【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-C

 帝国軍第1機動隊群旗艦空母『グラーフ・ツェッペリン』艦内の通路を歩く一人の男性が居た。カツカツと小気味良く靴音を立て歩く制帽を被った士官用礼服の男は、帝国国防軍のジークフリート・ビルケンフェルトだ。

 

「ジークフリート大尉!」

「ブリュンヒルデか」

 

 ジークフリートの後ろから、銀髪ロングヘアーの女性が笑顔で近づいて来る。ブリュンヒルデと呼ばれた女性は黒色に赤い差し色の入った女性士官用礼服で略帽を被っていた。

 ブリュンヒルデは武装親衛隊(Waffen-SS)の隊員で、例外的な女性兵士だ。

 

 小走りで近寄り、ジークフリートの横に並んで歩き出す。そのとき肩章を見て間違いに気づく。

 

「こ、これは失礼しました!ジークフリート少佐!」

 

 ジークフリートの肩章が大尉から少佐になっていた。敬礼して詫びる。

 

「よい。戦時昇進したばかりだ」

「えへへ、おめでとうございます!」

「ありがとう」

 

 談笑しながら歩いていると、また一人合流する。

 

「これはジークフリート殿とブリュンヒルデ殿。お揃いで」

「グンテル中佐!」

 

 グンテルは灰色のローブを着て禿頭の男。Uボートなどが所属している魔道艦隊群司令部の高官だ。魔道艦隊には祭司と呼ばれるルーン魔術師が所属している。基本霊力の高い少年が多いが、まれに高齢になっても高い霊力を維持している魔術師が居る。グンテルもその一人。

 

「お二方も陛下から呼ばれたのですか?」

「ええ、グンテル中佐も?」

「はいブリュンヒルデ殿。なんでしょうね?」

「恐らく地球自由連邦への侵攻についてだろう」

「ジークフリート殿。やはりそうですか」

 

 通路の先は講堂になっており、扉に控えた兵士が3人に敬礼する。

 

「ジークフリート少佐!ブリュンヒルデSS大尉!グンテル中佐!お待ちしておりました!こちらへどうぞ!」

 

 兵士が扉を開けると大広間に大勢の兵士が整列しているのが見えた。

 一番多いのが、国防軍兵士。その次が親衛隊隊員。そして灰色ローブを着た魔道艦隊隊員。

 

 3人はそれぞれの列の前に出てステージ側を向いて立つ。

 

 ステージ上には軍の高官が並び、誰かを待っていた。

 

傾注(Achtung)!!』

 

 講堂内に響き渡る。

 

『皇帝陛下!ご登壇!』

 

 講堂内の全兵士、ステージ上の高官も一斉に敬礼を行う。帝国式敬礼は左胸にある汎ペルセウス帝国の象徴である双頭の鷲の紋章を右手で抑える。

 

 シンっと静まり返った中、ステージ中央に進み出る人物。

 

 汎ペルセウス帝国皇帝フリードリヒⅣ世が登壇した。

 

 直立不動した講堂内の兵士を見渡し、演説を始める。

 

 

『連邦は豚に支配されてしまった!!』

 

 第一声から講堂を支配した。怒りを含んだ声がビリビリと講堂中を揺らす。

 

『12貴族という金満の豚どもは、貴族の義務も忘れ、私腹を肥やすために国家を食い物としている!挙句は国家の長を己の欲望のために殺した!他国の長も平気で巻き込む度し難い行為だ!余のこの顔が証拠である!』

 

 皇帝は傷だらけの自分の顔を指しながら続ける。

 

『やつらに自由にさせて置けば、銀河国家群全体に腐敗が蔓延ってしまう!腐りきった豚どもに鉄槌を下さねばならぬ!これは銀河国家群200億人の平穏のためである!』

 

 一言毎に熱を帯び、皇帝の怒りの気持ちが伝わって来る。

 

『確かに連邦は強大だ!だが我が帝国の勇猛なる戦士たちの敵ではない!豚共を駆逐し、連邦の国民を解放する!!』

 

 兵士たちが歓声を上げた。『グラーフ・ツェッペリン』中が揺れているようだ。

 

 

『魔道艦隊群司令部直轄第672重砲兵隊指揮官"魔人"グンテル・グリュックスブルク中佐!』

「ここに」

 

 グンテルが、一歩前に出る。

 

武装親衛隊(Waffen-SS)第5SS突撃大隊指揮官"戦姫"ブリュンヒルデ・ラアウリッヒSS大尉!』

「はい!」

 

 ブリュンヒルデが、一歩前に出る。

 

第52戦闘航空団(Jagdgeschwader52)第I飛行隊長"英雄"ジークフリート・ビルケンフェルト少佐!』

「はっ!」

 

 ジークフリートが、一歩前に出る。

 

『諸君ら3人が勝利の鍵である!勇猛を示せ!』

「「「ヤヴォール(Jawohl)!!」」」

 

 3人が敬礼すると、他兵士たちも合わせて敬礼する。

 

『我が勇敢なる戦士諸君。(いくさ)を始めるぞ!』

帝国万歳!(Lang lebe das Kaiserreich!) 皇帝万歳!(Lang lebe der Kaiser!)

 

 全体に全兵士の声が響き渡る。

 

 皇帝が手を下げると再び静寂が訪れた。

 

『さて、地球自由連邦への侵攻だが』

 

 背後のスクリーンに青く輝く惑星が表示された。居住惑星ならいくらでもあるが、その星は唯一無二の星だった。

 

『目標は人類発祥の地。地球だ。さて、地球を取られて、地球自由連邦を名乗れるかな?』

 

 皇帝が獰猛な笑みを浮かべる。

 

 

続く

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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