ラック達と別れた先生達は追いかけてきたカイザー理事を倒し、ホシノを救出してラック達の場所に戻ってきた。そして最初に見た光景は──
「ホームラーン!」
「ひゃああぁぁ!?」
ケタケタと笑いながら刀と銃と大剣とマリーを振り回すラックだった。
その周囲にはカイザーPMCの部隊がボロボロになって倒れ伏していた。
「ば、バケモノめ!」
そう言ったPMCのオートマタは頭をボールのように蹴り飛ばされた。
「人をバケモノ呼ばわりってのは失礼じゃねぇか?あ?」
マリーを上に放り投げて刀を数度振ると銃弾が斬られ、少し遅れて剣閃がオートマタ達を斬り裂いた。
「きゅぅ……」
落ちてきたマリーを受け止めると目まぐるしく動く視界にマリーは目を回していた。
そのままラックが走り出して倒れたオートマタの頭をもぎ取って別のオートマタに向かって投げつけるとすぐに銃を引き抜いて投げつけた頭ごとオートマタの頭を撃ち抜いた。
「つよっ!?」
「ん、流石」
「私達が加勢する必要なさそうですね」
「楽しそうですね〜」
「うへ、大暴れだ」
「……なんで刀で銃弾が斬れるの?」
至極当然な先生の疑問はスルーされた。
その間にもラックが口から煙玉を吐き出して、一瞬遅れて自分も煙に飛び込むと煙が晴れた時にはオートマタの残骸が散乱していた。
「へ〜、意外と広がるんだねぇ」
「ホシノ先輩、あれなに?」
「口の中に色々仕込んでるらしいよ。器用だよねぇ」
1個貰ったんだー、とポケットから取り出してみんなに見せる。
その間にもラックはマリーを前方に放り投げて刀を納刀して駆け出し、すれ違った瞬間にはオートマタが爆散した。
「ちょ、ちょっとあれどうなってるのよ!?銃弾斬ってるわよ!?」
「かっこいいからよくない?」
「やっぱり私達必要なかったかもね」
「わ、私だって……!!」
マリーを受け止めて大剣を担ぎ上げると変形して盾になり、地面に突き立てて隠れる。
盾が注目を集める中で横からオートマタ達にハルカのショットガンによる連射で隙が生まれ、その隙をアルとムツキが叩く。
「マリー、大丈夫か?」
「く、くらくらします……」
「ちょっと乱暴だったな。なら大剣は一旦置いといておんぶにするか」
ラックがマリーを背負ってしっかりと手を前に回した事を確認すると飛び出して刀と銃を片手に蹂躙していく。
もう少しでPMCが全滅するという所で地面が揺れ始めた。
「じ、地震!?」
「みんな、周囲を警戒して!アロナ、サポートお願い!」
「あん?」
地面が揺れ始めた?
『ラック様、熱源がこちらに接近してきています』
「見えないって事は……地中か!」
アーツを発動して高く飛び上がると足元から蛇みたいなロボットが飛び出してきた。
「なんだこりゃ……おもしれぇじゃねぇか、キヴォトス!」
気分が昂り、口角が上がるのを感じる。
そのまま先生達の場所に向かって飛ぶと便利屋も合流した。
「ビ、ビナーだと!?なぜこのタイミングでこの場にいる!?」
ふらふらとやってきたカイザー理事があのロボットの名前?を叫ぶ。
「ありゃなんだ?」
「……やつは『ビナー』。デカグラマトンという人工知能の作り出した預言者の一体だ」
「人工知能ねぇ……サヤ、どう見る?」
『あの巨体をスムーズに動かせている時点でかなり高度な知能を有していると思われます』
「お前よりもか?」
『いいえ。私はロドスの優秀なエンジニアが作り上げたAIです。あのように破壊するしか脳のないAIに劣るはずがありません』
「言うようになったじゃねぇか。んじゃ、パパっとバラすか。先生、今度はマリーを頼むぞ。流石に危険だ」
「うん。一緒に後方支援をお願いしてもいいかな?」
「は、はい!ラックさん、気をつけてくださいね!」
「モーマンタイ」
サムズアップをして駆け出す。
「みんな、私達も行くよ!」
俺に狙いを定めたミサイルが飛んでくる。
横に動いても追いかけてくるから追尾式か。
「そんならこいつでどうだ」
アーツで氷の杭を作り出してミサイルにぶつけて爆発させる。斬ってもいいが、爆発に巻き込まれたらマズい。
本来ならビナーにも攻撃出来るようにしたかったが周囲の空気が乾燥しているからそこまでは出来なかった。
軽く跳び、アーツで空気を柔らかく固めてトランポリンの要領でビナーへと飛ぶ。
ミサイルで落としにくるが全てアーツで対応して空中でさっきと同じ様に跳び跳ねて加速してそのままビナーの頭まで到達して大剣を両手で握ってぶん殴る。
「かって……!?」
殴ったこっちの手が痺れちまった。
多少凹みはしたがほとんどダメージはないな。
狙撃銃を構えて目であろう部分に撃ち込むと命中した部分が弾け飛んだ。
アーツで空を飛び後ろに下がって大剣と狙撃銃を背負い直す。
残り40秒か……
「まだまだいけるな」
ビナーがこっちに向かって口を開くと光が収束し始める。
大技が来るかと身構えると横からビナーの頭部に銃弾が当たり、一瞬遅れてに大爆発を起こすとビナーの巨体が揺らいで光が霧散する。
「サンキュー!」
ビナーの体に乗って刀で色々な所を斬りつける。
やっぱりいまいちダメージ入っているように見えない。刃こぼれに気を付けて振ってるからか?
