【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第二十四話 目標
Part-A


 人型搭載護衛艦DDH-5184『かが』の横に、大型艦が横付けされた。

 

 大型艦は補給艦AOE-5422『とわだ』。全長1,000mと『かが』よりも巨大な船体を持つ。『とわだ』は第04護衛隊群の補給を一手に引き受けている。

 

 『とわだ』から蛇腹状のチューブが伸び、格納庫口を開いた『かが』に接続された。この気密チューブを通じて、真空の宇宙空間でも安全に物資を移送する。

 

 現代の軍艦は燃料の補給を必要としない。霊子によって人間(乗組員)そのものを動力源とするからだ。その代わり、動力源たる人間のための食料、生活用品、消耗品、そして弾薬や武器といった物資の補給は欠かせない。

 

 輸送用チューブは内部で貨物用と人員用に分かれていた。貨物用レーンではコンテナが次々と運ばれている。補給中は接続エリアの重力制御を切っており、重量物も無重力下で軽々と運べる仕組みだ。

 

 人員用通路でも作業員が無重力で行き来している中、少女たちが再会を喜んで抱き合っていた。

 

「ナユおかえりー!」

「ユイただいまー!」

 

 抱き着いた勢いで空中でくるくる回っている2人。女の子同士はスキンシップ多めだ。男の子はそうもいかず、星菱レイと三沢ゴウガは軽くハイタッチを交わす。

 

「おかえり」

「おう!」

 

 パチンと乾いた音が鳴り、壁を蹴って勢いを殺しその場に停止。ふよふよと浮いたまま会話する。

 

「どうだった?」

「ああ、いいものができたと思うぜ。詳しくは後でな」

 

 三沢姉弟は新装備の開発協力で星菱重工に2か月出向していた。その開発も完了し、新装備と共に『とわだ』に乗船して『かが』に帰艦したのだ。これで第401人型機動戦闘飛行隊全員が揃ったことになる。

 

 レイと一緒に出迎えに来ていたユイと三沢姉弟が通路を戻る。レイも続こうとすると、『とわだ』側から三十代くらいの男性が近づいて来た。

 

「サトシ叔父さん」

 

 男性は星菱重工の作業服である灰色のツナギを着ている。名札代わりの社員証を胸ポケットに付けていた。社員証には『星菱サトシ』とある。

 

「なんだレイじゃないか」

 

 レイの父親ゲンの弟。レイにとっては叔父にあたり、サトシにとってレイは甥っ子だ。

 

「サトシ叔父さん、なんでここに?」

「零式の新装備の件でな。責任者として現場を見ておきたかったんだ」

 

 サトシは星菱重工で兵器部門の常務をしている。本来なら現場に出てくるような役職ではない。

 

「ゲン兄さんが嘆いていたぞ。全然帰ってこないって」

「半年くらい前に帰ったよ。一時間も居なかったけど」

「あのなぁ……」

 

 星菱重工本社に行ってすぐ帰って来た件だ。ちょっと問い詰めて溜飲が下がったので、さっさと帰った。

 

「まったく……もうちょっと仲良くできないのかよ。お前も、もう成人だろ?」

「関係ないよ。軍で忙しいからだよ。それに親父も忙しいって言ってたし」

「君ら親子は……余計なお世話かもしれないが、カズミ義姉さんのことは本当に残念だよ。でもそろそろ仲直りしないか?」

「……サトシ叔父さんは事故の内容知っているの?」

「いや、俺も知らない。HFの素体は極秘開発扱いで、社長のゲン兄さんと開発主任のカズミ義姉さん。後、数人の術者だけだった」

「そっか、ボクはそんなものに乗ってるんだ」

「そんなものってお前……」

「でもHF売れてるんでしょ? 戦争起きそうでよかったね」

 

 イラついていたレイは、思わず嫌味を口にしてしまう。

 

「そんな訳あるか!!」

「わっ!」

 

 サトシはレイの胸倉を掴み大声をあげてしまったが、すぐにハッとして手を離した。

 

「すまん……、でもそんなこと言うんじゃない。死人が出ることを喜ぶもんか」

「う、うん」

「それに折角作った装備を破壊されるなんて悲しいだろ。平時に売れて、無事に耐用年数を全うしてからの新規受注の方がいいに決まってる」

「そうなんだ」

「それに戦時だと無茶言われるからな……今回だって納期無茶苦茶でどんだけ苦労したか……(ぶつぶつ)」

(こっちが本音かな……)

 

 怒鳴られはしたが、サトシには幼いころから世話になっているので人の良さは知っていた。軽く深呼吸をして詫びる。

 

「ごめん」

「いや、こちらもカッとしてすまん。それにお前も心配なんだ。戦争が起きて戦いに出てしまうことを考えると辛い」

「そっか」

 

「まあ、軍人だからしょうがないが、軍を辞める時、会社にポジションは用意しておくからな。お前が優秀なことは知っているから間違いなく採用されるだろう」

「コネ入社じゃないか」

「生きるためにはなんでも使え。何かあれば全力でサポートするからな」

 

 サトシから頭をぐしゃっと撫でられる。昔からよくされていることだ。

 

「うん。いざとなったら頼るよ。今はやることがあるんだ」

「そっか……分かったよ。ところで飛行長は居るかな? 受領書にサインをもらいたいんだが」

「案内するよ」

 

 サトシに艦内を案内する。来艦の本来の目的、零式の新装備の引き渡しのために。

 

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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