「飛竜を倒したのはいいが。
…これからどうするんだ」
「依頼は魔獣の群れの討伐!
魔獣見つけれてないからな!
探すしかない!」
「えぇっ!?俺達飛竜を倒したばっかですよー?
帰りましょうよ!
絶対飛竜を魔獣と見間違えただけですって!
それに本当に魔獣がいたとしても飛竜がとっくに食い殺してますって!」
「だがなぁゾル!
もし魔獣の群れが生き残ってたら危険だ!」
飛竜の群れを倒した皆様。
魔獣の群れの正体が飛竜であったと考え町に戻るか。
魔獣の群れは別であると考え留まり群れを探すのか。
お話をしています。
「勇者さまどうします?」
「オレ!!!魔獣の群れ探し隊に1票!!!!!」
「では私も魔獣の群れを探すに1票です」
「なっ?!マキアさん!?」
「珍しくカルテさんに1票入れさせていただきます。
魔獣の群れが飛竜から逃げ仰せ、生き残っているのなら、カルテさんの言うとおり危険です。
周囲に魔力の痕跡があるかないかだけでも確認したいですね」
「傭兵!少しだけだからさ!!
この辺りを散策しようよ!!!」
「!!!…ユッ!?勇者サマ!がいいなら…いいですけどねぇ…?」
どうやらお話は魔獣の群れの探索に決まりそうです。
珍しいですね。
ゾル様がいつもより大人しいです。
なんだか変です。
「…ゾル。どうした。
…いつもならもっと反対するだろう?」
ダン様も疑問に思ったようです。
そうですよね。
いつもならもっとこう。
帰る、帰ろう、すぐ帰ろう!
こうやってさらに厄介なことになったの何回あったと思ってるんですか!と。
そう粘る筈です。
「いやちょっと。俺ムリっすダンさん。
勇者サマとの対話に俺耐えられないっす。
もがもがしてるの見てるのも結構キてましたけど、
勇者サマに話しかけられるなんて…
あんな前みたいに…元気で…
泣きそうッ」
「…ああ。お前は今、勇者に耐性がなかったな…」
「本当は依頼だってイヤだったんですよ!!?
でも勇者サマついてきちゃうからぁっ!!」
ゾル様。そういえば勇者様耐性が貧弱になっていたのでした。
確かに今朝。
勇者様がご飯を口に含んだ時も涙を流していましたっけ。
ゾル様。勇者様好きすぎませんか。
とうの勇者様は。
やったー!!!魔獣の群れ!探すぞー!!!!!
とはしゃいでます。
「よし!魔獣の群れを探し!見つけて討伐!
マキア!魔力探知は任せたぞ!」
「わざわざ言われなくてもやりますよ」
「やったー!!!探検探検探検隊!!!!!」
勇者様は走り出します。
もぐもぐしなければやはりこうなるんですね。
「勇者!!!ひとりでいくんじゃない!!」
「勇者さま!待ってくださいー!!」
「勇者サマがッ!前をッ!前みたいにッ!
ひう"ぅッ~!!!!」
泣きだしたゾル様をダン様と一緒になだめ。
勇者様を追いかけ走り出したカルテ様とマキア様の後を追います。
こうしてわたしと勇者パーティーの皆様は。
魔獣の群れの討伐のため。
勇者様を追いかけ。
走り出しました。
「あははははは!!!!!」
「勇者ぁ!!!まって!!!まっ!!!ってぇ!!!」
「カルテさんッ…!私ッ!!もう走れないですぅ~っ!!」
「ゾルしっかりしろっ
このままではカルテたちに追い付けんぞ」
「うぅ、前がっ!前が見れないっす!!
前見たら俺泣いちゃう!!!泣いちゃうぅう!!!」
「もう泣いてるだろうっ」
勇者様を追って。
走りました。
走りに走り。
追いつけません。
勇者様は時折。
こちらを振り返ります。
先頭のカルテ様とマキア様が近くに行くとまた走り出し。
木々の隙間を縫って走り回ります。
明らかにわたしたちより長い距離を走ってますよね。
流石勇者様。
勇者様に体力という概念はないのでしょうか。
もぐもぐして大人しかった勇者様はどこへいってしまったのでしょう。
「エール…!エール…ッ!!
癒してくださいぃ!
もう一歩も歩けませんっ!
歩きたくないって足が震えているのですっ!
見てください!
私の可愛いおひざがぷるぷると子鹿のようです!」
マキア様に追いつきました。
マキア様は体力が尽きてしまったようで。
木の幹にしがみついています。
マキア様に触れ。癒します。
前を見るとカルテ様はまだ粘っているようです。
「勇っ!!!者っ!!!まッ
ぐぇ!!!」
あーおもいっきりいきました。
ころびましたカルテ様。
顔からキレイに。
あれは痛いです。
マキア様を癒し終え。
カルテ様の元へ行きます。
「カルテさん…大丈夫ですか?」
「うぅ、顔からいった…
痛いぃ…」
「…無理に追い付こうとするからだカルテ。
勇者はちゃんと視界に居てくれる…」
「でもぉ…やっと先頭だったのにぃ…ッ!」
転んでからずっと伏せっていたので。
打ち所が悪かったのかと思いました。
でも違いました。
勇者様に先頭を取られたのに落ち込んでいたようです。
でも体力も尽きかけてます。
そうですよね。
飛竜と戦った後です。
体力が尽きない方がおかしいです。
「エール癒してくれたのか!
