勇者が病んだ!   作:氷華枦

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癒者は攫われた。

 

 

 

日が暮れてしまったの

 

暗いからわからないだろうけど、日が暮れてしまったわ

 

だから明日 明日出口に案内するわ

 

 

 

 

 

私はやる事があるからと。

イヴ様はでかけていきました。

 

部屋でひとり。

いえ。ふたりでしょうか。

朝になるまで待機です。

 

パチパチと。

暖炉から音が聞こえます。

あたたかな音です。

 

ヒューヒューと。

ひとつしかない扉から。

冷たい隙間風が音を鳴らします。

ひややかな音です。

 

わたしは冷気から身を守る様に。

暖炉のそばで小さくなって座ります。

 

 

 

 

 

隣に寝転ぶ男性は。

いくつくらいでしょうか。

 

自分の生きた年数すら思い出せませんが。

背丈もありますし。

兄なのでしょうか。

 

イヴ様が旅をしていたらしい。

と教えてくれました。

 

兄妹ふたりで旅ですか。

仲がいいのですね。

 

ご両親から逃げてきたのでしょうか。

送り出されたのでしょうか。

 

色んなパターンを考えますが。

どれもピンときません。

 

 

 

 

 

はぁ、とため息を付き。

投げ出された手を取ると。

ほのかに温もりを感じます。

 

生きてはいるみたいですね。

眠っているのでしょうか。

なんだか安心…

 

はしないみたいです。

焦燥感の様なものをかんじます。

 

きっとひとりだから寂しいとか。心細いだとか。

そんなとこでしょう。

 

わたしは臆病だったのでしょうか。

寂しがりだったのでしょうか。

 

でも関係ないですね。

覚えてないですから。

 

無視していきましょう。

考えても仕方のないことです。

 

 

 

 

 

そういえば。

髪が乱れていたので。

まだ顔をちゃんと確認していませんでした。

すこし拝見しましょう。

何か思い出せるかもしれません。

 

髪に触れて。

顔を覗きこみます。

 

 

 

これは…!?

 

 

 

若いのはわかります。

わかりますがわかりません。

年を感じさせないその顔に困惑します。

 

なんでしょう。

背の大きい弟という線もありましたか。

わたしが姉で。

この人が弟で。

 

 

 

…。

 

 

 

ないですね。

やはりピンとこないです。

 

でもなんだか前もこんなことをしたような。

そんな気がします。

 

こうやって触れていたような。

その時は焦っていたような。

 

 

焦り?

 

わたしは焦ってばかりの様ですね。

ふたたび感じた焦燥感。

これは。

 

心配?

 

していたのでしょうか。

 

前も?

 

同じ様に?

 

 

 

 

ガタッ

 

 

 

静かな部屋に音が。

耳が音を捉えました。

木の音?動く音?一体どこから。

 

扉は動いていません。

イヴ様ではないみたいです。

 

隙間風が不気味に聞こえます。

火の音が大きく鳴り響きます。

 

 

 

ガタッガタガタッ

 

 

 

大きく連続する音。

徐々に近づくその音を警戒します。

その人を抱き寄せ声を潜めました。

 

盗賊でしょうか。

敵でしょうか。

一体どこから。

 

 

 

バキッ

 

 

 

と壊れる音がしました。

床が壊れたのです。

いや。壊された。が正解でした。

 

床を破壊し。

出てきたのは銃剣。

持ち主は床から這いずり出て。

わたしたちを視界に納めます。

 

フードを深く被り表情は見えません。

武器は銃剣。

雪避けの外套の内側に。

いくつかの弾薬。薬瓶。

そしてナイフが見えました。

 

 

 

「………お前ッ!?」

 

 

 

敵意は。

ないのでしょうか。

刺されず。撃たれず。

 

それにその反応。

わたしを知っている?

 

 

 

「チッ…

はやく行くぞ…あのバケモンが返ってくる前に」

 

「…え?なにを」

 

「時間がねぇんだよッ!早く来いッ!」

 

 

 

ズカズカと音を立てわたしに近づきます。

わたしの腕を掴み。

引っ張られ。

 

 

 

「ちょっとっ…!やめてっ!待ってください!」

 

「やめないッ待たないッ時間がねぇんだ!

起きてるお前だけ連れて行く!」

 

「な!?なんで…!!?」

 

「抵抗すんじゃねぇ!!

お前はなんも覚えちゃいないだろうがな!

ここにいたってアイツに殺されるだけだ!

そしてそれを説明してもすぐに納得できないことも分かってる!

だからやめないし待たない!大人しくしてろ!」

 

 

 

盗賊じゃありませんでした。人攫いでした。

そして何やら事情もありそうです。

ですがやめていただきたい。

待っていただきたい。

 

 

 

「あ!お!弟!弟なんです!!!そこに寝てるのは!!!」

 

「あぁ!?」

 

「大切な弟を追いてなどいけませんっ!!姉なので!!!

全力で抵抗しますっ!!姉なので!!!」

 

「はあぁ!!?」

 

「ここが危険だと言うならば弟もつれていかせてください!」

 

「チッ…クソックソックソがッ!!」

 

 

 

人攫いのその人は。

わたしの腕を離してあの人に近づきます。

 

 

 

「お前!…コイツは俺が連れてくから!

ちゃんとついて来いよ!!

変な気おこしたら弟は殺す!!!わかったな!!?」

 

 

 

わたしの弟を担ぎ。

ついて来い。

そう言いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

馬鹿!と殴る音。

 

顔面ストレート。

 

助走のついたその拳は。

 

迷いなくその人の顔へ。

 

 

 

 

 

人攫いのその人についていき。

床穴を抜けると。

地下通路に繋がっていました。

 

複雑に分かれた通路を抜けると開けた空間が。

住居?集落でしょうか??

人攫いの?人攫いの集落?

 

そんな事を考えていると集まる灯りが見えました。

火元には人が見えます。

 

その中の女性が人攫いのその人に近づき。

 

 

 

「馬鹿!」

 

 

 

と一発殴りました。

 

顔面。

 

顔面にいきました。

 

しかも助走つけてました。

 

これは痛いです。

 

 

 

「ばかばかばかばか!!!

 

ばーか!!!ばーか!!!

 

バカイト!!!!」

 

 

 

「痛って!姉ちゃん!!!痛てぇよ!!!!」

 

 

 

「痛いって!!?

 

痛いですんだのよ!!!

 

なんで勝手に行っちゃうのよこのバカ!!!

 

バカイト!!アホ!!!アホォ!!!!!」

 

 

 

うわ~ん。と泣く女性。

 

それを見て慌てる人攫いの男性。

 

灯りを持った大人たちと。

 

棒立ちのわたし。

 

 

 

 

 

えーと。わたし。

 

お邪魔でしょうか。

 

 

 




??? ユシャ?ユーシャ?
    年齢不明 いつのまにか弟に?

ユシャ ユシャ・ノエール
    人攫い?に姉といったのは
    兄だと置いていかれそうだと
    思ったから

イヴ様 黒髪黒目白い肌 絶世の美女
    こめかみの部分白髪が特徴的
    人攫いにバケモンと呼ばれる
    ひどいね

弟?  ユシャを攫った? 人攫い?
    集落入り口で姉に殴られた

姉?  人攫い?の姉
    集落入り口で弟を殴る
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