【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

88 / 292
第二十三話 復興
Part-A


 ガコガコガコッ!ジャッ!ジャッ!

 

 調理室で球の一部を切り取ったような鉄製の鍋を振る星菱レイ。溶き卵やご飯、具材、油を鍋を振って混ぜ、強火で一気に炒める。

 

 今の時代、調理でガスを使用するのは珍しい。なにせ天然ガスや石油、石炭などの化石燃料は地球にしか存在しない。代替品はあるが、調理自体ほぼ電気を使うため、ガス自体使うことが少なく貴重品だ。

 

 なぜ『かが』の調理室にガスを使用したコンロがあるかというと、給養員のこだわりによるもの。

 

 給養員である浜松アキト1等武曹の指導により、やっと人に出せるチャーハンができるようになってきた。だが、レイ本人はまだまだ修行が必要だと思っている。

 

 おたまを使って八角形の皿に半球状に盛り付け、アキトの前に置く。

 

「師匠、お願いします」

「うん」

 

 レンゲを使いチャーハンを口に入れる。

 

「……」

「どうですか?師匠」

 

 目を瞑って咀嚼するアキト。飲み込んで眼をカっと開く。

 

「うん、米がパラっと香ばしく炒め上がってる。香り付けのネギ、卵、塩と少しの醤油だけで、ご飯粒一粒づつを卵とコライユの金色が包み込む。ちゃんと黄金チャーハンだな」

「では」

「ああ、客に出していいぞ」

「ありがとうございます師匠!」

 

 エプロンを掛けたレイは、90度のお辞儀をする。

 

「良くこの短期間でものにしたな」

「師匠のご指導のお陰です!では客に出してきます」

 

 レイは4人前チャーハンと付け合わせのスープをよそって第二食堂に持っていく。

 

「HFパイロットにしておくにはもったいないな……」

 

 元パイロットのアキトはレイの背中を見ながら、本当に残念と思って呟いた。

 

--

 

「おー!来た来た」

「お待たせしました」

 

 テーブルには、4人のお客様。第402人型術式作戦隊の3人、横須賀リン、舞鶴シュユ、佐世保アラヤ。そして3人の師匠、サン・ディエゴ。

 

 きっかけはというと、リンが友人の横田ユイからレイがチャーハン作りの修行をしていると立ち話で聞いたときに、傍に居たサンが「チャーハン!?食べたい!」と言い出したこと。

 

「いただきまーす!」

 

 レンゲを手に取りチャーハンを食べ始めた。

 

「美味しー!」

 

 にっこにこのサン。リンがすまなそうにレイに謝る。

 

「ごめんねレイ君。サン先生の我儘で」

「いいよ、丁度師匠に出す許可を貰ったところだから」

 

 夢中でチャーハンを食べていたアラヤが中断して顔を上げた。

 

「師匠って浜松1曹か?あの人の料理本当に美味いよな」

「うん。軍を辞めても店を出せるレベルだよ」

「もごもごもごもご」

「シュユ食べるか、喋るかどっちかにしろ」

「(もぐもぐごっくん)レイきゅん、この間のハカタ風とんこつも教わったやつ?」

 

 口いっぱいに頬張っていたシュユは食べる方を優先してから喋る。

 

「そうだよ。時間があるときに豚骨スープ作りを習ったんだ」

「え!?なにそれ!俺様食ってないんだけど!?」

「そんときはアラヤちゃん居なかったね。リンちゃん」

「ええ、あれも美味しかったわね」

 

 わいわいしている弟子達を尻目に、もうチャーハンを完食したサンは手を合わせた。

 

「ご馳走様でした。君らいつもこんな美味しいもの食ってんのね」

「お粗末さまです。ここの食堂は美味しいですよ」

「そっかー、羨ましいわねぇ……」

「?」

 

 妙にしみじみと言うサンにレイは首を捻る。

 

「ああ、サン先生の故郷の連邦がね……」

「メシマズで有名だしな……」

「ボクたちの留学中も皇国のごはん食べたくてしょうがなかったよ……」

 

 事情を知っている弟子達が答えた。3人は何かを思い出しながらしみじみと頷く。

 

「そうなの?」

「まあちゃんとしたお店は美味しいのよ?ただ全体的に大雑把というか、味付けが薄かったりとか……食べるときに調味料を足す感じ」

 

 不思議そうなレイにサンがフォローを入れた。

 

「なるほど、自分で味を決めるんですかね」

「そう。一般的に料理というものに無関心かな。だから皇国に来てレイ君のごはん食べれて嬉しいよ。ありがとう」

「ありがとうございます。こちらこそ大歓迎です」

 

 皇国風にお互いに頭を下げて礼をしてしまう。顔を上げた後、二人で微笑む。

 

 2人の様子を見ていたリンが、しみじみと付け加える。

 

「でも本当にサン先生に来ていただいてよかったですよ。私も師事してとっても勉強になっていますし」

 

 サン・ディエゴが皇国に来てから色々なところで教えを広げている。今回『かが』に搭乗しているのも第04護衛隊内で霊電子技術に関する講義をして欲しいという要望があったためだ。

 第04護衛隊のみならず、噂を聞きつけ色々な部隊から参加しており、『そうりゅう』関係者、特に艦長呉ナゴミまで来ているのは意外だ。連邦の技術が気になるのだろう。

 

「そういやユイはどうしたの?講義に参加したいとか言ってたけど来てなかったし」

 

 リンが親友のユイが来ていなかったことを不思議に思ってレイに尋ねる。

 

「ああ、最近忙しくて手が回ってないようなんだ。今日もレポートを飛行長に提出するとか言ってた」

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。