ありふれた異世界剣豪は世界最強 作:NOUMINのライバルTUBAME
「ふわぁ……ねむ……」
佐々木一心、16歳。彼は現在、色々な経験を経て──高校一年生となっていた。
相変わらず、長い紺色の髪の毛はそのままゴムでまとめてそろそろ腰まで届こうかと行ったところ。全身から気だるさオーラ全開ではあるが、その歩き方、風貌から
佐々木一心はお見合いの日からどんどん成長した。岩流の書を読み込み、彼の中に住んでいた
そして、15歳の誕生日を迎えたその日──師匠は肉体を得て、一心の目の前に現れた。
◇
「そ、の姿……は宗、真?」
「──いんや、儂じゃよ一心。訳あって乗っ取らせて貰った」
「どういうことだよ師匠!!?」
「どうもこうも無い、ただ、そろそろ
宗真──否、師匠たる佐々木小次郎は、まるで悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべて笑った。
しかし、一心の表情は重い。それは、宗真を乗っ取られた瞬間に手渡してきた、明らかに業物と分かる
「儂は過去の人間。それが生き汚くこの世にいたに過ぎない。──じゃが、お主が現れた。儂の願いを具現してくれる、お主が」
「……なら!その願いを最後まで一緒に見てさ、一緒に笑ったって──」
「……残念ながら、その未来は有り得ない。過去の異物は
「何を言っても、無駄……なんですよね?」
「──嗚呼、そうじゃ。……悲しいことにな」
「伊達に15年間貴方と生きていない。言わなくたって……解りましたよ」
一心の声が震える。今まで涙を見せたことの無い彼が、今、泣いていた。
小次郎はそんな一心を優しく、悲しそうに見ていた。
一心は闘いたくなかった。しかし、心の奥底ではそれが正しいことだと理解していた。
「そもそも。儂が未だこうして幽霊としている時点で可笑しいんじゃよ。見逃されていただけで、最早儂に時間は残されとらん。故に──」
「心残りがないように、最後にぶつかり稽古を、な」
「深夜の道場で会おう」──と言い残すと、小次郎はその場を立ち去った。
その場には、ただ肩を震わせ刀に涙をポツポツ落とす、ただの少年の姿があった。
◇
月明かりに照らされて、道場の窓から差し込む光は神聖的な雰囲気を感じさせた。
長さ八尺の木刀を脇に置き、僅かな光に照らされた小次郎は、はっと息をのむほど綺麗な姿勢でただ一心を待っていた。
「…………来たか」
道場の戸が開く。そこには、黒い道着に身を包み長い一本の太刀を持った一心が立っていた。
小次郎は一心が来ることを疑ってなどいなかった。彼が文字通り、一心同体で現世で生きたが故に、確信していた。──小次郎は笑っていた。穏やかに。
一心はどんなに心の中で戦いたくないと思っていたとしても、小次郎の言葉を違えるということはしなかった。一心は、師匠たる小次郎の事を誰よりも尊敬しているがために、これ以上現世に留まらせるわけにも行かない、と。
死ぬならば、せめて弟子の剣で──
言葉は在らず──寧ろ不要。
カチリ──と一心の持つ刀が鳴く。そしてすらり、と抜き放つと鞘を放り投げ構える。
木刀を一振り。ただそれだけで、今まで出会ってきた人間との
空気が澄みわたり、屋敷の庭のししおどしがカンッと鳴り響く。両者の闘志は十分。燃え上がるような気焔が目に宿る。
足をぐぐっと沈め、最初の打ち込む場所を思考し、どう効率的に動けば良いかシュミレートを開始する。
たっぷり睨みあって三分間。ついにその時は訪れる。
「往くぞ──」
「応───!」
いざ──
尋常に──
勝負──!!
◆
初撃。当たり前だが、当たらない。師匠にはいつも遅すぎると言われてたっけ。確かに音まで切った感触があったのに悠々と持っていた木刀で受け止められた。なら、もう一回今度はさらに距離を詰めて──ッ!!?
