いつも通りのんびりと過ごしていると、スマホに着信が入る。
「もしもし?」
『あ、なんでも屋さんですか?』
「……もしかして、依頼ですか?」
『はい、護衛をお願いしたいんですけど』
「……本当に?イタズラとかじゃなくて?」
『は、はい、本当ですけど……?』
「いよっしゃあ!いつだ!?どこで合流する!?あ、料金は今決めるか!?」
『きゃっ!?あ、あの、相場が分からないんですけどどのくらいですか?』
「え〜……サヤ、いくらだ?」
『時間や状況に応じてこちらで計算しておきます』
「よし。それで時間は?」
『これからです!』
「これから……わかった。合流場所は?」
『トリニティ側からのブラックマーケットの入口付近でお願いします』
「……ブラックマーケット?」
後でサヤに聞くか。
「何か目印とかあるか?」
『ペロロ様のリュックを背負っているのですぐにわかると思います』
「ペロロ様……?わかった」
これも後で聞こう。
「じゃあ今から向かうから少し待っていてくれ」
『わかりました!』
通話を切る……よっしゃよっしゃよっしゃー!!遂に来たぞ初めての依頼!前のあれ?見極めみたいなもんだしノーカンだろ。
思い出すのは最近の日々……
『マリー……仕事が、仕事が来ないんだ……』
『大丈夫ですよ。きっと来ます、私もお仕事が来るように祈ってますね』
マリーの膝で泣き。
『サクラコォォォ!仕事がまだ来ねぇぇぇえ!』
『わ、わかりましたから抱き着かないでくださりますかっ!?』
サクラコに抱き着いて泣きべそかいたり。
『シゴト……シゴト……』
『……またお祈りしていますね』
マリーを膝に乗せて魂を口から吐き出したり。
思えばかなり迷惑をかけちまったな……今度二人にはお礼をしなきゃな。
「そうと決まればパパッと終わらせるか」
待ってろよー!
「ここがブラックマーケットか」
普通に大きい学区くらいの規模があるっぽかったな。
ちなみにペロロ様はクッソキメェ鳥だった。今の子供はああいうのが好きなのか?……スズラン達にお土産でいくつか買っていくか。
「ペロロ様ペロロ様っと……お、あの子か」
……荷物が多いな。いや、俺が言えた話でもないし、キヴォトス人の力を考えれば普通か。
「君が依頼人か?」
「あ!はい、阿慈谷 ヒフミです。今日はよろしくお願いします!」
うずうずと今にもブラックマーケットに突撃しそうな雰囲気だ。
「ラックだ。よろしくな」
「最近トリニティで噂になっている大人の方ですよね?ナギサ様からもこの前の騒動では大活躍だったと聞いているので頼もしいです」
へぇ、意外だな。ナギサは結構気難しく見えたからこういう『女子高生』って感じの子とは合わないと思ってた。
「その噂に負けないように頑張らせてもらうさ。んで、こんな所に何の用なんだ?」
「もう販売されていないペロロ様の限定グッズがあると聞いたんです!!!」
一歩踏み出して目を煌めかせながら顔を寄せてくる。
「そ、そうか……ところでペロロ様ってのはなんなんだ?見た目だけは調べたが俺はキヴォトスの流行りに詳しく無くてな。良かったら説明とかしてくれる……と……」
キラリとヒフミの目が光ると更に一歩詰められる。それに合わせて俺も一歩下がるがヒフミはまた一歩と詰めてくる。それを繰り返していくうちに後ろの壁にぶつかって、ダンッ!と両手が俺の両側の壁を叩いた。
「あ〜……えっとぉ……」
そこから始まるのは終わることの無いペロロ様トーク。最初のうちは知識の量に感心していたがヒフミの説明は止まることを知らず、もはやヒフミ自信も体を俺の体に押し付けると言うよりもめり込ませると言わんばかりの勢いで押し付けてきており、なんなら俺の身長に合わせて斜め上を向いていた顔が真上を向いていた。
「うん、うん、ペロロ様は凄いな。うんうん」
それに対して俺も脳死で同意を返すことしか出来なかった。
ようやく解放されて、顔を赤らめたヒフミの先導でブラックマーケットを進む。
俺が物珍しいのか、それともヒフミがトリニティだからか、周囲からの視線をかなり感じる。
「ここを通りたけ━━━━」
またどこかのヘルメット団の一人が絡んできた瞬間にヒフミの前に飛び出て抜刀し、ヘルメットを割る。
「嬢ちゃん、何か用でもあったか?悪いけど、お兄さん今お仕事の途中でこの子の護衛してんだよ。また今度にしてくれるか?」
