。安全に通過できるごくわずかな空間には、防衛用球形宇宙ステーションが配備されていた。
星系全体が要塞化されており、通称「マジノ要塞」と呼ばれている。フランクス王国の防御の要であり、軍事予算の3割もがここに投じられている。また大艦隊を配備し、周囲を厳重に警戒していた。
このマジノ要塞の防御は鉄壁であるとの、過度の期待がそこにはあった。
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そんなフランクス王国と地球自由連邦の間で、軍事協定の更新が行われる。特に最近の帝国の動向が怪しいため、軍事的な連携強化は必須だ。
連邦としては、王国は帝国との間に位置する重要な緩衝国であり、王国にとっては、自国だけでは足りない軍事力の補填になる。
200年前には連邦と王国で戦争もあったが、帝国という強大な敵の前には、手を組むしかなかった。
多数のメディアの前で、フランクス王国国王シャルルⅢ世と、地球自由連邦首長アビィ・ウェストミンスターが、署名した書類を手に握手を交わす。
「よろしくお願いします。連邦首長」
「こちらこそよろしく。若き国王」
新しく連邦首長になったアビィ・ウェストミンスターは、前任のエミールよりも若いが、それでもシャルルⅢ世の若さには敵わない。皇国でも同じ16歳の女帝が誕生したとのことだが、そういう時代なのだろうか――アビィは心の中でそう呟く。
ちなみにウェストミンスターという姓は、連邦首長になる者のみが名乗れる特別な姓だ。
ともかく、いまだ沈黙を守る帝国が不気味だ。連邦としては用心しておくに越したことはない。フランクス王国経由での侵攻は、マジノ要塞の存在もあり、簡単には突破できないはずだ。
心配なのが、もう一つの緩衝国であるローマリア共和国の情勢だ。現在、万が一に備えて共和国との国境付近に連邦軍を展開させている。
――
ローマリア共和国政府は、荒れに荒れていた。
共和国の世論は真っ二つに割れている。連邦側につくか、帝国側につくか。連邦は銀河国家群最大の国で資本も強大だ。対して帝国は、資源輸入で依存している面があり、切り離せない。大国二つに挟まれた、共和国永遠の葛藤であった。
前大統領は帝国寄りだったが、現在は連邦への帰属へ少し傾いている。
元老院と代議院の両院で総選挙が行われたが、どちらも勢力が拮抗して、ねじれた状態になってしまった。選挙でも決着がつかず、国内では二つの勢力がデモを実施し、一部では暴動や乱闘に発展することもあった。
軍を投入して鎮圧に向けて動いたが、なかなか収拾がつかない。しまいには軍内部でも対立が発生し、共和国内で政府軍と反政府軍による内戦が勃発してしまったのである。
このとき、前副大統領が臨時の大統領に就任していたが、彼は強権を発動した。自国の軍隊への不信感から、多数の反対を押し切って、帝国軍に治安出動を依頼してしまったのだ。
これが、今後続く「戦争の時代」の始まりであった。
続く