咲-Saki- もし咲が家族麻雀で覚醒してたら   作:サイレン

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この話は流れが出来ていたので、素早く書けました。

あと今回は久々のオマケがあるよ!
しかも本編の倍くらい長いオマケだよ!

ではではどうぞー





8-1

 

 先鋒戦終了。

 得点を見れば明らかであるが、王者白糸台が他校を圧倒した結果となった。二位とは実に140000点もの差を付けている。先鋒戦終了時の得点差としては果てしなく大きいが、まだ半荘8回残っているのだと考えれば逆転の目はゼロではない。それでも白糸台としては充分以上の成果であると言えるだろう。

 だがこのような結果を打ち出した張本人である照は、満足よりも驚愕が勝っていた。

 

(まさかこの状態で振り込むなんて……。咲以外には出来ないと思ってた)

 

 《八咫鏡》まで披露したこの対局における照は、正に最強に相応しい実力を有していた。対局相手のポテンシャル自体が高かったために得た能力は絶大であり、恐らく咲ですらこの状態の照相手に和了るのは至難であったはずだ。況してや照から直撃を取るなど、ほぼ不可能だったに違いない。

 それなのに、最後の局で怜は見事照から直撃を奪ってみせた。これはもう快挙などというレベルに収まる話ではなく、あの時の怜は一時的にだが照をも上回ったのだ。

 

(こういう打ち手がいるから麻雀は面白い)

 

 照は怜に、そして玄と煌に感謝した。

 確かに結果は圧倒的だが、それでも照はこの対局を楽しめたと胸を張って言える。実力が拮抗してるとは言い難いが、何が起こってもおかしくないという緊張感があった。やはり麻雀はそうでないと面白くない。

 

「お疲れ様でした」

「お疲れ様でした」

「お、お疲れ様でした!」

 

 立ち上がって挨拶をすると、煌と玄も続いた。全力を尽くして対局した相手に対する礼儀として、終局時に挨拶をするのは暗黙の了解である。

 

「………怜?」

 

 しかし一人だけ、怜の声だけは発せられることはなかった。対局中から辛そうにしていたのを知っていた三人は、心配そうに声を掛けようとする。

 

 ………が、一歩遅かった。

 

 ──その光景はスローモーションのようだった──

 

 徐々に傾いていく怜の身体。それは幻覚でも何でもなく、まるで糸が切れた人形のように。突然のことに身動き出来ない三人が目を見張る中も、怜は重力に逆らうことなく落ちていく。

 最後の力を振り絞ったかのように天へと伸ばした手。様々な感情が乗せられたその行為も、何かを掴み取ることは出来ずに空を切る。

 刹那、その力も完全に失われ、終に怜は床へと崩れ落ち倒れてしまった。

 

「怜っ!」

「「怜さんっ!」」

 

 慌てて駆け寄る三人。

 煌が怜の身体抱き起こし顔色を見て、三人は言葉を失った。

 生気が感じられない。瞳は光をなくし頰は血が通っていないかと思うほど青白く変色している。呼吸をするのも辛そうで、このままでは容態が改善することは期待出来ない。逸早く対処しなければ取り返しの付かないことになるだろう。

 固まっていた三人だったが、今度は此方に近づいて来る足音に顔を上げる。

 

「怜ッ!!!」

 

 今し方対局室に駆け込んで来たのは千里山の部長──清水谷竜華であった。竜華は怜に駆け寄るやいなや煌に変わり怜を抱きかかえる。

 竜華が怜を呼び掛けると微かに反応があった。壊れかけのロボットのように遅い動きではあったが、怜は涙を流している竜華の姿を視界に収める。煌の代わって抱き抱えてくれた親友に、怜は精一杯の笑顔を浮かべた。

 

「……竜、華………ごめ、ん……なぁ」

「怜ッ! 怜ッ! しっかりしぃ怜ッ!」

 

 名を呼び続けるも怜はもう動けないのだろう。竜華の必死の声だけが対局室に響き渡る。

 固唾を飲んで見守っていた玄と煌だったが、照だけは様子が異なっていた。

 

「………私のせいだ……私のせいで、怜が」

「そんなっ! 照さんの所為ではないですよ!」

「その通りです! これは誰の所為でもありません! だから照さん一人が責任を感じる必要はないんです!」

「でも……でも………」

 

 玄と煌はそう言うが、照にはそう思うことは出来なかった。

 全員が真剣で、全員が全力だった。だからこれは誰の所為でもないんだ。これが玄と煌の心の内であり、怜もそう思っているだろう。

 それでも照は責任を感じずにはいられない。どうすれば良かったかなんて今でも照には分からないが、自分がもっと上手く立ち回れていたらこうはならなかったのではないかと。

 

「……………咲」

 

 照は無意識に助けを求めていた。

 咲ならこの状況をなんとか出来る。人任せで最低だとは分かっていた。妹にも仲間にも多大なる迷惑が掛かることも予想出来た。

 

 でも、このまま何もしないのはもっと嫌だった。

 

 後で謝るから。私に出来ることなら何でもするから。だから……だから!

