呪術廻戦~暴と星と酒…遅延の春~   作:スペル

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三話目です。
久しぶりに書くとやっぱり、頭の内容を文章に出来な未熟な点が浮き出て悔しいですね

前回に続きオススメ紹介です!【『呪詛師殺し』に手を出すな(外伝)】
主人公の考え方とか立ち位置が凄く格好いいです。ある意味で真っ当に青春している二人が見れつつ、パパ黒も死なないという神作品です!!



第三話 裏の作戦会議

合流した5人は作業部屋の隣にある私室(プライベートルーム)に移動していた。

 

「ほら。珈琲煎れてきたぞ」

 

先んじて珈琲の準備をしていた暁が人数分の珈琲を持ってくると、簡易的な会議室が作られ、甚爾と奏が座り、由基はホワイトボードと簡易テーブルの側で立ち、時雨は3人から少し離れた場所で座っている。

各々に珈琲の入った専用のマグカップを渡した暁は甚爾の隣に置かれている椅子に座る。すると奏はまるで当然かのように暁にもたれ掛かるが、誰も反応しない。

 

「なあ、奏。

今更なんだが、金次の姿が見えないが大丈夫か?」

 

「?ああ、大丈夫だよ。ちゃんと眠らせたから、暫く起きないよ」

 

「おい。今、眠らせたって「甚爾!言葉の綾だ!」いや、こいつのせ「言葉の綾だ!」…分かったよ」

 

「???」

 

話し合いが始まる前にふとした疑問を暁が持つが、奏の返答に言葉を紡ぐ。その返答に暁は顔を青くし、甚爾はドン引きするが、当の本人の頭には?が浮かんでいる。

そんな3人のやり取りを輪の外で聞いていた由基も引きながら本題を話し始める。

 

「さて。メンツも集まった事だしそろそろ話し合いを始めようか。

簡潔に述べようか、星漿体(せいしょうたい)を天元の元から隔離して逃がしたい」

 

「ああ、もうそんな時期なのか」

 

「隔離?つか星漿体ってなんだ?」

 

由基の言葉に最初に反応したのは、産まれ故に呪術界に詳しい甚爾。対して暁の反応は宜しくない。そんな暁の疑問に答えたのは意外にも甚爾だった。

 

「天元は知ってるだろ。

不死の術式だが、ある一定の期間を超えると人から進化を促す。進化した天元が、此まで通り人の社会を護る存在になるとは限らないから、術式をリセットさせる目的で天元と適応する肉体を持った存在と一体化するんだよ。

んで、その期間が確か500年だったはず。

つか、高専出てんならこれぐらい知ってろ」

 

「うるせぇ。俺は途中で退学(ふけた)からその辺は知らねぇんだよ。

つまり、人柱って事か」

 

「そう。暁の言う通り、呪術界のクソ伝統さ。

私はそれが赦せない」

 

甚爾の説明を聞いた暁の言葉を力強く肯定する由基。言葉だけに飽き足らず、身体にも力がこもったのか持っていたマグカップに罅が入る。罅から珈琲が手に零れるが本人は熱さは感じていない様だ。由基の行動に奏が「由基、コップ」と窘める。奏の言葉で頭の熱が僅かに引いたのか「すまない」と一言告げ、呪力を流すことでマグカップを修繕させる(・・・・・)

 

「まあ話は分かった。ただ俺たちをタダで使おうって甘い考えはしてないと思うが、タダ働きはごめんだ」

 

「つか、お前一人でも奪い去るくらい楽勝だろ。

特級だろ、お前?」

 

「そう簡単にはいかないんだよ」

 

そう由基は呪術界において僅か三人しかいない特級呪術師。その力はその気になれば一人で国家転覆が可能なのだ。それ故の疑問に答えたのは、何処からか資料を持ってきた奏だ。

 

「多分だけど、一週間以内に護衛が付くよ。

それもとびっきりのが」

 

「…お前が言う程の奴か?」

 

