【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-B

 ホーロー国軍と第04護衛隊の合同訓練は、ホーロー星系の外縁部で行われている。

 

 第04護衛隊は、DDH『かが』を含めた4隻の護衛艦。ホーロー国軍側は、2隻の駆逐艦と皇国から武器貸与(レンドリース)という形で、4隻の多目的フリゲート(FFM)を貸与されていた。赤壁戦争で失った戦力の回復には時間が掛かるだろう。

 

 最初は艦隊行動を予定していて、今はその準備をしている。その間HF隊は新装備の確認だ。

 

 レイの乗る『ブルーリボン02』は、標的機であるオレンジ色に塗装されたサメ型の魚雷を追っていた。

 魚雷はHFには劣るが機動性はかなり良く、標的としてはピッタリだ。故障などで実戦に使えなくなった魚雷の重力子弾頭を外して再利用している。

 

 霊探(Aether Radar)ではなく、電波を使用した電探(Normal Rader)で魚雷を捕らえた。霊探は霊子技術を使用した兵器か人間そのものを捕らえることはできるが、非生命である無人機の魚雷は探知できない。そのため旧来の電探を使うが、広大な宇宙空間では電波の遅延は致命的で、探知距離は極めて短い。光の速度ですら、この宇宙においては亀の歩みなのだ。

 

 オレンジの魚雷を正面に捕らえる。標的機はそれを感知してランダム回避行動を開始。レイもその後ろを取ろうと彗燐光を輝かせながら機動した。慣性を無視するようにジグザグに動く魚雷を追う。ヒッグス推進(Higgs Propulsion)フィンを使用する魚雷も十分高機動だが、HFは運動エネルギーそのものを制御して動くため、それ以上に高機動だ。そしてパイロットは操魂球(Cockpit Sphere)内の異空間に居るため、強力な加速Gによって体が潰れることはない。

 

 回避行動をする魚雷の背後を簡単に捕らえた。これまでであれば89式200mm小銃を手に構えて標的に向けるが、新装備は違う。

 

 零式の背中に新しく装備されたバックパックの左横に、99式2号250mm連装機銃がマウントされていた。99式はウェポンアームに取り付けられており、可動して左肩に担ぐ形になる。

 ウェポンアーム固定のためHFの手で持つ必要がなく、またバックパックに接続したベルト給弾式となっており、89式と比べて携行弾数が飛躍的に増えた。

 

 レイはサイト内に収めた標的に向けてトリガーを絞る。弾丸は、霊銀徹甲弾、重力子榴弾、曳光弾の三種類あり、弾帯に交互に装填されていた。曳光弾の光跡が魚雷に吸い込まれ爆発、標的機の迎撃に成功。射撃の終わった機銃はウェポンアームが畳まれ、再びバックパックの横にマウントされる。

 

『ブルーリボン02。こちらグリーンフラッグ02。使い心地はどうだ?』

「グリーンフラッグ02。こちらブルーリボン02。いいね。使いやすい」

 

 ゴウガから通信が入る。事前のブリーフィングで新装備の説明を受けているが、実際に使ってみて確かな手ごたえがあった。

 

「ウェポンアームが火器管制システム(FCS)と連動して微調整してくれるし、何より両手が自由になるからね。そのまま接近戦もできそうだ」

『だろ? 手に持つとどうしても接近戦でもたつくからな。89式の銃剣もすぐぶっ壊れるし。それでウェポンアーム式にしたんだ。名付けて『ゼロ・キャノン』!! カッコいいだろ?』

「元ネタ知らないし、ナユに却下くらっただろう」

 

 ゴウガは古い古いロボットアニメが趣味でよく見ている。その名前も参考にしたそうだが、ナユに『ダサいから却下!』とブリーフィングで一蹴されていた。

 

『心の中で言っていればいいんだよ。自動霊子充填はちゃんと動作したか?』

「うん。ちゃんと充填されてたよ。射撃時にいちいち意識しなくても撃てるのはいいね」

 

 前の装備89式小銃では、射撃時に霊銀徹甲弾へ霊子を意識して籠める必要があったが、新装備ではバックパックに小型の蓄霊凝縮装置(Aether Condenser)を積んでおり、ベルト給弾で薬室に送られる際に自動で霊子を充填できるようになった。

 

「でも小型とはいえ、よく蓄霊凝縮装置積めたね。高いんでしょ? あれ」

『ああ、なんか赤壁戦争で鹵獲したもので再利用したらしい。それで安く済んだんだと。後、バックパックに積んでるのはそれだけじゃないぜ』

 

 バックパックには機銃用弾倉や蓄霊凝縮装置の他に、機銃をウェポンアームから外して使うときの予備弾倉や、エーテル誘導の魔術攻撃を回避するためのエーテルフレア。機体大破時の操魂球射出後に生存時間を延ばすための食料などを積んだサバイバルキットなども積んでいる。

 それらを積載して尚且つコンパクトに収めた。設計には相当苦労しただろう。

 

 新装備は纏めて零式ストライクパックと呼んでいる。何故かゴウガがニヤリとしていた。

 

 

 レイとゴウガだけでなく、401の他の隊員も全員HFに搭乗し零式ストライクパックを試していて、その性能に皆満足している。

 

「ゴウガ、そろそろ対HF模擬戦しないか? 魚雷標的機はもういいや」

『そうだな。一旦帰艦して模擬弾に換装しよう。交換しやすくなってるから直ぐできるぞ』

「いいね」

 

 模擬弾と模擬刀を装備して、再び模擬戦用の空域に戻る。

 

「行くよゴウガ」

『来いやぁ! レイ!』

 

 ブルーリボン02とグリーンフラッグ02が正面からぶつかる。レイの乗るブルーリボン02は暗い赤色だが、ゴウガの乗るグリーンフラッグ02は深緑色に塗装されていた。

 

 ゴウガも赤壁戦争でエース判定を受け慣例に合わせ機体色を変えていたが、当初は明るい緑色だった。しかし、今回深緑色に変えている。HFは星間機動戦時に、どうしても彗燐光で輝くため、機体色は何でもいいとなっていた。

 しかし、連邦軍との訓練で相手のHFF-15Cイーグルの銀色が接近格闘戦だと非常に目立ち、体の動きが良く見えたらしい。

 その教訓で零式を暗い色に変えてみたとのこと。

 

 99式2号250mm連装機銃で模擬弾を撃ちながら接近、そのまま接近戦に移る。機銃の持ち替えがいらず、射撃しながら斬撃を放つことができ隙が無い。

 

 ゴウガと一合二合と切り結び、再び離れる。

 

「いいね! やりやすい!」

『だろ!? 参考にしたのは連邦の騎士槍バルカンだ。あれも撃ちながら槍で突いてこれるからな!』

 

 会話しながら再び、刀を切り結ぶ。今度はレイが打ち勝つ。太刀と小太刀を使用して。ゴウガの機体に2本のペイントの跡が付いた。

 

『うわ! 二刀流は、ずりー!』

「これも両手がフリーになったおかげだよ。ありがとうゴウガ」

 

 新装備の使い勝手は上々だ。来るべき戦闘で少しでも有利になるように訓練が続く。

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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