 

「──咲! お願いッ!」

 

 一際大きく響いたその声に。

 

 ──いいよ。お姉ちゃん。

 応える声が、扉の方から聞こえた。

 

 

****

 

 

「お願いがあります」

「………言ってみて」

 

 先鋒後半戦、南場へと対局が進んだ頃。

 白糸台高校の控え室で、咲は白糸台高校麻雀部の監督に頼み込んでいた。

 

「この対局が終わったときに、もし千里山の選手に何かあったら、あの場に行くことの許可を下さい」

 

 立ち上がってから頭を下げる。その行動に淡を初め、控え室にいた面々は少なからず驚いていた。普段は軽薄そうな態度の咲が、ここまで真摯に何かをするのを初めて見たからかもしれない。

 だからと言って、立場上監督はすぐに許可を出すことが出来ない。咲があの場に行くということは色々な厄介ごとを生み出すからだ。

 一つは咲の存在、というより真実が公になる。これはもう咲自身が覚悟を決めている様子から、それほど重要ではない。

 問題はこちらの方で、何故咲が白糸台の制服を着て白糸台高校の控え室にいるのかということだ。本来関係者以外は立ち入り禁止なので、下手をすれば白糸台高校が失格になる可能性もある。

 しかし咲をここに呼んだのは監督本人である。もし何かあった時は、最初から責任は咲ではなく自分が負うつもりだったらしい。

 

「………咲ちゃんはあそこに行ってどうするの?」

「千里山の選手を助けます。私にはそれが出来ます。だから、お願いします」

「………分かったわ。ただ、こちらのお願いも聞いてくれるかしら?」

「私に出来ることなら」

「一つは、咲ちゃん達の過去をもう少し詳しく教えて欲しいこと。もう一つは、それを私がマスコミに話してもいいか、ってところかしら」

「前者については構いませんが、後者については、その………両親に迷惑が掛からないように配慮して頂けるなら」

「えぇ、最初からそのつもりよ」

「なら大丈夫です。あと、マスコミを黙らせるためなら、少し脚色してお涙誘う展開にしても構いませんよ」

「あら、それは良いことを聞いたわ。それならもっと楽になるし」

「では……」

「えぇ、行ってもいいわよ」

「ありがとうございます!」

 

 パァっと明るい笑顔を浮かべる咲。

 これで何かあったときに対処出来るし、姉の哀しそうに沈む顔を見なくても済むかもしれない。前途多難であることには違いないが、未来のことは未来になってから考えよう。

 一連の流れを側で見ていた“チーム虎姫”の面々は、二人が自然と行っていた悪巧みに戦慄する。

 

「ねぇ、今ちゃっかりスゴいこと言ってなかった?」

「あぁ、言ってたな。マスコミを黙らせるとか、話しを脚色するとか」

「監督は監督である意味楽しそうですね」

「あの人こういうの結構好きですからね」

 

 しかしこういうことに慣れてもいた面々は静かにお茶を飲んでいた。嫌な慣れだとは誰も思えることはなかった。清澄に似て、大分毒されているらしい。

 

「あっ、淡ちゃん。お願いなんだけど、何かあったときはあそこまで案内してくれない?」

「なんで?」

「………私、お姉ちゃんの妹だよ?」

「あっ、そういうこと。了解ー」

 

 ……これだけで伝わるらしい。

 女子力だけは中々の高さを誇る咲であるが、『麻雀以外は基本ポンコツ』という認識は残念ながら姉にも通ずるところであったようだ。

 

 

****

 

 

「……さ、咲」

「詳しい事情は全部後ね。今は──」

 

 咲は竜華に抱き抱えられている怜を見る。

 

「こっちをなんとかするから」

「でも」

「大丈夫、私に任せて。あと靴と靴下、お願いしていい?」

「………うん、分かった」

 

 咲は(おもむろ)に靴と靴下を脱ぎ始めた。周りの面々は突然現れた咲のこの行動に疑問しかなかったのだが、咲の真剣そうな様子に全員口を噤んでいた。

 照に脱いだものを持ってもらって、咲は素足のまま怜と竜華に近付く。涙目でこちらを見る竜華に「そのままじってしていて下さい」と言うと、咲は両手を胸の前で組む。それは神の前で祈りを捧げる、敬虔な信者を彷彿とさせるものであった。

 展開に着いていけてない人が殆どだったが、淡だけはなんとなく感じ取れていた。咲から出るオーラの量とその質の変化に。

 

(いつも以上に多くなってる……? なのに威圧感はない、むしろなんか優しい感じ。……咲、何する気なの?)