弾き返されてから、脇に鋭く一撃。受けようとしたが出来なかった。──早すぎる。視認するのがやっとだ……いや嘘。本当はブレてる所をギリギリ認識出来るくらい。本気を出した師匠ならもっと早くなるだろうな。
ここで一度退くのは下策だろう。自分もだが、師匠が持っている木刀はリーチが長い。下手に退けば、寧ろ格好の的になる。だからこそそのまま三連撃!!
二本流された。そして一本受け止められた。
割と会心の一撃になる感じだったんだけどなぁ……そんな風に笑って受けられてちゃ自信無くすぜ。
とはいえ、呑気にしてられない。つかそれしたら死ぬ。だから俺は只管攻める事にする。
正攻法じゃ師匠に勝てない。ならば、愚直に攻めて、勝ち筋を探すだけだ。
無謀なのは分かっている。それでも、それでも!!
俺は、師匠に、
◆◆
目の前に血だらけ、痣だらけの弟子──一心が肩を上下させている。
既に時間にして一時間は経っているが、儂の攻撃を受けても「まだまだ!」と言って立ち上がってくる。
……一心を導いた師匠としては、喜ばしく思う。が──ただの先祖、佐々木小次郎としてはもう充分だと言いたかった。
はは…自分から「儂を斬れ」なんて言った癖に、もう良いなどと思ってしまったなんて。存外、絆されてしまったのかもしれんな。
──ならば、己に喝を入れよう。甘えは一心のためにならないと自分に言い聞かせて。
一心の攻撃──ただの人間であれば回避不能であろう疾さの剣を正面から受け流し、反撃をしながら。
上がる口角と、湿っぽい感情は押し殺しながら、さらに攻撃の勢いを上げた。
◇
──斬。
回数にして二万六千九百五十回目の斬撃は、またしても嘲笑うように師匠たる、小次郎の木刀により阻まれ、反撃とばかりに一心の右腕に重い一撃を喰らわせて、新しく痣を作る。
だが、決して一心の攻撃が小次郎に届いていなかったという訳では無い。
小次郎の纏う道着を見れば、無数の切り傷が出来ており、また頬には薄く三本の傷が入っており、そこから少なくない血が流れていた。
気が遠くなるほど攻撃を仕掛けて、気が遠くなるほど反撃を受けても立ち上がり向かってくる一心。
対して、
常人ならばその一撃、一撃で沈むような攻撃を軽くいなしていたが、戦いの中で確かに成長してきた一心により段々と捌ききれない攻撃が増えてきた小次郎。
互いに千日手。しかし、一心が劣勢な状況だが──決め手に欠ける。
そう──
「……フッ、互いに考えることは同じらしい」
「えぇ……全く」
──多重次元屈折現象というものがある。
若き佐々木小次郎は考えた。あの空を凄まじいスピードでとぶ
あの憎たらしい燕は良く農作物を盗み食うだけには飽き足らず、悪戯までしてから逃げ去るのだ。
元々農民であった佐々木小次郎はこれに頭を悩まし、ある日とうとうキレた。
「あんのクソ燕絶対ぶっ殺してやる!!」
思い立ったが吉日。その日から小次郎は罠を仕掛ける──でもなく、木刀を振り始めた。
──奴は早い。
ならば、刀自体を伸ばせば良いだろう。
──奴は早い。
ならば素早く振り下ろせば良いだろう。
──奴はとんでもなく迅い。
ならば
かの
──結果として、それは
そして、岩流の最終奥義として書に記される事になった。
そのまた後の世で、その奥義によって起こされる現象を多重次元屈折現象と呼ばれることになる。
……なお、普通に罠作った方が良くね?という言葉は禁句である。浪漫の為には時に現実的な意見を無視することもあるのだ。
閑話休題。
──ともかく。岩流、最終奥義『秘剣・燕返し』はただ、燕を切れるだけでない。こと、対人戦になれば恐ろしさは更にます。
同時に、三度。刀は一本しかないのにも関わらず、別方向から三つの斬撃が迫り来るのだ。
回避できる可能性はまず無いだろう。
二人は、それを放とうとしていた。
正しく、最後の交差になるだろう。
言葉は無い。
互いの呼吸音と、高まる集中力が全身を浸す。
深い、深い、瞑想の内にカッと目を見開いて二人は同時に動いた。
