「おいおい、どういう事だ?」
「に、逃げろー!」
「誰か助けてー!?」
翌日、俺はまたアビドスを訪れていた。
するとどうしたもんか変な集団がアビドス自治区を攻撃していやがった。
「はぁ……また面倒事かよ」
『戦闘システム、起動』
「まずはアビドスの子達と合流するぞ」
『街中の監視カメラをハッキング。ルートを表示します』
大剣を肩に担いで片手でバイクを走らせる。
「なっ──!?」
道中にいる奴らを吹き飛ばしながらルートを進む。……このバイク新車なのにこんな荒っぽい運転したくねぇんだけどなぁ。
「ハーッハッハッハ!どけどけぇ!」
「は、早く他の部隊に──ぐお!?」
「か、囲め!」
「おっと」
アーツを一瞬だけ発動して周囲の敵を吹き飛ばす。こういうのなんて言うんだっけ、無双ゲー?
まあいいや。とりあえず避難誘導しつつ合流しよう。
あれから戦いつつ合流地点を目指しているが、ようやく到着だ。結構時間がかかったな。
敵の数が多いし、民間人も他の自治区に比べて少ないとはいえそれでも多い。それに瓦礫で回り道する時もあった。
サヤからの情報で銀行で見た子達が加勢してくれているらしいから大丈夫そうだが、早く合流したい。
「何やってやがんだ!」
「な、なに!?」
後ろからあいつらの事狙ってやがったな?
大剣の先端を変形させて兵士の首を挟み、そのままバイクを走らせる事で地面に引き摺る。
「くっ、一度退却だ!兵力の再整備に戻れ!」
「あらよっと!」
「だ、誰だ!?」
急ブレーキをかけて車体を回して兵士をぶん投げるとガタイのいいロボットにぶつかって一緒に倒れた。
「また終わり際に来たのかよ……」
何があったか全く分かってねぇんだけど。
「理事っ!」
「貴様……どこの所属だ!……いや、まずは撤退が先か。覚えておけ、この代償は高くつくぞ……!」
逃げようと背を向ける理事と呼ばれたロボットにハンドガンを構える。
「先生!どうする?」
「ダメ!なるべく刺激しないように!もしホシノに何かあったら……」
「ホシノ……?おい、何があったか説明してもらうぞ」
部隊の撤退を眺めながらさっきまでの話を聞く。
ホシノは自分が学校を辞めてPMCに加わる事で借金が大幅に減ると言われてスカウトに応じて対策委員会を抜けた。そんでホシノが最後の生徒会役員で、対策委員会は非正規の委員会だから実質アビドスは崩壊しているだとか。
「ホシノめ……」
ちったぁ先生を信じろっつっただろうが……。
「どうすっかなぁ」
大人が相手だってんならとことん介入してやる。
先生に目を向けるとぎゅっと目を瞑っていて、少しして目を開いた。
「今日は一旦帰ろう。まずは冷静になってホシノを助ける作戦を考えないと」
「ホシノの場所はわかんのか?」
「一応当てはあるから大丈夫」
安心させようと先生が笑う。
無理しやがって。本当は不安で仕方ねぇくせに。
少しは頼れと思って見ていると誤魔化すように笑ってみせた。
「チッ!もし行くんだったら連絡寄越せよ。……絶対に寄越せよ?」
「うん、わかったよ」
ホシノの事があるから念を押してバイクを発進させた。
「あの人は誰なの?」
ラックが走り去った後にカヨコが先生に聞く。
「ラックさんの事?う〜ん、私も良く知らないんだよね。シロコが詳しいんじゃないかな?」
「ん、呼んだ?」
「あ、シロコ。ラックさんの事を教えてほしいんだけどいい?」
「うん、大丈夫。でもどこまで話していいんだろう」
シロコが頭を悩ませる。異世界から来たことまで勝手に話してもいいのかと葛藤した。しかし、多分許してくれるという謎の信頼から話すことにして
「異世界人だよ」
「「????」」
大幅に端折り過ぎた。
「えっと、キヴォトスとも先生のいた外の世界とも違う完全に別の世界から来たって言ってた。」
「へ〜、別世界?面白いね!」
横からやってきたムツキが話に加わる。
「元々軍人だったって言ってたよ」
「すごい勲章の数だっだね」
「国で一番って言ってた」
「元々軍人だったって事は今は違うの?」
ムツキが疑問を口にする。
「その後はトランスポーターっていう運び屋をしてたらしいよ。ラックさんのいたテラは天災っていう災害が多くて、大きな船みたいなのに国が乗ってるんだって。だから物資を運ぶトランスポーターは重要な役割だって聞いた。」
「あれ?そこまで話してくれましたっけ?」
「ん、今モモトークで聞いた」
「ちょっと!?運転中じゃないの!?」
「サヤが自動で返信してくれてる。あ、続きが来た。数年間旅をしながらトランスポーターを続けてて、その後は龍門っていう場所で歓楽街を仕切ってたんだって。それでまた数年後に他の人に任せて旅をしながらトランスポーターをしてたらキヴォトスに来たみたい」
「なんというかすごい経歴だね……」
「あれ、アルちゃん。いつもみたいにアウトローって言わないの?」
「頭が混乱してるのよ!?別世界から来たとか訳がわからないわよ!?」
それを聞いた先生も確かに混乱するなと思ってうんうんと頷く。
「ん、ラックさんはあれだけ性的な話をしてたのにここじゃ手を出さないみたいな事を言ってるみたい」
「はぇ?せ、性的?」
先生は混乱した!