 

 不謹慎ではあったが、淡は一人ワクワクしていた。これでまた咲の力の一端が見れるのだからと、若干興奮していたのだろう。

 

 だからこそ驚いた。

 咲はその場で、唄いだしたのだ。

 

(……これ、聖歌だよね)

 

 咲が唄いだしたのは、淡ですら知っている有名な聖歌で、その柔らかな声で紡がれる旋律は優しさと暖かみに溢れていた。それは聴く者の心を癒す、天からの祝福かと思うほどに。

 しかもこれだけでは終わらなかった。

 咲を中心に広がるオーラに触れた瞬間、身体の疲労や気怠さがなくなっていったのだ。

 

(なっ……⁉︎ このオーラ、スゴい……信じられない⁉︎)

 

 これこそが咲が持つ特殊なオーラ。触れたものを癒し回復させることが可能な『癒』のオーラである。

 こんなことも出来るのかと、淡は改めて咲が普通でないことを認識する。既にそうであったが、咲はもう常識では括ることの出来ない存在なのだ。

 一人感嘆していた淡だったが、咲の奏でる旋律はまだまだ終わらない。メロディーに合わせるかのようにオーラは広がっていき、そして、怜の全身を包み込んだ。

 

 変化は劇的であった。

 数分前までの怜は生きているのも辛い、そんな表情をしていたにも関わらず、咲のオーラに包まれて数十秒経つころには元の状態と変わらないくらいに良くなっていた。顔色は赤みを取り戻し、瞳にも光が戻ってきている。

 その変化に竜華は本当に嬉しそうに笑顔を浮かべるが、当の本人は驚きの方が勝っていたようだ。その証拠に、思いっきり目を見開いている。しかしそれも一瞬のことで、怜は咲のオーラに身を委ねていった。

 周りも怜の快復していく様子を見て嬉しそうに笑っている。照だけは少し沈んだ表情をしていたが、心底安心していることも伺えた。

 やがて咲の唄が終わる頃には、怜は自力で立ち上がっていたのだからこれまた信じられない。あり得ないほどの変化である。

 

「怜ッ!」

「……竜華。ごめんなぁ、心配掛けたやろ?」

「当たり前や! 怜がまた倒れたら、もう……!」

「大丈夫や。なんや知らんけど元気になったから」

 

 因みにこれ、二人が熱い抱擁をしながらの会話である。煌は涙ながらに「すばらな友情です」なんて言っていたが、玄なんかは顔を火照らせていた。

 咲としては放っておいても良かったのだが、感極まった竜華を落ち着かせるために声を掛けた

 

「あのぉ〜、これ全国で中継されてますよ?」

「へっ?」

 

 竜華は咲の一声に冷静になったのか周りを見渡し、自分が今何をしているのかを確認した後、顔を真っ赤にして怜から一歩離れた。怜は小首を傾げながらそんな竜華を見ていたが、こちらはこちらで無視することに決めたらしい。意外と淡白な反応に、咲は少し驚いていた。

 

「あんたが助けてくれたんか?」

「一応そうですね。もう具合は大丈夫そうですか?」

「まだちょっとダルいけど大丈夫そうや。おおきになぁ。知っとるかもしれへんけど、ウチは千里山女子先鋒の園城寺怜や」

「私は清澄高校大将の宮永咲です」

 

 咲のその言葉を理解してか、怜は驚愕を露にしていた。その場にいた照と淡以外の面々も同じ表情をしている。

 

「………今、清澄って言うたか?」

「はい」

「清澄って、長野代表の清澄か?」

「はい」

「しかも大将で、名前が宮永咲?」

「はい」

「……どうして清澄の選手がここにおるんや?」

 

 遂に、遂にやってきたこの質問。

 覚悟はもう既に決めてある。

 一度照の方を見て視線が合わさった後、咲は笑顔を()()()()()

 

「では、改めて自己紹介します。私は白糸台高校先鋒、宮永照の()の宮永咲です。以後お見知りおきを」

 

 ……………………………………………、

 ……………………………………………。

 ……………………………………………⁉︎

 

『ええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?!!?!?!』

 

 響き渡る絶叫。

 それを耳にして、咲は心の中で涙を流した。

 

(あぁ、……終わった。

 さようなら、地味で安寧だった私の日常。

 そしてようこそ。営業スマイルを貼り付ける毎日……)

 

 この出来事を切っ掛けに、咲は新たな世界へと足を踏み入れたのだった。

 






Q.どうして咲さん『癒』のオーラなんて使えるようにしたの?

A.全ては怜を救うためです!

