ありふれた異世界剣豪は世界最強 作:NOUMINのライバルTUBAME
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「ん?一心、武器なら宝物庫にあるぞ?」
「あーじゃあさ、その宝物庫に
「ふむ……記憶力があんまりいい方では無いが……確かに無かった気がするな」
「そこで南雲の錬成って訳だ」
「……なるほど」
そう──佐々木家の扱う『岩流』とは従来の刀を想定としたものでは無く、長さ90cmの『物干し竿』と呼ばれる刀を扱う為の剣術なのだ。だからウチにはお抱えの鍛冶師の一家──たしか千子家という家に代々木刀や真剣の作成の依頼をしてるんだっけか。
何はともあれ、最初はどうせないだろうし適当なロングソード使うかとか思ってたが"錬成"の力を持つ南雲がいるならば話は変わってくる。
「とりあえず二本、修練用の奴と実践用の奴で欲しいな。……頼めるか?」
「……うん。とりあえずできる事があるなら、全力でやってみる!」
「なら素材がいるだろう。おーい!そこの!スマンが木を持ってきてくれないか!」
「木?」
「あぁ、錬成をしようにもまずは素材がないと出来ないんだぞ?」
「そうなのか」
そうなのか。
メルドさんの指示に従って部下の人がだいたい90cmほどの木をふたりがかかりで持ってきた。
「それにいまのハジメの魔力じゃ、木刀一本が限界だろうからな。 まぁ今すぐ戦いに行くって訳じゃないんだ。少しこの世界のことを見てからでも遅くは無いだろう?」
「確かに、少し急かしすぎたな。すまん南雲」
「い、いや大丈夫だよ!直ぐに真剣の方も作れるようになるから待っててね」
「おう!」
いやーメルドさんマジで良い人だな。初めてこの世界に来てまともな大人を見たかもしれない。今までの大人は勇者だ、救世主だと持ち上げてきて擦り寄ってくる貴族に、何か企みがありそうな教会の連中しかいなかったからどうにか交渉してこちら側に引き込みてぇなぁ。
だが、メルドさんは元からトータスの住人だ。あっちからの人にすれば異世界人は俺たちで、無理に味方にしようとするのは良くないだろうな。
出来たらやる方向で、こちらが引き込める情報と材料があれば速攻で引き入れる。あのタイプはあれだな、味方を逃がすために死ぬか、自陣営のやつから疎まれて暗殺されるかのどっちかだと見た。
これから(主に天之河のお世話で)迷惑かけるだろうしな。生きていて欲しいと切実に思う。
「そ、それじゃあ準備できたから……やるね!」
「……あぁ頼むぜ」
「すぅー"錬成"!」
南雲が深呼吸をした後に赤い光が木を包み──
「おぉ……こいつは……」
その手元には、元の世界で使っていたものと何も変わっていない木刀があった。
……こいつはすげえな。俺はイメージを伝えただけなのに、
木刀を持ち、少し素振りをしてみる。
「……ああ、
「ははは……感謝の極み……って言っておこうかな」
オタクにしか通じない受け答えをすると、南雲は少し顔色を悪くさせながら座り込んだ。……無茶をさせてしまったか。やはり魔力が平均値だと武器を一本作るのにも少しキツイらしい。
俺は手を差し出しながら「大丈夫か?」と聞くと、南雲は「大丈夫だよ」とだけ返して俺の手を取って立ち上がった。とはいえ、初めて魔法を使ったんだ。少し休んでもらおうと影になる場所まで連れて行き座らせた。メルドさんにも許可とったしゆっくり休んでクレメンス。
「……はは、ありがとう佐々木君」
「当たり前のことをしただけだ。気にすんな」
そう俺は気遣いの達人……!!佐々木家じゃあ今まで迷惑掛けた人達に色々を気を回したり謝りに行ったりで大変だったんだがな……その途中で変な技能を習得しちまったよ。
さて、と。
俺たちが木刀だなんだと色々している内にほかのクラスメイト達は武器を選んできたらしい。それぞれ煌びやかな武器を持って、顔を輝かせながら振り回している。
んーー悩むな。俺はどのポジションで動こうか。
初日にメルドさんから直々に教えることないから座学だけ出ても良い、だなんて言われてるからな。
本音を言うなら胡散臭い教会周辺を調べたいが……関係値も、信頼もまだ足りない状況で単独行動はナンセンスだ。もどかしいが、いまはまだ泳がせておくほかないだろう。
じゃあ教官ポジでメルドさんのサポートとか?出来なくは無いが……俺が教えられんのはせいぜい心構えくらいだ。
このクラスメイトたちに『岩流』は恐らく無理だろう。あれは頭のおかしいレベルで体と心を鍛えた奴が修める流派だ。超人用と言ってもいい。そしてそれを常人でも扱えるようにダウングレードしたのが『八重樫流』ってわけで、体も何も出来てないただの高校生にやらせるにはちと酷だ。
…………まぁ俺は一歳のころからそれをやってたんですけどね!!!!