奏の性格を誰よりも知る暁が冷や汗を流す。そんな暁の言葉に頷き、手に持っていた資料を周りのメンツに見せる。

 

「護衛に付くのは東京高専に所属する二年の二人。

呪霊操術を使う夏油(げとう)(すぐる)

そしてあの無下限と六眼の抱き合わせ、五条(ごじょう)(さとる)

どちらも特級で、二人合わせて最強って名乗ってる」

 

「……」

 

「?。

…六眼の噂は聞いたことあるけど、そんなにヤバいのか?」

 

「ヤバイなんてものじゃねえよ。

五条のガキだった頃一度、ツラを拝みに行った事があるが、あのガキは背後に立った俺に気がつきやがった」

 

「なにそれ…やばいを通り越してキモいな。

しかも何だコレ?【停止】・【集束】・【発散】、しかもこの情報(・・・・)を見るにまだ何かあるんだろ?

産まれてくる世界線間違えてないか?

一人だけバトル漫画の世界の住人かよ」

 

「だから言ってるだろ。

つか、情報が漏洩してるわけじゃ無いんだろ?

だったら、なんでそいつらが護衛に付くって分かんだよ」

 

奏から告げられた名前にらしくない反応(・・・・・・・)を見せた甚爾に疑問を見せる暁だが、甚爾の言葉と奏から渡された資料を見て、恐怖を通り越して一種の呆れた顔を見せる。

そんな暁に同意しつつ、奏の想定は飛躍しすぎだとする甚爾だが奏はその疑問に対する答えを既に用意している。

 

「六眼と無下限の抱き合わせが産まれてくるのはほぼ運試しだけど、過去の記録を遡るとある時期から500年周期では、六眼と星漿体は必ず同じ時代に名前を残している。

多分だけど、因果で繋がっていると考えるべき何だと思う」

 

「お前、この情報もそうだけど。どうやってその情報を集めてるんだ?

俺だってそんな事知らねぇぞ」

 

「ああ。つまり鶏が先か。卵が先かって事か。

六眼があるから星漿体居て。星漿体が居るから六眼があるって事か」

 

「成る程。その因果があるから、天元は確実に六眼持ちの五条悟に護衛を頼むって訳か」

 

奏の情報量に甚爾は改めて戦慄し、暁と時雨は甚爾の疑問の答えに納得を見せる。三人が一定の理解に達した瞬間、更に奏は言葉を続けて行く。

 

「それに星漿体の情報は意図的(・・・)に流れると思う」

 

「あ?」

 

「うん?」

 

「過去、天元と星漿体の同化の時期になると、星漿体の情報が確実に外部に漏れてる。

情報管理に不備は見当たらない。それでも漏れていると言う事は」

 

「内通者の血族がいるか…」

 

「呪詛師の奴らか?」

 

「そう考えるのが妥当だろ。もしくは集団か。

何が目的だ?」

 

「まあ、碌な奴らじゃねえな。

考えるだけ無駄だろ。

ああだから、六眼の護衛か」

 

度重なって告げられる衝撃の事実。本来ならば困惑から話が進まないはずだが、暁も甚爾も疑うこと無い。それだけの信用(・・)がそこにはあるのだ。

 

「つまり、星漿体の隔離(ほご)を行った際には六眼以外にも、その正体不明(アンノウン)の存在も相手取らないといけなくなるって訳か」

 

「やってられねぇな。

ますますタダ働きはありえねえ」

 

由基から依頼を受ける場合の総括を暁が呟く。その危険度故に甚爾も積極性を無くしており、完全にテンションは下火だ。

甚爾の考えを誰も否定しない。しかし、只一人由基だけはそれを呑み込んだ上で暁と甚爾に向き合う。

 

「巻き込んだ危険度に見合うだけのお金は、勿論私が払うさ。

それにダミーも用意する。

コウ」

 

ダン!とテーブルを叩く由基。そして由基から話を振られた時雨は漸くかと二人に話し始める。

 