カミングアウトまでのこの展開は書き始めた当初から考えていました。まさかここまで書くとは思ってませんでしたが……。因みにオーラの出し方については合宿編でそれなりにぼかして表現していたはずなので、気になる方はどうぞご覧ください。何故聖歌を唄うのかは次回さらっと説明する予定です。

さぁ! これで書きたいことが全て終わった(気がする)。………やべぇ、どうしよう………………。

久々の(地雷臭Maxの)オマケ!
コンセプトは『淡ちゃんをいじりたい!』
から発展したのですが、恐らくみなさまの想像を遥かに上回るぶっ飛んだ内容(笑)のはずですからご注意を!タイトルで興味を惹かれた方は是非是非!

オリキャラ:橘香織
淡ちゃんの友達。別に重要なキャラにはならないはず。
あと一人原作キャラのゲストがいます。口調がおかしいかもしれませんが、出来ればそこはスルーして下さい。








オマケ:魔法少女マジカル雀士淡ちゃん!


「あーーーー! 今日も負けたー! テル強過ぎだよー……」

鬱憤を晴らすように叫んでいるのは、金髪ロングヘアーのどこか日本人離れした風貌の少女。お淑やかにしていれば深窓の令嬢といっても違和感がないほどの美少女であるが、今はその欠片も見当たらないくらいにご機嫌斜めの様子である。
彼女の名前は大星淡。麻雀強豪校である白糸台高校麻雀部に所属する一年生。実力は高く、一年生にしてレギュラーの地位を獲得した期待の新星として注目されている。
しかしそんな彼女でも勝てない相手がいるようだ。

「まぁ仕方ないよ。照先輩は全国1位の強さなんだから」

相づちを打つのは日本人らしい黒髪をポニーテールにまとめた、整った顔立ちの少女。彼女の名前は橘香織。淡の(麻雀部の同学年で唯一といえる)友達である。
彼女の言う照先輩とは白糸台高校麻雀部の先輩の一人で、全国個人戦二連覇という快挙を成し遂げているまさに全国1位の強さなのだ。
改めて実感させられた実力差に淡は口を尖らせて文句を言う。

「そうなんだけどー……。ここまで勝てないと流石の私も凹むっていうか」
「ははは。淡ちゃんは負けず嫌いだからねぇ。じゃあ私はこっちだから、また明日ね」
「うん、バイバイカオリ」

別れ道で手を振って別れる。
帰りに寄り道をするのは部で禁止されているため特にすることもない。淡はそのまま家路へと向かう。
いつも通りの日常。いつも通りの風景。明日も部活の時間になれば懲りずに先輩に挑戦してるだろう。本当にいつも通りの日常。

それに変化が訪れた。

ーー見つけたーー

「んっ?」

どこかから聞こえた声に反応する淡。周りを見渡してみるが人影はなく、気の所為かと思い歩き出そうと前を向くと、

「こんにちは」
「わっ!」

小さな小さな、本当に小さな小人が目の前に浮かんでいた。身長は20cmくらい。浮かんでいるというのは比喩ではなく、よく見ると背中から光を反射する透明な羽根が生えている。

「なっ何ッ⁉︎ ドッキリ⁉︎」
「ドッキリじゃないよ」
「しゃ、喋ったッ⁉︎」
「さっきから喋ってるよ……」

その小人は表情豊かで人間とほとんど変わりがない。小さいけど。

「私の名前はサキ! あなた達でいうところの妖精って感じかな。よろしくね、淡ちゃん!」
「よ、妖精?」

(………アレ? なんか一気にうさんくさくなってきたよ。てか私の名前知ってるし……)

先ほどまで驚きが勝っていた淡だったが、急に冷静になってきた。非現実的なことを言われて、逆に周りがよく見えるようになったのだ。

「それで妖精さん、サキだっけ?」
「うん」
「サキは私に用事なの?」
「そうなのお願い! 私に、私たちに力を貸して!」
「………えっ?」

(………えーと。今の状況を簡単に整理すると。
部活終わる→友人と帰る→友人と別れる→妖精と遭遇→妖精に助力を求められる、って感じかぁ。
………こういうのをカオスっていうんだね、初めて知ったよ)

げんなりしてきた。恐らく今の淡は余程やる気のない目をしているだろう。
しかしそんなことは気にならないのか、サキは淡を急かすように服を引っ張る。

「お願い! とにかく来て! あなたの友達が大変なの!」
「………カオリに何かあったの?」
「そう! その子を含めて多くの人たちが大変なの! だからお願い!」
「………分かった。とりあえず行くよ」
「ありがとう! それじゃ私に付いてきて!」

