アイシールド21 Reset the game   作:アリスとウサギ

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恋のキューピット

 天界グラウンド。空は晴れ晴れとした天気で、まさにアメフト日和であった。

 いや、アメフトは雨が降ろうが中止になるスポーツではないのが、気持ち的にはやっぱり晴れの方がうれしい。

 そのはずなのだが……

 

「あー、怪我とかしそうで怖いんだけど」

「さっさと終わらして家に帰ろーぜ」

 

 泥門の士気はガタガタだった。

 無理もない。ほとんどヒル魔さんに脅されて集められたメンバーだ。チーム一丸で敵に挑むなんてことには……

 と、その時だった。

 

「おっと、ごめんよ」

 

 向こうからボールが飛んできた。ゆったりとした動作で相手の選手が泥門ベンチまで取りにくる。

 今日の対戦相手。恋ヶ浜キューピッドのキャプテンである初條薫(はつじょうかおる)さんだ。隣には恋人らしき人物の姿も。

 カップル(それ)を見たデビルバッツの面々は、目から血涙を流さん勢いで歯を食いしばる。

 

「ん? あれれ? おっかしいーなあ? 女の子が一人もいない。泥門は男子校だったかな?」

「うぐぐぐぐぐぐ……」

 

 助っ人に集まった面々が、ついに歯ぎしりし始めた。が、その嫉妬の炎に悪魔がガソリンをぶち込んでいく。

 

「恋ヶ浜キューピッド。入部条件は彼女がいることで、メンバーは全員彼女持ち。試合のたびに毎回彼女と手作り弁当の持参が義務付けられてるらしいな」

 

 後ろでパソコンをカタカタいじりながら、ヒル魔さんが追撃の一撃を投下した。

 それを聞いた初條さんが、前髪をフッとかきあげる。

 

「いやー、すまないね。こちらは黄色い声援ばかりで」

「ねえー、こんなむさ苦しいところにいてもしょうがないでしょ。早く向こうに戻ろ」

「そうだねハニー。泥門の諸君、アデュー」

 

 とてつもない嫌みを残して、カップルの二人は恋ヶ浜キューピッドのベンチへ戻っていった。

 すると、それを見送ったデビルバッツの助っ人メンバーが各々顔を見合わせて……

 

「「「アイツら、ぜってぇー潰してやるぅぅ!!」」」

 

 男子高校生の怨嗟の叫びが、天界グラウンドにこだました。デビルバッツの思いが、悲しくもひとつになった瞬間である。

 

「ケケケ、いい感じに闘争心が煮詰まったな」

「はははは……」

 

 僕は苦笑を漏らしながら、主犯格の一人であるヒル魔さんに近づいた。

 

「あのヒル魔さん、僕もそろそろ着替えたいんですが、場所がわからなくて……」

 

 アイシールド21の正体が(セナ)であることは、当分の間デビルバッツ内での秘密となっていた。

 まもり姉ちゃんに話すことだけは僕が説得することを約束に、ヒル魔さんから許可を貰ったのだが、それ以外は内緒にすることになっている。僕自身、脚の速さがバレて他の運動部に、助っ人として引っ張られるのは困るので仕方ない。

 だから他の面々と一緒に着替えるわけにはいかず、少し時間をおいてから着替えようとしていたのだが……

 

「テメーは泥門の秘密兵器だ。ヤバければ別だが、今のところ出す予定はねーよ」

「え?」

「見てみろ」

 

 ヒル魔さんがあごで指した方角に目を向ける。そこにいたのは東京最強の呼び声も高い、王城ホワイトナイツのメンバー。進清十郎(進さん)桜庭春人(桜庭さん)の二人だった。

 

「……進さん」

「テメーも奴のことは知ってるか。なら、わかんだろ。奴は強い、強すぎる。王城が偵察に来てんだ。わざわざテメーを見せびらかしてやる必要はねえ」

 

 それはヒル魔さんらしい言葉であると同時に、ヒル魔さんらしくない発言だった。

 

「出ます。出してください」

 

