「……Zzz」
今日も今日とて仕事がない。ないったらない。
そろそろあのクロノスっつー所からインタビューの一つや二つ、いや十はあってもいいはずなんだが……。
サヤは俺を放ってゲヘナで仕事中だし。寝るしかないな。
『何言っているんですか。昨日は夜通し映画を見ながらお酒を飲んでいましたよね』
「……うるさい」
ペチ、と鞘を叩くとサヤから音が鳴り始め、どんどんと高音になっていく。
「うぅ〜……頭に響くから止めろぉ〜……」
『ハァ……このままじゃ腐りますよ?』
「腐んねぇし、まだピッチピチだし」
『そうですか』
それだけ言うとサヤが黙り込む。
「……サヤ?サヤ?……なんでぇ」
ふん、と鼻を鳴らして布団に潜り込んだ。
「ん、んん……」
今何時だ……。
「……昼過ぎか」
意外と早く起きたなと思いながら大きく欠伸をすると誰かが布団の中にいる事に気付く。
「すぴー……」
ホシノだった。じゃあいいかと思って布団から抜けようとするが……力強。服握られてっから抜けれねぇんだけど。
「ホシノ、起きろ」
「う〜ん……うへへ……」
「……ホシノちゃぁ〜ん!早く起きないとお嫁さんにいけなくなるようなエッグいキスしちゃうぞ〜!!」
「……そしたら責任取ってくれるのかな?」
「起きてんじゃねぇか」
頬を赤く染めたホシノがパチリと目を開く。
寝たフリしてやがったな。
「いつまでも人の布団入ってんじゃねぇよ」
「まあまあ、そんな固い事言わないでー」
「今回は俺の方が普通の事言ってるはずなんだが???」
ホシノの腋に手を伸ばして持ち上げるとソファまで連行する。
「女の子の扱いがなってないんじゃない?」
「人が寝てる隙にベッドに忍び込んでたガキにゃ丁度いいだろ」
鍋でお湯を沸かしてインスタントコーヒーを作り、ホシノにはオレンジジュースを渡す。
「おじさん一応十七歳なんだけどなぁ」
「俺からすりゃまだまだ子供だ」
ホシノの隣に腰掛けてテレビをつけ、ニュースを見る。
「お昼ってもう食べた?」
「寝てたの知ってて言ってるだろ」
「まあねぇ」
「ハァ、まだだ。食い行くぞ」
「お〜、ラックさん太っ腹〜」
「奢られる気満々かよ。元々そのつもりだったけどさ」
ホシノにヘルメットを投げる。
「サヤ、いい店ない?」
『百鬼夜行の海沿いに新鮮な魚介を出してくれる店がありますよ』
「百鬼夜行?まあ、いいや。……結構距離あんな。昼はどこかで済ませるとして晩飯になりそうだ。つーか、泊まりになるな。ホシノ、いいか?」
「うんうん、オッケーだよ〜。という訳でおじさんは二日間ラックさんの女になってあげよ〜う、なんちゃって」
「ははは、もっとスタイルが良くなって出直して……いって!?足踏むなよ!?」
「やれやれ、乙女心がわかってないねぇ……」
「おじさん自称してるクセに何言ってんだ……まあいい。んじゃ、しゅっぱーつ」
「お〜!」
合間合間で休憩を挟みつつ、ようやく百鬼夜行の自治区内に入った。
ちなみに昼飯は行き道で見つけたうどん屋にした。中々美味かったな。
「ここが百鬼夜行か。極東に似てるな」
「いたた……もうちょっと加減してくれると助かるかな。おじさん腰が痛くなっちゃったよ」
「誤解招くような言い方すんなっての……。まあ、この感じなら飯は期待出来そうだ」
昔極東に寄った時も飯は美味かった。
「百鬼夜行のご飯は美味しいって評判だから楽しみだねぇ。」
「ホシノは他の自治区に行くこととかあるのか?」
「あんまりかなぁ。自分達の事で手一杯だし」
そりゃそうだな。
「折角だ。後でみんなにお土産買ってくか」
「お、いいねぇ」
「流石にお土産くらいは自分で買えよ?」
「わかってるよ。おじさんをなんだと思っているのさ」
「おじさんを自称する美少女」
「照れるなぁ」
頬に手を当ててクネクネと動く。
「んな事やってねぇで、そろそろ出発すんぞ」
「はーい」
「着いたー!」
「おー!」
すっかり日が傾いてから目的の店に到着した。
海が本当に近いな。……ここにはあいつらはいねぇよな?
