【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-D

「皇帝陛下、お疲れ様です」

「うむ」

 

 放送室から皇帝フリードリヒⅣ世が戻り、『グラーフ・ツェッペリン』の艦橋で艦隊司令に出迎えられた。中央の席に座り、報告を聞く。

 

「状況は?」

「第2機動隊群は、スンラ州外縁で交戦に入りました。第3はアミア州へ移動中。第4はA4銀河航路ステーションに展開。マジノ州の敵艦隊を抑えています」

「うむ予定通りだな。第1機動隊群も首都星系ヴェルサイユ州に侵攻するぞ」

「御意」

 

--

 

 10数機からなるフランクス王国軍南方艦隊所属のHF編隊は、前方から亜光速で接近する帝国軍HF編隊を迎え撃とうとしている。

 

「ルージュ01より各機へ!帝国軍HFは重装甲でウスノロだ!星間機動戦では一回だけじゃなく、何回も当てろ!」

『『『了解!』』』

 

 フランクス王国の主力HFミラージュ剣士型は、十字のスリットが入ったヘルムとチェインメイルにサーコートを装備しており、フルプレートアーマーの帝国軍戦士型HFティーガーよりも軽量。しかし標準装備のアサルトライフルFA-MASでは一撃で大破はできず、何度も交錯してダメージを与え続けるしか勝機はない。

 

 ほぼ同数の王国HFと帝国HFが正面からぶつかる。

 

『固てー!全然弾が通らない!』

『畜生!04が落とされた!』

『07!07!返事しろ!』

『ピーーーーーターーーー!!』

 

 一回の交錯で3機が落とされた。敵HFは重装甲の上ラウンドシールドを構え、正面からでは全弾弾かれてしまう。セオリー通り後ろから射撃するしかないようだ。

 

「全機反転!相対速度を合わせ格闘戦(ドッグファイト)に移れ!」

 

 編隊長の指示で各機が反転する。しかし敵HFの姿は遥か先だった。

 

「なに!?」

 

 HF同士の格闘戦(ドッグファイト)のセオリーでは、互いに敵機の後方に付いて有利な位置から射撃しようとするが、帝国HFは速度を落さずそのまま直進。格闘戦に応じない。

 

「しまった!艦隊に狙いを定めてきたか!各機全力で追え!」

 

 しかし一旦落とした速度はなかなか回復しない。帝国軍HFは既に有視界から消えた。

 

--

 

 全力でフランクス軍艦隊に向けて進んで来た帝国軍HF、黒灰色のティーガーはついに敵艦を捕らえた。しかしグズグズしていると敵HFから追撃を受ける。ここからは早さの勝負だ。

 

 事前に割り当てられている駆逐艦に3機チームで向かう。

 

 ティーガーの標準銃器シュマイザー短機関銃ではなかなか敵艦の霊殻体(Aether Force Shell)で強化されている装甲を貫けない。格闘武器の片手斧で装甲破壊はできるが、敵艦から主砲や副砲の重力子砲で迎撃してくるので、取り付いて装甲を破壊するには時間が掛かる。

 

 しかし今回は対艦装備をティーガーの背中に背負っていた。その対艦兵器はパンツァーファウストという。パイプ状の発射筒で先端に発射筒より太い弾頭が装着されている。

 

 ティーガーが駆逐艦を有視界に収めると、背中のパンツァーファウストを肩に担ぎ、発射した。弾頭は主砲砲弾で使われる成形霊子徹甲弾だ。敵艦への着弾と同時に、成形した霊銀を流体金属の超高速噴流として侵徹させる。

 

 3機のティーガーから放たれた弾頭が、駆逐艦に直撃し内部から破壊。大破撃沈した。

 

--

 

「イェーガー02、03。こちらイェーガー01。これから空母を落す。周囲警戒頼む」

『『ヤヴォール(Jawohl)!』』

 

 コールサイン『イェーガー01』のパイロット、ジークフリード・ビルケンフェルト大尉はジグザグに迎撃弾を回避しつつ、敵軽空母『ミストラル』に一気に接近した。

 

 ヤークトティーガーの背中に背負っていた両手剣を掴んで大上段に構える。

 

「魔剣グラムよ!主神ヴォーダンの怒りを持って巨大な魔竜ファフニールを討つ力を!」

 

 ジークフリードの声で、両手剣グラムが輝き始める。グラムの刀身には複数のルーン文字が刻まれていた。そのルーンの意味は『竜殺し』。

 

 グラム自体がHFの身長ほどあるが、輝き始めた剣が伸び、200mほどの巨大な光の剣へ。

 

「この辺りが蓄霊凝縮装置(Aether Condenser)だな」

 

 グラムを横に構え、『ミストラル』に最接近する。

 

「はぁっ!!!!」

 

 巨大な光の剣を空母に突き刺す。霊殻体で強化された空母の装甲を紙のように貫いた。

 

 剣をゆっくりと引き抜くが、内部から爆発はしない。その代わりなにかキラキラとしたものが、吹き出ている。

 蓄霊凝縮装置(Aether Condenser)は、霊子を蓄積するために霊銀(Mithril)が使われているが、その周りには水で満たされていた。人体の殆どを占める水で囲むことで霊子の揮発を少しでも遅らせようとする構造。

 噴き出したものは真空で凍った氷だった。

 

 蓄霊凝縮装置を破壊したことで空母の行動に制限ができる。

 

「こちら汎ペルセウス帝国艦隊、第2機動隊群、第52戦闘航空団(Jagdgeschwader52)第I飛行隊長ジークフリード・ビルケンフェルト大尉である。貴艦は既に次元弾道跳躍できない状態だ。これ以上の戦闘は無意味。降伏を求む。応じなければ我が魔剣グラムで空母を切断する。賢明な判断を期待する」

 

 敵艦隊旗艦『ミストラル』へ向け降伏勧告を行う。

 

 返答を待っていると、降伏勧告受諾の通信が入る。王国の南方艦隊全てが戦闘を停止した。

 

 会敵から僅か3時間で戦闘が終了。まさに電撃的な勝利だ。

 

 そして帝国によるフランクス王国侵攻も終戦に向かう。

 

 

続く

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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