よく見てみると、挑戦者のレベルに合わせてジムリーダーも手持ちポケモンを変更しているらしい。
安心した。
今の手持ちでは絶対に勝てない。
なら炭鉱で見たワンリキーは出てこないかもしれないな。
モニターに映し出された情報を確認する。
挑戦者の名前はヒカリ、手持ちは……
・エンペルト
・ミミロップ
・パチリス
・マンムー
・トゲキッス
・クレセリア
レベルは60〜80前後とバラバラだ。
テレビでも見たことがないポケモンがいるな。
一応図鑑に登録しておく。
ジムに入った時には試合終盤だったので、ここでエンペルトがメタルクローでバンギラスを沈めて試合終了となった。
勝者はバッジを渡され、退出した。
「さーて! 他に挑戦したい者はいるか? 対戦相手に合わせてレベルは変更されるから安心してくれ」
負けても再挑戦出来るし、ここは手合わせ願おう。
観戦席より前に出る。
「君は、昨日炭鉱にいたね」
クロガネシティ、ジムリーダー、ヒョウタ。
ジムは初めてかな? 解説をするね、と一呼吸置いてから説明を始めた。
「ジムバトルは最新のレギュレーションに則って行われるよ。現在は6vs6のシングル、持ち物重複なし、ノーマルルールになっています。先程もスタッフから説明があったけど、ここではジムリーダーが挑戦者にレベルを合わせるために先に手持ちを公開してもらう。質問はあるかな?」
特に気になる点はないので、首を横に振る。
「よし、それでは良いバトルにしようか」
モニターに自分の手持ちが表示される。
先発はヒトカゲレベル10。そしてコイキングレベル15だ。
早くギャラドスに進化させたいので、炭鉱ではコイキングを優先してレベルを上げていた。
スタッフが審判を務め、ヒョウタが三匹の手持ちを持つと空気が変わった。
なんだ?
「ようこそ!
クロガネシティ ポケモンジムへ
ボクが ジムリーダーの ヒョウタ!
いわタイプの ポケモンと ともに
あゆむことを きめた トレーナーさ」
「さてと きみの
トレーナー としての じつりょく
そして いっしょに たたかう
ポケモンの つよさ みせてもらうよ!」
「ゆけっ! イワーク!」
少し違和感があったが、問題なさそうだ。
モニターを確認する。
・イワーク
・ズガイドス
・イシツブテ
レベルもそんなに高くないので、これなら勝てる。
ヒトカゲと能力で繋がり、たまごワザのアイアンテールを覚えさせてそのまま攻撃させる。
トレーナーの知識と経験があれば、エリートトレーナーでも可能な技能だ。能力でそこはカバーする。
岩タイプに鋼タイプは効果抜群。
タイプ不一致といえど、急所を狙ったので一撃で瀕死に追い込む。
「驚いたよ、まさか本来ヒトカゲが覚えないはずのアイアンテールを使うなんて。でもイワークは特性がんじょうなんだ! どんな攻撃でも一撃は耐え……え?」
アイアンテールのあとに、尻尾の炎から鬼火を擦りつけていた。
イワークは確定でやけど状態になり、崩れ落ちる。
「……想像以上だね」
そうして繰り出されるのはイシツブテ。
ヒトカゲ、再度アイアンテールだ!
「イシツブテ、ロックカットして避けろ!」
イシツブテが自ら体から無駄を削ぎ落とし、素早さが上昇する。
だが、追いつけないほどではない!
アイアンテールがイシツブテに直撃し、先程と同じ要領で瀕死になる。
残りはズガイドスのみ。
「さあ、やろうかズガイドス。じならし!」
まともにくらってしまう。
体力が残り少しになってしまったが、ヒトカゲの特性もうか。
技の威力が上がるが、ここはひのこを選択する。
ひのこを押し付けたところで、2度目のじならしを受けてダウンした。
「コイキングだけで、ボクのズガイドスを倒せるかな?」
このコイキングは、コイキングという種族では指折りの個体だが、それは決して種族間の格差を埋められるものでは無い。(個体値がどれだけ高くても、種族値が低いからだ)
だから持たせてある……! しんかのきせき!
道中で助けた老人がくれたものだ。
再度じならし、しんかのきせきの力で耐える。
たいあたりを繰り返して勝利した。
地味な終わり方だったな。
この戦いでヒトカゲはレベル12、コイキングは17になった。
このコイキングがギャラドスに進化すれば、必ず負け無しになるだろう。
「見事なバトルセンスだった、完敗だよ。これがバッジと、初めての挑戦だからケースも渡しておくね。君のポケモンとの絆と力には目をみはるものがあった。全てのバッジを集め終えたら、またおいで。本気のパーティで相手をするから」
頷いてバッジをケースに嵌める。
その場を後にしようとするが、入口で立ち止まる。
……ジムバトルの途中、観戦席から視線を感じていた。
先にジムリーダーとバトルしていた、ヒカリ、だったか?
「ねぇねぇ、きみ! コウキと同じ力持ってるよね? 良かったらこれ受け取って! 今度あったらバトルしましょう! またね!」
返事をする間もない。嵐のような女だった。
どうやら渡されたこれはポケモンのたまごのようだ。
能力で鑑定してみるも、中身はわからない。
孵してみるか。
授かった能力は、どうやらヒカリの見立てではチャンピオンの能力と同一らしい。
まだ全貌が自分でも分かっていないが、レベル帯さえ同程度であれば負ける気はしない。
次は草タイプのジムに行こう。
蹂躙してやる。