「ちょっと海見に行かねぇか?」
「海?いいよ〜。もしかしてラックさんもお魚とか好き?」
そういえば、先生が前にホシノと水族館に行ってきたって自慢してきたっけな。
「いや、魚は……まあ、水族館とかの魚ならって感じだな。それにこんな時間じゃ見えないだろ」
「それもそっか。じゃあ何かあるの?」
「俺の世界の話なんだけどな。海の底に怪物がいんだよ」
「怪物?またまたぁ、確かに深海魚とかはちょっと怖い見た目だったりするけど怪物って程じゃないでしょ」
「ちなみにそいつとの戦闘記録がこれ」
ホシノに端末を見せると興味津々といった感じで見てくる。
『そっちにちっこいの回ったぞ!』
『ブレイズ!小型の恐魚の対処は任せた!フィリオプシス、ラックとバイソンの方を頼む!』
『俺達の相手は大型のシーボーンだ。体勢が整うまで耐えるぞ!』
『はいっ!』
画面の中の巨大な怪物が画面の中の俺をじっと見ていた。
それを見たホシノがドン引きして俺を見る。
「なにこれ」
「テラの海にいるやつ」
「こんなのお魚じゃないよ〜!」
「そうだな。ちなみに俺が海に近付くといつもこいつらみたいなのが見てくるからテラの海はあんま好きじゃねぇ」
「うへぇ……それは嫌だね」
「だろ?」
砂浜に着いて海の中を覗き込む。日中であれば水中が見えるが、夜だからか水中の様子は見えない。
「……流石にこっちにはいないな」
視線や気配を感じず、ほっと息をつく。
「悪いな、付き合わせて」
「ううん、いいよ」
……あ、いい事思い付いた。
「なあ、飯食ったらまたここに来ようぜ。」
「いいけど、暗くて見えないよ?」
「俺に良い考えがある。楽しみにしてな」
場所は戻って目的の店。
入店して席に案内される。
「うわぁ〜、たくさんあるね」
「なんでも好きなだけ頼んでいいぞ」
「え、いいの?結構値段するけど……」
「バッチリ持ってきてるっての。それに折角の遠出だ。楽しまなきゃ損だろ?」
「うん、じゃあ遠慮なく頼むよ。うへへ、何にしようかなぁ」
この魚の唐揚げとか酒に合いそうだ。む、なめろう?どんな料理なんだ?
いや、やっぱりこういう店に来たならこれだろう。
「決まったか?」
「決まったよ」
「ん」
ベルを鳴らして店員を呼ぶ。
「お待たせしました。ご注文をどうぞ」
「ホシノから頼んでいいぞ」
「えっと、この海鮮丼とキスの天ぷらと赤だしとトロピカルジュースで」
「俺はビールと海鮮丼を大盛り、そんで天ぷら盛り合わせと刺身盛り合わせと鱧のお吸い物に枝豆で」
「以上でよろしいでしょうか?」
「ああ」
「かしこまりました。失礼します」
一礼して店員が去っていく。
「それにしてもよく食べるねぇ」
「まあな。それに盛り合わせは別にホシノも食っていいぞ。その為に頼んだし」
「いいの?食べ切れるかなぁ」
「そん時は俺が全部ちゃんと食うっての」
「あ、そういえばビール頼んでたけどバイクだよね?大丈夫なの?」
「近くのホテル取る。今ならギリ取れるっぽいしな。サヤ、二部屋取っといてくれ」
「あ、一部屋でいいよー」
『丁度タブルベッドの部屋を見つけたので予約しておきました』
「……まあいいか」
こういう時は諦めが肝心というのを俺はよ〜〜く知っている。
それに昼に布団に入ってきたし、気にしないだろ。
「お待たせしました」
「お、待ってました」
「おお〜!」
料理がテーブルに所狭しと並べられる。
やべ、ホシノには言ったが食い切れるか……?