淡を先導するように飛んでいくサキ。怪しいことこの上ないが、付いて行くと言った手前無視するのも可哀想であるし、何より友人に何かあったと聞かされれば気にならないわけがない。淡は大人しく付いて行くことにした。
サキは急いでいるのか飛ぶスピードが速い。そのため淡もそれなりの速度で走っている。
かれこれ五分くらい経った頃、

「ストップ! あれを見て」

ようやく目的地に着いたのか制止をかけてきた。
そこは駅前の近くにあるそれなりに大きな公園で、今淡たちがいるのはその公園の入り口の一つであった。
サキが指差す方向に目を向けると、何かのコスプレかと思うほど奇抜な服装をした如何にも怪しそうな女の子が一人。そしてその周りには多くの人々が倒れ伏していた。その中には香織の姿もある。

「カ、カオリッ⁉︎」
「ダメだよ淡ちゃん! そのまま出て行ったらあいつの思う壺だよ!」
「もう! 何が一体どうなってるの⁉︎ ちゃんと一から説明して!」
「うん、最初からそのつもりだよ」

神妙な顔をして、サキは語り出した。

「私はこの世界とは別の世界、
魔雀の世界(マジカルマージャンワールド)』から来たの」
「まじかるまーじゃんわーるど?」
「そう。それで私はその世界の秩序を守る『魔雀(マージャン)協会』に所属してるんだ」

(………………やばい、意味不明なんだけど)

相手が普通の姿をした人間だったのなら、ちょっと、いやかなり頭の残念なお方なのだろうということで警察に連れて行くのだが、目の前にいるのは本物っぽい妖精。更に公園には怪しいヤツと倒れている友人。こちらはまだギリギリドッキリで片付けられるかもしれないが、妖精に関しては現代科学の技術をもってしても再現出来ないはずである。
つまり、サキが言っていることはきっと本当のことで。だから信じて話を進めるしかないのだ。
この場での理解を諦めた淡は、残っている疑問を問い質す。

「それで、あの怪しいコスプレ女は一体何なの?」
「あれは『魔雀の世界(マジカルマージャンワールド)』で暗躍する組織、『麻雀の兵隊(ハイ)』の構成員」

(次から次へとよく分からない単語が……)

「あいつらはこの世界の麻雀力(ジャンフォース)を奪いに来たの」
「ジャンフォース?」
「そう。私たちの世界の強さの源となる力、それが麻雀力(ジャンフォース)だよ。その名の通り麻雀における強さの力なんだけどね、まぁ詳しいことは時間のあるときに」
「うん、私も半分以上意味分かってないから。それでジャンフォース? だっけ? それが奪われるとどうなっちゃうの?」
「奪われた人は一時的にああいう風に気を失って、目覚めたらもう二度と麻雀が出来なくなっちゃうんだ」
「なっ⁉︎」

『世はまさに麻雀時代』と言っても過言ではないこの御時世にそれは辛すぎるものがある。しかもその中に自分の友人がいるのだ。放っておけるわけがない。

「ど、どうすればカオリを助けられるの⁉︎ 私に声を掛けたってことは、私にはその力があるんでしょ⁉︎」
「その通りだよ淡ちゃん。淡ちゃんならみんなを助けられる。手伝ってくれる?」
「それでカオリが助けられるのなら」
「ありがとう淡ちゃん! それじゃこれを」

サキの手に光の粒子が集まって何かを形作る。出来上がったそれは淡にとっても見慣れたもので、この世界にも存在するものだった。

「麻雀牌の白?」
「を、模したものだね。これは『マジカルデバイス』、『マジカル雀士』になるための変身ツールだよ」
「……………………………はい?」
「淡ちゃんにはこれを使って『マジカル雀士』になってほしいの。それであの『麻雀の兵隊(ハイ)』を倒して奪われた麻雀力(ジャンフォース)を取り戻してほしいの。端的に言うと正義の魔法少女になってほしいの」
「はいぃぃぃぃ⁉︎」

(………えっ⁉︎ 魔法少女ってあの魔法少女⁉︎)

淡による魔法少女イメージは日曜朝にやっているようなキャピキャピしたものもあるが、首から上が敵に食い千切られるような残酷なものもある。しかもキャピキャピした方もそれなりの戦闘シーンがあるので、『名前からは考えられないほどシビアな職種』だという認識なのだ。

「ちょ、ちょっと待って! そんなの聞いてない!」
「本当にいきなりで悪いとは思ってるよ。でも! こうやって話している間にも多くの人の麻雀力(ジャンフォース)が奪われてるの! お願い! 力を貸して淡ちゃん!」

公園内をチラッと見ると、サキの言う通り犠牲者が続々と増加している。あの女の子がいつまでここに居続けるか分からないため、出来るだけ早くなんとかしないといけない。
友人の身が掛かっているのだ。淡は心の葛藤を無理矢理鎮め、覚悟を決めた。

