シャーレの部室で先生が今日もそれなりの量の仕事を捌いていた。
「うぅ〜ん、ちょっと休憩しよっか。サヤちゃんも手ぇ止めなよ」
『いえ、私に休憩は不要ですので』
「ほら、アロナなんてこんなにぐでっとしてるしさ」
『全く……主を補助するAIとして情けないですよ』
『せ、先生が休憩って言ったからいいんです!』
最初は先生も驚いたが、どうやらサヤにはアロナが知覚できるらしい。なんなら許可さえあればシッテムの箱の中に入り人型を形成する事にも成功していた。当人……当AIはハッキングして入れない事を悔しがっていたが。
「喧嘩しないの。ほら、大福あるから皆で食べよ?」
『大福……まあ良いでしょう。温かいお茶も所望します』
「もちろん」
人型となったサヤには味覚も当然あり、仕事の手伝いをしては報酬として甘味をもらっていた。AIとはいえサヤも女の子なのであった。
さあシッテムの箱の中へ──そう思った瞬間、モモトークに通知が入った。
「あれ、イオリからだ」
内容を読んでみるとアコが無理をして寝不足になりながら仕事をしており、危なっかしい上に仕事の進みも悪い為休ませたいのだが休んでくれないという内容だった。
より深く聞いてみれば前日にラックの所へヒナが行き、そのまま休ませる事となったのだが代理としてアコがヒナの代理として仕事を遅くまでしていた為に今の状況になったらしい。
「なるほどー……」
『申し訳ありません。こちらの不手際です』
「ううん、そんな事ないよ。ヒナが休んだ方がいいのは間違いないから。でも休ませる方法かぁ……本人が休んでくれないなら無理矢理にでも休ませるしかないよね」
『提案させていただきます。ラック様をお呼びするのはどうでしょうか。過去に執事や子供の寝かしつけをしていた経験があるので適任かと』
「ほんとになんでもしてるよね……うん、じゃあお願いしてもいい?ごめんアロナ、休憩はまた後でね」
『えぇ〜!?いちご大福ぅ……』
「いちご大福とは言ってないんだけどなぁ……うん、買ってあげるから我慢してね?」
『うぅ……わかりました……』
いそいそと準備して先生はシャーレの部室から出た。
『──という訳です』
「なぁるほど」
未だ寝ぼけた頭でなんとか理解する。
昨日のあれで風紀委員会、というかアコの負担が一気に増えたのか。
「ふぁ……あふ……」
欠伸をして大きく伸びをする。
まず目覚ましにシャワー浴びてから行くか。
風紀委員会の執務室のドアをノックする。
「どうぞ」
「邪魔するぞー」
「ラッ……ク?」
「……なんだその格好は」
「執事、でしょうか?」
「Zzz……はっ……!?」
ゴン、と音が聞こえて音の方を見ればアコが仕事をしつつ意識を落として額を机に打ち付けている所だった。その衝撃で目を覚まし、また仕事をしながら意識を落として額を打って目を覚ます。
「こりゃ重症だ」
「あれ、ラックさんのが先に来てたんだ。って執事だー!写真撮ってもいい?」
「ちょっとだけ特別だぞ?」
ポーズを取ると大はしゃぎで先生が写真を撮る。
「……私も」
こっそりとヒナも撮ろうとしていた為振り返ったウインクを送ってやる。
これもまたサービスだ。
ヒナの方を向いて先生に背を向けているはずだがシャッター音が止まらない。ちょっとっつったのに。
仕方ないと先生に歩み寄ると画角的に丁度良い距離を保ちたいのか後ろに下がる。ズームしろよ。
そのまま歩み寄ると先生が壁にぶつかると手を顔の横に着く。壁ドンだ。
「ひぇっ」
固まった隙にスマホを取り出してインカメにしてツーショットを撮る。確認してみればバッチリ決まった角度の俺と赤らめた上で変な顔で固まった先生が写っていた。それをシッテムの箱に送信してやる。
「さてと、おいアコ。いやさ、アコお嬢様?」
「なんです──???なぜラックさんが執事に……まさか寝落ちしてしまったんでしょうか……いけませんね。早く起きて続きをしないと」
勘違いしてくれんなら都合が良い。
「お嬢様、本日はお休みしませんか?」
「う……い、いえ、ダメです。早く起きなければ……!」
うーむ、意外と強敵か?