「そんじゃ」
「うん」
二人で飲み物を手に取り。
「「かんぱーい!」」
打ち合わせ、一気にビールを流し込む。
「っかぁー!うめぇ!」
「へ!?もうそんなに飲んだの!?」
「え?ああ。そうだったな。折角ツマミがあるんだから合わせないとな」
一気に半分は飲み過ぎたか。
まずは枝豆……といきたい所だが海鮮丼から。ご飯の熱でネタが温くなっちまう。
わさびを醤油に混ぜ込んで海鮮丼の上からかけ、まずは箸でマグロを掴む。ふふ、こっちの世界の食材の名前とかちゃんと覚えたんだぜ。
マグロを口に入れてご飯を掻き込んだ。
「んっめぇー!!」
「ん〜!美味しいねぇ」
向かいの席でもホシノが海鮮丼を頬張っていた。
続いてサーモン、生エビ、イクラ、ブリ等々、様々な魚に彩られた海鮮丼を味わっていく。
間でホシノがキスの天ぷらに手を伸ばし、サクッと音を立てて食べる。
「あふあふ……」
幸せそうな顔を浮かべる。
俺も堪らず天ぷらの盛り合わせからキスの天ぷらを見つけて掴み、齧り付く。
「はふっはふっ!」
塩だけでここまで美味くなるか!身は歯を軽く立てただけで崩れる程に柔らかく、外はサクサク、中はふんわりとした食感で楽しませてくれる。味は淡白だが、確かに甘みを感じる。それを塩がキュッと引き締めてくれていた。
「うまっ」
箸休めで鱧のお吸い物を啜り、また海鮮丼に飛びつく。
「おっと……ネタが先に無くなっちまった」
「ありゃ、おじさんも配分間違えちゃった」
しかし、俺達には刺身盛り合わせがある!二人で笑って盛り合わせに箸を伸ばして醤油とわさびを付けてご飯に軽くバウンドさせて刺身を食べ、ご飯を掻き込む。
無限だ、無限ループだ。
美味い、美味すぎる!
気が付けばテーブルの上には空の皿しか残っておらず、二人して食後のお茶を飲んで一息ついていた。
「美味かったなぁ」
「美味しかったね〜」
「食後のデザートも食うか?」
「う〜ん、何があったっけ?」
メニューを開いて二人で見る。
「わらびもちだって、ぷるぷるしてて美味しいよねぇ」
「団子もあるぞ。お、宇治金時があるのか」
少し悩んで注文し、テーブルがまた皿で埋まってしまった。
「おじさんこのままじゃ太っちゃうよ〜」
「大丈夫だ。多少太ってと可愛いぜ」
「うへ〜、ラックさんってば口が上手だねぇ」
各々好きなデザートを取って食べる。
「ん〜、ぷるぷるで美味しいね」
「宇治金時も美味いぞ。一口食うか?」
「じゃあ、こっちも一つあげるね」
「ほれ」
スプーンで一口取って差し出す。そういえばイチカははずかしがってた差し出してから思い出した。やっぱり器の方を差し出すかとスプーンを戻す前にホシノがスプーンを咥えた。
「こっちも美味しいねぇ。じゃあお返し、あーん」
「あー」
うんうん、よく冷やされてるし、食感も良い。つるりと喉を過ぎていく。
「はぁ……」
余韻が口から抜ける。
それから頼んだものを好きに食べたり食べさせあったりした。
「うっ……」
「ちょっと食べすぎたねぇ……」
腹を抑えながら二人で砂浜を歩く。
「ほら、おじさんのお腹こんなに大きくなっちゃった」
「ヴァルキューレに見つかったら俺が捕まりそうだな」
そんなくだらないことを喋りながら歩き、程よく腹が落ち着いてきた。
「よし、じゃあ行くか」
「そういえばもう一度来るって言ってたけど何するの?」
「お楽しみだ、お楽しみ。ほれ、手ぇ出せ」
「うん」
ホシノと手を繋いでアーツを発動して空を飛ぶ。
「おー……!おじさん空飛んでるよ!」
「まだあるぞ。サヤ、ポイントは?」
『マークします』
サングラスにマークされたポイントへと向かう。
流石に遠いな。
「目をかっぴらいてよ〜く見てろよ?」
「も、もしかして……」
「せーの!」
勢いよく海へと飛び込んだ。
アーツで周囲を囲い、どんどんと深い所まで潜っていく。
「あはは!!すごい!すごいね、ラックさん!」
「ふはっ!まだまだ行くぞ!」
深海まで進んでいく。まだ時間には余裕がある。
「周り見てみろよ」
ライトを真ん中に浮かべ、光を拡散させて周囲を照らす。
「今だけ、俺とお前だけの水族館だ」
「わぁ……」
巨大なイカ、大きなサメ、ヘンテコな鱗を纏った魚、死骸を食べるカニ。結構グロテスク……ううむ、もっと浅瀬のが良かったか?
