五条悟と同期のオリキャラが五条悟の共犯になる話。
仲間でも親友でも無い共犯という部分が凄く呪術界戦らしいです!!
安全地帯で起きた完全な不意打ち。驚愕が動揺が奔る中、五条と夏油はほぼ同時に行動に移す。
「お!」
ぐん!と甚爾の身体が後方上空に引き寄せられると同時に、上空に召喚された白いワーム型の呪霊が甚爾を捕食する。許可の無い術式の使用。結界が異物である呪霊の存在にアラートを鳴らす。そうする事で夏油は高専全体に異常を知らせる。
本来ならば次手へと備え繋げる場面。されど、夏油は奇襲を受けた親友へと駆け寄ろうとするが、それを五条が制する。
「問題ない。
術式は間に合わなかったけど、内臓は避けた。
それに呪力での強化は間に合ったから、刃は動かせてない。
ニットのセーターに安全ピンを通したもんだよ。
マジで問題ない」
五条は刃を受け膝を突いた状態から立ち上がり、鳥居の上にいる襲撃者を捕食したワーム型の呪霊に最大の警戒を向ける。
そうして一切の無断を見せない状況で、親友にこの場は自分に任せて天内を天元の元へ連れて行ってくれと頼む。一瞬の巡回。今最優先にすべき事を思い出し、夏油は親友の頼みを聞く。
「…油断するなよ」
「誰に言ってんだよ」
その言葉を合図に夏油は未だに困惑と動揺から動けない天内と黒井に声を掛け、この場から離脱しようとする。
しかし、それよりも先に悪意が動く。
――――特級呪具・
瞬間、四人を囲う様に赤黒い葉脈の様な物が奔ると同時に四人は閉じ込められる。
「結界!!」――――帳じゃない!!なんだ、異様な呪力は!!
畳み掛ける異常事態に夏油に動揺が奔る。それは五条も同じだが、それ以上に彼は目の前の脅威に集中している。結界の構築が終えると同時、ワーム型の呪霊が内側から斬り裂かれ、襲撃者である甚爾が現れる。
――――…さっき俺を刺した刀じゃない。
それに身体に巻いてる呪霊は何処から出やがった…クソが!!得体がしれねーな!!!
その場にいる誰もが甚爾に視線を集中させる。その緊迫の中、不意に。
「おい!!バカ!!
予定よりも1分早えだろが!!」
「「「「ッ!!!!」」」」
甚爾への怒りを漏らしながら暁が不釣り合いなローブを身に纏いながら現れる。誰もが気配なく突如として現れた暁の存在に驚きを隠せずにいる。だた一人、元々知っていた甚爾だけは薄ら笑みを浮かべて詫びを入れる。
「悪かった。悪かった。
だがよ、六眼相手に彼処まで明確な隙があったんだ。
そこは臨機応変にだろ?誤差も1分だ」
「その1分が、
どれだけ集中力がいると思うんだよ!!」
「猿には分からねぇな~」
「テメぇここぞとばかりに!!」
四人を無視して繰り広げられる口喧嘩。驚愕と唖然から動けない。しかし自分たちが無視されているその事実にカチンときた五条が吠える。
「おい!!
天内の懸賞金はもう取り下げられてるぞ、マヌケ共!!」
「「あ?」」
五条の言葉を受けて漸く二人は、彼らに視線を向ける。その視線には紛れもなく嘲笑が込められている。
「俺たちが取り下げたんだよ、やせ我慢」
「はあ?」
「オマエみたいに隙の無い奴とやる時は、偽のゴールを作って緩急付けて攻めんだよ。
まあ、沖縄に行ったのは笑ったが。
オマエ、制限時間が無かったら術式は最後まで解除しなかったろ?」
「まあつまり、お前らの動きは俺らの手の平の上だったって訳だ」
告げられたネタバラシに夏油は怒りを抱く。そして1番嘲笑を受けた五条は、そんな事知らないとばかりに術式に呪力を回す。
「あっそ」――――術式順転【蒼】
が…術式は展開されず。
「は――――ガハッ!!」
「どうした?
