勇者が病んだ!   作:氷華枦

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勇者様は呑んだくれ?

 

 

 

わたしは勇者様のお供をしている、癒者のエールといいます。

パーティーの皆様からはエール。

勇者様からはえっちゃんと呼ばれています。

 

さて。

 

わたくし、えっちゃん改めエールは、ただいま非常に困っています。

それはダンジョンで迷子になったからとか。

魔獣の群れに鉢合わせたからとか。

そんなんじゃないです。

 

 

 

「え"っち"ゃぁ"ん、お"れッもう勇者やめだいぃぃ!!!」

 

 

 

勇者様が、泣きながら勇者様をやめたいと、相談してきたのです。

 

 

 

「困ります勇者様。

いきなりそんなことを言われても。

勇者様が勇者様をやめたら、誰が魔王を倒すのでしょうか」

 

「オレ以外の誰かが魔王を倒してくれるよおお"お"!!!」

 

 

 

声を大にしておんおんと泣く勇者様。

一体どうしてしまったのでしょう。

 

 

 

「一体どうしてしまったのですか?今朝まで

勇者サイコー!サイキョー!マジステキー!と。

元気に叫んでいたではないですか」

 

「お酒の勢いだよぉおおお!!!

朝まで呑んでただけだよぉおおお!!!

空元気だったんだよぉおおおおおっおぇッえふッぶぇ」

 

「空元気だったのですか。

それは気付けずに申し訳ありません。

でも勇者様。勇者様はどうして勇者様をやめたいと思ったのですか?

山より高く、海より深い理由があるのでしょうか?」

 

「聞いてよえ"ッちゃぁ"ん!!!!!」

 

 

 

そうして勇者様は。

勇者様をやめたい理由を話し始めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは今朝まで元気だったんだ!

 

朝まで呑んでテンションも最高潮!!!

 

また今日も一日勇者がんばるぞ!って意気込んでたんだ!

 

でも夜になってさ!さっき荷物を確認したらさ!

 

ないんだよ!!!オレのお酒!!!

 

大事に大事に呑んでたオレのお酒!!!!!

 

それでパーティーの皆にオレのお酒知らない?って聞いたら!

 

 

 

 勇者サマ 勇者サマはお酒を呑みすぎです

 

 旅を始めてからこれまで

 

 一度たりともお酒を呑んでいない日がないじゃないですか

 

 宴の席でないときも

 

 ひとりでコソコソ朝まで呑んでるの知っていますよ?

 

 勇者サマのお酒はこちらで預かります

 

 暫くはお酒を控えてください

 

 勇者サマ

 

 勇者サマはもう少し勇者サマの自覚を持ってください

 

 

 

だって!!!!!

 

オレのお酒!!!

 

傭兵に取られちゃったの!!!

 

オレ!オレ!休肝日を設けろって!!!

 

これまでの旅の分で半年禁酒!!!

 

お酒を呑んだ次の日は休肝日を!だって!!!

 

えっちゃん!!!オレむりだよ!!!

 

お酒ないと死んじゃうよぉ!!!!!

 

お酒ないと手が震えて剣もマトモに握れないんだよおお!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おぉんおぉんと泣く勇者様。

 

勇者様がそんなに呑んだくれだったなんて知らなかったです。

こんなに泣いているところも初めてみました。

 

これはどうすればいいのでしょう。

泣きついてくる勇者様をなだめながら思考します。

 

 

 

「えっちゃんやさ"し"い"…うぇえ"ッぢゃんあ"あ"」

 

 

 

これまでの旅で本当に。

一度もお酒を呑んでいない日がないのだとしたら。

癒者として。付き人として。

お酒をやめさせなければならないでしょう。

ただでさえ危ない旅路なのですから。

 

ですがこれ程までお酒に染まっているのなら手遅れ?

むしろお酒を急に取りあげた今の状況の方がこれまでよりも…

 

うーむ。と長考します。

 

ふと頭上の勇者様を見ました。

泣きつかれたのか眠っているようです。

 

 

 

「勇者様。ここで寝ると身体を痛めますよ。あと重いです」

 

 

 

勇者様から返事はなく。

深い眠りに落ちているようでした。

 

仕方ありません。

寝床まで勇者様をお運びしましょう。

 

勇者様をよいしょっと背負い。

引きずりながら寝床へ移動しました。

 

勇者様が筋肉ムキムキでなくてよかったです。

なんとかベッドへ勇者様を寝かせることに成功しました。

重い鎧も着ていないので。

わたしでも運ぶことができました。

 

 

 

「勇者様。おやすみなさい。

パーティーの皆様にお話を聞いてみます。

勇者様の禁酒期間をもう少し短くできないか交渉してみます。

 

ですから勇者様。

勇者様をやめるなんて言わないで下さい」

 

 

 

そう言って勇者様の部屋をあとにしました。

 

あー。

言ってしまいました。

交渉すると。

 

でも言葉にしてしまったのですから仕方ありません。

パーティーの皆様に交渉しに行かなくては。

 

有言実行です。

気が重いです。

 

わたしは憂鬱ながら。

後ろ髪を引かれながら。

 

パーティーの皆様のもとへ向かいました。

 

 

 

 

 

「そういえば。

 

勇者様は毎日お酒を呑んでいるといっていましたが、勇者様からお酒の匂いはしませんでした。

 

そもそも勇者様にお酒の酔いが効くのでしょうか?」





勇者 呑んだくれ
   毎晩ひとりで朝までお酒呑んでたのがばれた

癒者 名前エール 勇者からの呼び名えっちゃん

傭兵 勇者のお酒を没収した
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