「分かったよ! やればいいんでしょ!」
「ありがとう淡ちゃん!」
「それで、何をすればいいの?」
「私がこれから言う事を復唱して。そうすれば変身出来るから」
「分かった」

淡は『マジカルデバイス』を握りしめ、祈るように瞳を閉じる。

「コード入力」
「コード入力……」
「マジカル雀士淡ちゃん」
「………。……………マ、マ、マジカル雀士……淡ちゃん」
「ちゃんと言って! 最初から!」
「ーーッ! コード入力! マジカル雀士淡ちゃん!」
「set up!」
「set up!」

ーーこの時、淡は気付かなかったーー

サキがニヤリと笑うのを。ついでに「計画通り」なんていうセリフを(のたま)っていたのも。

「あっ、一つ言い忘れてた。『マジカル雀士』に変身中の数秒間は()()()()()()になるから」
「………へ? ちょちょちょちょなっ⁉︎ 嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

(悪意のある)忠告も虚しく、パシュンパシュンという効果音と共に着ていた衣服が次々と光の粒子となって消えていく。制服、インナーと続き、遂には下着まで消え失せ、淡は生まれたままの姿になった。

「きゃああああああああああああああああああああああああ!!?!?!」

両手で必死に身体を隠すが見えるのは肌色全開で、その瑞々しい素肌は男性を魅了するには充分過ぎるほどに蠱惑的であり、小ぶりながらも膨らんでいる胸とぷりっとしたお尻は女の子として素晴らしいものを感じさせる。
リズムに合わせて表現するならそう! 魅惑的なそのbody♪

「風とrainbow♪」
「追いかけて〜♪ じゃなくて⁉︎」
「情熱よ〜〜♪」
「その火を〜灯せ♪ でもなくて⁉︎ 長い長い長い全裸の時間が長い⁉︎ さっき数秒間って言ってたじゃん⁉︎」
「あっ、また一つ言い忘れてた。実は初回の変身時は『マジカルデバイス』がその人の体型や体質を記憶するから全裸の時間が長いんだった(笑)」
「あんた確信犯でしょッ⁉︎」
「淡ちゃん、これは仕方のないことなんだよ。言うなればこれはこの物語の作者(神様)のストレス発散なんだから。淡ちゃんは全裸になるしかないんだよ」
「ストレス発散で全裸にさせられる乙女の気持ちはッ⁉︎」
「ーーテヘペロッ(笑)」
「コロスッ!!!」

漲る殺意を胸に秘め、この恨みはとりあえずあの女の子で晴らすと決心する。
やがて『マジカルデバイス』の記憶作業が終了したのか、今度は淡の身体が輝き出して、キラッ☆ キランッ☆ みたいな効果音が辺りに木霊する。

(※以下の変身シーンはみなさまの想像力次第です)

手の甲に星マークが付いた白のロンググローブがキラッ☆
脚にはこちらも星の装飾がされたニーハイブーツがキラキラッ☆
身体を包むのは、白を基調としたヒラヒラでフリフリでプリティな超絶ミニのドレスでキラリンッ☆
胸元にはリボン代わりの星がキラッ☆
髪飾りにも大きな星がキラッ☆
最後に『マジカルデバイス』が先端に星が付いたステッキに変化して変身完了!

「魔法少女マジカル雀士淡ちゃん! (せい)(たん)!」

☆キラキラリンッ☆

プログラムされた変身シーンと決めポーズを、決め台詞と共に可愛くウィンクで終えた後、ーー淡は羞恥で顔を真っ赤にした。

「なんっじゃこりゃああああああああああああああああああああ!!?!?!」

あまりにもあんまりなキャピキャピさに叫び声を上げてしまう。高校生の淡が魔法少女をやるには、精神的にキツすぎるものがあったようだ。

「何コレッ⁉︎ というより服着てるのに全裸並みに恥ずかしいってどういうこと⁉︎」
「まぁいいじゃん、減るもんじゃないし」
「減るよッ! 私の精神がゴリゴリ削られていくよッ!」
「そんなことはどうでもいいの!」
「そんなことッ⁉︎」
「早くあいつを倒さなきゃ!」

そう言ってサキは公園内へと飛んでいく。
淡としてはこの姿を人前に晒すなどありえないくらい恥ずかしいことなのだが、ここまで来てはもう引き下がれない。

「絶対恨んでやるんだからッ!」

後を追うように淡は走る。
それで気付いたが、今は普段の自分とは比較にならないほど身体が軽い。今の状態だったらオリンピックに出ても余裕で優勝出来ると思うほどであった。これが羞恥心と引き換えに手に入れた、魔法少女特典というやつであろう。