疲れたのかよ」
気の抜けた五条の声が零れたと思った瞬間、即座に間合いを詰めた甚爾の蹴りが五条蹴り飛ばす。
「悟!!」――――どういうことだ!!何故術式が発動しない!!
親友の身に起きた異変。駆け寄りたいが、それは許されない。暁は口笛を吹きながらも、油断なく天内に視線を向けている。それを遮るように立っている自分が、そちらに向かえばどうなるかなど火を見るより明らかだ。
「先にネタバラシをするとだ。
この結界を張った呪具の名前は
結界を構築する際、中の複数の条件を好きに付けられる。
今回、設定は一つ。呪力操作の逆転。即ち、精密な呪力操作のいる術式ほど、雑な呪力操作が必要になるが、雑な呪力操作じゃ精密さを必要とする術式は使用できなくなって当然だ」
「そういうことかよ」
甚爾の説明を受けた五条は先程の違和感の正体を知る。説明の通りだとするならば、この結界内では自身の術式は封じられたに等しい。
だが、同時に湧き上がる感情は一つある。
「巫山戯るな!!
そのような呪具聞いたこともない!!」
五条の感情を代弁するように夏油が吠えるが、甚爾は耳をほじり気にも介さない。。
「そらあ、俺らお抱え
安心しろよ。
流石に条件は結界がある限り永続するわけじゃない。
今回の条件ならまあ、五分って所か」――開示は済んだが、条件が条件だ5分強ってとこだな
「ご丁寧にどうも!
なら5分耐えきって、その面歪めてやるよ」
「強がるなよ」
簡単に言えば絶体絶命。それでも五条悟は余裕を崩さない。そんな姿を甚爾は鼻で笑う。直後、迫る甚爾、いなす五条の戦いが始まった。
◆◇◆◇◆◇◆
親友の危機。誰よりも不安げに視線を向けてしまう夏油。そんな隙を正すように鋭い声が一声。
「一応聞くが、後ろの二人寄越すならさっさと結界解除しても良いぜ」
「ッ!!
巫山戯るな、論外だ!!」
「まあ、当然だよな」
暁の言葉に意識を取り戻した夏油は、提案を却下する。予想していた答えに暁は残念がる素振りも見せず、面倒くさそうな顔をする。
――――この結界は明らかに悟を狙った物。
普通の術式を使う分には問題は無い。ならば、手早く目の前の存在を倒し、悟を援護する。
思考をまとめ、自身の術式を解放させる。瞬間、宙に黒い孔が出てきて、そこから低級呪霊が弾丸の如く射出される。
ノーモーションからの強襲。圧倒的質量を利用した面で圧倒回避は不可能の筈だった。
「甘いな~」
「なにっ!!??」
自己の呪力で強化された低級呪霊の弾幕が、暁に当たる少し手前でパシャと水分となって消失する。
「呪霊操術。
残念ながらお前さんの術式は、俺の術式と相性最悪で最高だ」
――――こいつ。私の術式を知って…
「何だ。
可笑しくは無いだろ?
六眼と殺り合うんだ、最大限情報収集は行うだろ。
ましてや、その相方なんざ特に」
暁は驚愕する夏油を何処か馬鹿にする感じで答える。そうしながら懐から拳銃を取り出すと、パン。パン。と夏油に向かって撃ち込む。
迫る銃弾を呪霊を盾に防いだ夏油は、左右から別の呪霊を召喚する。
――――相手の術式が分からない以上、下手な攻撃は危険だ。
此処は…
「いやいや。
夏油の意図を読み解いた暁は、嘲笑をしながら銃の先を夏油の後方に向ける。
「っ!!?」
その意図を理解した夏油の顔に汗が流れる。その顔で何を考えているのかを理解した暁は嘲笑を浮かべ「正解」と呟くと、引き金を引き夏油の背後にいる天内に向かって弾丸を撃ち込む。
銃弾が撃ち出されるよりも僅かに早く意図に気がついた夏油が射線に割り込む形で身体を入れこみ、肉壁となる事で銃弾を防ぐ。急だったこともあり、呪霊を出す暇も無かった為、銃弾が身体を貫く。呪力で肉体を強化しようとも肉体は肉体。銃弾を防げるほどの強化は出来ない。
目の前で人が撃たれるという状況に天内は悲鳴を上げしゃがみ込み、黒井はそんな天内を庇うように彼女を抱きしめる。
銃弾の痛みを我慢しながら、夏油は低級呪霊の弾幕を展開して天内に意識を向けさせないように仕向ける。夏油のその行動を見た暁は改めて感心したように「正解」と呟くだけで、回避行動は見せない。
迫る低級呪霊の弾幕は先程同様に暁に当たる前にパシャと水分になって消失する。
――――クソ!やはり駄目か。
奴の術式を見抜かないことには呪霊の無駄遣いになる!!
