咲-Saki- もし咲が家族麻雀で覚醒してたら   作:サイレン

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※注意点
当ssはハンターハンターではありません、咲です。
あと、私は別に和が嫌いとかないですからね?普通に好きですよ?

ではどうぞー。あ、オマケあります。




8-4

 爽やかなそよ風が肌を撫でる。遠くから耳に届く喧騒は、別世界の出来事かと錯覚するほどに辺り一帯は平穏に包まれていた。

 快適な空間。絶好の散歩日和である。もしくは燦々と降り注ぐ陽光の下で、限りあるこのひと時を昼寝に費やすという贅沢も悪くないだろう。

 そんな本日の昼下がり。

 

 ──……なのになんで私はこんなところで、こんな思いをしなければならないんでしょう……。

 

 さらさらと樹々の葉が擦れて生み出す音が心地良い、麗らかな陽射しが微かに差し込む樹蔭で。

 

 お腹を押さえ青い顔をした少女が一人いた。

 

 煌めく桃色の髪を二房に纏めている彼女は、正しく絶世の美女と形容するに相応しい容姿をしている。

 整った顔立ちに加え、スタイルも抜群。彼女の前では何処ぞのアイドルも裸足で逃げ出すだろう。

 

 神から与えられた造形を欲しいままにしている彼女なのだが、現在はその美しい相貌が霞むほどに顔色が悪い。

 優れない表情から、彼女にとって一大事な事件が発生していると推測出来る。どうやら彼女には、散歩やら昼寝やらに費やす時間は一秒足りとも用意されていないようだ。

 

 彼女の手元にはスマホが握られていた。様子から察するに、通話やメール目的ではない。テレビの映像が流れていて、それを凝視しているらしい。

 画面にはこのような文字列が表示されていた。

 

 『高校麻雀界に聳える巨塔、宮永照による緊急会見』

 

 そう、緊急会見である。

 恐らくであるが、この会見は全国の麻雀ファンの目を釘付けにしていることは間違いないだろう。それ程までに注目度が高い内容なのだ。

 理由の大半を占めるのはその名前にある。『宮永』という名に関して、高校麻雀界において知らぬ者はいない。何を隠そう、現高校生チャンピオンの名が『宮永』なのだから。

 

 宮永照。それが、高校生一万人の頂点に君臨する少女の名前である。

 

 しかしこの少女──原村和にとって、照自体は非常にどうでもいい存在であった。

 確かに彼女が胃を痛めている原因であるにはあるが、照は間接的な要因に過ぎない。

 和がここまで胃を削る思いをする羽目になっているのは、照ではなくその妹に当たる人物──宮永咲がこの会見に関わっているからである。

 宮永咲。宮永照の実の妹、和と同じ高校──清澄高校に所属する一年生、今大会長野県団体戦代表校の大将。

 色々と表現の仕方があるが、和が一言で物申すならこれに尽きる。

 

 ──あの悪魔っ!

 

 声無き叫びを上げると同時に、自身の憔悴加減に和は愕然とする。

 普段なら、あの頼り甲斐のある親友にこんなことを思わないのに! と、ここ最近急激にスレている自分を実感してちょっとショックを受けていた。

 

「のどちゃーん! ジュース買ってきたじぇー!」

 

 手にペットボトルを二つ持った少女が此方に駆けてくる。

 彼女は片岡優希。和のもう一人の親友にして、和と同様の立場にある被害者仲間である。

 

「……優希、ありがとうございます」

 

 受け取った飲料水を胃に刺激が少なくなるようにコクコクと飲んでいく。これで若干であるが楽になった気がした。……多分文字通り気のせいなのだが。

 

「いやー、危なかったじぇー。私のことを覚えてるっぽい人も沢山いたから、ジュース買うのも一苦労だったじょ」

「……良かったじゃありませんか。日頃から有名になりたいと、優希は仰っていましたし」

「うーん、あれは何か私が思ってるのと違うから嫌だじぇ……。のどちゃんの苦労が少しだけわかった気がするじょ」

「……それは何よりです」

 