「どうだ?ホシノ」
「ねぇ、ラックさん。こんなに深海をハッキリと見たのって、多分私達が初めてだよね」
「ああ、そうだろうな」
「そうだよね。うん、すごいや……」
普段眠そうな目を大きく開きキラキラとさせて深海の生態系を見つめるホシノ。繋がれた手は最初よりも強く握られ、興奮が伝わってくる。
喜んでくれてるならいいか。
「明日は陽が差し込むくらいの所に潜ってみようか」
「明日もいいの!?」
「もちろん。なんだかんだで旅行になっちまったんだ、派手に楽しもうぜ?」
「うん!」
そんな笑顔出来りゃあ俺じゃなくても男の一人二人は軽く惚れるだろうさ。
『……水を差すようで申し訳ありませんが、制限時間三十秒前です』
最後に一枚写真を撮り、大慌てで砂浜まで戻った。
バイクを押して二人で並んで歩く。さっきまでの興奮がまだ冷めないのかホシノはご機嫌であれがどうだった、あの魚が綺麗だったと話す。
「サヤに頼んで良いポイント探しといてもらうから、楽しみにしてな」
「もう興奮で明日が待ちきれないよ〜!」
さっき撮った写真を見つめてうへうへと笑う。
ほんのちょっと前まではあんなに警戒してたのに……お兄さん感激。最近涙脆くなっちゃったかも。
「っととと、今日の宿はここか」
危ねぇ危ねぇ、通り過ぎる所だった。
受付でチェックインを済ませている間もホシノはご機嫌な様子で俺の手を握りながらエントランスを眺めていた。
そうして予約した部屋に着くと駆け出し、まるで離れ離れになった恋人と再開した時の様に──
「おぉ〜!会いたかったよ〜!」
──ベッドへと飛び込んだ。
「うへへ、このまま眠っちゃいそうだよぉ」
「潮風浴びたからシャワーくらいは浴びろよ」
「えぇ〜、どうせならお風呂入れてよ〜」
「おいおい、ホシノ。窓の外を見てみろよ」
「窓の外?お、おおー!露天風呂だ〜!」
ソファに腰掛けてコンビニで買った酒を開ける。
「折角だからな。海が見える部屋にしてみた。オーシャンビューってやつだな」
「うへへ、それじゃあ早速……」
ホシノがスカートを脱ごうとして、俺の方を見る。
「ん?ああ、続けてくれ」
「ラックさんが女性慣れしてるのは知ってるけど、そんなじっくり見られるのは恥ずかしいんだけど……」
「ちぇっ」
ホシノのストリップショーでも見ながら一杯いこうと思ってたのに。残念。
諦めてホシノに背を向けてイカの燻製をつまむ。
ん、流石海が近くなだけあった美味いな。
「あ、私にも残しておいてね〜」
「んー」
あぶね、言われて無かったら食べてたかも。
ナッツの詰め合わせを開いてポリポリと食べる。なんだかんだコレよ。この塩気が酒を進ませる。
ふんふんと酒とツマミに手が伸びる。
さっき結構食ったはずだが、これは別腹。アーツも使ったし。なに?アーツ使っても腹は減らないだろって?うるせぇ、酒飲む口実くらい寄越せ。
しかし口は忙しいが目が暇だ。テキトーにテレビのつける。
「……特にねぇなぁ」
そう思っているとアダルトコンテンツの項目を見つける。
キヴォトスのAVってなんだ……?生徒は当然出るわけじゃねぇだろうし……まあ、見てみるか。
追加料金の支払いをポチポチっと終わらせて見始めるとヘイローの無い女性が映る。なるほど、外の世界のAVかぁ。
暇潰しに目に付いた作品を観始める。
「まあ、なんというか普通のAVだな」
流石にセックスに世界の違いなんてないか。
「……なに見てるのさ」
「ん?おお、ホシノ、上がったのか」
ホシノがソファの後ろから俺の肩に顎を乗せる。しっかり温まったのか頬が赤らんでいたをそんなホシノの口にイカの燻製を突っ込む。
「んじゃ、俺も風呂入ってくっかぁ」
スポポーン!と服を脱ぎ捨てる。
そして風呂に向かおうとするとじっとりとした視線を感じる。