「さて。呪霊操術…考え方としては式神使いと同じだよな」
思考を組み立てる中で聞こえた暁の声。それは夏油にとっての1番の勝ち筋。故に取る行動が決まる。
呪霊を壁として展開。しかし1カ所だけ僅かに穴を作る。そこを目がけて襲いかかってくるであろう暁をカウンターで仕留める。
勝ち筋を組み立てる後は実行するのみ。今の夏油には何故あの状況下で、暁が夏油にも聞こえる声で独り言を喋ったのか理由を考える余裕が無い。奇しくもそれは、三日目夏油が撃退した呪詛師と同じ思考になっていた。
夏油の思考に乗るように敢えて出来た隙に向かって暁が駆ける。それを確認した夏油がカウンターを放とうとした瞬間、ガシ!と出鼻で腕を拘束される。
「なっ!」
「罠として悪くないが、対応策が一つじゃなあ。折角の術式なのに宝の持ち腐れだな」
罠を張るのは良い。だが、罠を破られたときの事を全く想定していないのは最悪だ。ましてやあらゆる手数を使える術式を持っているのだから、罠の張り方も無限にあるだろうに。
自己の実力に対する自信が逆に選択肢を成長を阻害している故に。
「青いなぁ!」
「くっ!」
腕を拘束された夏油は、逆の手で拘束を剥がそうと動くがそれよりも早く暁の膝蹴りが腹に直撃し、身体がくの字に折れる。
「それとなぁあ!!俺も格闘戦は大得意なんだよ!!
普段からゴリラとやり合ってるんでなあ!!」
暁は体勢が大きく崩れた夏油に追撃をかける。拘束を外し、上から肩を押さえつけると顔面に向かっての膝蹴り。蹴りによって上がってきた上半身に連続して拳打を叩き込む。更にトドメにと、右腕を極めるとそのままボキ!と腕を折る。
連続で与えられる苦痛に夏油が苦悶を漏らす最中、ピピピと電子音が鳴る。それを聞いた暁は笑みを深め告げた。
「―――――」
瞬間、夏油の肩に撃ち込まれた弾丸が呪力を帯びた。
◆◇◆◇◆◇◆
迫り来る弾丸を五条は身を翻して躱す。今までに感じた事の無い疲労を感じながらも、その視線は甚爾から逸らさない。
「粘るな。
もう立ってるだけで辛いだろ」
「ナメんな。まだまだ余裕だわ。
何なら桃鉄オールでしてやるよ」
見るからにやせ我慢。心情を察しているからこそ、甚爾はそうかよと余裕の表情を見せる。それが逆に五条の心理を逆なでする。
本来なら術式が使用できる様になるまで、姿を隠すのセオリーなのだが五条の立場がそれを許さない。
「おっと。
それ以上に逃げるなら、分かるよな」
「くっ」
ある一定の距離を取ろうとすると甚爾は天内の方へと向かう素振りや言動を見せる。そうなってしまえば五条は向き合わざる得ない。
「じゃあ、そろそろ逝けや」
「ッ!!」
ゴウ!と空を沸騰を感じさせる
――――これを躱すかよ…「普通は当たるだろ」
「アンタが下手なだけだろ」
呆れにも似た甚爾の言葉に五条は煽りで返す。煽りを受けた甚爾は「言うね」と笑みを浮かべて返す形で連続で刃を振るう。超近距離で高速で振るわれる刃も同じく回避するが、完全には避けきれず薄皮が切られる。
「これも躱すか…鈍ってんのか?」
「はぁはぁ…」
猛攻を綱渡りで回避し続ける五条だが、遂に呼吸の荒さを隠せなくなっている。このままじゃマズい。そんな思考が過ぎりはじめた瞬間、ピピピと電子音が響く。
「あっ!
