【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-C

『王国は既に知っていると思うが、我が帝国艦隊は王国内に侵攻している。マジノ要塞などという無用の長物を信じたのが失敗だったな。王立軍は反省せよ』

 

「くそ!帝国軍め!卑怯なマネを!」

「……」

 

 フランクス王国中央指令室内で統合参謀本部長と国王シャルルⅢ世のみが、皇帝の映像を凝視している。

 

 他の統合参謀本部職員はそれどころではない。

 

「A4銀河航路ステーション通信途絶!」

「A30、A31ステーションも同様です!」

「A34ステーションで霊電子攻撃(AEA)を受けている模様!」

 

 各所からの情報でハチの巣を突いた様な騒ぎだった。

 

 アルデンヌ州から侵入した帝国軍はUボートを前面に出し、王国の銀河航路を抑えに来ている。ステーションを制圧されては、次元弾道跳躍(Dimension ballistic leap)での移動が制限されてしまう。

 

「これではマジノ州の北方艦隊が閉じ込められてしまいます。補給も儘なりません」

「他の艦隊はどうした」

「南方艦隊は、スンラ州に向かっています。局所泡艦隊はアミア州に向かっていますが、霊電子攻撃(AEA)で状況不明です」

 

 共和国国境に展開していた艦隊は完全に裏を突かれた。急いで戻ろうとしているが、ここでもUボートからの妨害を受けている。このままだと補給路も経たれ艦隊として稼働不可に。

 

 

『王国の若き王よ。連邦と軍事協定をしている王国は簡単には提案を飲めないだろう。そのための侵攻だ。既に我が軍は王国深くに進んでおり、そちらの勝利はない。首都星系に我らが進出するとき、無血開城を願う。無駄な血は流したくないであろう?』

 

「陛下……」

 

 統合参謀本部長は名指しされた国王を心配するように声を掛けるが、国王は沈黙を守っている。

 

 そこに新たな報告が入った。

 

「南方艦隊がスンラ州外縁で帝国軍艦隊と接敵!交戦に入りました!」

「早いな……帝国艦隊は、もうそこまで来ているのか……」

 

 スンラ州はフランクス王国の首都星系ヴェルサイユ州は直ぐ隣。南方艦隊が敗れれば、次はここだ。

 

『そして最後に連邦よ。汎ペルセウス帝国は地球自由連邦に宣戦布告する。以上だ』

 

 皇帝の冷たい声が中央指令室に響き、放送が終わった。

 

--

 

 汎ペルセウス帝国軍第2機動隊群旗艦空母『ザイドリッツ』は、フランクス王国スンラ州に着空直後からHF発艦作業を全力で行っていた。

 

 『ザイドリッツ』を始め帝国の空母は飛行甲板がない密閉型で、格納庫からカタパルトのある射出口にエアロックを通じて入る。

 

 駆逐戦士型HFヤークトティーガーは、ティーガー系列の共通フレームだが、防御よりも攻撃に重点を置いている。赤いマントと巨大な両手剣を背負い、カタパルトの位置に歩み出た。

 

『イェーガー01。こちらコントロール。進路クリア。発艦を許可します』

「コントロール。こちらイェーガー01。了解発艦する」

 

 右を見るとガラス窓越しにコントロール室のオペレーターが敬礼しているのが見える。

 

『ご武運を!大尉!』

「ありがとう。イェーガー01出る!」

 

 HF前方のシグナルが青に変わる。ルーン文字が出現し四角いトンネル一杯に光り出した。明るい赤色で輝く文字はRAIDO(ライゾ)というルーンで旅や移動などを意味する。

 

 一気に前向きの力が掛かり、射出口を飛び出す。

 

 そこは既に戦場だ。




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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