「ま、私にかかれば使徒相手でもこんなものかしら」
惨敗だった。まるで歯が立たない。
異能の力は強制的にレベルの強制開放や潜在能力を引き出すことが出来るが、シロナのガブリアスのレベルは87。
反撃できたのは、リザードの攻撃が少し掠っただけ……。
反省しよう、思いあがっていた。
たとえ伝説のポケモン相手でも、勝てると思いこんでいた。
前チャンピオン、シロナのガブリアスだけでこてんぱんに叩きのめされた。
いつか必ずリベンジする。
そう誓った。
「鍛えてあげるとは言ったけど、ここまで圧勝だと肩透かしね」
ふと、心の声が漏れた。
「……俺はレベルさえ上げれば、誰にでも勝てると思っていた」
「表情から透けて見えたわ。だって、そんなに自身満々な目をしているんですもの」
「だが、今回のバトルでわかったことがある」
一呼吸、置いて。
「俺の能力は、ポケモンと心を通じ合わせて、その能力を最大限引き出すことだ。だが、それに頼るばかりで肝心な戦い方がお粗末だった」
「そうね、例えば最初のロゼリアのしびれごな。真正面からぶつけるのでなく、回避に専念して小刻みに何度も放つことでガブリアスを『軽いマヒ状態』にくらいは出来たんじゃないかしら?」
そう、目の前の問題に対する解決能力はある。
しかし、バトルに勝つという目的そのものしか見ておらず、型にハマった戦い方しか出来ていない。
それがとてもわかった。
「よく言うと臨機応変。悪く言うと単調。能力に頼っていてばかりでは勝てるけど成長できない、のよ」
そう言って、シロナは両手を組んで伸びをした。
金色の髪が揺れる。
「個人レッスンはこれでおしまい! さ、店に戻って、使徒について更に詳しく教えてあげましょうか」
脱力して、後ろを向いて歩き始めた。
慌てて着いて行く。
「え~と、創造神と時空の狭間と破れた世界と……これまでの使徒についての文献についても伝えておかなきゃかな」
振り返ったシロナの目はキラキラと輝いていた。
それが地獄の始まりだった。
考古学を専攻しており、チャンピオンとしての権限も用いて研究を進めているシロナは、好きなものに対してはとことん夢中になって取り組めるタイプらしい。
昼過ぎから、夜も更けた喫茶店の閉店時間まで、延々と昔話やシンオウ地方の伝説について聞かされることとなった。
そこで終わると思った。
しかし、まだ話したりないのか。
流石チャンピオンというべきか、招待されたのはホテルのスイートルーム。
とても疲れていたが、眠ることは許されない。
似たようで違うけど、参考になるのかならないのかも分からない話を、強制的に耳に叩き込まれた。
食事はルームサービス。風呂にも入れず、朝日が窓から差し込む頃にようやく解放された。
「――つかれた」
浴室に向かったシロナを横目に、ベッドへ倒れ込んだ。
久しぶりの執筆につきリハビリ。
文体違うかも。