【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
「これが『月』か」
コールサイン『グスタフ01』に搭乗しているグンテルは独り言ちた。目の前に地球の衛星『月』が浮かんでいる。
「なるほど。居住型惑星の衛星にしては不釣り合いに大きいのう」
第三惑星地球と衛星『月』の大きさの比率としては太陽系で最も大きい。直径約3,470kmで地球の4分の1の自然衛星を目の前に、コールサイン『グスタフ01』魔道重砲兵型HFシュヴェラー・グスタフが停止する。
月表面を拡大すると、直径40kmアリスタルコスクレーターが見えた。クレーター内部には連邦軍基地が建設されている。
まだ軍艦が出てきていないので、内部にまだ係留されているのだろう。こちらの進軍速度に着いてこれていない。
「イェーガー04、05。こちらグスタフ01。これより対要塞魔術攻撃を行う。離れておれ」
2機の護衛機を離れさせ、対要塞魔術攻撃のための集中に入る。
HFシュヴェラー・グスタフは、髑髏を模した仮面を付けていた。灰色のローブをはためかせ、大の字に手足を広げる。
「偉大なる
「
手を合わせたHFの前に、巨大なルーン文字が三つ出現。明るい赤、深い緑色、金色の文字が三角に並び輝き始める。HFよりも遥かに大きい3つの文字が高速に回転を始め、稲妻を帯びた。
「対要塞魔道重砲トールハンマー!!」
3つのルーン文字の中心から凄まじい光が放たれる。その光は巨大な稲妻の形をとり地球ほど離れた場所からもその形が分かった。
魔術の稲妻はアリスタルコスクレーターを直撃。内部の連邦軍基地を破壊する。アリスタルコス要塞のみならず、月の表面を稲妻が這い、全球表面を薙ぎ払った。
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「うわーーー!!!」
「きゃああああ!!!」
アリスタルコス要塞の司令室は凄まじい衝撃を受けた。司令部内の職員は衝撃で倒れ、何人も怪我をしている。照明が落ち、非常灯に切り替わる。それでも職員たちはオペレータの任を全うしようと、状況を確認した。
「基地内、あらゆる施設が不通です!」
「軍港の状況不明!戦艦アリゾナ、オクラホマ、駆逐艦ショー、ダウンズなど全て連絡途絶!」
「月面の他の施設も通信できません!」
どの報告も基地の壊滅状況を伝えるだけだ。基地司令が呆然と佇む。
「ばかな……たった一撃だと……」
月の連邦軍基地は建設されてからかなりの年月が経つが、要塞の名に相応しくちょっとやそっとの攻撃では傷が付かない強固さを誇っていた。
それをたった一機のHFによって崩された。
軍港もこの状態だと戦艦を始め全ての軍艦が使用不可だろう。火星の有人防衛拠点も沈黙しており、友軍の助けもまだ来ない。
「これは降伏するしかないか……」
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無人監視ステーションなどはメッサーシュミット隊に攻撃され壊滅。火星の有人防御拠点も攻撃を受け、スツーカ隊に搭乗した装甲擲弾兵によって占領。
宇宙用戦車スツーカは、地上用戦車より大きく、機動攻撃兵器としてだけでなく、兵員も載せることができる。
地上目標に対して急降下爆撃して肉薄、そのまま降り立ち、兵員を下ろして占領を行える。
対要塞魔術攻撃で沈黙した月の基地に対して揚陸し、装甲擲弾兵が突入。抵抗もなく占拠した。連邦軍の基地司令も降伏の意を示し、戦闘が終了する。
かくして前代未聞の奇襲により、地球自由連邦から地球が失われ、人類発祥の地、太陽系は帝国のものとなった。
続く