 まさか反論があるとは思わなかったのか、細長い眉が吊り上げる。

 

「オレの話を聞いてなかったのか? 奴らを相手に勝率を1%でも上げるには、テメーの情報はひとつでも隠した方が……」

「それで全国大会決勝(クリスマスボウル)に行けるんですか?」

「……何?」

 

 ヒル魔さんの口が止まる。

 

「僕の情報なんてすぐにバレます。泥門が勝ち進めば、勝ち進むほど。たしかにヒル魔さんの言ってることはいつも正しくて、勝つために策を練るのは当然のことかもしれないけど。でも、僕はもう立ち止まるわけにはいかないんです」

「……テメー」

「もう二度と負けるわけにはいかない。進さんにも。ここで逃げたら一生追いつけなくなる」

「…………」

 

 無言でスポーツバッグを渡された。

 

「これは?」

「テメーのユニフォームが入ってる。着替える場所はそこの更衣室だ。とっとと準備しやがれ!」

「はい!」

 

▪︎

 

 セナが更衣室に向かっていくのを尻目に、栗田がヒル魔に近づいてきた。

 

「よかったの? セナくんはギリギリまで隠すって」

「ケケケ、糞チビにあんなこと言われて黙ってるわけにはいかねーだろ」

 

 ──全国大会決勝(クリスマスボウル)

 

 それはヒル魔と栗田、そしてここにはいないが武蔵(ムサシ)と三人で約束した夢の話。

 

「あの糞チビ、本気で勝つつもりでいやがる」

 

 ヒル魔は自分の顔に、自然と笑みが浮かんでいるのがわかった。泥門が全国大会に行ける可能性が1%上がったから。

 

「今日の試合、負けるわけにはいかないね」

「ったりめーだろ糞デブ。負けていい試合なんてねえ」

 

 まあ、セナを試合に出すのは構わねえ。どの道、アイツの実力は一度ちゃんと見ておく必要があった。

 だが、やはり王城の連中にみすみす情報を渡してやる必要はない。取りあえず桜庭(芸能人)だけでも消しておくか。

 

「おや? あそこにいるのは芸能人の桜庭春人くんかな?」

「「「え? 桜庭くん???」」」

 

 わざとらしく声を張り上げると、客席にいた多数の糞女どもが桜庭に向かって突撃を始めた。

 嬉しい誤算だったのが、人雪崩(それ)に巻き込まれ、なぜか進まで消えたことだ。

 

「よし、これで王城に情報が漏れることはねえ」

「うわー」

 

 横では糞デブが呑気な感想を漏らしていた。だが、これでいい。邪魔者は排除した。

 あとは、セナ(テメー)の実力をこの目で見るだけだ。ヒル魔は静かに口角を上げた。

 

▪︎

 

 ショルダーパッド(防具)の上に、赤いデビルバッツのユニフォームを着こむ。これまで何度も着てきたアメフトの防具だ。

 最初の頃はどうやって着るのかすらわからなかったが、今では何も考えずとも勝手に手が動くぐらい慣れてしまった。それでも油断はしない。自身の身体を守ってくれる防具だ。丁寧にひとつひとつ確認していく。

 

「ヒル魔さん、よく僕が出ることを許してくれたなぁ」

 

 先ほど進さんの姿を見たら、試合に絶対出なくちゃと思って、気づいたらヒル魔さんからバッグを渡されていた。自分でも何を言ったのか覚えていない。

 もしかして無意識のうちに、何かすごく失礼なことを言ってたりして……

 

「ひぃぃいい、考えただけでも恐ろしい!」

 

 いや、大丈夫なはずだ。何も覚えていないけど、もし何かしていたら、自分はとっくに原型を留めていないはずだ。未だに生きているということは、何も心配いらないはずだ、たぶん。

 それに余計なことを考えてる場合じゃない。今から試合が始まるのだ。僕はアイシールド付きのヘルメットを被り、部屋の扉を開けた。

 泥門ベンチに戻ってきた僕を見て、栗田さんが駆け寄ってくる。

 

