【私、性格悪いんですよね】です。
五条悟の専属補助という立場の主人公が、トコトン最強を足で使います。
ある意味でコミカルなんですが、その中でもしっかり呪術界戦らしさがあって凄く作品だと思います!!
向かい合う両者。一方は余裕綽々とした雰囲気で不敵な笑み浮かべる甚爾、もう一方は片腕が折れているのか変な方に腕が曲がっており、端正であるその顔も鼻が曲がり唇から血を流し打撲の後が痛々しくある夏油。見る者全てが、甚爾の優位を確信する。そしてそれが分かっているからこそ、甚爾は
「なあ一応聞くがそんな身体で本気で俺を
「当然だ!!」
甚爾の挑発に夏油は、虹の鱗を持った竜型の呪霊やロングコートちと長髪で顔を隠した呪霊他、多数の呪霊を召喚する。圧倒的質量で肉体のスペックの差を埋めるつもりだ。
――――悟が向こうを片付けるまで時間を稼ぐ。そして…「二人揃って俺を倒すか?「ッ!!」ビンゴ!」
自分の思考が読まれた事に驚く夏油に甚爾は更に言葉を続ける。
「聞いたんだが、お前ら二人で最強らしいな」
「…だったら何だ」
「いや、単純な疑問何だが、なんで足止めなんだ?」
「は?」
「だってそうだろ?
二人で最強って事は対等って事だろ?
それなのに足止めして、五条悟が来るのを前提に作戦立てるとか、五条悟の力を頼ってますって事だろ?
対等の存在が考える作戦とは思えねぇ」
「――れ」
「ああ分かるぜ。
しんどいよな。辛いよな。分かる分かる」
「―まれ」
「もしかして無自覚だったか?
だとしたら言ってやるよ。
俺相手に足止めが限度ならお前に
諦めて、
「黙れッ!!」
そこまでが理性の限界だった。例え見え透いた挑発であろうともそれだけは赦せるものではない。感情のままに呪霊に指示を出すよりも早く、甚爾が動いた。
【呪弾・
甚爾が呪弾を地面に打ち込むと、
――――バカな!!手持ちで最高硬度を持つ虹竜までも!!
「…ガキだな!!」
仕込まれていた罠に驚き夏油の動きが更に散漫となった隙を甚爾は見逃さない。地面を蹴り夏油へと肉薄する。迫る甚爾の姿に夏油はギリギリ反応して見せ、甚爾を囲う様に多数の呪霊を展開する。
「舐めるな!!」
「お!」
四方を包囲され状況に関わらず甚爾の余裕は崩れない。瞬間、夏油は背後に
――――分身!!
突如として左右を挟まれてしまった夏油は驚愕しながらも前方の甚爾に視線を集中する。
――――奴は天与呪縛。式神は使えない。考えられるのは呪具による幻影「焦ったな!!」
「へぇ」
今までの知識から想定した解答。敵は錯乱の目的で呪具を使用したと断定。しかしそれは悪手だと夏油は背後を切り捨てる。この呪具は、姿を把握されていない時にこそ効力を発揮するものだとし,今の状況では効力は半減以下だとした。
それが狙いだとも知らずに。
――――特級呪具・
「は…?」
幻影の筈の背後の甚爾の刃を受けた夏油は今度こそ意味が分からないと呆けたような驚いたような顔をして背後を見る。その振り返った瞬間、武器庫呪霊から毛で覆われた鍔の刀を取り出し、四方を包囲する呪霊の群れを一瞬で祓う。瞬間、夏油の背後から襲いかかっていた甚爾が霧散する。完全無防備と成った夏油に刀を構えた甚爾が、文字通りX字に斬り裂く。
今までの
「まあ、術師なら死なねぇだろ。
呪霊操術。死後、お前の取り込んだ呪霊がどうなるか分からんからな。先を考えても厄介事は避けたい。
まあ、持ってる
だが、そんなお前もそれみたいな呪力を持たない猿に負けるんだ。
今後の参考にしな」
力なく倒れ、地面を赤く染める夏油に甚爾は何処か羨望を思わせる声音と顔で告げた。甚爾は一度
「そろそろ詰みか」
超人的な聴覚がもう一つの戦場をの状況を微かに聞き取り、甚爾は相方の方へと急いだ。
◆◇◆◇◆◇◆
五条は苦痛を無視し、天内の元へと全力で駆ける。天内を視認出来る距離に辿り着けば、敵もまた近づくのを確認できた。
「させるかよ!!」
五条はワンテンポの差で間に合わないと悟り術式を起動させる。しかし術式が発動しきる前、何かに気がついた暁は、その場を即座に離脱。影へと姿をくらまし、術式は空振りとなる。
「チィ!
天内!!無事か!!!」
空かされた事に舌打ちを零しながらも五条は、天内達の元に辿り着く。五条の問いかけに天内と黒井は何とか無事だと頷く。
二人の無事を確認した五条は即座に暁の居場所を探る。
――――呪力を感じない!!