「まずは家に帰りますよ」
無理矢理椅子から持ち上げて横抱きにする。
「ぁ……い、いきなり何を……」
「……ズルい」
「いいなぁ。楽しそう」
先生のズレた反応は放っておいて、ヒナには今度してやろう。
「うわぁ……大胆……」
「……少しドキドキしますね」
イオリやチナツもやはりこういうのは気になるようだ。
一つ揶揄ってやりたいもんだが、ぐっと我慢する。アコには夢だと勘違いしたままでいてもらいたい。
「ほーら、帰りますよー。……サヤ、アコの家の特定頼むぞ」
『おまかせください』
「先生あれは……?」
「まあ、今回は私達からお願いしたからセーフ……かな?」
「〜♪」
「むぐ」
鼻歌を歌いながら途中で注文しておいた宅配のオムライスをアコに食べさせる。
なんでオムライスかって?俺が好きだから。
「はいよく食べ切りました〜」
子供を褒める時の様に優しく頭を撫でると今にも寝落ちしそうなアコの顔が緩む。
次は出来れば風呂に入らせてやりたいが……水没しそうだな。シャワーにしよう。
「お嬢様、失礼しますよっと」
ぺぺぺっと手早く服を脱がせる。ふぅむ……予想通りのボリューム感……チラリと下まで目を滑らせる。ほう、ちゃんと整えられて……いかんいかん、今の俺はプァーフェクトな執事だ。
気を取り直して執事服の袖と裾を捲るとアコを連れて風呂場へと入り、椅子に座らせる。
おぉ……背筋伸ばしたまま寝てる。姿勢良いな。
さて、まずはシャワーの温度を調節してやや温い程度のお湯を掛けていく。
「……きもちいい」
「髪洗うぞ〜」
なるべく顔に当たらないようにしながら髪を濡らしてシャンプーで洗っていく。トリートメントは……パスかな。
「痒い所はありませんか〜なんつって、あらら」
「すぅ……」
ぐらりと体が後ろに傾き、そのままべしゃりと俺の服を濡らした。
あーあ、シャンプーまで付いちまった。そこそこ値段したのに。まあ、洗えばいいか。
体勢としては丁度いいとそのまま胸元で洗うが後頭部がこれでは洗えない。
「……しゃーねぇなぁ」
アコの向きを変えて正面から抱き着かせる。その際に俺の胸元にエロスの暴力が振るわれたが、ぐっと堪えた。お前が生徒で良かったな。違ったらこの場でランデブーだったぞ。
洗い終わってシャワーで流す。……もう濡れてるから俺ごとやっちまえ。
う〜ん、服が張り付いて気持ち悪い。
ボディタオルにボティソープを出して泡立ててまずは背中から。目を覚まさないように力をあまり入れず優しく擦る。
背中、腕、足と終わり残るは前面と股と尻なんだが……まあ、役得って事で。
タオルから泡をこそぎ取り、先に尻から揉むように洗う。
うぉ……でっっか……
あまりのボリュームに思わず固まるがすぐに気を取り直して続ける。
「ぃしょっと」
「んん〜……」
「ああこら首に手を回さない……よっと、ふぅ」
なんとか逆を向かせて豊満な胸に触れる。
う〜む……これはこれは……はっ!ダメだダメだ。
無心で揉むように洗う。
その時、ぴんっと指が突起を弾いた。
「ぁんっ……」
「やべ……」
その場で動きを止める──胸を揉んだままだが仕方ない事故だ──そのまま少ししてまた動き出す。スリリングだぜ……。
ゆっくりと手をお腹へと動かし、残るは股だ。性器とも呼ぶ。
「うーむ……」
そういう関係ではないのに流石にそれはどうなのだという思いが湧いてくる。
いくらアコでもやって良い事と悪い事があるだろう。
「ま、今更か」
そんな思いを軽く吹き飛ばして献身的に股へと手を伸ばして、いつもするような刺激を与えるような触り方ではなく、優しく、ただ優しく洗うだけの触り方をした。
その後はざっと洗い流して身体をバスタオルでよく拭き、ついでに俺も執事服や下着を脱いで洗濯する。
髪を乾かし、勝手に部屋を物色して俺好みの下着と寝間着を見つけてアコに着せ、ベッドに寝かせる。
「お疲れ様」
最後に穏やかな顔で眠る彼女の頭を優しく撫でた。
後に残ったのは全裸でタオルケットにくるまった俺だけである。
流石にこのままでは帰れないのでアコの眠るベッドの横で寝る事にした。
朝、アコが目を覚ますとなぜ自分がベッドで寝ているのかと疑問を浮かべる。
「確か昨日は眠たくて意識がほとんどありませんでしたね……」
ならアコは自分がちゃんと仕事を終わらせたのかと思えばそうとは思えない。
そういえば変な夢を見たと思う。
「ラックさんが執事だなんて、似合いませんね。いえ、服は似合っていましたが……」
昨日の事はチナツかイオリ、最悪ヒナに聞けばいいだろうと見切りをつけ、いつも通り準備をする為に寝間着を脱ぐ。
「あら?」
アコは自分の着けている下着が自分のお気に入りで気合いを入れる時に着る物だという事に気付いた。
これもまた寝ぼけ眼で選んだのかと思うが、別に棚の一番上に置いている訳でもないのにどうしてこれなのかと思った。
「昨日はゆっくり休めたようで良かったわ」
アコが風紀委員会の執務室に入るとヒナがそう言う。
「ご迷惑をお掛けしたみたいですね……すみません」
「構わないわ。前に私の代わりに頑張っていたようだから。それにお礼はラックに言ってあげて」
「ラックさんにですか?」
「覚えてないのね」
「すみません、どうにも眠かくて記憶もあやふやで……」
「そう」
「あ、でも昨日変な夢は見ましたね。ラックさんが執事の格好をしていたのですがどうにも似合わなくて」
「アコ、それは夢じゃないわ」
「え?」
ぴしりとアコが固まる。
「昨日アコを連れて帰ったのは執事服を着たラックよ」
「はい……?」
つまり、もしかして……とアコの頭の中が高速で回転する。
「つ、つまりなんですか。今朝起きた時の空腹が普段と変わらなかったのも体が汗でベタついて無かったのも下着が変わってたのも……」
「そ、そこまでされたの?でも、多分ラックね」
次の瞬間顔が一気に真っ赤になって声にもならない悲鳴を上げた。
「うわっ、びっくりした……アコちゃんどうしたの?」
「せ……責任を」
「責任?」
「ラックさんには大人として責任を取ってもらいます!!!」
それを聞いた瞬間に興味を無くしたイオリはそのまま普段通りの仕事を始めた。
一方その頃、ラックは事務所のベッドで布団にくるまり──
「へぇっくしゅん!……へへ、誰か俺の噂してんのかな」
風邪を引いていた
珍しく続く話書いてます。
女性先生に決まりましたがどんな人?
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スーツでキメたポニテ先生。凛々しい
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ゆるっと女子大生みたいな先生。ポワポワ
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その他。後で活動報告で枠作るのでそこに