IS 漆黒の悪魔   作:ばすほむ

2 / 2
かなり時間が開いてしまいました。次は頑張りたいです。


模擬戦

 草薙重工製試作型第3世代IS『ディアボロ』の試験操縦者テストパイロット。それが俺、アーク・ストライドだ。俺と言っている辺り、女子の癖に一人称が俺だなんて痛い奴だ。

 なんて思っている人もいるだろう。確かに一部を除けばそうだろう。しかし、この場合はいいのだ。なんせ俺は男・だから。男なら一人称が俺でもなんら問題無い。

 さてここまできて気づいた人も多いだろう。何故男である俺が女の特権であるISに乗れているのか、だ。それに関しては……

 

 

「解析結果がでたよ。アーク。」

 草薙重工IS部門第3研究室。そこではアーク・ストライドによって五日前に回収された謎の所属不明機が解析されている。解析は難航したが、一通り見られる様になったデータを片手に筆頭研究員であるリリィ・エールがアークの部屋を訪れ、説明をする為に声を掛けた。

「ん?あぁ。」

 気の抜けた返事が帰ってきた。

「気の抜けた返事だねぇ。アーク。折角、データを持ってきて上げたのに」

 少し拗ねた風に話す。ほんとに拗ねた訳ではないけれど。

「済まない。そういう訳じゃないんだ。」

「そうだろうねぇ。」

「……で、肝心のデータは?」

 少し不機嫌そうにアークはリリィを部屋に入れる。

「はいはい。これよ。これ」

 そう言って私は片手に持っていた書類の束を彼に渡す。

「ありがとう。」

 お礼を言った彼は椅子に座り、データを読み始めた。私は彼の近くの椅子に座り読み終えるのを待つ。

 どれくらいしただろうか。彼は最後のページを読み終えると、書類を閉じ、口を開く。

「模擬戦がしたい。誰かいないか?」

 

 

 

「相手はミストか。」

「なんだ。不満か?」

「そんなことは無い。」

「ならいい。」

 

 

 アリーナの上空でそんな会話が交わされる。それを私はデータ取りということで観察している。

 

「ではいくぞ。」

 

 ミストが先に仕掛ける。ミストは『ディアボロ』と同じ試作型IS『トルネード』の試験操縦者テストパイロットだ。それ故ISの操作技術は高い。

『トルネード』の基本武装プリセットである、12,5cm電磁加速砲の狙いをアークに定め、連続して射撃する。それをアークはあっさり避けて、ミストへと肉薄する。その間に『フランベルジュ』を展開するのを忘れない。

 その加速にミストの顔が驚愕に染まる。しかし腐っても試験操縦者テストパイロット。すぐさま近接ブレードに持ち替え、鍔迫り合いに持ち込む。出力だけなら『トルネード』が勝る。故にその行動はただしく『ディアボロ』の『フランベルジュ』を押し返す。しかし小刻みな機動で力を流されると、一瞬出来た隙を突かれて一撃をもらってしまった。

 

「くっ!そこだ!」

 

 すぐさま相対しブレードを叩きつける。立ち直りの速さにアークは驚きつつ、対応していく。

 5合程打ち合い、両方が後ろへ下がる。そうして距離を取ったとき、ミストが一息ついたのをアークは見逃さなかった。

 瞬時加速イグニッションブーストを使い、再び距離を詰めての連続切り。ミストに対応などさせない動きで『トルネード』のシールドエネルギーを削る。

 六割がた減らしたところでミストの抵抗によって追撃を封じられる。

 

「危なかった。あそこで止められなかったら負けていた。」

「この調子で行けばそのまま負けるぜ?」

 

 一息ついたミストと余裕綽綽なアーク。どっちが優勢かは一目瞭然だった。

 

「そうだろうな。このままなら……な?」

「なんだと……?」

 

 一転して態度が変わった二人。そのまま数秒間睨み合いが続く。

 最初に動いたのはアークだった。

 

「やらすかよっ!」

『フランベルジュ』を構えて突進する。反応の遅れたミストは『フランベルジュ』の間合いまで詰められる。

 

「貰ったぁああああっ!」

 速度の乗った鋭い一撃がミストを襲う。その一撃をブレードで流して、後ろにスラスターを吹かせて後退する。

 

「そこだ。」

 ミストの声に反応してアークの周辺に極小の何か・・が現れる。

 

「なんだ?これ。」

「ビットって言えば分かるか?」

「ビット兵器か……。こんなんで攻撃できんのか?」

 

 拍子抜けしたのかアークは『フランベルジュ』を下ろした。それに合わせたかミストもブレードを下ろす。

 

「いいのか?それで。」

「あ?」

 

 ミストの言葉に違和感を覚えたアークはすぐにその意味を知る。

 突如アーク周辺に浮遊していたビット達が爆発する。その威力は機体を傷つけ、シールドエネルギーを削った。

 想像外の攻撃とミストの不敵な笑みにアークはイラつく。

 

「がぁぁああああっ!墜ちろ!」

 

 ビームライフル『カノン』を右手に展開し、乱射。それと同時に射線から逃げるミストの先へ『フランベルジュ』を投げつける。

 投げつけられた『フランベルジュ』をミストはブレードで弾き、アサルトライフルへ持ち替えての、連射。

 

「そんな攻撃……!」

「どんどんいくぞっ!」

「くっ……。だが、当たらなければ……どうということはない!」

 

 無理矢理な加速をしつつの三次元機動で銃弾をかわし、逆にビームを浴びせるアーク。その反撃に舌打ちしつつ、ミストは背部の非固定浮遊部位アンロックユニットのミサイルランチャーから12発のミサイルを放つ。

 ミサイルを小刻みな機動でかわしつつ、『カノン』で落としていくアーク。この一瞬。アークの意識はミストではなくミサイルへいっている。

 ミストが武器を12,5cm電磁加速砲へ持ち替えたのには気づかなかった。

 

「こいつなら!逃がさない!」

 

 ミサイルへの対応によって行動のリソースを割かれていたアークは、ミストへの反応が遅れ、一発、二発と続けざまに砲撃を受けてしまう。

 エネルギーは削られ、装甲も破壊される。手に持っていた『カノン』さえも。

 

「ちぃっ!くそっ!」

 

 すぐさま機体を翻し、ミストに相対するアーク。その間に武器を展開するのも忘れない。取り出したのはショートビームライフル『スペランツァ』。取り回しがよく、火力と連射性能のバランスが取れているので非常に扱いの容易な銃だ。尚、二丁を同時運用することが原則だが。

『スペランツァ』を適当に連射しつつ、ミストへ加速するアーク。電磁加速砲は取り回しに難がある。その行動は正しい。

 

「っ!?加速だと!?」

「チャンスってね!」

 

 度肝を抜かされたか動きの止まったミストへ『スペランツァ』の連射を叩き込む。対応の遅れたミストをそのままにすれ違いつつ、落ちている『フランベルジュ』をアンカーを射出して回収。それに回転を掛けて振り向き、ミストへ投げつける。

 回転による遠心力とIS本体によるパワーアシストの恩恵によって加速した『フランベルジュ』を突き刺し、バリアを貫通させる。絶対防御を発動させてエネルギーをゼロにする。

元々減っていたので削り切るのは簡単だった。

ブザーが鳴り、俺の勝利が確定した。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。