「シロコ先輩!?その話は流石にダメでしょ!?」
「でもサヤにキヴォトスでの行動指針を聞いたら帰ってきたから……」
「多分私たちに送られてるってラックさん知らないでしょ……?」
「ん、大丈夫。ちゃんと許可はもらってるらしい」
「ほんっとオープンね!!」
「ち、ちなみにどんな話とか聞いてもいい?」
気になった先生がシロコに尋ねる。
便利屋のメンバーも気になったのか。心做しか先程よりも距離が近付いていた。
「世界一女性を抱いたって豪語してるんだって」
「せ、世界一……」
「すごっ!何人なんだろ?」
「流石にわからないらしい。けど100は超えてるって」
「奔放過ぎなのよ!」
「好きな人とかいなかったの?」
「それだけ好き勝手やってるならいないに決まってるわよ!」
「ん、いるみたい」
「嘘ッ!?」
シロコがスマホを向けるとモスティマが映っていた。
「うわ、すっごい美人だね」
「ラックさんみたいにヘイローが真っ黒」
「指輪も用意してプロポーズ一歩手前だったらしいよ」
「なんでしなかったのかしら……」
「えっと……直前になって緊張で逃げたんだって」
「日和ってるんじゃないわよ!!」
「ちなみに確実に成功するはずだったみたい」
「えぇ……」
全員が困惑する。確実にこんな綺麗な人と結婚出来るのにどうして諦めたんだろうと思った。
それと同時に今度色々吐いてもらおうと決めた瞬間だった。
ムシャムシャガツガツモグモグ
「へっくしゅ!……誰か噂してんのか?」
『ラック様、食べ過ぎはよくありませんよ』
「わかってるっての」
アビドスからバイクを走らせてから今はトリニティのカフェでスイーツを大量に食べている。
「そうそう、そうやって一気に食べたら味も分からなくてスイーツにも失礼だよ〜」
「ん?」
声に反応して正面を見ると、ピンク髪をサイドテールにした少女が座って勝手に俺のスイーツを食べていた。
「……勝手に食ってんじゃねぇ」
「食べてもいい?」
「はぁ……いいぞ」
「にひ、ありがと」
少女は美味しそうにスイーツに齧り付く。
それを見て足らないだろうと追加でスイーツを注文した。
「名前は?」
「私はスイーツの探求者、ナツ」
「……ああ、そう」
ちょっと癖があるな……。
「それで何の用だ?」
「?」
不思議そうな顔を返された。
「だから、なんか依頼か用事があったんじゃないのか?」
「ないよ?」
「……じゃあタダでスイーツを食う為だけに?」
「ラックさんの噂は聞いてたから、大丈夫かなって」
「……ああうん、好きに食べなさい」
頭痛くなってきた。
ため息を吐いて俺もスイーツを貪った。
え、友達の為にお土産も欲しい?……持ってけ泥棒!