「ひゃ、ひゃい……」
「ほら、行きな」
元ヘルメットちゃんが逃げていくのを見送って刀を納め、周囲に笑顔を振り撒くと全力で顔を逸らされる。
「さ、行こうぜ」
「強いんですね……!」
眩しい程の視線を浴びせられた。純粋な子だな……。
「まあ、お前らの倍近く生きてるからな。このくらいは出来ねぇと」
「……じゃああいつおっさんかよ」
「あ”あ”ん?」
ぼそりと聞こえた声に睨みを利かせると黙り込んだ。
……俺はまだおっさんじゃねぇ。見ろ、皺だって少ないし、白髪は……そもそも白髪だったわ。
「あはは……見た目はまだまだ若いですし、おじさんはちょっと酷いですよね」
「……わかってんじゃんか。さっすが初の依頼人。飴いるか?」
飴をぽんと出していい子いい子と撫で回す。
「は、恥ずかしいですからっ……!」
「おお、悪ぃ悪ぃ」
手を離してまた歩き始める。改めて並んでいる商品を見ると普通に買うのと比べてかなり高めに値段が設定されているのがわかる。その他にもよく分からない部品や愛好家の好きそうなオブジェのような物が並んでいる。
「タバコもあるのか」
しかしまあ……高いな。これなら普通にコンビニで買った方が良いだろう。まあ、大方大っぴらに買えない子供がこんな所で買ったりするんだろう。
「あ!ありました!」
「んじゃ買ってきな」
「はい!」
パタパタと嬉しそうな足音を響かせて走って行った。
微笑ましくその光景を見ていたが、ヒフミが渡した金額を遠目に見て目眩がしてしまった。嘘だろ……ブラックマーケットだからって、ペロロ様の限定グッズってあんなに高いのか、アイス口に突っ込まれてるだけじゃねぇか……。
「買えました!」
「……おー、良かったな」
満面の笑みで帰ってきたヒフミを迎え入れると、周囲の子達の雰囲気が変わったのを感じた。
「汚れたらいけないから、リュックの中にしまっときな。」
「そうですね!気を付けないと」
リュックを背負い直したのを見て手を握って歩き出す。
「えっ?あの、来た道はあっちですよ……?」
「戻るのはまずい。別の道から逃げるぞ」
「に、逃げる!?どういうことですか!?」
「ヒフミが大金持ってるってのがわかったからな。俺を相手にしてでも奪いたいんだろう」
曲がり角を曲がると、銃を持って戦闘態勢を整えた子達がいた。
「……な?」
「ど、どうしたら……」
「その為の護衛だろ?」
いつも通り横抱き……はリュックで無理だな。しゃーないと前から抱っこする。リュック重いな!?何詰まってんだ!?
「えっと……これは流石に恥ずかしいです……」
「我慢してくれ。行くぞ」
アーツを発動して高く飛び、子供達の後ろに回ってアーツを解除して走る。
動き出しが遅い相手にはハンドガンで対処し、間に合わなければアーツで吹き飛ばす。
「流石に数が多いな。アーツで飛んでいっても良いけどどうすっかな」
暴れついでにここの戦力が子供以外にいるかを確認したいんだよなぁ。戦車があるくらいだから他の兵器があってもおかしくない。それに、ブラックマーケットの規模。なぜそれなりの大きさなのに放置されてきたのか。連邦生徒会だって、放置し続けるのは危険だと分かっているだろう。なら、手を出せない、出しずらい何かがここにある?例えば、悪知恵の働く大人とか。
「悪い、ちょっと調べたい事があって、危険だけど徒歩で逃げさせてもらう。ただ絶対に怪我はさせねぇから安心してくれ。」
「無事にブラックマーケットから出れるなら大丈夫ですけど……」
「俺を誰だと思ってんだ……しまった、ここじゃ知られてないんだった」
ヒフミを下ろして刀を抜く。
「じゃあ着いてきてくれ」
「あの、どこに向かうんですか?」
「ただ荒らし尽くしてやるだけさ」
懐から爆弾を取り出して投げた。
「装甲兵?重装兵か?まあ、パワードスーツでもロボットでもなんでもいいか」
やっぱり子供以外もいたか。
中身がいるかもわからねぇ大剣でぶん殴って吹き飛ばす。
「調子に乗るな!」
「乗ってねぇよ」
向けられたアサルトライフルの銃口に弾を撃ち込み破壊する。
後ろからの弾を振り向きざまに抜刀して真空刃で撃った本人諸共吹き飛ばす。
「ば、バケモンかよあの大人……」
「年季が違うんだよ」
俺の荷物がもっと少なければ近接戦闘での制圧も出来たんだが……しゃーねぇな。