「俺に見るなっつったのにお前は見んのかよ」
「まあまあ、いいでしょ。ラックさんだって見ようとしたんだし」
「……それもそうか」
俺の裸なんて見ても……いや、見られて恥ずかしい体じゃねぇけど。
「うへ……傷がいっぱいあるね」
「そりゃあ軍人が戦ってるのに無傷でしたー、なんて事はねぇよ」
「そのお腹の傷は?かなり深そうだけど」
「ああ、ちょっと事件解決の為に自分でぶっ刺した」
「えぇ……自分で刺したの?」
「犯人の要求だったからな。ま、その後俺の腹を鞘代わりに居合で気絶させてやったがな!」
「へ〜」
そのままホシノの視線は腹から下に下がる。
「……うわぁ」
顔を真っ赤にさせて凝視してくる。
俺のマグナムで赤くなるのは結構だが、俺もそろそろ風呂に入りたい。
「はーい、時間切れー」
「あっ、いや、違うからっ。見てないから!」
「へいへい」
酒を一本持って露天風呂へと向かった。
ラックが露天風呂へと向かい、ホシノが一人になる。
「男の人のってあんな形なんだ……ユメ先輩と見たのより……」
ぶんぶんと頭を振る。
火照った体を落ち着ける為にジュースを取ってソファに戻り、テレビに目を向けた。
当然先程までラックが見ていたAVが停められていた。
「……」
意味もなく周囲を伺い、音量を下げ、再生ボタンを押した。
「うわぁ……」
ホシノの知らない大人の世界、それは想像よりも生々しく、どこか非現実的に感じられた。
「あれが大きくなるんだ。じゃあラックさんのはこれよりも……」
先程見た物が大きくなったらと想像する。しかし、経験の無い少女の想像したものはあくまで想像である。
「うそ、ほんとに入るんだ……」
無意識に生唾を飲み込む。
今まさにラストスパートといった所で──
「随分と興味津々じゃねぇか」
「うへぁっ!?」
耳元から聞こえた声に全身を跳ね上げてソファから転がり落ちる。
「はっはっは!なんつー声出してんだよ」
あー、おかしいとラックが笑う。
「あ、え、えーと、これは……」
「あー、いいいい。ホシノだって年頃だからな興味あったってしゃーねぇわな」
ホシノがラックの姿を見る。
なんと、パンイチだった。先程のAVにより、男性の体への解像度が上がり、一度ラックのも見てしまったホシノはそのパンツの下にある物を鮮明に想像してしまい、顔が真っ赤に染まる。
「あ?どうした?……ああ、なるほど」
顔が赤くなった事に気が付き、すぐに原因に思い至る。
「まだまだガキンチョだなぁ」
ゲラゲラと笑いホシノの頭を乱暴に撫でる。
「今日は移動も多かったし、早く寝ろよー」
今のホシノは『寝ろ』という言葉の意味を別の意味に捉えてしまう。彼女もまた絶賛思春期なのだ。
そんなホシノを放置して、ラックは飲んだ酒の缶をテーブルに置くとベッドに飛び込んだ。
「あ〜……久し振りのでっけぇベッド、サイコー……Zzz」
そして飛び込んだかと思えばすぐに眠った。
「……折角の旅行なら、そんなに早く寝なくても良くない?」
後に残されたホシノが小さく不満を零した
「……まぶ」
部屋に差し込む陽の光で目が覚める。
「サヤ、今何時」
『六時前です』
「ん」
首に何かが巻き付いている。
どうせまたホシノだろ。
目を開くとやはりホシノでその顔は俺の顔のすぐ真横、頬同士がくっつく程の距離だった。
……動けねぇ。
なんとか腕を外そうとするが、がっちりと首の後ろで組んでいるようで外せそうにない。
「……はぁ」
これ、無理だなぁ。
外す事は諦めて、そのまま抱き上げてソファへと向かう。
……幸せそうに寝ている所悪いが起こさせてもらうか。
「ホシノ、朝だぞ」
「ん〜……うへへ……くじらさんと一緒に泳ぐぞ〜」
「夢見てんのか。泳がせてやっから、早く起きろー」