ならばと頭部に乗って大剣で何度も殴りつける。
機械だってんなら頭部とかにメインコンピュータとかがあるんじゃねぇか?
またしてもビナーが口を開き、光が収束する。
狙いは……ホシノか!
「やらせるかよ!」
頭から飛び降りて一回転しながら顎下を殴って無理矢理閉じさせる。
「どんなもん……だっ!?」
ビナーがすぐに体勢を立て直して口を開くと先程のような光ではないものの小規模なビームを発射してきて直撃する。
「いっ……たくねぇ……?」
「ラックさん!大丈夫でしたか?」
「マリーか?今のは……」
「ええと、とにかく、ラックさんへの攻撃は私がお守りします!」
……よくわかんねぇけど、キヴォトス特有のやつか。
「わかった。頼んだぞ!」
キヴォストじゃ現状補充出来ねぇから使いたくなかったけど、1番火力出すならこいつを使うしかねぇか。もうちょっとアーツの時間があればプラズマでも撃ち出せたんだがな。
「もう一度あいつの頭に乗る!そっちで時間稼いでくれるか!?」
「うん!ホシノ、前に出て!」
「うへ、生徒使いが荒いね〜」
「シロコとアルは出来るだけ顔を狙って爆発で視界を封じて!」
「ん、任せて」
「ええ、私に任せなさい!」
「ムツキは足元を崩せるか試して!他のみんなもなるべく動きを阻害するよ!アヤネは補給を!マリーはラックさんの援護をお願い!」
外がどんな世界かは知らねぇけど、一般人とは思えないな。まるでドクターみたいだ。
「サヤ、パイルの準備だ」
『了解』
ガコン、と背中から炸薬が装填された音が聞こえた。
シロコのドローンの爆撃がビナーの頭部に当たった瞬間にスタートする。
ビナーのミサイルが飛んでくるとアーツで対処し──
「ぶべぁっ!?」
正面から砂が押し寄せる。
砂嵐だと……!?このタイミングで……ビナーの仕業か?