どうする。この辺り一帯の遮蔽物を無くすか。いや、相手には不確定要素が多すぎる。敵は俺たちの情報を知ってやがる。そんな奴らが無策な訳がない。下手な攻撃は出来ない!!
正体不明の襲撃者。此処までの動きから明らかに作戦立てての行動。故に術式が使えるようになったとしても安易な攻撃は出来ない。そう考える五条の足下に何処からか煙が立ちこめる。
――――毒!?「天内、吸うな!!」
正体不明の煙を前に最悪を考え五条の声が飛び、三人が口元を抑える。その中で五条の思考は、この場を離れるべきだと考えていると、ザ!と目の前に暁が現れる。
「色々と考えてるようだが、悪いが詰みだ」
「は?何訳の分かんねぇ事言ってやがる」
何処か哀れみさえ含んだ言葉に五条が食ってかかる。しかし暁はその言葉に何の反応も見せず、一つの人形を見せる。
「こうすれば分かりやすいか?」
暁はそう言って人形の腕を折る。その瞬間、五条の背後から苦痛を声が響き、慌てて振り合えれば人形の折れた腕と同じ腕が折れた天内の姿。
それを見て五条は敵の言っていた意味を理解する。
「テメェ!!」――――何時だ。何時条件を満たしやがった…
「そう吠えるな、最強。
呪いの人形なんて、ありふれた物だろう」
圧倒的不利を自覚し、五条は文字通り動けない。二人の距離は、10メートルほどだが、六眼が地面に写す呪力反応。罠が張られている事は一目瞭然。
「悲しいな、最強」
「あ!いきなりなんだよ」
「アンタの実力を考えれば、俺なんて相手にも成らないだろうに。
弱い奴を庇うのは大変だな」
「はっ!何勘違いしてないか!!
これぐらい、ハンデにも何ねぇんだよ」
暁からの急な問いかけ。時間を稼ぐ意味を込めて、五条は敢えて話に乗り広げていく。
「まあ良いか。なあ、知っているか最強」
「あ?何だよ!!」
「最強であるお前の力はお前個人で完結している。
でもお前の力は壊す力だ。護るのも対象は己み。
最強であるお前は護ることに最も向いていないんだよ」
「何が言いたいんだ…」
毒かも知れぬ煙がある中、
「単純な話だよ。
お前達は選択を間違えた。夏油傑ならこの状況でも打てる手は多くあっただろう。
だから、合流させられたあの時の正しい選択は、お前が足止めして夏油傑が此方に来るだったんだよ」
虚仮にしていたが暁は夏油の力を侮っていない。その
そしてそれは五条悟も変わらない。
「お前達からすれば、結界の条件が外れれば簡単に勝てると思ったんだろうが、お前に護衛任務をさせた時点でお前の能力は八割方削れてんだよ。
最初に言ったろ?お前みたいなのを相手にする以上、偽のゴールをいくつか用意するって。
耐えられたら勝ちだと思ったろ?残念、そこはゴールじゃ無い。スタート地点なんだよ」
語られた全てはネタバラシ。この状況すらも手の内だったと言われてしまえば湧き上がってしまうのは、言い用の無い敗北感。
だからこそ、五条は強気を崩さない。
「はっ!
だったら何の問題もないね!
傑がこっちに来れば、お前は今度こそ詰みだ!!
残念だったなぁ!!」
それは本心からの言葉。それが理解出来、合図を受けたからこそ暁はトドメを刺す為の動く。
「それはそうだな。
だが、その作戦には決定的なミスがあるだろ」
「あ?
傑が負けるって言いたいのか…」
「いやいや、お前だよ。五条悟。
お前の作戦には、俺への足止めの方法が全くないぞ。
出来ない事はないんじゃないのか、最強」
「しまっ!!」
そう言った暁は人形に向かって刃を振り抜く。刃が出てきた時点でその可能性に気がついた五条が動くが間に合わない。その刃が人形に突き刺さり、天内の悲鳴が五条の耳に届く。
「天内!!」
「五条後ろじゃ!!」
「は?」
五条が振り向けば、そこには五体満足でいる天内が声を上げて五条の後方を指さしている。全く想定していなかった光景に五条の足が止まる。追いつかぬ思考とは対極に六眼は呪力無き筈の暴君を視界の端に捉えてしまった。
天内?幻覚?奴がどうして此処に?傑が負けた?あり得ない。あり得ない。マズイ。何だ、この異質な呪力は。マズイ、マズイ―――――右は無視して、後ろを先に。いや、それよりも天内を―――――。
畳み掛けるように与えられる情報、処理すべきタスクが与えられ、受けていた
そこを突くように振るわれるは、刃の部分の一部が欠けた鉾のような短剣。思考が止まった中で本能が選択する瞬間、右から迫る暁を無視して五条は甚爾にのみ集中する。
術式による防御を展開。返す刃で攻撃可能とするが…
――――特級呪具・
――――特級呪具・
無限に刃が触れようとした瞬間、持ち手に刻印されていたマークに呪力が奔り、天逆鉾が甚爾から暁へと移動し、右側面から発動中の術式の強制解除させる天逆鉾が無限を打ち破り、五条の右肩に突刺さる。
大きく重傷を負った五条だが、己の右肩に刺さった鉾を掴み、振り向きざまに暁へと攻撃をしようとするが、再び刻印に呪力が奔り、今度は甚爾の元へ鉾が移動する。
そこからは一瞬の出来事だった。天逆鉾が五条悟の身体を蹂躙する。そして最後、逆手に持っていた何の変哲も無いメス状の刃が五条の額を貫き、五条悟もまた地面へと倒れ込む。
「うっし、終わり。
もう止めて良いぞ」
「おう」――――特級呪具・
ピッ!と刃の血を払った甚爾が暁にそう言うと、暁は印を結ぶ。すると立ちこめていた煙が霧散する。
印を解いた暁は地面に倒れ込む五条を見て顔を顰める。
「予定よりもやり過ぎじゃないか?」
「ああ?