 この手の話題で優希と共感出来たのは初めてだなと、和は思った。正直どうでもいいなとも感じていた。

 

『『──失礼します』』

 

 映像の中で動きがあった。

 画面隅から声と共に現れたのは二人の少女。

 似た面差しに特徴的な髪型が瓜二つである。彼女たちを初めて見る者でも、姉妹か親族関係にあるのではと思える程だ。

 今思うとどうしてバレなかったのでしょう……? と和は思うが、こうなってしまった以上どうでもいいことだとその疑問を頭の中から投げ捨てる。

 

「おっ! ついに咲ちゃんとチャンピオンが出てきたじぇ!」

「……そうですね」

 

 彼女たちこそ、今世間の目を釘付けにしている『宮永』に名を連ねる者たちである。この言い方だと、代々『宮永』が何かしらやらかしている様に聞こえるがそんな事実はないので要注意。

 

 赤みがかった髪を肩の辺りで切り揃えた少女が、現高校生チャンピオンの宮永照。

 艶のある茶髪をショートに纏めているのが、和の親友にして悪友の宮永咲である。

 

「のどちゃん、元気ないけどどうかしたのか?」

「……いいえ、大丈夫です。問題ありませんよ」

 

 空元気で微笑を浮かべる。

 率直に言えば全く大丈夫じゃない。物の見事に巻き込まれているのだ。ストレスが溜まっても仕方が無いだろう。

 

(お願いですから、これ以上私の胃を削らないで下さいね、咲さん!)

 

 せめて、せめてこの願いよ。天まで届け!

 ゴクリと唾を飲みこんだ。

 

『『この度はお騒がせしてしまい、大変申し訳ありませんでした』』

 

 映像では咲と照が簡単な挨拶を済ませ、着席したところである。引っ切り無しにフラッシュが焚かれているため、画面が超眩しい。

 

(あぁ、……早速咲さんの機嫌が……)

 

 咲は平静を保ってはいるが、和には分かる。あれはかなり苛ついていることが。

 過去、合宿前にあった『メイド服事件(和命名)』よりかはマシなようだが、これは時間の問題かもしれない。この後の展開が非常に心配である。

 和が心中穏やかでない状況のなか、会見は順調に進んでいった。

 

『まず、先程あった監督のお話ですが、あれは全て真実です』

 

 話すのは主に照の役割らしく、咲は姿勢正しくじっと大人しくしている。多少違和感はあるが、どうせ演技だろうと和は気にも留めなかった。

 

『私たち家族の問題に、監督や高校自体を巻き込んでしまったこと、深く反省しています。応援してくれるファンの皆さんにも迷惑を掛けてしまいました。本当に申し訳ありません』

 

 普段の照というものを知らないため、和から見ると今の照は真摯そのものだ。

 隣でも優希が感心したように「ほほ〜う」と言っている。きっと、照が何を謝っているのかをよく分かっていないのだろう。優希はそういう子なのだ。

 

『責任はとります。……ただ、これで私たち白糸台高校と、妹の清澄高校が失格扱いになってしまうのは避けたい、というのが本音です』

 

 和としても照の言葉には大賛成である。

 ただ、責任を取ると言っておきながらその発言は頂けない。なので、この場面を一体どうやって切り抜けるつもりなのだろうかとも思う。

 この後の展開次第で自分たちの行末が決まるのだ。緊張せずにはいられない。

 和は画面を注視し、一言一句聞き漏らさないようにと心掛ける。

 

『これは私の我儘でお願いです。本来ならこのようなことが許される立場でないのは理解しています。……それでももし、皆さんがこのお願いを叶えてくれるのならば……』

 

 一呼吸分の沈黙。

 そして、

 

