【戦国の鬼狩り、呪うは己】という小説を知っていますか?
この小説なんて目じゃないくらいのパパ黒が見れますよ!!
滅茶苦茶しっとりしているのでオススメです!!
まだ読んでない方は是非読んでみてください!!
その場所は薄暗い中で微かな光源が照らしており、辛うじて部屋の内装が分かる。しかしその内装は一般から大きくはみ出しており、もしも一般人がこの場所を見てしまえば、嘔吐するか逃げ出すかの二択だろう。
その部屋を彩るのは、人体のパーツや血・骨。勿論、精巧な偽物ではなく、その全てが本物である。更に資質ある者が見れば、更なる驚愕を嫌悪を抱くだろう。
「ぁぁアぁああ」「ご、ごはんででスよヨヨ」「いイイいままママイく」「マたあアししたぁぁア」「ししヨよよ」
瓶詰めされた呪霊やピン止めされた呪霊や蠅頭や謎の黒い液体などが、人体のパーツや血・骨と同じ数並んでいる。
そんな部屋の中央、何かの作業机で作業している一人の女性。何かの機械音と悲鳴が響く部屋にピンホーン!とインターホンの音が聞こえるが、集中しているのか女性は一切反応を見せない。
続けて何度もインターホンの電子音が鳴るが、女性は一切気にしない。
すると数秒の沈黙の後、ドガン!と扉が吹き飛んで来る。そうして扉を破壊した不届き者は、ズカズカと部屋に入っていくと女性の肩に手を置く。ここに来て女性は初めて誰かが来たことを知る。
「はーい!奏。
相変わらず、元気そうだね」
「ああ、由基。
うん。元気一杯だよ。ごめんね、気がつかなくて」
「構わないよ」
驚きも怒りも無く淡々と仲良く話す二人を尻目に、甚爾と暁そして時雨の三人は溜息を吐きながらいそいそと壊された扉の修繕を行っていた。
◆◇◆◇◆◇◆
由基によってファミレスから連れ出された二人は駐車場に停められていた車の後部座席に押し込む。
「痛で!」
「おい!もう少し優しく扱え!」
「じゃあ、宜しくね」
乱暴に後部座席に押し込まれた二人は由基に文句を言うが、肝心の由基は気にした様子も無く助手席に座ると、運転席に座っているちょび髭と短髪が特徴的な韓国人
「おい、由基!
今度は俺たちに何をさせる気だ!」
「分かってると思うが、ただ働きはごめんだぞ。
それはアキラだけにしてくれ」
「俺だって嫌だわ!!」
「あ~。詳しい話は着いてから話すよ
二度手間になると面倒くさいし」
「つうか、何処に向かってるんだよ」
「うん?
奏のアトリエだけど」
何気なく告げられた目的地に二人は視線を合わせて頷き合う。
「「実験体にするなら俺よりこのバカでやってくれ…って誰がバカだコラッ!!」」
全く同じ言葉で相手を売るが、即座にその言葉に反応して口喧嘩が始まる。
「そもそも奏の奴が関わってるなら、お前も一枚噛んでるんだろが!!
下手な芝居を打ってんじゃねぇえよ!!」
「知るか!!俺が一枚噛んでるならもう少し上手く騙すわ!!
変な言いがかり付けてんじゃねえよ!!
俺も被害者だわ!!」
「知っとけや!!本当に使え無い奴だな!!
仮にも夫婦だろうが!!」
「俺たちが一般的な夫婦な訳ないだろうが!!!
照恵さんのせいで感覚バクってんじゃねぇよ!!」
「あいつをバカにすんな!!」
「してねえわ!!してんのはお前だ、バカ!!」
繰り広げられる口喧嘩と互いの唇を引っ張り合う正に子どもの喧嘩。助手席に座っている由基はゲラゲラと笑い。運転席の時雨は、此が裏でも類を見ない最凶と恐れられる【術士殺し】と【
そうこうしている間に目的地に辿り着いた車が停止する。車から出てくる時雨と由基だが、後部座席の二人は最期の抵抗と出ようとしない。そんな二人に由基は笑みを浮かべ連れ出そうとするが「「近づくな、このメスゴリラ!!」」という言葉と共に由基の額に怒りマークが出来るとドゴン!!と人を殴ったは思えない音が鳴り響き、頭に巨大なたんこぶを腫らした二人が由基によって連れられてくる。
そんな姿をみた時雨は「本当に仲がいいな」と呟き、由基に続いて建物中に入っていった。
◆◇◆◇◆◇◆
その建物は一見するとただの商業ビルだが、ある一角に入るためには特殊な手段が必要だ。それは鍵となる呪具だったり、呪力だったり、
重苦しい雰囲気を醸し出す扉に取り付けられたインターホンを由基が押す。ピンポーンとある意味で似合わない音が鳴るが反応はない。
「アキラ」
「間違いなく聞いてないな」
インターホンの電子音が聞こえなくなった無音の空間で甚爾と暁の声が後方から聞こえるが由基は敢えて無視をして連続で押していく。
しかしいくら押そうが反応は無い。時雨は余りにも手持ち無沙汰だったのか煙草を吸っている。
「由基、無駄だから止めろ。
あの天然鬼畜女が没頭してるならこの程度で反応するわけ無ねえ」
「甚爾の言う通りだ。
今回はタイミングが悪かったと諦めようぜ。
別の機会にしようぜ」
このまま無かったことにしようと二人が言うが由基は聞かない。瞬間、由基の全身を呪力が覆い、その身に刻まれた術式が起動する。
「「やべっ」」
「まじかっ!!」
それの意味する事を察した三人は慌てて由基から距離を取る。瞬間、「フン!!」と由基が振りかぶった拳が扉に直撃した瞬間、
破壊された玄関を由基は悠々と歩いて行く。残された男三人は互いの顔を見合わせる。
「…これ俺らが修理すんのか」
「当然だろう。
ほったらかしにしてみろ、後でシワ寄せは確実に俺らに来る」
「諦めて取りかかるぞ。
多分、近くに予備があるはずだ」
惨状を指さした時雨の言葉に甚爾が同意し、暁は近くにあった予備の扉を持ってくる。暁が持ってきた扉の予備を甚爾と共に設置を始める。そんな二人の日曜大工をみた時雨も頭を掻きながら手伝い始める。
「扉壊せたんだね」
「まあね。
扉はごめんね」
「気にしなくいいよ。
また今以上に強く
寧ろまた壊せるか試してみて欲しいかな」
「…まさかと思うけど、そうして欲しくてわざと反応してない?」
「そんな事ないよ」
扉の修理を終えた三人が中を進むと、由基が部屋の主と話し込んでいる。赤色がかった黒髪を後ろで一つの三つ編みにした特徴的な髪型に黄色みがかった同心円状の瞳が特徴的な由基とは毛色の違う美女
由基と奏は三人が来たことを察して振り返る。奏は三人の姿を見ると思いだした様に「もうそんな時間だっけ」とポンと手を叩く。
「そういうこと
それじゃあ、話し合いしようか」
軽く言いながらも由基のその瞳からは重い覚悟の色が滲み出ていた。