「うわー、アイシールドがかっこいいね、セナ……っ!」

「あ? 背中が痒い? よーし、優しく蹴り飛ばしてやる!」

「ご、ごめん。ついうっかり……」

 

 アイシールドで正体を隠している意味が、一瞬でなくなるところだった。栗田さんを蹴り飛ばしたヒル魔さんが、そのまま前に出る。

 

「紹介しよう。泥門デビルバッツの秘密兵器。光速のランニングバック、アイシールド21だァ!!」

「「「お〜」」」

 

 全員が野太い声を上げる。なんか思ったより反応が小さかった。記憶ではもっとちやほやされていたような?

 

「アメフトで求められんのは実力だけだ! アイシールド、せっかくテメーの我がままを聞いてやったんだ。情けないプレーをしたらぶち殺す!」

「はい! 精一杯やります」

 

 そうだ。僕は過去にきてから、まだ何も成し遂げてなんかいない。試合で証明しなくちゃ。

 

「よーし、全員集まりやがれ」

 

 試合開始の時刻だ。ヒル魔さんのかけ声にみんなが輪を描く。

 

「いいかテメーら。負けたら終わりのトーナメント、いい試合をしようなんて思うなよ。ぜってぇ勝つ、それだけだ」

 

 息を大きく吸い込み……

 

「「「ぶっ殺す!! YAーHAー!!」」」

 

 ありったけの勢いで吐き出した。おっかないかけ声。でも、気合いの入るかけ声だ。

 

「それでは、泥門デビルバッツ 対 恋ヶ浜キューピッドの試合を始めます」

 

 初條さんのキックオフで試合が開始する。

 山なりに蹴られたボールは、ちょうど僕のところに飛んできた。危なげなくノーバンでキャッチする。

 

「ぶっち切れ!!」

 

 離れたところからヒル魔さんの叱咤が飛んできた。迫り来る敵を躱して前進(ゲイン)を稼ぐ。

 まずは一人、二人と抜き去り、残り九人。

 

「どこまで(リターン)させるつもりだ! 早く止めろ!」

 

 キューピッドのディフェンスが僕に押し寄せる。しかし、デビルバッツの助っ人たちも、伊達にヒル魔さんに脅されてきたわけじゃない。

 

「オレたちが壁になる(ブロックする)よ」

 

 石丸さんたちが盾になり、僕の走行ルートを確保する。これで五人抜いた。残り六人。

 

「なっ……!?」

 

 高校の大会では滅多にお目にかかれないビッグリターンに相手のディフェンスが動揺を見せる。

 その一瞬は、アイシールド21(セナ)にとって大きすぎる隙だった。残り四人、三人。

 

「ゴールまで残り、35ヤード!」

 

 たかが高校大会の一回戦。たかが弱者校同士の対決。会場にいる誰もが、それほど大きな期待はしていなかった。

 だが、アイシールドの走りに呼応してアナウンスにも熱が入る。

 

「行けッ!」

「そのままタッチダウンだあああ!」

 

 ヒル魔さんと栗田さんがブロックに入る。残り一人。

 

「こ、この……」

 

 そのまま、ほとんど棒立ちになっていた初條さんを抜き去り、ボールをエンドゾーンまで運び切った。

 刹那の静寂の後、審判が両腕を上げる。

 

「た、タッチダーゥン!!」

「YAーーHAーー!!」

 

 ヒル魔さんの無言の蹴りが飛んできた。

 

「す、すげえええええ!!」

「めちゃくちゃはええ!!」

「陸上部に入ろう」

 

 デビルバッツの面々が、タッチダウン(得点)を決めた僕に駆け寄ってくる。プレー前とは違い、歓迎ムード一色だ。

 ヤバい、正体がバレないように声を変えなくちゃ。できる限り低くして……

 

「あー、アー、ウウン。この得点はみんなで勝ち取ったものだ。ありがとう、キミたちがいなければ、最後まで走り切ることはできなかった」

「おー、性格までかっこいい!」

「よっしゃー! みんな、キューピッドの連中に、彼女の前で恥をかかせてやろうぜ!」

「「「おおーー!!」」」

 