奇抜な女の子の元に到着したサキが、

「そこまでです!」

と言って相手に制止を呼び掛ける。その声に振り向いた彼女は、存外普通の顔をしていた。

「誰?」
「私の名前はサキ。『魔雀(マージャン)協会』の者として、あなたをこの世界から排除します!」
「ちっ、協会の手先か。面倒だな。………でも、まさかその(なり)でこの私に勝てるとでも?」
「いいえ、あなたと戦うのは私じゃない。こちらの『マジカル雀士』が相手です!」
「マ、『マジカル雀士』、だとッ⁉︎」

(その紹介の仕方やめてもらえませんかね‼︎)

淡の心の声は届くことなく、諦めたかのように淡はその場に出る。

「(ほら淡ちゃん! ここで自己紹介だよ! 「私はマジカル雀士淡ちゃん! あなたを倒す者よ!」って)」
「(言えるかそんな恥ずかしい自己紹介ッ‼︎)」

などという小声のやり取りをしていたのだが、

「貴様、一体何者だッ!」

と、相手が空気を読んできた。絶妙なタイミングである。
全てがサキの思惑通りの展開になっていた。

「(ほら淡ちゃん! 早く! 相手が待ってくれてるよ!)」
「(ーーッ⁉︎ ーーグッ⁉︎)」

「わ、私は! マ、マジカル雀士淡ちゃん! あなたを倒す者よ!」

変身後以上に顔を真っ赤にして、淡はそう言ってみせた。羞恥と闘うそんな淡はいじらし過ぎて可愛過ぎて、男性ならイチコロだっただろう。
因みにそれを見て後ろにいるサキは淡にバレないように爆笑している。
………こいつ実は妖精ではなくて悪魔だったのかもしれない。

「『マジカル雀士』……噂では聞いていたが。成る程、中々に厄介そうだな。だが、ニワカは相手にならんよ!」

シリアスで流してくれた相手に心の底から感謝する淡。もしかしたらこの人は良い人なのかも、とまで思っていた。

「こちらも返すのが礼儀といったところかしらね。私は小走やえ! 『麻雀の兵隊(ハイ)』に所属する者! 階級は『満貫』よ!」
「………サキ。階級が満貫って何?」
「ケホッコホッあぁお腹痛い………ん? あぁえぇと、『麻雀の兵隊(ハイ)』には階級があって『満貫』は一番下だね。例えるならチェスの兵隊(コマ)で言う『ポーン』みたいな感じだよ」
「凄く分かり易い例えありがとう」

一応の状況を把握出来た。
淡は相手を睨み付ける。

「よくも私の友達に変なことしてくれたね。麻雀力(ジャンフォース)か何か知らないけど、カオリに手を出すなんて許さないよッ!」
「ふん! ならば貴様がその手で止めてみせよ!」

やえの周りに索子が具現化される。

「はぁっ!」

そしてそれらが淡の元に殺到してきた。
この時になって淡はようやく気付く。

ーーアレ? どうやって戦えばいいの?ーー

「きゃああああ⁉︎」

防ぐ方法が何一つ分からなかったから、とりあえず全力で避ける。動体視力や反射神経も強化されているのか、その行為自体は意外と容易く行うことが出来た。

「サキッ! なんか攻撃手段とかないのッ⁉︎」
「それは淡ちゃんが一番良く分かっているはずだよ! 『マジカルデバイス』を装備しているなら、知識として流れ込んでくるから!」
「そうは言われてもッ⁉︎」

まずは逃げに専念し、攻撃が止んだ頃に心を落ち着ける。『マジカルデバイス』から与えられる情報を頭で整理し、気合いを入れ直す。

(ーー良しッ!)

手に持っていたスターステッキを真上に掲げ、

星の弾丸(スター・ショット)!」

振り下ろすと先端の星を象った弾丸がステッキから射出された。それはやえ目掛けて一直線に迫っていく。

「くっ⁉︎」

紙一重でその一撃を避けるやえだったが、それがきっかけでやえも本気になった。

「こうなったら手数で勝負よ!」

やえは腰のベルトに付いていた麻雀牌をばら撒く。それらは瞬く間に巨大化していき、大人と変わらない大きさにまで変化する。更にはその牌一つ一つから手と足が生えてきた。

完璧に化け物だった。

「ヒィィィィィィィィィィッ⁉︎ キモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいッ!!!」

その気持ち悪さに淡はスターステッキを縦横無尽に振りまくる。星の弾丸の威力は充分以上で、相手も当たれば倒せる雑魚なのだが何しろ数が多い。

(これじゃ倒し切れない!)