「仮に秤の言う通り、星漿体と天元の同化の情報が漏洩するなら、動く団体は恐らく二つ。

天元の暴走による呪術界の転覆を目論む呪詛師集団【Q】。

そして天元を信仰する宗教団体【盤星教(ばんせいきょう)“時の器の会”】。

この中で盤星教には呪術師と戦う力は無いが、宗教団体としては国内トップクラスだ。だから金払いはピカイチだ」

 

そこまで言われて二人は由基の言わんとする事を理解する。

 

「成る程。つまり、表だっては盤星教からの依頼を受ける形で動いて完遂する。

うんで奏の力を使ってダミーで依頼完了として報奨金までガッポリ貰うって事か」

 

「うん。コウを仲介させて、星漿体と同じ年齢体格の死体を仕入れるよ。

コウの腕前なら、私の元まで辿り着くのは困難だろうし」

 

「だが、アンノウンはどうするんだ?

六眼と殺り合うってのに、そこに割り振る余裕は無いぞ」

 

「そこは心配しなくていい。

私は立場上、表だって隔離(ほご)に動けない。

だから、アンノウンに関しては私が受け持つよ」

 

「だがよ。天元はどうするんだ?

同化しないとヤバいんだろ。社会が立ちゆかなく成るのはマズイだろ」

 

条件が出そろっていく中で暁がストップをかける。確かに自分たちは裏の人間だが、社会が立ちゆかなく成るのは困る。そうなってしまうなら、由基には悪いが天元と星漿体の同化は行って貰うのが良いだろう。

 

「それにつても問題ないよ。

奏が素晴らしい方法を考えてくれた。

天元の暴走はほぼ無いと考えて貰っていいよ。

まあ、その前に落とし前は付けて貰うが」

 

「うん。

良い研究になったよ」

 

「因みに保護した後は、コウに頼んで別の戸籍やらを用意して貰う手筈さ。

天元の結界からの追跡も交わせる様に専用の呪具も奏に造って貰う」

 

暁の疑問に由基が奏の肩を組みながらガッツポーズを見せる。答える奏も表情は変わらないが褒められてその声音は嬉しそうだ。奏の変化を察した暁も自然と笑みを浮かべる。

話が終わった辺りで時雨がずっと沈黙を保っていた甚爾に話を振る。

 

「そういうわけだ。

どうする伏黒と渡邊。

この件関わる気はねえか?俺としてガッポリ稼げる」

 

「……」

 

自然とその場にいた全員の視線が甚爾に集まる。数秒の沈黙の後、甚爾は重い口を開いた。

 

「いいぜ、由基。

その話受けてやる。

お前も付き合え、アキラ」

 

「……まあ、お前がその気なら俺はいいぜ。

俺も受けてやる」

 

普段通りの声音で甚爾は不適に笑ってみせる。そうしてヘラヘラと笑い、暁に視線を向ける。甚爾の反応に僅かに疑問を抱き(・・・・・)ながらも暁も了承する。

二人の了承を受けた由基は感極まった様に二人に抱きつく。感情操作がブレたのか、尋常では無い力で抱きつかれ、二人は激痛から悲鳴を上げる。

感極まる由基に、必死に由基の抱擁から脱出しようとする二人と何処か黒いオーラを漂わせる奏と場が混沌とし始める。只一人、その輪の外から見守っている時雨は…

 

「全く高校生(ガキ)かよ」

 

呆れたようにそう呟いた。

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

一週間後。東京都立呪術高等専門学校の一室。

 

「天元様と星漿体天内(あまない)理子(りこ)の同化は二日後の満月!!

それまで天内理子を護衛し、無事天元様の元に送り届けるのだ!!

失敗すれば、影響は一般社会にまで及ぶ!!

心してかかれ、悟!傑!」

 

運命の歯車が(ひず)み始める。




時雨さんのコウ呼びは、パパ黒達にとってのあだ名みたいな感じです。
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