 なんか、最後とんでもないまとまり方をしてしまったような……いや、やる気というか、殺る気があるのはいいことなんだけどね。

 

「すごいよ、デビルバッツが先制点決めたのっていつ振りだっけ? しかも、キックオフリターンタッチダウンだよ」

「ケケケケケ、一回戦は貰ったな」

 

 ヒル魔さんと栗田さんも歓喜の声を上げながら、デビルバッツに刻まれた6点の数字を見ていた。

 だが、決して手を休めるようなことはしない。相手に1%でも勝てる可能性が残っている限り、全力で()りにいく。それがデビルバッツだ。

 

「よーし、テメーら。このまま糞前髪にトドメを刺すぞ!」

「「「おおーー!!」」」

 

 糞前髪(初條)さんへの恨みはまだなくならないどころか、助っ人メンバーの心に炎が燃え盛る。

 試合はそのまま、終始デビルバッツの押せ押せムードが続き、終了のホイッスルが鳴り響いた。

 

  泥門デビルバッツ(30)()恋ヶ浜キューピッド(0)

 

「やったーー!! デビルバッツ初勝利!」

 

 どこからともなく花火が打ち上がる。間違いなくヒル魔さんの仕業だろう。

 でも、栗田さんだけでなく、ヒル魔さんもそれだけ嬉しいのだと、今の僕にはその気持ちがよく理解できた。

 

「よくやった、糞チビ」

「はい!」

 

 ヒル魔さんからの労いの言葉に、短く返事を返す。

 

「おら、正体バレるわけにはいかねーだろ。時間は豚まんに稼がせっから、先に着替えてこい」

「わかりました」

 

 そううなずいて、僕は急いで更衣室に直進する。

 扉に手をかけ、中に入ろうとした瞬間。

 

「…………」

 

 人の気配を察知した。横を振り向く。

 

「セナ?」

「まもり姉ちゃん?」

 

 そこにいたのはまもり姉ちゃんだった。

 試合を観に来てくれていたらしい。が、このままここにいるとデビルバッツの面々がやってきて、色々ややこしい事態になりかねない。

 

「ごめん、少し場所を変えてもいいかな?」

「わかったわ」

 

 更衣室の近くはマズイので、近くにあったプレハブ小屋の裏に回り込む。ここなら誰も来ないと判断した僕は、アイシールド付きのヘルメットを脱いだ。

 

「……本当に、セナだったんだ」

「……うん。デビルバッツで、ポジションはランニングバックを任されてるんだ」

 

 まもり姉ちゃんの表情は、驚きと瞠目に染められていた。無理もない。ついこの間まで、パシリ生活を謳歌していた僕がアメフトをやっているなんて、想像できるわけがない。

 だけど、それでも言わなくちゃいけない。呆然と立ち尽くすまもり姉ちゃんに言葉を続ける。

 

「今までずっとまもり姉ちゃんに迷惑ばかりかけてきて、いや、これからもかけることはあるかもだけど。でも、少しずつでも変わらなくちゃいけないんだ。だから、アメフト部で頑張るの、まもり姉ちゃんにも認めてもらいたい」

「セナ……」

 

 涙を浮かべながら、僕の名前をまもり姉ちゃんが呼ぶ。え? 涙?