ありがとなぁ~っ!」
カルテ様を癒しました。
なんだか懐かしいです。
勇者様との旅はこうやって限界まで走って。
わたしは後ろで皆様を癒して。追って。
午前のような歩く旅。
あれはのどかでとても良いものでした。
「久しぶりに勇者さまとの旅ってこんなだったって思い出しましたね。
戦闘より移動の方が過酷だったり」
「勇者サマ早すぎなんですよ」
「依頼をうけてもだいたい違うことに首を突っ込んでたりするからな!」
「…魔獣やら魔法生物やら引き連れて戻ってきたこともあったな」
「あ~。ありましたね、そんなこと」
「あの時は魔族とやり合ったあとだったからな!
さすがに死ぬかとおもったぞ!」
皆様。懐かしんでいますが。
気のせいでしょうか。
先程飛竜と戦った時より。
皆様ボロボロな気がします。
癒した筈なのに。
お休みください。
暫く休憩しましょう。
「マキア~勇者はいまどこらへんだ?」
「あの木の裏あたりだったと思います。
大木の森も終わりですね。
勇者様休憩しているみたいですし。
今のうちに距離を詰めましょう」
「…ゾル。いくぞ」
「あー…俺もう少し休んでからいきますんでぇ」
「…いい加減なれないか。
勇者は元気だ。
それで良いだろう。
涙が出るなら、枯れるまで出しきってしまえ」
「うぅ…ダンさん…
でも視界がぼやけて使いモンになんねぇんでさぁ
そこにまた話しかけられたら…
俺内側から爆発する自信があります」
「そこまでは知らん。自分でどうにかしろ」
「このオジィ」
ゾル様。まだ勇者様を克服できないようです。
克服?という言葉であっているのでしょうか。
トラウマというものよりかは。
何か尊いものを見ているような。
罪人が天使を見ると自ら目をえぐり取ると聞いたことがあります。
それに近そうです。
…失礼な例えだったかもしれません。
少しの会話の後。
声が聞こえてきます。
「おーい!!!」
勇者様の声です。
どうしたのでしょう。
「おーい!!!!!」
「なんだ?勇者。なにか見つけたのか?」
「…いやな予感がするな」
「ダンさん奇遇ですね。私もです」
「まずいまずい!今、勇者サマの声はヤバいッ!」
ゾル様以外は勇者様を見やります。
勇者様。
こちらに手を振っています。
ああ。私も嫌な予感が。
「おーい!!!!!魔獣!!!!!群れ!!!!!
みつけたよー!!!!!
連れてきちゃったー!!!!!」
「「「まってまってまって!!!」」」
そう言ってこちらに向かってくる勇者様。
勇者様から逃げ走る皆様。
勇者様の背後に魔獣の群れを見ました。
群れは50いや60?
数えられません。
魔獣の群れが勇者様とともにこちらに迫ってきます。
あんな数どこから見つけてきたんですか。
巣穴でもあったんですか。
巣穴破壊でもしてきたんですか。
「ごめんごめん!!!
ちょっと様子見しようと思っただけなんだけど!!!
ついてきちゃったみたい!!!」
「ついてきちゃったみたい!じゃないですよ勇者さま!!!
いったい何をしたらあんな数ついてくるんですかぁ!!!」
「いやぁ!!!ご飯が口のなかにない!ってだけで凄いテンションあがっちゃって!!!
見つけた時、いたー!!!!!って叫んじゃった!!!!!」
「あーもう!おバカさま!!!」
「勇者!この辺りの魔獣はあれで全部か!」
「多分ね!!!魔鉱石も見つけたから!!!あれが元だね!!!」
「そうか!なら魔王軍の手の者ではないかッ!
それなら楽が出来そうだ!」
「マキア!どうだ!!」
「ちょっと待ってくださいぃ~!?
そうですね!あれらは魔王軍のモノではないです!」
「よし!!!確認終わり!!!倒してくる!!!」
「勇者サマッ!!!??」
勇者様はくるっと反転し。魔獣の群れへ繰り出します。
まずいです!
勇者様待ってください!
人は急に回れまぶぁッ!
「エール!?大丈夫ですか!?」
痛いです。
でも勇者様が。
ひとりでいってしまいます。
「勇者!!!援護を!!!」
カルテ様が弓を構えたのでしょう。
キリキリと弓を引く音が聞こえます。
そして振動と衝撃音。
終わったのでしょうか。
顔をあげます。
そこには弓を構えたカルテ様。
矢をもったままです。
矢を放っていなかったのでしょうか。
あれ?
視界の隅にダン様がいます。
ゾル様も。
パーティーの皆様がいます。
わたしの近くに。
「終わったー!!!よし!!!帰ろう!!!!!」
声の方を見ると。勇者様。
そして魔獣の成り果て。
あの一瞬で?
一撃で?
勇者様。
勇者様。早すぎます。
勇者 テンション爆アゲだった人
仲間と鬼ごっこを楽しんだ後
魔獣の群れを仕留めた
癒者 エール 勇者からの呼び名えっちゃん
いつも最後尾の人
倒れた仲間を癒して回るのが役割
傭兵 ゾル 苦労人ニキ
勇者の一挙手一投足に泣いてる
涙が枯れるのはもう少し先
弓兵 カルテ 勇者パーティーのリーダー
いつも勇者を頑張って追いかけて
る人 元気な声はここで鍛えた
戦士 ダン 寡黙キャラな筋肉ムキムッキマン
勇者を追いかけるのは一種の修行
だと思っている
聖女 マキア あまり聖女しない聖女
調子のって弓兵についていった人
そこまで体力があるわけではない