「「秘剣──」」
一心は踏み込む。師匠にありがとうと伝えるため、もう大丈夫だと伝えるために。
小次郎は踏み込む。師匠として、最期に弟子に自身の技の粋を見せるために。
「「燕返し──!!!」」
◆
嗚呼、全く、素晴らしい剣だった。我が弟子ながら良く、育った──。
最後の一合。あの瞬間だけ、一心は儂よりも
弾くのは簡単じゃった。しかし、一心に眠る
この子ならば、佐々木家を変えられる。
この子ならば、まだまだ高みへと到れる。
そう、思うたのじゃ。
故に、四度目の斬撃はあえて受けた。
じゃから──
「そ、う……泣くでない……一心……」
「……泣いてなんか……っ、」
「説得力が……ないのぅ……」
宗真はその場に倒れ、儂の幽体だけが外に放り出されている。儂の幽体は、もう消えかかっており長くない事が誰の目から見ても明らかじゃろうな。
「──聞け。一心」
「主は誰よりも強くなった。今のお主に斬れぬ物などないじゃろう──だが。決してそこな男のようにつまらぬ小物になるな。決して、己の欲望のために『岩流』を、使うな。それはただ、自分を獣や畜生へと貶める行為に他ならん。──良いな?」
まぁ、こんな事を言わずともこの弟子は、儂には勿体ない程よく出来たこの、弟子は……
「──はいっ!!」
きちんと、理解してるじゃろう……
「カ、カ、カ……善き哉善き哉。嗚呼……主に出会えただけで、気の遠くなる年月も……無駄では無かったと……思える……」
「……師匠。今まで、お世話になりましたっ……!どうか……どうか………」
──お元気で。
は、は、は……ならば、儂もあの世で待っておくことにするかのぅ……上等な酒を片手に持って……お前が来るまで、気長に…………ず……っと……………
◆◆
──今でも、あの日の事を思い返す。
太陽の日差しに照らされて、薄く消えゆく師匠に涙ながらに別れを告げて、師匠の言葉を胸に刻みつけてその日からさらに、修練に打ち込み、改革の為に根回しを進めて行った。
気付けば俺も高校生となっていた。そんでもって、高校生までぼっちだった。
……いや、言い訳をするとだなクソみたいなこの佐々木家を変えるために、色々と走り回ったりしてたらな?友達とか作る暇なくてな?唯一仲が良いと胸を張って言えるのが、元お見合い相手で、幼なじみの八重樫雫くらいでな……
まぁ、雫は美人さんだしいま通ってるうちの高校でも二大女神〜なんて呼ばれるくらいだし、俺には過ぎた友人だと思うけどさぁ……もっとこう……猥談とかさ、恋バナとかさ、ゲームの話とかで盛り上がれる友人が欲しかったというか……。
だが!!それは今は昔の話!!なんと!!俺、高校一年生にして初めて同性の友人が二人も出来ました!!
その名も、南雲ハジメ君と遠藤浩介君!!
いや〜毎日が楽しい!!学校最高!!
南雲は色んなゲームを教えてくれた友達だし、遠藤は影が薄くて逆にキャラ立ってたから話しかけたら涙ながらに抱きついて来たし──きっとこれが男同士の熱い友情、ってやつだよなー!!
っと、そんなこんなで学校か。よーし、元気に挨拶しちゃうぞーう!!
「おっはようございまーーす!!」
「──っぴゃっ!!?お、おはようございます…?今日も朝早いね……」
「愛子ちゃん先生、おはっす!」
「テンション高いのはいい事だけど……まだ、誰も来てないよ?」
「……あ」
朝6:30の教室には、授業の準備をしていた愛子ちゃん先生以外は誰も居ないことに気付き、俺が早すぎただけか、と少し照れくさくなってしまった。
長くなりすぎるのでここで切ります。中途半端で申し訳ない。
宗真の身体スペックは十分の一伏黒甚爾です。しかし、開祖インストールにより技術だけで一心を上回りました。
あと、描写してないですが一心vs小次郎のあと宗真は酷い筋肉痛で三週間寝込みます。
ちなみに今の一心君の身体スペックは伏黒甚爾です。さらに伸びる予定です
……あと、ステータスってやっぱ魔力0の方が良いですか?良いですよね?