「あははははは!!!!!」
「もう!笑いごとじゃないですよ勇者さま!!!」
「そうだぞ勇者!少しは怒ってもいい話だぞ!!?」
「でもっでも!!!勇者、安らかに眠る…!!!
ぷっ!!!あははははは!!!
確かにそうじゃん!!!あはははは!!!!!」
「あぁぁ…だから勇者サマに聞かせたくなかったのに…ッ!」
「あははははは!!!オレこの町好きかも!!!アハハハハッ!!!」
町長様が勇者様に殴られて。
床に埋まってから数刻。
町長様が目覚め。
勇者様に全てを話しました。
それはひとつのお墓の話。
そのお墓にはこう刻まれています。
『勇者、この地に安らかに眠る。』
そうです。
勇者様のお墓が作られてしまったのです。
その理由を。町長はすべて語ったのです。
もともと勇者パーティーは。
村や町への滞在が短いことで有名でした。
ですが3ヶ月前。
勇者様は眠りにつき。
わたしたち勇者パーティーは町に留まり拠点を構えました。
家を購入したことはすぐ町で噂になっていたようで。
勇者様がこの町に拠点を構えたらしい?
勇者様はこの町の近くに魔王軍を見つけたらしい?
近々大きな戦いがあるらしい?
珍しい薬草を求めている。
いやいや鉱石だ。妙薬だ。
そんな噂が町で広まったようです。
そして時が立つにつれ。
ひとつの噂が信憑性を増していきました。
勇者様は戦いで傷つき療養している。
姿をみせない勇者様に。
この噂の信憑性は増していき。
どんどん大きくなっていきました。
やれ片腕がふっ飛んだ。
魔獣との戦いで両目を失っていた。
いやいや腸が出ていたのを目撃した。
血塗れの勇者様を前に見かけた。
そして最後には。
勇者様は死んだ。
町の人々はそれを信じ込んでしまったようです。
真実を聞き出そうと。
パーティーの皆様へ聞きにいった人もいたようですが。
勇者はただ眠っているだけだ。すぐ目を覚ます。
この言葉を悪い方へ捉えてしまったようで。
勇者様やっぱり死んでる!?
でもなんで隠すんだ!
勇者様が死んだなんて魔王軍にばれたら攻めてくるから言えないんじゃ!?
と悪い方へ悪い方へ。
噂は修正されず膨れていきました。
結果。町の人々は。
盛大には弔えない。
けれど。せめてお墓だけでも。
と作り上げてしまったようです。
件のお墓を。
町長も噂を信じてしまった1人でした。
町長はパーティーの皆様が暗い顔をしているのは。
勇者様の死を受け入れられずにいるのだと思ったようで。
死を受け入れましょう。
きちんと弔いましょう。
今朝。そうパーティーの皆様に話してしまったようです。
それを聞いたマキア様はふざけるなと激怒。
そうやってこの騒ぎはおきたようでした。
話を聞いて。
皆様が勇者様を遠ざけたかった理由がわかりました。
マキア様が怒っていた理由も。
勇者様は昨日。
目覚めました。
昨日。目覚めてくれていたからいいものを。
もし目覚めていなかったら。
この話をもっと早くに聞かされていたら。
冗談じゃありません!
ふざけろし!
わたしも。
マキア様と同じように怒っていたでしょう。
怒り。狂ってしまう自信があります。
泣いてしまう自信があります。
勇者さまは死んでいません!
ただずっと眠っているだけです!
マキア様 2度と目覚めない人間を 死んだ と人はいうのです
しかし。
当の勇者様は話を聞いて大笑い。
町長までオレ死んだとおもってたの!あはは!
と。まったく気にしていません。
あはははは!!!石像まであるって!!!あはははは!!!
サイコー!!!あははははは!!!
町の人々の行動は。
町長の言動は。
勇者様への諦めです。
でも勇者様が笑うから。
勇者様が本当に嬉しそうに笑うから。
この怒りは。憤りは。
まるで的はずれな気がして。
町長への。町の人々への感情は消え失せました。
それはパーティーの皆様も同じようでした。
勇者様の笑う声に。
お墓を作られて嬉しいと笑う声に。
皆様のピリピリとしていた空気はなくなっていました。
怒っていたマキア様も。
ベチンッと町長様の頭を叩いたあとは。
もう怒っていないようでした。
「勇者様…本当になんとお詫びしたらいいか…」
「いいのいいの!!!心配してくれてたんでしょ!!!