顔面に当たったせいで変な声が出ちまっただろうが……!!ペッペッ!口の中が砂まみれだ。
それでも走り続ける。ゴーグルでビナーの位置は分かっているから問題ない。
「つ……かんだ!」
ビナーの装甲を掴んでしがみつく。ビナーがそれを嫌がって暴れるが気合いでしがみつく。
「んぎぎぎぎ!!大人しく……しろォ!」
頭部に上から空気を打ち落とす。
大きな音と共にビナーの巨体が一瞬沈む。
その反動を利用してビナーの頭部へと飛び上がる。
そして大剣を両手で逆手に握って構えると大剣が真ん中で割れて杭が露出し、そのまま割れた大剣を強く頭部に突き刺した。
ガコン、と音がして一瞬後に杭が射出されてビナーの頭部に深く突き刺さった。
「はっはー!杭が使い捨てだがアーツを使わない中で一番火力のある攻撃はどうどぅあ!?」
ビナーがのたうち回って投げ出される。
勢いをアーツで殺して最前にいたホシノの隣に降り立つ。
「あんまり無茶しないでね。シロコちゃん達が心配するから」
「ホシノはしてくれねぇのか?」
「おじさんは信頼してるからね〜」
「そりゃ嬉しいねぇ」
ビナーはまだ倒れる様子が見られない。
他のみんなからの攻撃もあったから相当ぶっ壊したはずなんだが……。
「残り20秒、決めるか」
『ラック様、いけません!』
「え?」
「おいおい、もうちょっとで倒せるんだぜ?こういう時は──オールインだ」
アーツを最大稼働し、周囲から水分を集め、巨大な氷塊を生成する。
残り6秒。
後は落とすだけだ。1秒もかからない。
ラックさんが大きな氷を作った時、隣でサヤちゃんの焦る声を聞いてラックさんの方を向いた私だけが気付く事が出来た。
普段は青色のラックさんの瞳が金色に輝いて、一瞬だけヘイローの外にもう1つ大きなヘイローが現れた。
「ん、大きい」
「うわ〜、凄いですね☆」
「…………」
「アハハッ!アルちゃん白目剥いてる〜!」
「……スケール違い過ぎるでしょ」
他のみんなは気付いてないみたい。
「どうした、ホシノ」
ラックさんの金色の瞳が私を捉えると引き込まれそうになるような感覚に包まれた。安心感というか、全てを委ねてしまいそうな、そんな感覚。
「……ううん、なんでもないよ」
「そうか」
ラックさんの手が私の頭に乗って、次にラックさんが瞬きした時には瞳はいつもの青色に戻るとその感覚は消えていて。
前を向くとビナーは氷に押し潰されていた。
ホシノには気付かれたか。
まあ別にバレた所で困る事じゃねぇし、いいか。
「……ん?カイザー理事のやつどこ行きやがった?」
周囲を見渡すが姿がない。……逃がしたか。
「ま、気にするもんでもないか」
次に前に出てきたら斬るだけだ。
「お前らこんな所からはとっとと帰るぞー」
「おじさんお腹ペコペコだよ〜」
「てめぇは後で説教だ、クソガキ」
「あ、あれ〜?」
逃がさないようにホシノを小脇に抱える。
「もうちょっといい運び方とかしてもいいんじゃない?」
「ワガママだな……よっと」
仕方ないから横抱きに抱え直す。
「うへっ!?ちょちょちょちょっとこれは恥ずかしいんだけど!?」
「1回聞いたから2度目は聞きませーん」
「み、みんなあんまり見ないでね?」
顔を赤くしてシロコ達に言う。
「ホシノ先輩ズルい」
「帰ったら私にもやってくださいね♪」
「おー、いいぜ」
「私達はアビドス高校に戻るけど、便利屋のみんなはどうする?これからホシノの説教とおかえりパーティをするつもりなんだけど、一緒にしない?」
「え?えっと、そうね。なら──」
「ダメだよ、社長。アビドス市街に風紀委員会がいるかもしれない早めに帰るよ」
「そ、そうよね。先生、そういう事だから私達は参加できないわ」
「そっかぁ……うん、じゃあまたね」
「んじゃ、お別れだな」
「ちょっと待って」
誰かに呼び止められて見るとカヨコがいた。
「どうした?」
「モモトーク交換しない?」
「おー、いいぞ。スマホだったら右ポケットにあるから勝手に取ってくれ」
「……ロックとか掛けてないんだ」
「そっちには重要な情報は入ってねぇからな」
「うん、これでいいよ。また連絡する」