翌日、礼拝堂でのんびりとしていると着信が入る。
「俺だ」
『ラックさん?ホシノの居場所がわかったから、手伝ってほしいんだけど、いい?』
「そいつを待ってたんだ。どこだ。すぐに向かう」
すぐに先生から場所を聞いて立ち上がる。
「ラックさん?どうかしたんですか?」
隣でお祈りをしていたマリーが首を傾げる。
「ちょっとガキを拾いに行ってくるだけだ」
「……本当に拾ってくるだけですか?」
「ああ、まあちょっとバチッと火花が散るかもしんねぇけど」
「ダメじゃないですか!?それなら私も連れて行ってください!」
「どうしたどうした?心配すんなって」
「で、でも、前みたいに倒れたら……」
「あの時は規模が規模だったろ?」
「う、うぅぅ……」
マリーが潤んだ目をサクラコに向けるとサクラコが俺に向かって微笑んだ。
それはまるで『おい、うちのを泣かせたらどうなるかわかってんやろなぁ?』と言いたげな迫力があった。ええい、クロワッサンめ、混じってくるな。
どうすっかなぁ。まあ俺が守れば良いだけなんだが、それはそれで危険な場所にはあまり連れて行きたくない。でも遠くで祈っているばかりは辛いってのも理解出来る。
悩んだ結果連れて行くことにした。こっそりついてくる事はないだろうが、後が面倒くさそうだ。
「わかった。その代わり俺の言う事をちゃんと聞くこといいな?」
「はいっ!」
マリーが勢いよく立ち上がる。
もう一度サクラコに目を向けると微笑んでいた。しかしその微笑みは先程とは違って圧力を感じないものだった。
さて、バイクで向かおうと思っていたが、マリー用のヘルメットがないからアーツで向かおう。
バイクはまあ、置いていってもいいだろ。
「忘れもんはねぇな?」
「ええっと、大丈夫です」
「よし。後これ掛けてな」
「ゴーグルですか?」
「ああ」
空飛んでる時に目に砂とか入ったら大変だしな。
俺もゴーグルに変えて装着するとマリーを横抱きに抱き上げた。
「えっ!?」
「飛ぶぞ。舌噛むなよ」
アーツを発動して大きく空に飛び上がった。
「ひゃああぁぁぁぁ!?」
いつも通り高高度に到達すると横方向にぶっ飛びアーツを解除する。
「へぁ……?」
そのままある程度その高度を維持して進み。
「ら、ラックさん?あのあのあの」
自由落下の始まりである。
「キャーーーー!?」
とはいえ落ち切ったらまた浮かぶのが面倒だからある程度落ちたらまた飛び上がる。
「ハッハー!いい景色だろ!」
「景色は綺麗ですけどぉぉぉおお!!?」
『ラック様、報告します。現在アビドス砂漠内にて各所で戦闘が発生しています。ゲヘナ風紀委員会の数人と銀行にいた便利屋と名乗る少女達、少し離れた地点にトリニティの砲撃部隊も展開しているようです。』
「……俺が最後?」
『そのようです』
「先生め……!」
呼べって言ったのに!!
つーかあいつらが速すぎだろ。俺ずっと空飛んできたのになんで先にいて戦闘してんだよ。
『アビドスと先生の位置を特定。マークします。それと大規模な熱源を見つけました。何かカイザー側に脅威となる兵器があると予想します』
ゴーグルに位置が映し出される。
同期された反応には距離は離れているが砂の中に巨大な物体がいた。
「荒れるぞ!しっかり掴まってな!」
「は、はいいぃぃ!」
アーツを発動して今までとは違い直線距離で先生達のいる地点に向かう。
マリーが周りを見る余裕が無いのか胸元に顔を突っ込んで痛いくらいに抱きついて──痛いな!?本当に痛いぞ!?