「ふん! 押しつぶしてしまえ!」

やえの命令にこちらに迫ってくる(化け物)たち。一種の恐怖映像だったが、淡はなんとか冷静でいられた。

「淡ちゃん! 私が結界でみんなを守るから、淡ちゃんは必殺魔法を!」
「分かった!」

再びスターステッキを掲げる。

星の引力(スター・アトラクション)!」
「な、何ッ⁉︎」

やえと牌たちが強化された星の引力の前に思わず跪く。彼女たちに襲いかかっているのは通常の何倍もの重力。効果は絶大で、彼女たちは満足に動くことも出来ずにいた。
そして淡の攻撃はまだ終わっていない。スターステッキを掲げた更にその天上に星の引力を発生させる。その引力に導かれ集まるのは数多の星の煌き。

「淡ちゃん! 今だよ!」
「いけぇぇッ! 流星群(ミーティア・ストリーム)!」

発動された魔法は圧倒的であった。
数え切れないほどの星の弾幕で、辺り一面を破壊し尽くすほどの超広範囲攻撃。これが淡が有する必殺魔法の一つ、流星群(ミーティア・ストリーム)である。
やえにはそれを動いて避けることも防ぐ術もなく、真っ正面から撃ち抜かれた。

「ぐああああああああああああああ!!!」

身を焼かれるような激痛に断末魔の声を上げる。許容値を超えるダメージだったのかやえはそのまま力尽き、前のめりに倒れ、その後光の粒子となって消えていった。周りにいた牌たちも続くように消えていき、気が付けば公園に残されたのは戦いの痕跡だけとなっていた。

「………ふぅ」

静寂の中、淡は一息吐く。
悪の組織っぽい敵もいなくなり、また何かが起こりそうな気配も感じない。気が抜けて一気に脱力感に襲われた。

「ん……これ……」

地面に不自然に転がっていた麻雀牌を見つけ、拾い上げた。片方の面には粗末な王冠が描かれていて、普通の牌ではなさそうだ。
何とは無しに手に取ってみたが使い道が分からない。捨ててもよかったのだがそれは褒められた行為ではないだろう。
さてどうしようかと悩んでいたのだが、急に胸元の星の装飾が光り出し、手に持っていた牌を吸い込んでいった。

「………なんだったんだ?」

気にはなったが、身体に害もなさそうだし大丈夫だろうと判断する。
後ろを振り向くと、サキが興奮した様子で話し掛けてきた。

「凄いよ淡ちゃん! 初めてなのに見事な戦いだったよ!」
「………一応褒め言葉として受け取っておくよ。ありがとう」

淡は変身を解く。変身シーンと違って戻るときは何故か一瞬だった。これこそ世の魔法少女における永遠の謎である。

「それで、この公園とか色々大丈夫なの」
「そこらへんは大丈夫だよ。私たちがなんとかするから」
「そう。それは良かったよ」

淡は香織の側に近付いて身体を抱き起こす。気は失っているようだがどうやら無事なようで安心する。

麻雀力(ジャンフォース)っていうのはどうなったの?」
「それはあの人を倒したことで自動的に戻ってるから安心して」

これでやるべきことは全て終わった。散々な目に遭ったが、友人の身を守ることが出来たと思えば安いものである。
淡は近くにあるベンチに香織を横たえさせその場を後にした。事後処理はサキたちがなんとかするらしい。任せて大丈夫なのかという不安もあったが、淡に出来ることも何もない。大人しく家に帰る方が賢明だろう。

本日二度目の帰り道。思っていたよりも時間が掛かっていたらしく日もすっかり暮れており、上を見上げれば満点の星空が広がっていた。

「ハァァ……ヒドい目にあった」
「急にゴメンね。こっちも緊急事態だったから」
「あぁ、うん。もういいよ。……アレ?」

淡は手に持っていた『マジカルデバイス』を見る。

「なんか変わってる?」
「『マジカルデバイス』はね、一度変身したらその人を象徴する紋章(エンブレム)が刻まれるんだ」
「へぇ〜」

真っ白だった面には合計7つの星の紋章が刻まれていた。変身時からそうだったように、淡を司る象徴は『星』のようだ。

「変化した『マジカルデバイス』には名前を付けてあげるのが恒例だよ、淡ちゃん」
「ふーん。………じゃあ『セブンスター』で」

個人的にも星は好きなので、キーホルダーやアクセサリーとしては気に入った。御守り的なものと思えばこれはこれでアリかもしれない。

「それじゃこれからもよろしくね! 淡ちゃん!」
「………………は?」

ーーなんて思ったがやっぱりナシだ!ーー

「ハァッ⁉︎ もうこんなの二度とやらないからね!」
「そこをなんとか!」
「ゼッッッタイイヤッ!!!」

ーーこれが初まりーー

この世界の全てを巻き込む大事件に発展する、初まりの物語だったのである。












随所にネタをばら撒きすぎてカオスなことに(笑)どの作品からインスピレーションを受けているかは知っている人には分かるでしょう。

………好評だったら続くかも(笑)

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