「一旦下がるぞ」
「は、はい!」
後ろの物陰でサポートしてくれたヒフミに指示を出して走る。
「ここを通すな!」
目の前から重装兵がやってきた為、加速してヒフミの前に飛び出して軽く跳ぶ。
「邪魔だっ!」
顔面を蹴り飛ばし、そのまま乗り続けて倒れてもスケボーのように乗って滑る。
「あれ、ラックさん?」
「ん?おー、久し振りだな!」
声の方を向くと、アビドスの皆と大人の女性が立っていた。
話しながら後ろに拾ったグレネードを投げ、爆風を背に受ける。
「さっきから騒がしいと思ったら……!」
「怒んな怒んな、仕事のついでだ」
「仕事?強盗?」
「人聞きの悪い事を言うんじゃねぇよ」
シロコの頭を掴んでぐわんぐわんと動かす。
「護衛だ護衛。この子からの依頼でな」
ヒフミを前に押し出すとペコリと一礼した。
それから一通り自己紹介して大人が話題の先生である事がわかった。若いな、エクシアより少し下くらいか。
顔から下に目を向けると、特大の爆弾──おっぱいが目に入った。
一瞬だけ目を向けて顔を戻す。いや、でかい。え、でっっか……!ノノミよりもあるじゃん……いやいや、俺だって旅の間に色んな女性を抱いたし……いや、やっぱでけぇわ。ウタゲに負けず劣らずだ。
『ラック様……?』
「んっんん!そっちはなんでブラックマーケットに?金の無いアビドスが無駄に物価の高いここに用があるようには見えねぇけど」
ペロロ様のグッズをヒフミに見せてもらっていた一同がこちらを向いた。
「探し物があるんだー」
「そうなんですね」
探し物ねぇ……こんな所で探し物なんて、随分と物騒なもん探してんだな。
『皆さん、大変です!四方から武装した敵が接近しています!』
『こちらでも確認出来ました』
アヤネの言葉にサヤが肯定で返す。
「まあ、ヒフミが狙いだろうな」
「あの大人だ!」
「誰に手を出したか思い知らせてやる!」
「俺が勝手にやってるだけだから、ホシノ達は行ってくれ。」
「いやー、流石にそれはないでしょー」
「知り合いを放って行く訳にはいかない」
「私も指揮で手伝いますね」
「勝手にしな」
先生の指揮は確かに助かるだろうが。
「誰に手を出したかだってな」
バックパックとスナイパー降ろし、刀を鞘に入れたまま構える。
「こっちが思い知らせてやんよ」
振り下ろすと真空刃が地面を削りながら走っていき、敵を蹴散らしながら進んでいって遠くの壁を破壊した。
慌てふためいている間に接近して刀を振り下ろす──
「ラックさん、ダメです!」
その前にヒフミに止められた。
「なんだよ、今丁度俺がカッコよくキメる所だったってのに……」
「このまま戦ってたら……ここを管理している治安機関に見つかってしまいます!そうなったら……」
「治安機関ね。そいつを待ってたんだ。丁度良いからついでにどんなのか拝んで……」
「ダメですっ!」
ヒフミに左腕に抱き着かれて止められた。
「ちょっとだけだって、ちょっとだけ。一部隊殲滅してざっと戦力把握するだけだから……」
「まーまー、ここは私達よりもここに詳しいヒフミちゃんに任せておこうよ」
今度はホシノに左腕を掴まれた。
「ホシノまで……」
そのまま二人に腕を掴まれて引き摺られていった。あ、シロコ達が装備拾ってくれてる。
「ここには専用の金融機関や治安機関がある程ですから……」
さっきの場所から離れて、ヒフミからブラックマーケットの内情を聞いた。やはり大きいみたいで、企業同士の利権争いが繰り広げられているらしい。
ここなら仕事に困ることは無さそうだが、あまり受けたいとは思えないな。
「よし、決めたー」
「ん、何を決めたんだ?」
「ヒフミちゃんに私たちの探し物が手に入るまで一緒に行動してほしいんだー。ラックさんもいるしねー」
「えっ?」
「ダメかな?」
「俺は別にいいぞ。色々と収穫がありそうだしな」
「わあ☆いいアイデアですね!」
「ん、心強い」
「ヒフミさんが良ければお願いしたいんだけど……」
「あ、あうう……ど、どうすれば……」
チラリと俺に目を向けられる。安心させるように笑うとほっと肩から力が抜けた。
「安心しな。絶対に怪我はさせないからよ」
「あ……はい……」
「よーし。それじゃあいってみよー」
「見つからないねー」
「こんなに探して見つからないなんて……」
「もう数時間は歩いたわよ……」