まぁ、棒振り程度なら教えられるし気になったら指摘する程度にしとくか。変にでしゃばってもメルドさんの迷惑になるだけだろうしな。当分は自己研鑽に時間を費やそう。
そして、どこかしらで金を稼ぐことにする。
教会の連中は宗教という名の結束で防がれている。いやまぁ、生臭坊主的な奴もいるんだろうけどそういう人間はトカゲの尻尾切り用の人員だ。そこから情報を得たところで大したもんは無いだろうしな。
付けこむなら貴族辺りか。
一枚岩では無いだろうし、付けこめそうな隙はこの国だとこのくらいだ。王族?論外だよ。初日に見たあの光景、あれが全てだ。完全に国が宗教に屈してる。
仮に王族を引き込めたとしても、付けられている
「はあ……考えることが多すぎるぜ、全く」
こういう政治闘争は好きじゃないんだがな。
皆の安全を確保するにはやるしかないみたいだ。
「うおお!!すっげぇ!!」
「かっけぇ……」
「これがあれば俺だって……!!」
クラスメイト達は明らかに浮かれてる。……男子連中は特に。いや武器持って興奮する気持ちは分からなくもないが──
ブォン!!!
浮ついていると足元を掬われかねない。
……はぁ、今から胃が痛くなってきた。
◇
ブォン!!
ハジメに作って貰った木刀を数回振り下ろす。手によく馴染む感覚で顔を綻ばせる一心。今度は少し本腰を入れて降ってみると、ちょっとしたつむじ風が舞うとともに、一心は満足気にその木刀を眺める。
その様子を見ていたメルド団長は「ほう……」と感動していた。基本の構えから振り下ろされる木刀は凄まじいスピードが出ており、美しく綺麗な軌道を通って地面に触れるギリギリのところでピタリと止めた。
一心の持っていた木刀がもし真剣で、もし相手が目の前に立っていたならば、例え鎧を完全装備していたとしても、先の一振りで鎧ごとスッパリと斬ってみせるだろう──とメルド団長は推察し、一心の技量に戦々恐々としていた。
ステータスプレートの時点で己を超えていたため強いという事は知っていたが、実際に目にするとその異様さを肌で理解した。
「……本当に教えることがないな、一心には」
「まぁ俺に関しては一人でやるよ。メルドさんは他のクラスメイト──特に志願した連中にはビシバシ鍛えてやって」
「一心はなにか仲間達に教えたりはしないのか?」
「うーん……俺のソレはあまり参考にならないと思うし、おそらくノイズになっちまうからさ。教えるならメルドさんの方が良い」
「……そうか」
寂しそうに笑う一心と、その笑顔の奥にある孤独感を感じ取ったメルド団長は複雑そうに頷いた。
「まぁでも俺、棒振りくらいなら教えられるし気になったところがあったらすこし指摘したりするかも」
「そいつは助かる。流石に俺もこの人数相手に全員教えられる気がしないからな。一心がサポートしてくれるなら百人力だ!」
メルド団長は心の底で芽生えた同情心を吹き飛ばすように豪快に笑うと、一心の背中をバンバン叩いた。
一心は少し痛がりながらも、先程の寂しそうな笑顔から一転し「任せてくれよ」と胸を張った。
その後はちょっとした認識のすり合わせなどを行ってその日を終えた。
なお、愛子先生にステータスで負けてさらに意気消沈するハジメを慰める一心と香織がいたとかいなかったとか。
◇
トータスに一心達が来てから二週間が経った。
その間様々な特訓をしつつ、この世界のことについて教わっていた。
「──シッ!」
特訓の合間に増えたハジメ謹製の木刀で今日も今日とて素振りをしていた。
「(……明らかに成長速度がこの世界に来てから段違いになった気がする)」
汗を綺麗なタオルで拭いつつ、冷えた水を一気に飲み干す。
そしてポケットに入っていたステータスプレートに目を通した。
そこには──
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佐々木一心 17歳 男 レベル10
転職:剣士《Extend》
筋力:9035 《Extend》
体力:7520 《Extend》
耐性:7300 《Extend》
俊敏:8300 《Extend》
魔力:20
魔耐:20
技能:全属性耐性・剣技(岩流)極・物理耐性・気配察知(魔・邪)・魔力感知・宗和の心得・言語理解・縮地・▇▇▇▇・▇▇▇▇▇
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初日のステータスから魔力、魔耐を除いて300ほどステータスが上昇していた。