『私は、今後の人生を、麻雀にかけることを誓います』

 

 毅然とした態度そう言い放つ。

 照の瞳には覚悟の焔が灯っていた。

 

 

****

 

 

 照の発言に、会見会場はどよめきに包まれた。

 

「お、お姉ちゃんっ!?」

「大丈夫だよ、咲。お姉ちゃんに任せて」

「で、でも……!」

「大丈夫。それにこんな時にしかお姉ちゃん、良い格好できないから。ね?」

「……分かった」

 

 優しい微笑みをたたえた照に、咲は釈然としない様子で引き下がる。

 照はそれを見届けてから、前へと向き直り話を続行した。

 

「話を戻します。先程の発言ですが、具体的には、私は高校卒業と同時にプロとなることを約束します」

 

 これに対し返ってきた反応は、「おぉっ!」という歓声と、フラッシュの嵐だった。前々から照の進路については関心が向けられていたため、マスコミからすると、この展開はスクープ中のスクープなのだろう。

 

 以前のインタビュー時には明言を避けていた照が、遂にプロになることをここに宣言した。

 これは日本の麻雀業界を動かすことに疑いはない。

 会場の熱気は冷めることを知らず、むしろ加速度的に上昇していく。

 

「……なら、私も」

 

 そのタイミングで、更なる波紋を生み出す発言が為された。

 

「……咲?」

「私も、私もプロになります!」

「さ、咲! あなた何を言って「だって!」……咲?」

 

 照の言葉を遮るように、咲が強く叫ぶ。妹のその必死な様子に、照は思わず発言を止めてしまった。

 急な展開に会場はしんと静まり返っている。その空気の中、俯いていた咲はバッと顔を上げて話し出した。

 

「だって! そうしたら、またお姉ちゃんと離れ離れになっちゃう! やっと会えたのに! だから、私もプロになる! そうすれば今度こそお姉ちゃんと一緒にいられるでしょ?」

「……でもね咲。咲はまだ高校一年生なんだよ? 将来のことをそんな安易に考えちゃ駄目でしょ?」

「確かにそうだけど……でも!」

 

「──別にいいのではないですか? 本人がそう言っているのですし」

 

「「……はっ?」」

 

 突如割り込んできた一声。

 咲と照は同時に其方に振り返った。

 

 

****

 

 

「見ろ、(はじめ)! 実に奇奇怪怪なことになっているぞ!」

「うん、ホントだね。ホント奇ッ怪なことになってるね……」

 

 テレビに映し出されている映像を噛り付くように見ていた少女──天江衣は、現在進行形で目をキラキラと輝かせていた。保護者役として付き添っていた国広一は、そんな彼女を苦笑しながら見守っている。

 用意されているテレビは二台あった。片方は準決勝第一試合の模様が流れており、もう一方は緊急会見と題した衣の友人二人による茶番劇が繰り広げられていた。衣が注目しているのは勿論後者である。

 映像では丁度照がプロになることを表明していた。映像をガン見していた衣の目に光の点滅が容赦無く襲い掛かってくるが、気が昂ぶっている彼女にその程度の光撃は通用しない。むしろ更に瞳を煌めかせていた。

 

「そうかそうか、照はプロになるのか」

 

 うんうんと、愉しそうに衣は頷く。何を考えているのかは分からないが、表情は愉悦に浸っていた。併せておっかないオーラが迸っているのだが、鳥肌が立つ以外に損害はないため一は気にしないことにしている。

 背後で様子を伺っている一はご機嫌な衣を見て嬉しく思うが、少し困ったように笑っていた。

 

(衣……、この会見自体を宮永さんが用意してくれた饗宴だとでも思っていそうで怖いよ)

 

『ロン、8000』

『……は?』

 

