【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-D

 フランクス王国王立軍、統合参謀本部は文字通り上を下への大騒ぎに陥っていた。

 

 ローマリア共和国へ侵攻した汎ペルセウス帝国軍を警戒し、厳戒態勢を敷いていた王立軍だったが、肝心の帝国主力艦隊が突如として行方を晦ませた。

 さらに共和国と連邦の国境付近では、詳細不明ながら霊電子戦艦同士の小競り合いが発生。連邦側に被害が出ている模様。

 

「『ル・トリオンファン』からの続報はまだか!?」

「はっ! 依然として帝国主力艦隊の現在位置は特定できておりません!」

 

 戦略情報収集艦S1616『ル・トリオンファン』を旗艦とする部隊が国境付近を捜索しているが、成果は上がらない。

 共和国内に踏み込めれば尻尾を掴めるかもしれないが、帝国のUボート群が哨戒網を敷いており、下手に侵入すれば連邦艦の二の舞になる。

 

 混乱が極まる中、統合参謀本部の中央指令室に、数人の近衛を伴った国王シャルルⅢ世が入室した。統合参謀本部長が即座に駆け寄り、出迎える。

 

「陛下! このような騒乱の場に、ご足労いただき恐縮です!」

「構わないよ。ワタシも最新の情報に触れていたいからね。王宮に籠もっているより、ここが一番真実に近い」

 

 中央指令室は王立軍すべての作戦を司る中枢だ。無数のオペレーターが各方面と通信を繋ぎ、正面の巨大モニターには刻一刻と変化する戦況図が映し出されている。

 

「それで、現在の配備状況は?」

「はっ! 共和国国境には局所泡艦隊と南方艦隊を展開し、銀河航路を封鎖中。北方艦隊はマジノ州星系で待機。有事の際は直ちに国内各州へ急行可能な体制を整えております」

 

 フランクス王国は三つの主要艦隊を保有している。北方艦隊はマジノ要塞に駐留する対帝国の盾。南方艦隊は連邦および共和国との国境警備と、国内の治安維持を担う。そして局所泡艦隊は、正規空母『シャルル・ド・ゴール』を旗艦とする唯一の外洋機動部隊だ。

 

「帝国軍の所在は?」

「霊電子戦艦部隊が総力を挙げて捜索中ですが、未だ発見の報はありません。共和国と連邦の国境付近で多数のUボートが確認されており、連邦侵攻への事前準備とも考えられますが……」

「今は、待ちの一手というわけか」

「はい。国境の銀河航路はすべて掌握しておりますので、王国への侵入の兆候があれば即座に迎撃可能です」

 

 共和国との銀河航路は四本。いずれも連邦との交易拠点である南部のルーリ州に集中している。軍はそれらすべての着空ポイントに艦隊を張り付かせていた。

 いかに帝国艦隊が強大といえど、次元弾道跳躍の直後は無防備だ。その隙を叩く算段であり、航路同士の連絡も密にすることで、数的劣位を機動力で補う戦略だった。

 

 指令室の重苦しい静寂を、オペレーターの悲鳴に近い絶叫が切り裂く。

 

「帝国主力艦隊、発見の報あり!」

「来たか! どこだ!」

「それが……アルデンヌ州星系です!」

「なんだと!?」

 

 アルデンヌ州は、北の要塞マジノ州と南の銀河航路が繋がっているルーリ州の丁度中間にあった。この星系は主に農業を産業にしており、首都星系であるヴェルサイユ州などへの食糧供給をしている。

 

「そんな馬鹿な! 共和国側からあの州へ直接移動できる航路など存在しない! 何かの見間違いではないのか!?」

 

 参謀本部長は信じられないという反応を見せる。アルデンヌ州は確かに共和国と隣接してはいるが、接続する銀河航路はないはずだった。

 

「ですが、アルデンヌ州警備隊より光学データが届いております。間違いありません、帝国軍です! 確認できるだけで百隻以上! ……データ受信直後、極めて強力な霊電子攻撃(AEA)を感知。以降、警備隊との連絡が途絶しました!」

 

 モニターに不鮮明な映像が映し出された。監視所の望遠カメラが捉えたのは、宇宙空間に咲く無数の青白い花――次元弾道跳躍の着空発光だ。

 拡大された旗艦のシルエットは、帝国の巡洋戦艦『シャルンホルスト』と完全に一致した。

 

 警備隊は少数、まともな戦力などない。今頃は蹂躙され尽くしているだろう。

 完全に虚を突かれた形だ。参謀本部長は、幽霊でも見たかのように震えていた。

 

「ありえない……どこをどう通って来たというのだ……」

「まさかとは思うが……」

「陛下?」

「帝国は、共和国とアルデンヌの間に、未知の新規航路を開通させたというのか?」

 

 

続く

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/

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