「起きてるよぉ……すぴぃ」
「寝言じゃねぇかよ」
「すぴー、うへー」
それ寝息にもなるのか……
まあ、いいや。気長に起きるまで待とうとソファで横になった。
「いやぁ、ごめんねぇ。居心地良くてすっかり眠っちゃってたよー」
「そりゃあ良いけどさ」
バイクを走らせて昨日の砂浜まで行く。
「今日は浅瀬だし、昨日よりかは時間があるな。ほれ」
「よろしく〜」
アーツで飛んで海に入る。
昨日と違い、陽の光が辺りに差し込み、キラキラと輝いている。
「あはっ!やっぱりすごい綺麗だねぇ!」
「そうだなぁ」
美味そうな魚があちこちに……じゅるり
「もー、後で食べるんだから我慢だよ」
「わかってるっての」
サガ程食いしん坊じゃねぇよ。
そう思っていると手の甲をつねられた。
「ってぇ!?なにすんだ!?」
「今別の女の子の事考えたでしょー?感心しないなぁ」
「へっ、んなのは彼女にでもなってから言いな」
「ふぅん、じゃあなったらいいんだ」
「まだまだ青くせぇガキにゃ無理だろ。大人しく青春してな」
「……今の状況ってかなり青春してない?」
「あん?」
今の俺達の状況って、誰にも干渉されない所で二人っきりで絶景を眺めてる事だろ?
「……確かに」
青春してるな。
「じゃあ青春しちゃうか」
「青春しちゃおー!」
二人で写真を撮りまくった。
「みんな〜、ただいまぁ」
ラックに門の前まで送って貰ったホシノが対策委員会の教室に戻ると、ホシノ以外のメンバーが揃っていた。
「あ、ホシノ先輩おかえりなさい☆」
「これお土産ね」
「わぁっ!お菓子やお漬物が沢山ですね!」
「どこに言ってたの?」
「これ、百鬼夜行って書いてますね」
ホシノが戻ってきてからジッとホシノを見ていたシロコが近付いて匂いを嗅ぐ。
「ん、間違いない。ラックさんと一緒にいた」
「「「えぇー!?」」」
「どういう事なんですか!?ま、まさか、無理矢理攫われたとか!?」
「そんな事する人じゃないでしょ〜」
「あ、もしかして復興の参考にする為に他の自治区を見学しに行ったとかでしょうか?」
「う〜ん、違うねぇ」
「素敵ですね☆でも、私達も行きたかったです!」
「今度はみんなで行けるようにお願いしよっかぁ」
「ん、ずばり、旅行。それもかなり長い間くっ付いてたと思う」
「うへ、そこまでわかるんだ。まあ、うん、一緒に百鬼夜行まで旅行行ってきたんだ。」
ホシノが撮ってきた写真をみんなに見せる。
「……ねぇ、これ海なのは分かるけど深海何メートル?」
「さあねぇ。おじさんもわかんないや」
「もう!やる気になった時のスケールがおかしいのよ!」
「セリカちゃん、でもこれって海の研究をしている所に送ったらすごい価値がありそうだよ!も、もしかしたら、謝礼金とかもらえるかも!」
「そ、それはちょっとおじさんでも恥ずかしいかも……」
「でも、なんだかちょっと怖いですね……」
「そんなノノミちゃんの為に朝にまた潜ってきたよ〜」
「わぁっ!とっても綺麗ですね☆」
「ん……ずるい。私もラックさんとホシノ先輩と見たかった」
「うんうん、また今度お願いしようねぇ」
ホシノがシロコの頭を撫でて抑える。
楽しそうにどうだったと旅行の話を聞きたがる後輩達に少し圧倒されながらもお菓子を食べながら話そうと落ち着かせる。
今日のアビドス高等学校の明かりは夜遅くまで消えることはなかった。
次の……次の1話やったら不忍の心やるから……
ふふ、臨戦ホシノとシロコテラーで2天井。ガチャって……おもしろ!
という訳ですまんな朱鳶、アリウスを引くから引けんかもしれん。
女性先生に決まりましたがどんな人?
-
スーツでキメたポニテ先生。凛々しい
-
ゆるっと女子大生みたいな先生。ポワポワ
-
その他。後で活動報告で枠作るのでそこに