でも寝てただけでここまでしちゃうなんて!!!
ぷっ!あははははは!やっぱこの町オレ好きだな!あははははは!!!」
勇者様はお墓を気に入ってしまい。
撤去しないでそのままにして欲しい。
と町長様にお願いをしました。
もともと勇者様の為に作ったものだからと。
町長様もそれに応じました。
パーティーの皆様は。
勇者様を止めようとしましたが。
勇者様の笑顔に負けたのか。
最後には折れてしまいました。
そして現在。
件のお墓にいます。
勇者様のお供として。
「オレの像めっちゃイケメンじゃない!!?
あはは!!!サイコー!!!」
花の意匠に囲まれて。
まったく似ていない銅像が立っています。
勇者様は似てない銅像を見て笑い。
銅像と同じポーズをして遊んでいます。
先客が何人かいましたが。
勇者様を見て。
慌てて何処かへいってしまいました。
まあそうでしょう。
死んでいませんもの。
勇者様はここにいますもの。
「…勇者様。
どうしてお墓を作られてそんなに嬉しそうに…笑うのですか?」
「ん~だってさ?えっちゃん!
オレが3ヶ月寝てただけなのに町の皆は心配してくれた!
挙げ句の果てにはお墓まで作ってくれてさ!!!
もし本当に死んじゃっても!
今日みたいにこの町はオレを弔ってくれる!
祈ってくれる!覚えててくれる!
それってスゴくない!!?」
そうでしょうか。
すごいのでしょうか。
「それに見てよ!この銅像!全然似てない!」
えぇ。あまり似てないです。
服装は細かな所が別の模様に。
剣の長さも絶妙に違います。
顔の部分なんて輪郭すらも似てません。
でも笑顔だけは。
似ています。
「でもそうだよ!そうなんだよ!
だってオレの記憶じゃこの町にいたのは3日間だけ!
たった3日間!町に居ただけのよそ者をさ!
勇者ってだけのオレをさ!
記憶を手繰り寄せてここまで作ってくれた!
それにこの花だって!さっきの人達だって!
オレ!故郷がもうないからさ!
だから嬉しくてしょうがないんだよ!!!
オレこの町好きだよえっちゃん!!!!!」
それは ズルいです
「魔王倒して、旅芸人して!
そんでヨボヨボのじいさんになったらこの町で骨を埋めてさ!
そしたらこの墓もただの空っぽじゃなくて!
本当のお墓になるよね!」
「そうですね。
…そうですね、勇者様。」
「よーし!早く魔王ぶっ飛ばして!ジジイになって!!!
この石像みたいにナイスガイにならないとね!!!」
勇者様はそういって歩きだします。
お墓を後にします。
お墓は勇者様を見送ります。
木漏れ日をうけた花は。
墓は。
像は。
勇者様を見送ります。
わたしは勇者様の後を追いかけます。
視界の隅にお墓が目に入りました。
綺麗な。
立派な勇者様のお墓でした。
少しだけ、勇者様の気持ちがわかった気がします。
勇者 3ヶ月寝続けた結果お墓がたった
お墓も石像も気に入ってる
癒者 エール 勇者からの呼び名えっちゃん
町長の話を聞いて内心では
腸が煮えくり返っていたが
勇者の笑顔で毒気抜けた人
傭兵 ゾル 苦労人ニキ
勇者が怒らないのがわかってたし
勇者に笑われちゃうと許してしま
うのをわかってた人
弓兵 カルテ 勇者パーティーのリーダー
リーダーじゃなければ即斬り殺し
てたくらいには怒ってた
でも自分の返事で噂が…複雑な人
戦士 ダン 寡黙キャラな筋肉ムキムッキマン
今回空気だったけど静かに怒って
はいる人
聖女 マキア あまり聖女しない聖女
勇者が目覚めていなければ
心が折れていた人