相手はあの五条悟だぜ?手加減する余裕なんてねぇよ。
事故みたいなもんだろ。
そう言えば
「……まだ終わってねぇな。最期の最期の切り札だったし、使わないことに越したことはねぇだろ。
それより仕上げと行こう」
「おうよ」
暁の追求に対して甚爾を頭の後ろで腕を組み、背を向けながらお気楽な声音で答えた。甚爾の答えにに対して暁は思うところがあるのか、少し考える素振りを見せるが結局何も言わずに作戦を進めることを決める。
そうして二人は、五条悟が倒れ呆然としている天内と黒井の二人へと歩む。
「お、お嬢様!!お逃げください!!此処は私が!!」
「黒井!!でも!!」
迫る危機を感じた黒井が天内と二人の前に壁として立ち上がる。結界がある事も忘れ、ただこの場から離れて欲しいと懇願するが、天内は動けない。
別れは来ると分かっていた。だがそれは決してこんな終わりではないと、未練が天内の足を止める。
そんなある種のお涙頂戴な劇場を見て萎える男が二人。
「なあ」
「甚爾、言うな。
さっさと終わらせよう」
天内と黒井を指さす甚爾を制した暁も見るに堪えないというわんばかりの表情をしている。ザ!と二人が至近距離もまで天内と黒井の元まで近づく。
震える身体を押さえつけ、黒井が構えを取る。
「やる気かよ。
アンタじゃ、天地がひっくり返っても無理だ」
「黙れ!!
これ以上お嬢様から奪わせて成るもんか!!」
甚爾の気の抜けた言葉に黒井が激昂するが次の瞬間、意識がシャットダウンして倒れ込む。最愛の家族が倒れたことで天内の悲鳴が上がるが、悲鳴が止むと同時に天内もまた同じく倒れ込む。
「術式【香】解除」
「うっし。
呪具【
二人が倒れた事を確認した暁が術式を解除し、甚爾が懐からA4サイズの紙を取り出すと二人に向かって投げ、呪言を述べると紙がひとりでに二人を収納すると折りたまれる。
二人が収納された紙を甚爾が拾い懐に戻す。その間に暁は狂匣庭の結界を解除する。すると先程まで高専内部にいたはずの二人は、高専外の場所にいた。結界を解除した際、二人のみを指定して解除座標をずらしたのだ。
「さてと合流するか」
「ああ、時間も惜しいしな」
呪術界における最強を倒した二人はそう言って人混みの中に混じっていった。
◆◇◆◇◆◇◆
ビクッ
~第二回凄いぞ!秤奏作呪具紹介~
①
階級:特級相当
値段:2億
効力:移動エネルギーなどを蓄える。発動時蓄えたエネルギーを利用して実物の質量を持った分身を一体生み出す。
分身の精度はため込んだエネルギー量に比例する。
風車型のアクセサリー。
主な素材:ある準一級呪霊
◆
②
階級:特級相当
値段:3億
効力:専用の刃物で刻印を刻んだものを瞬時に手元に呼ぶことが出来る。
甚爾はリストバンド。暁は骨。
主な素材:ある一級呪霊。
◆
③
階級:特級相当
値段:5000万
効力:香りを嗅いだ対象に強烈な自己暗示を与える。
暁が人形をだした時点で、五条悟は状況からそれが呪いの人形である可能性が高いと考える→それが自己暗示によって現実だと認識してしまった。
主な素材:暁の血液
◆
④
階級:1級
値段:500万程度
効力:指定した対象をその状態のまま封印する。
主な素材:収納術式を持った呪霊3体。
◆
奏「まだまだ渡した呪具はあるんだけど、使ったのはこれぐらいかな?
最強って思ったり弱いのかな?」