「(魔力、魔耐も10ずつ上がったしこの調子ならメラ○ーマも使えるようになるのでは?)」
僅かな期待を込めてステータスプレートをまじまじと見ていると、生徒たちが訓練場にぞろぞろとやってきた。
「やぁ……佐々木君……」
「おう南雲。そんなに訓練が嫌か」
「僕はほらオタクだから運動ってやつが苦手でね……」
口をへの字にしながら不平を漏らすハジメ。その様子に苦笑しながらも「まぁでも鍛えなきゃ簡単に死ぬからな」と発破をかけた。
その後生徒たちはメルド団長ら騎士団の指導の元、実戦形式での稽古が始まった。初日から「教えることがない」と言われた一心は生徒たちから少し離れたところで素振りをしつつなにか問題が無いか目を光らせていた。
「(
志が立派なのは結構な事だが、綺麗事では済まされないのが戦争なのだ。無闇矢鱈に正義だ救済などという言葉を多用しても誤魔化せないどす黒い負の部分がチラつく──と、一心は考える。
今も光輝はまるで自分が
──なんか腹立つ。
一心は理不尽な苛立ちを覚えた。しかし、光輝は自身を除けば生徒側の最高戦力。ぞんざいに扱うのもなんだか違うなと思い、色々言いたいのを堪えながら自分の鍛錬に打ち込んだ。
無論、戦えない者を無理に戦わせようとしたりしたらすぐに止めるが。
メルド団長の指導の元行われた一対一の模擬戦は光輝、雫、龍太郎の三人が特に活躍していた。
「うむ、やはり元の世界で武術をしていると言っていた雫は強いな。既に一端の剣士よりも強い。そして龍太郎。そのガタイの良さを生かしたパワフルな戦い方はまさに戦士そのもの、ただ脳筋思考なのはいただけないな。そして──光輝。流石は勇者と言ったところか、成長速度が段違いだな!」
メルド団長がそう三人を分析すると、一心もそこに同意しつつ
「確かに雫は基本の動作が出来てるな。だが、人を傷つけるという所に少し躊躇いが見える。坂上は……まぁあのタッパから繰り出す力のある一撃は評価に値するがやつは猪突しか出来ないのは考えものだな。そんでもって天之河は……確かに成長速度には目を見張るものがあるが……」
「──精神的な幼さ、か」
「ああ、メルドさんも気付いてたのか」
「さすがに二週間も顔を合わせてたら分かる」
「指摘の通り、天之河は正義ぶってるようでなんも考えちゃいない。貴族と教会の連中にいいように持ち上げられて勘違いしている」
「……辛辣だな」
「正当な評価さ」
「お前の意見が聞きたい──」と一心の隣に来たメルド団長に自分の思っていたことを言うと、メルド団長は苦笑いを浮かべていた。
「薄々気付いちゃいたが、一心はあまりこの国のことを信用してはいないな?」
「言葉を選ばなければ、そうだな。信用していない。あぁ、メルドさんは違うぞ?」
「ふっ、そいつは良かった」
「──勿論、この国の人達全員が悪い奴だなんて思っちゃいないが……」
遠い目をしながら、空を見上げる。
「俺たちにだって、家族が居て友達がいて……大事な人が居るんだ。それをこんな……こんな理由でこの世界に連れ去られて戦わされるってのが──気に食わない。腹が立つんだ」
「…………そう、か」
そう言った一心の瞳には怒りの業火が浮かんでいて、聞いていたメルド団長は──顔を酷く歪ませ、罪悪感を滲ませていた。
◆
やっべぇ〜〜〜〜!!ついつい思ってたけど微妙な空気感になっちゃうから言わないでおこうって思ってたことをつい言っちゃったぁ〜〜!!!
いやまぁ事実だし曲げるつもりも無いけどトータスのまともな大人枠にあんまり言っちゃ行けないことだったわ……いやまだだ、まだ取り返しが効くはず……!!
「……っでも、俺はこの世界に来てメルドさんみたいないい人に出会えて良かったとも思ってますよ」
「……そうか。それは……良かった……!」
よーしよしよし!!目に輝きが戻ってきたぞ!!
あまり他人を傷付けるのは本意ではないからな。とりあえずはこんなもんで──
「──佐々木!!俺と勝負しろ!さっきからずっとサボっていて訓練してるみんなに申し訳ないと思わないのか!!?その根性、俺が叩き直す!」
……………………あ?
最近悩んでいること。
匿名投稿解除して「作者名の開示、本気だね!」っていうネタをやりたかったけど思ったより人気出ちゃってタイミングを見失ったこと
Q.なんでおっさんキャラに対する一心の好感度の高さはなんなの?
A.師匠から「凄みのある老人は"生き残り"だと思え」って言われたから
Q.もっとおっさんよりもヒロインとイチャイチャをだな……
A.うるせぇ!!良いだろおっさんキャラ!!!みんな好きだろ!!!