「おかしいですね……こんなに何も見つからないだなんて……」
「そんなに不思議なの?」
「ブラックマーケットの企業は開き直っていますから、むしろ隠したりはしません。ですからこんなに見つからないというのはおかしいんです」
みんなの後ろで先生と歩きながら周囲を見渡す。
「みんなグロッキーだな。先生は大丈夫か?」
キヴォトスの人間でも辛いんだ。普通の人である先生もキツイはずだ。
「私は大丈夫ですよ」
「んなインドアな服装しといて長時間歩き慣れてる訳ねぇだろ。嘘言ってんじゃねぇ。
お前らー、ちょっと休憩すんぞ」
さてさて、疲れた時には甘いもんが一番なんだが……。
「あ!たい焼きが売ってます!」
「お、じゃあ俺が買ってくるぞ」
「いえいえ☆私が食べたいので私が行きます!」
「そうか?なら頼んだ」
ノノミを見送ってバックパックを降ろす。
「先生、これに座っとけ。色々詰めてるから座り心地は良くないだろうが、立っているよりはマシだろ」
「えっと、良いんですか?」
「良いから良いから。それと敬語もそろそろ外してくれると助かるんだけど?」
「きゃっ!?」
遠慮する先生の両脇を掴んで持ち上げるとバックパックの上に乗せる。……いいもの持ってんのに軽いなぁ。ウタゲの時とかもそうだったな。
「でも、ラックさんの方が年上ですし……」
「良いって、元々いた所でも誰も気にしてなかったしな」
「じゃあ、うん。わかったよ」
ほにゃりと表情を緩めた。
……もうちょっとこう、少しは警戒心も残しておいてくれないか。
「買ってきましたよー☆」
ノノミが買ってきたたい焼きをみんなで分けて食べる。うん、美味い。
「あの輸送車……」
「あれー?うちに集金に来る輸送車と同じだねぇ」
「あれがねぇ」
護衛は置いているが、あのくらいなら制圧できるな。いっちょ襲ってみても……。
「ダメですからね?」
「へい、お嬢様」
ヒフミに止められてしまった。早くも俺の考えがわかるとは、末恐ろしい。
「あの銀行員もうちに来る銀行員と同じじゃない!?」
そうこう眺めているうちに銀行員が金を渡していた。
「ほー……立場の低い相手から金を巻き上げて、それで犯罪か。よくやってるよ」
「ちょ、ちょっと!感心してる場合じゃないでしょ!」
「わかってるっての。さっきの銀行員も大人……なんだよな?ロボットだったけど」
「そうよ!これだから大人は……!」
「俺も大人なんだけど?」
顎をセリカの頭に乗せると弾かれたように動いてシロコの後ろに隠れた。
「あんたも悪い大人よ!」
「あらら、嫌われちまった?」
「ん、私ならやっても良い」
ぐりぐりと頭を胸に押し付けられる。
「はいはい、後でな」
押し退けるように撫でてやるとむふーっと満足気に息を吐いた。
「そんで、どうすんだ?これ以上何も無いってんならヒフミを連れてブラックマーケットから出るけど」
「これはもうあれしかないねー」
「あれ?」
「何かありましたっけ〜?」
「ん、銀行強盗をする」
シロコが青いマスクを被った。銀行強盗か……俺もした事ねぇなぁ。
「ラ、ラックさん、流石にしませんよね?」
「新しい事に手を出すのも大切だよな」
「ごめん、ラックさんとヒフミの分はない……」
「ヒフミちゃんはこれでいいんじゃない?」
ホシノがたい焼きの袋を持って、ヒフミの目と同じ高さに穴を開けると被せた。
「俺のはなんかあったっけ……」
いくつか袋はあるが、これらはちゃんと纏めてるやつだからな……。
「……ん?なんだこの袋」
底の方に見たことの無い袋があって中身を引っ張る。軽く振るとジャラジャラと金属音が聞こえてきて、中身をひっくり返してみた。
「これって、勲章でしょうか?」
「ん、たくさんある。これを加工すればお金になるかも……」
「すごい数だね〜」
「ラックさんの荷物から出てきたって事はもしかして……」
セリカが信じられないと言いたげに俺に顔を向ける。
「俺が今までもらった勲章だ。プリュムだな。わざわざ軍服から外しやがって」
一つ手に取ってため息を吐く。
「ラックさんって、凄かったんですね〜」
「私も驚いちゃった」
「私は前からラックさんが凄いって分かってた」
ノノミと先生が驚いていて、シロコがどこか自慢げにそう言う。
「もしかして……ラックさんって超エリートだったりして〜?」
ホシノのからかうようなに言葉に笑みを浮かべる。
