呪術廻戦~暴と星と酒…遅延の春~   作:スペル

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あ~クソ。
死にたくねぇな――――渡邊暁。


第八話 ■■の最強VS■■の最凶-壱-…

宙に漂う五条悟は、ただ天内を殺された事への恨みも無く、親友を倒された怒りもない。今はただ、この世界に居る事が心地いいのだ。

そんな五条の前に立ち塞がる二人の男。

 

「よお、待たせたな」

 

「…別に待ってねえよ。

それじゃあ、やろうか」

 

「その前に一つ良いか?」

 

「あ?

何だよ―――」

 

「呪霊操術のガキはどうした?

死んだか?」

 

「はぁ?

傑が死ぬ訳ねだろ!バカかよ!!

先に俺が動けるから来たそれだけだ」

 

――――無類の信頼か…「――――呪いだな」

 

「あ。なんか言ったか?

…まあいいか。無駄話は終わりにして――――やるか」

 

その五条の言葉が合図となった。武器庫呪霊から取り出した特級呪具・万里ノ鎖を天逆鉾に取り付け、五条へと投擲する。

無限さえ斬り裂く刃を前に五条は身を翻して躱してみせる。それた鉾が辺りを破壊して土煙をうみながら五条へと迫る。鉾の動きに沿うように暁もまた高速で移動して隙を待つ。

 

――――術式解放【宿鬼】

 

懐からビンを取りだし摂取する。瞬間、隈取りが出現し身体機能が大幅に強化される。左右から鉾と暁が迫る。それは先程五条悟を倒した戦型。回避は不可能に近い。選択させる二択。しかしその刃と策略が届くことは無かった。

順転を利用した高速移動で、五条は容易く暁の後方へと移動してみせる。

 

――――あのタイミングで「化物が!!」

 

――――代々伝わる相伝の術式のメリットは、取説がある事。

逆にデメリットは術式の情報が漏れやすいこと

 

五条は上から見下ろす形で、暁と甚爾を視界に収める。照らす木漏れ日と相まって、その姿は天より舞い降りた天使が如く。

 

「天上天下」「唯我独尊」

 

湧き上がる心情を暴露した五条が一直線上に並んだ二人へと狙いを定める。

 

――――天与呪縛のアンタ…御三家禪院家の人間だろ。

無下限の順転【】も反転【】もよく知ってるんだろ。

でも…コレ(・・)は五条家の人間の中でもごく一部しか知らない。

】と【】それぞれの無限を衝突させる事で生成される仮想質量を押し出す無下限呪術の秘伝。

 

――――くるっ!!「甚爾!!」

 

「分かってる!!」

 

虚式(きょしき)

(むらさき)

 

瞬間、全ての音が吸い込まれ静寂が無音の破壊と共に迫る。

正史において禪院家においても知る事の出来なかった情報。故にこの一撃を持って幕は下りるはずだった。しかしこの世界線の伏黒甚爾は一人では無いのだ。

死が迫る瞬間、呪縛によっ底上げされた五感が不可視の無限の質量を感じ取る。甚爾の言葉を合図に、暁が呪具を発動させる。

 

―――――特級呪具・逆様邪(さかさみやび)・発動

 

無限の仮想質量がぶつかる寸前、翡翠の光と共に質量が紐ほどけて霧散する。無事に成功した事に安堵した暁が甚爾の隣に降り立つ。そして今の一撃で決まったと思っていた五条の表情が、漸く歪む。

 

――――今のが茈。奏の情報には感謝だな。

初見なら100%やられてた。

 

「――――アンタ、知ってたのか」

 

「はっ!

何がだ、ガキ」

 

意図は理解している。しかし敢えて煽るために聞き返す。五条も意図を理解している為、それ以上は口を開かない。

 

「まあいいや。

まだ遊べるもんな!!」

 

ドン!!宙から舞い降りた五条がそう告げた瞬間、甚爾が鎖を振り下ろす。頭上からの攻撃をさらりと回避した五条に暁が肉薄する。振るわれた拳は無限に阻まれ届かない。しかし、無限で押しとどめている以上、五条もまたその場からは大きく動けない。

その隙を突くように振るわれる鉾。それが無限に接触する瞬間、刻印に呪力が奔り、鉾は暁の元に転移する。殴っていた手に鉾を持ち、そのまま突き刺そうとするが、気がついた五条が今度は大きく距離を取り回避する。

 

「あのタイミングでも駄目かよ」

 

「つくづく出鱈目だな、おい!!」

 

再び鉾を鎖の先に転移させ、四方を駆ける暁と鎖を操作して攻撃する甚爾。二人は連携を持って五条へと迫るが、その全てが届かない。しかし全く無駄という訳では無い。

 

――――その鉾を移動させる呪具が厄介だな。

お陰で容易に距離を詰めれない。しかもあいつらのコンビネーションも良いから常に意識を張り巡らせられる。こっちが術式を発動しようとすると寸前で回避行動を取れるって事は、そういう呪具があるんだろうな。チィ。めんどくせぇ。

 

幾ら反転術式を会得した事で無下限呪術を無制限に使用できる様になったとはいえ、精神的なストレスは癒やす術は無い。そうやって削るつもりかと五条は当たりを付ける。

 

「ハハ。

チマチマとみっともねぇな!!大の大人がよぉ!!」

 

「クソがっ!!」

 

順転によって生まれた小さな虚数が幾数と暁の周囲に展開される。ギリギリで気がついた暁は虚構の包囲網から何とか回避する。

 

――――あぶ「っ―――「アキラ!!」ッ!!」

 

安堵は一瞬。甚爾の焦る声と共に視線を向けると既に近距離まで接近して拳を構える五条の姿。

 

――――警告(アラート)が鳴るより早く

 

――――術式の展開速度が跳ね上がってる!!まだギアが上がるのか!!

 

迫る拳を瞳に修めた瞬間、裏社会にて数多くの修羅場を括り抜けてきたことで磨き上げられた生存本能が全力で警告を発する。

マズいと思う事すらロス迫る。拳を回避せんとするが、距離が近すぎる。呪具も甚爾の助けも間に合わない。

瞬間、暁の身体が五条の拳に引き寄せられる様に無作為に近づく。

 

それは世界から最強に覚醒した男を祝う為の祝花として黒い火花が捧げられる。

 

       黒閃      

 

 懐玉_躍動 

 




~第三回凄いぞ!秤奏作呪具紹介~
逆様邪(さかさまみやび)
階級:特級相当
値段:10億相当
効力:宝玉型の呪具。宝玉から照射された光はあらゆる事象のみを対象として急激に老化させる。
主な素材:ある特級呪霊(未承認)の一部。

無死(むし)(ほう)
階級:1級相当
値段:100万
効力:所持者に危険が迫ると警告してくれる。
主な素材:とある虫型呪霊

奏「大丈夫。大丈夫。
二人は勝つよ」
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