あ、マズ、着地──
「ここは私達に任せヴァッ!?」
斜めに着地して砂に足をめり込ませながら減速する。
残り時間は1分か……。さっきサヤの言ってた通りならここじゃ使えないな。
「ふぅー……なんとかなったか。マリー、大丈夫か?」
「はぇ……」
荒っぽくし過ぎたか。
アーツを纏っていたから砂とかはついてないな。
そうして先生達の方を向くと砂まみれになっていた。
「どうしたお前ら、砂まみれだぞ」
「誰のせいだと思ってるのよ!?」
「あ、アル様ぁぁぁあ!?」
一人砂に埋まってら。
しゃーねぇなぁ、世話が焼けるぜ。
少女をアーツで引っ張り出して全員に風を吹かせて砂を吹き飛ばす。
「ほらよ。これで文句無いだろ?」
「まだ耳の中に入ったのか取れない……」
あ、そうか。シロコとセリカは耳がモフモフだから絡まるのか。
「後で2人共掃除してやっから今は我慢しててくれ」
「ん、約束」
「アタシはいらないわよ!」
『後で私がやってあげるね?』
「アヤネちゃんまで!」
さてと、流石に放置し過ぎたか。
「で、昨日ぶりだな?」
「貴様は昨日の……」
「ラックだ。よろしく」
「外から来た大人か……貴様も先生か?」
「いや?今はただの何でも屋だ」
「金で雇われたか……ならばこちらが貴様をより高い金額で雇うとしよう。幾らだ?」
「いらねぇよ。そもそも雇われてねぇ」
「何……?ならばなぜだ?」
「ホシノをこのままほっといてつまんねぇ事になったらウチの子達に合わせる顔が無いんでな」
「……それだけの為か?」
「十分だろ?」
「……理解出来ん」
「そうか。俺としては穏便に話し合いで解決したいんだが?」
カイザー理事の方に歩いて行くと、その部下のロボットに銃口を突き付けられた。
「これが返答と捉えても構わないか?」
「ああ、構わない」
「わかった。先生、そいつら連れてホシノの所に行ってくれ」
「……任せてもいいの?」
「おう。ついでにマリーも連れてってくれると助かるが……」
「嫌です!」
「……つー事だから、そこの便利屋?も連れて行っていいぞ」
「もしかして、一人でやるつもり?」
そういうと便利屋の白髪ポニテの子が話しかけてきた。
心配してくれてるのか?
「当然」
「……ごめん、社長。私も残る」
「ちょ、ちょっと何言ってるのよ!?」
「そうだそうだ。俺一人で余裕だからお前らは──」
「カヨコ、あなた一人だけ置いて行ける訳ないじゃない!私達も残るわよ!」
「…………ハァ」
本当に足りてるから言ってんのに……。
「好きにしろ。ほら、早く行け!」
「わ、わかった!便利屋も、今度一緒にラーメン食べに行きましょ!」
「はい、このご恩は必ず!」
「ん、ありがと」
「早く事務所買えるように伝えておくね!」
……やっと行ったか。
「随分と余裕そうだな。たったそれだけで何ができる」
「何が出来るか見せてやろうか?」
刀を抜いて銃口を突き付けてきたロボットの首を落とさずに断つと刀を肩に乗せた。
「……ん?貴様、いつそれを抜いていた?」
「さあ?よぉ、あんたはどう思う?」
コンコンと刀でロボットを叩くと首が転げ落ちて体がこちらに倒れ込んできて大袈裟に避ける。
「おっとっと!こりゃああぶねぇな!」
「なっ……!?き、貴様ァ!総員構えろ!ここは任せるぞ!」
「便利屋!てめぇらも加わるっつったんだからしっかり頼んだぞ!」
「ま、任されたわ!」
「ごめん、みんな」
「くふふ、いーのいーのっ、どーせアルちゃんがなんだかんだで巻き込まれてただろうしね!」
「か、かっこいいです!アル様……!」
ショットガンを持った子を先頭に便利屋が戦い始めた。
「わ、私は!?」
「マリーはここ」
そう言って片手で抱き抱える。
「え?」
「守るっつったろ?」
「で、でもこれじゃラックさんが危険では……」
「余裕余裕。移動都市に乗ったつもりでいな」
「銃が使えませんよ!?」
「遠距離攻撃が銃だけの特権だと誰が決めたよ」
刀を振り上げるとその先にいたロボットの首が飛ぶ。
「え」
「まあ、戦いたいってんなら抱えられたままで良いなら好きにしな。銃は持ってんだろ?」
「が、頑張ります……」
マリーが銃を取り出して両手で握る。
……ごっっついの持ってんな。
「いっちょ気合い入れて行くか!」
ストーリー見直しながらだからちょい時間掛かり気味
女性先生に決まりましたがどんな人?
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スーツでキメたポニテ先生。凛々しい
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ゆるっと女子大生みたいな先生。ポワポワ
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その他。後で活動報告で枠作るのでそこに