やべっ」
――――まさか
鳴り響いた電子音に甚爾は冷や汗を見せる。その反応をみた五条は術式を発動させる。瞬間、甚爾の前方に虚構の反応が生まれる。
「時間切れだ!残念だったな!!」
結界の効力が消えた。漸く反撃の時が来たと呪力を奔らせる。逆境だったからこそ、その意思は高ぶる。その電子音が罠という考えが浮かんでこないほどに五条は追い込まれていた。
故に思惑通りに進んだことに甚爾は深い笑みを浮かべる。
「術式順転・【あ――」
術式が完成する一刹那前、少し離れた戦場で暁が呪詞を唱えた。
【
瞬間呪力が爆ぜ、丁度甚爾と五条の中間地点、虚構の少し手前にボロボロの夏油が突如として現れる。「すぐ」と目の前に突然、親友が現れた五条が驚愕と同時に危機感を覚える。自分の術式の範囲に現れている為、このままで巻き込んでしまう!!
「くっ!」
慌てて術式をキャンセル。しかしそれが隙になってしまう。夏油を目眩ましに甚爾は距離を詰め、そのまま夏油を蹴り飛ばす。五条は迫る親友を術式を使用し受け止める。
「傑!!大丈夫か!!!」
「さ悟…」
五条は危機的状況下に関わらず、受け止めたボロボロの親友の身をを案じる。夏油は近くに五条が居ることで自身が転移させられたことに気がつく。故に使命を全うせんとする。
「り、理子ちゃんが…」
「ッ!!」
五条は夏油の言葉に現状の危機を理解する。その証拠に甚爾は絶対的なチャンスにも関わらず仕掛けること無く、ニヤニヤと笑みを浮かべている。
「悟…此処は私に任せて理子ちゃんの方へ向かってくれ。
此処は私が
「…奴は天与呪縛のフィジカルギフテッドだ気をつけろ」
「ああ」
「作戦会議しているとこ悪いが、その通りに行かせると思うか?」
親友の思いをくみ、天内の元へと駆けようとする五条を甚爾が足止めしようとするが。足下から湧き出た呪霊の群れが壁となり、天内の元へと駆け出した五条の妨害をせんとした甚爾の動きを阻害。
甚爾が呪霊の群れを祓いきる頃には既に五条の姿は無い。
「あ~やっぱ、鈍ってるな」
五条に逃げられたにも関わらず甚爾は一切動じた姿は見せない。少し頭を掻いたと思えば、直ぐに視線を夏油へと向ける。
「まあいい。
先にオマエから仕留めるとするか」
呪霊から取り出した呪具を構え甚爾は夏油へと向き合った。事態は第二ラウンドへと移行する。
~凄いぞ!秤奏作呪具紹介~
①
階級:特級相当
値段:10億相当
効力:外套の内側にある呪力を完全に外界から拒絶する。呪いに対して耐性を得る。
主な素材:天与の暴君の皮膚
◆
②
階級:特級相当
値段:20億相当
効力:結界の構築。結界内のルールの再設定。
主な素材:ある土地神方呪霊
◆
③
階級:2~特級
値段:5万~5億
効力:一つでは意味がなく複数の銃弾の位置などで刻まれた術式効力を生み出す。一種の結界のようなもの。
効力は簡単なものから複雑なものまで多数。呪力も術式も既に刻まれているため、キーとなる言葉で発動可能。
主な素材:とある呪石
◆
奏「次回も私が作った呪具が活躍するから見てね」