 

「え? あの、いや」

「いつの間にか大きくなってたんだね」

「え、あ、その……大きくなったというか、むしろ小さくなったというか……」

 

 思考が支離滅裂になる。ただ涙の意味は理解できた。純粋に僕の成長を喜んでくれているのだ。

 いや、それはそれで嬉しいような、恥ずかしいような。

 そんななんともいえない空気を切り裂いたのは、悪魔の笑い声だった。

 

「ケケケケケ、こりゃあ姉弟(きょうだい)っつーより、親子だな」

「ヒル魔くん!?」

 

 慌ててまもり姉ちゃんが目元を拭う。

 

「もう! どうして空気のひとつも読んでくれないの!」

「こんな目立つ場所で内緒話なんかしてんじゃねえ、糞風紀委員」

「…………」

 

 何やら火花を散らす二人に、僕はたじたじと後ろに退がる。

 

「大方、オレがその糞チビを脅してアメフト部に入れたとでも勘違いしてたんだろ?」

「う……今はわかんないけど、ヒル魔くんがこれからもセナのことをいじめない保証はどこにもないでしょ!」

「ケケケ、今日の試合を見て、そんな貧相な感想しか出てこねーのか? コイツが誰かにいじめられるタマか?」

「それは……」

 

 思わず言葉を詰まらせるまもり姉ちゃん。意外にも二人からの評価は、僕が自分で思っている以上に高いのかもしれない。今日の試合で少しは証明できたのだろうか?

 

「言っておくが、オレの脅迫手帳にセナ(こいつ)の名前は載ってねえ。くだらねぇ心配なんかしてねーで、テメーは糞教師どもの手伝いでもしてろ、糞風紀委員」

「私はそんな名前じゃありません!」

「あ、あの……」

 

 白熱するデットヒートに、僕は勇気を振り絞って割り込んだ。この二人、というより、デビルバッツの仲間が言い争うとこなんて見たくない。

 

「その、僕もまもり姉ちゃんがいてくれたら心強いというか、マネージャーとかになってくれたら嬉しいなぁというか……」

 

 本当はまもり姉ちゃんを巻き込むつもりはなかった。でも、いてくれたら心強いのは本当だ。

 未来のデビルバッツだって、まもり姉ちゃんがいなければ、あんなに強くはなれなかっただろうし……

 

「マネージャー!? それって私がなってもいいの?」

 

 そうヒル魔さんにまもり姉ちゃんが問いかける。前もこんな感じで、マネージャーになってくれたんだっけ。

 そんな懐かしいことを思い浮かべる僕に反し、なぜかヒル魔さんの表情は険しい状態のままだった。

 

「糞風紀委員、オレたちがどこを目指してるか知ってるか?」

「え? ……アメフト部をもっと強くするとか?」

全国大会決勝(クリスマスボウル)だ! テメーもそうだろ糞チ……いや、アイシールド21!」

「……! はい、そうです」

 

 迷うことなく肯定する。

 

「今日の試合ではっきりとわかった。コイツがいれば、全国大会決勝(クリスマスボウル)は決して手の届かない目標なんかじゃねぇ。まだ可能性は数%もありはしねぇが、0%じゃねぇ。だったらオレたちはそこへ行く、死んでもいく。泥門にやる気のねえ雑魚はいらねぇ。テメーにその覚悟はあるのか?」

 

 なんだ、これ? 前はこんなやり取りなかったはずなのに。緊張の糸は途切れない。睨み合う二人を僕はただじっと見つめる。

 

「……ヒル魔くんたちと比べて、アメフトにかける想いは微々たるものかもしれない。けど、セナのことは何年も見てきた。この子がすごいアメフト選手になるのなら、私はそれを最後まで見届ける。その覚悟ならヒル魔くんにも負けていないわ!」

「……ケケケ、そうかよ。なら、特等席で見せてやる。コイツが全国大会決勝(クリスマスボウル)で活躍する姿をな」

 

 と言って、ヒル魔さんはこの場を去っていった。ようやく張り詰めた空気が霧散する。

 

「セナ、これからはアメフト部でもサポートしてあげるからね」

「う、うん。ありがとう、まもり姉ちゃん」

 

 素直に感謝を述べながら思った。あれ? これって僕、何も成長していないような……

 




 アメフトクリニック。
Q.タッチダウンってなに?
A.タッチダウンってのは、敵のエンドゾーン。つまりゴールまでボールを運んでいく得点方法のひとつだ!
 オフェンスがランかパスでボールをエンドゾーンまで持っていけば、それで6点ゲットだぜ! Yaーhaー!
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