「ま、俺に憧れねぇラテラーノ国民がいねぇくらいには超絶天才的エリートだったな!なんたって映画化に書籍化、漫画化までしちまったんだから!」
ガハハと笑う。
「お〜、すごいねー」
感心したように声を出す。
「俺のサインを持ってた日にゃクラスの人気者間違いなしなんだぜ?ちなみに一番レアなのは初めての実戦後のもんだな」
あの頃は感情が死んでたようなもんだし、サインもほとんど書いてなかったからな。
他のやつから教えてもらったがプレミアが付いているらしく、高値で取引されているらしい。
「それっていつくらいなんですか〜?」
「……十一か十二?」
「え、軍隊とかって子供は入れないんじゃないの?」
「俺の世界じゃ別にそういう訳じゃないし、戦時中だったからな。俺が軍学校に入ったのは……十か十一の頃だな。」
「小学生じゃない!?というか一年くらいしかたってないじゃないの!?」
「初等科の途中で入ったから初等科も卒業してねぇな。入って半年経たずに実戦に投入されてその後すぐに特殊部隊に入れられたから……軍学校も卒業してねぇな。あれ、もしかして俺って学歴無い?」
「そ、壮絶ですね〜」
「あはは……ラックさん、今度私が勉強教えましょうか……?」
「気持ちだけもらっとく」
「ね、ねぇ、ちょっと待ってラックさんって今何歳なの……?」
セリカが恐る恐る聞いてくる。
「何歳に見える?」
「……二十五歳くらい?皺とか全然ないし」
同意を求めるようにみんなの方に振り返るとみんな頷いた。
「嬉しいこと言ってくれるねぇ。まあ三十は超えてるよ」
「嘘ぉ!?」
「いやいや〜、それは流石に嘘でしょ?」
「冗談だよね?私よりちょっと歳上くらいだと思うけど……」
先生はパッと見だが恐らく二十三歳くらいか。
「いや、本当だ。俺の世界には百を超えても若々しい見た目を保っているやつだっているからな」
「ひゃっ……!?」
「世界によってそんくらいの違いはあんだろ。さてと、そろそろ強盗しようぜ?俺の昔話はまたしてやるよ。」
バックパックからマフラーを取り出して顔を隠すように巻く。暑いがこれくらいしかない。
「よし、準備完了。……ところで先生はどこから指揮をするつもりなんだ?」
「後方からやるつもりだったよ?」
ぽやっとした顔でそう言う。
「あー……じゃあある程度の距離まで行ったら俺が盾出すからそれに隠れてろ。」
「へぇ、ラックさん盾持ってるんだ。おじさんとお揃いだねー」
そう言ってホシノが盾を見せびらかす。所々にキズの付いた盾は正直言って彼女の体格に合っているとは思えないが、まあ使えているっぽいし大丈夫なんだろう。
「これだ」
大剣を取り出して変形させると、ホシノに渡す。
「……これ凄いねー。大剣の刀身がスライドしているから装甲は薄いはずなのに強度は十分みたいだし。技術の結晶って言うの?まるでミレニアムの武装みたいだね」
「ほー、そうだったのか」
「えー……自分の装備なのに知らなかったの?」
「うちのエンジニアの遊び心の塊だからな。正式名称は多目的兵装『Toy BOX』。こいつの全性能を把握してんのはサヤだけだ」
『ラック様が知らないだけで搭載されている機能はまだまだありますよ』
「ほらな?」
「……うへー」
先端から突起を出したり、柄を何倍にも伸ばしたり、刀身が折り畳まれてハンマーになったりと俺自身これ使う?って機能が盛り沢山だ。
「元々こいつを打ってくれたオペレーターからは『鉄塊』って名前を付けられてたんだけど……いつの間にか変わってたんだよな。そもそもこいつに名前がある事自体結構後で知ったからな。
準備はこれでいいな」
大剣に戻して背負って皆の目を見ると、頷かれる。最後に先生に目を向ける。
「うん、よし。しゅっぱーつ!」
……なんとも気が抜ける号令に肩の力が抜けてしまった。
今は二次小説の気分なんで二次小説の方をぽつぽつ上げていきます。
女性先生に決まりましたがどんな人?
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スーツでキメたポニテ先生。凛々しい
-
ゆるっと女子大生みたいな先生。ポワポワ
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その他。後で活動報告で枠作るのでそこに