「ああ、助かる。なんか依頼で手伝いが必要なら呼んでくれ」
「そっちも人手が必要なら呼んでくれると助かるかな。こっちも金欠だから」
そういえば銀行で絶望してたもんな。
「じゃあね」
「ああ」
便利屋を見送るとホシノから下から手を伸ばして頬を抓ってきた。
「んだよ」
「おじさんを放って別の女の子とお話しするのは楽しかった?」
「ああ、カヨコは美人だからな」
「へー」
ジトッとした目で見られる。
いっちょ前に嫉妬か?しゃーねぇなぁ。
「ホシノだって超美人だぜ?10人が見たら10人が振り返るだろうよ」
「わかりきったお世辞はいいよ」
「おいおい、俺は女を褒める時にお世辞は言わねぇんだよ」
「ふぅん、じゃあどこが良いのか言ってみてよ」
「俺はホシノよ目が好きだな。オッドアイが綺麗だし、眠たげなタレ目が可愛いのもそうだが強い意志が感じる」
たった一人の三年生。廃校になっていないって事はホシノにも先輩はいたんだろうが、今は一番歳上としてみんなを導くってプレッシャーを感じていてもおかしくはないはずだ。
それでも折れずに馬鹿みたいな額を毎月返済し続けてきたのは素直に尊敬する。俺がホシノの立場だったらきっととっとと見捨てているだろうから。
「あ、あのさ、わかったからそんなに見つめられると流石に照れちゃうよ……」
おっと、俺とした事が見すぎたか。
「ラックさん、ホシノ。どうしたの?」
「ん、ああ、いやなんでもない。な?」
「……うん」
おいちょっとその間は絶対何かあった間だろ。
案の定先生から何があったのかと咎めるような視線が飛んできた。俺に。
「……とっとと帰るぞ!お前ら、帰りにスーパー寄って食材買い込むぞ!今日は俺の金でパーティだ!」
そう言うとみんな早く帰ろうとする。チョロいもんだぜ。
「おじさんも片付けしないといけないから下ろしてほしいなぁ」
「放しちゃダメよ!ホシノ先輩の荷物は私とアヤネちゃんで持って行くから!」
「ホシノ先輩は抱っこされててください☆」
「……うへ」
「諦めろ」
みんなの準備が終わった時には諦めたのか、腕の中で大人しくなっていて、俺の胸元に頭を預けていた。
パーティも終わり、片付けが済んで今日はみんなアビドス高校で泊まる事になった。
ちなみに俺はアップルパイを作り大好評だった。当たり前だ、エクシアから教えてもらったレシピが美味くないわけない。
今は女子会だからとサヤを取り上げられて部屋から追い出された。あいつらサヤから色々聞き出そうとしてるだけだろ。
別に知られて困る事はサヤが言わないから良いかと屋上でタバコを吸って時間を潰しているとホシノがやってきて隣に座った。
「よう、女子会は良いのか?」
「うん、モスティマさんやエクシアさんの話はもう聞いたからね」
うげ、と顔を歪める。
やっぱりその手の話だったか。最近のサヤは随分とおしゃべりになりやがった。まあ、良い事ではあるんだが。
「それで、そのまま寝れば良かったのになんでこっちに来たんだ?」
「わかってるでしょ?」
「まあな」
「あれはなんだったの?目が金色だったし、ヘイローが増えてた。テラだと普通なのかな?」
「いや、俺だけだ」
話していいものか……物騒な話になる。
「あんまり話したくない?」
「子供にはまだ早いからな」
「え〜、それじゃおじさん気になって眠れなくなっちゃうよ〜」
「わかったよ、話してやる。しっかり聞けよ?」
「うん」
コホン、と咳払いをする。
「実は俺、ちょっと神様扱いされてたんだよね」
「……」
「いや、マジだって。嘘じゃないぞ」
だからそんな胡散臭い物を見るような目をするんじゃねぇ。
「色々あって勝手に神様だーって言われて宗教が出来てたんだ。俺が作った訳じゃねぇかんな」
「わかったよ。それで続きは?」
「全く……んでだな。ある時捕まっちまってな。そこの教祖が作った薬を投与されたらこうなった」
「……うへ」
「最初は制御出来なかったんだけど、俺にかかりゃ余裕だったぜ」
『使い過ぎたらどんなリスクがあるかもわかってないのに使わないでください』
ゴーグルからサヤの声がする。さては抜け出してきたな?
『薬を打たれた直後からすぐにアーツを暴走させていたでしょう』
「あんときゃ……その、色々弱ってたんだからしゃーねぇだろ」
「アーツの話はわかったけど、その宗教は結局どうなったの?」
『数人を除いて全員ラック様の暴走に巻き込まれて死にました』
さっきまで異世界の話だとどこか楽しそうに聞いていたホシノの顔が歪む。
「サヤ」
『いつかは知られる事です』
「ねぇ、それって、何人くらいだったの?」
『計測不明ですが、予想される規模は数千以上です』
「サヤ!」
『申し訳ございません』
「お喋りが過ぎるぞ。スリープモードに入れ」
『……畏まりました』
ゴーグルを外してため息を吐く。
「全く……ホシノ、今のは忘れてくれ。子供が聞くような話じゃねぇ」
「ううん、忘れないよ」
「忘れろっつってんだろ」
「嫌だよ」
ああ、もうめんどくせぇ。
ホシノの手首を掴んで押し倒す。
「とっとと忘れろよ。あんまり強情だとちょっと痛い目を見るぞ」
ぐっ、と手に力を込めて顔を寄せる。
すると、ホシノが抵抗して腕を押し返し……あれ?そのまま体を起こして逆にホシノに押し倒されて、腹の上に乗られて腕を押さえ付けられた。
え、嘘、力強。
「ラックさん、抵抗しなくてもいいの?」
「え、いや、力入れてるけど……???」
「それが全力なの?」
「全力だけど???」
「……ふぅん、そうなんだ」
力を込めて見るが腕が一向に上がる気がしない。
「ごめんね。私が聞かなかったらラックさんだってサヤちゃんに怒らなくて良かったのに」
「え、あ、うん、そうだな?」
「でもさ、私は聞けて良かったと思ってるよ。ラックさんって、色んな話はしてくれるけど、子供だからって一線引いてるでしょ?」
「まあ、そりゃあな。あんまりショック受けるような事とかは避けるようにしているな」
「じゃあ私の前だけでも気にしなくてもいいよ」
「そういう訳には……」
「気にしなくてもいいからね」
「……わかったよ」
腹に力を入れて腹筋をしてみるが、腹の上に乗られているから浮かない。
足をバタつかせてみるが、効果無し。
すると、ホシノが顔を寄せてきた。
「所でさ、さっきは何をしようとしてたのかな?」
「何って……ナニ?」
「私、ラックさんが来てくれたの結構嬉しかったんだよね。だからさ、ちょっとくらいならいいよ」
そう言って顔を寄せてくる。
「ほら、サヤちゃんが言ってたけど、キヴォトスに来てからあんまりそういう事出来てないんでしょ?その……ね、頑張ってくれてたし、ちょっとくらい手伝おっかなって……」
目をあちこちに泳がせて顔を少し赤らめる。
「ただ勝手にどっか行ったガキ拾いに行っただけだ。気にすんな」
そういうとジトッとした目で見られる。
「女の子がお礼したいって言ってるのに酷くない?」
「知るか」
「へぇ……じゃあ私も勝手にやるね」
そして再度顔を寄せてきた。
「バッカ、自分の事を大事にしやがれ!」
ムキになったのか止まらねぇ!
腕も動かねぇから足をバタつかせて顔をぐっと左右に動かす。
「……そんなに私の事嫌い?」
ホシノがぽつりと言う。
ちょっと露骨に嫌がり過ぎたか……?
「いや、その、なんだ。別に嫌いじゃねぇけど、キスも初めてだろ。大事に取っとくべきだ。俺なんかに使うんじゃあねぇ」
「お礼だって言ってるでしょ?」
「だったら飯の一つでも奢ってくれ。それで充分だ」
「え〜、お金のない子供にご飯奢らせるの?」
「お礼っつったクセに文句が多いな……わかった。そこまで言うなら添い寝でもしてもらおうじゃねぇか」
「……うへ!?」
「お礼なんだろ?オラ、行くぞ」
「ま、待って待って!まだ心の準備が……!?」
添い寝だっつってんのに何を想像してんのか。マセガキめ。
この後ホシノの昼寝部屋でぐっすり眠った。
「……んん?」
胸の上に誰か乗ってる。この重さは……スズランか?
全く、大きくなっても甘えんぼな所は変わらないな。
寝惚けた頭で胸の上の人物を抱き寄せて髪にぐりぐりと顔を押し付けると額にキスを一つ。
「ん、ラックさん。私にもするべき」
横からそんな声が聞こえてきて、声の方を見るとシロコが横にいた。
……シロコ?あ、そうか。ここキヴォトスだったな。
おや?だが、そうだとすると胸の上に乗ってるのは一体?
顔を下に向けた。
「う、うへぇ……」
そこには顔を真っ赤にさせたホシノがいた。
……おっと、スズランと間違えたみたいだ。
「聞いてる?私にも」
「ちょっ……!?」
ぐいぐいと頭を押し付けてくるシロコに抵抗していると教室の扉が開かれた。
「シロコ先ぱーい?何かあった……な、何してるのよー!?」
「待て!俺は無実だ!それよりも助けてくれ!」
その後、先生が来たことによってようやく落ち着いた。
ちなみにラックが無双できる章はギャグ除いて大体ここまでの予定です。
悲しいね
女性先生に決まりましたがどんな人?
-
スーツでキメたポニテ先生。凛々しい
-
ゆるっと女子大生みたいな先生。ポワポワ
-
その他。後で活動報告で枠作るのでそこに