 流しっぱなしのもう一方のテレビから和了りの声が響く。

 時間の都合上、準決勝第一試合は継続されていた。白糸台の次鋒は気が気でないだろうに、ちゃっかり千里山の一年から直撃を奪っている。相当肝が据わった実力者なのだろう。

 今ので前半戦東三局が終了。中々に早いペースで対局は進んでいるようだ。

 

『相手を射抜く一閃! 白糸台のシャープシューター、弘世菫! 自校がとんでもなくゴタゴタしているにも関わらず、その狙い撃ちは流麗極まる! これが絶対王者を率いる者の強さなのかーッ!!』

 

「相も変わらず蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)なことだ」

「その言い方はちょっと酷いよ……」

 

 どうやら衣はこの実況は好みではないようだ。耳に入っただけというのに顔を顰めている。

 

「しかし言っていることは正しい。菫の射抜きは見事なものだ」

 

『……それにしても、すこやんはいつ帰って来るのかな? 飲み物買うって言ったきり戻って来ないよー!』

 

「……ん?」

「小鍛治プロが、いない?」

「──衣様」

 

 黒い影が衣と一のすぐ側に現れた。

 

「ハギヨシか。如何にした?」

「はっ。先程、宮永咲様より通知が届きました」

「何っ? 本当か!?」

「此方で御座います」

 

 恒子の実況という名の愚痴を一切無視して、衣はハギヨシから手渡された携帯を見る。「機械は好きではない」という理由の元、管理は全てハギヨシ任せ。これで不便がないのだからハギヨシの有能さには舌を捲く。

 届いた一通のメール。緊急で送られたものなのか文面は非常に短い。

 

『助けて衣ちゃん! 迎えに来て!』

 

 衣の行動は迅速だった。

 

「行くぞ、ハギヨシ! 咲が衣を待っている!」

「既にご用意出来ております」

「うむ、大義である」

 

 早速移動に取り掛かろうと衣が立ち上がったと同時、会見の方の映像が俄かに騒めきだした。

 

「嘘……!?」

「一? 何があったのだ?」

「こ、衣! 宮永さんたち、大変なことになってるよ!」

「うん?」

 

 再度映像に目を戻す。

 映っているのは目を見開いた宮永姉妹と白糸台の監督。彼女たちが狼狽える姿は滅多に拝めるものではない。きっと、許容範囲を遙かに超えたイレギュラーが発生したのだ。

 

 ──その時になってようやく感じ取った。

 

「──ッ!」

 

 背筋が凍るような気配。今迄触れた事もない圧倒的強者が放つ、隠し切れない極大なるオーラ。幾何学的に揺らめく不気味過ぎるナニカ。

 衣ですら震え上がってしまう。咄嗟に身を守るため、対抗するようにオーラを全開にするが冷や汗は止まらない。

 

「……ふふっ」

 

 それでも衣は笑みを深めた。

 

「此度の宴、面白くなるのはこれからか」

 

 向かう先に待つのは宮永姉妹にとって天国か地獄か。

 新たに現れた人物を一瞥してから、口元を吊り上げた衣は意気揚々と歩み出した。

 

 

****

 

 

 少なくても、途中までは順調だった。

 会見会場に姿を見せる前にした事前の打ち合わせ通りに事は進んでいた。

 概ねの流れを簡潔に纏めるとこうだ。『照がプロになることを宣言し、咲もそれに続く』。単純明快だが、与える効果は絶大だと咲と照は確信していた。

 

 最初、照は咲がプロになることに反対した。今回の件で巻き込んだのは照の方だから、咲が重荷を背負う必要はないと。早期に人生を縛ることはないと。

 しかし、咲にも考えがあった。当たり前の予測と言い換えてもいい。

 

「ぶっちゃけ、私が今後『プロにならない』っていう選択肢があると思う?」

 

 照は黙り込んでしまった。

 理由は簡単。咲は今大会で暴れ過ぎたのだ。

 前大会のMVPである《牌に愛された子》天江衣の撃破。個人戦では照を凌ぐ総合得点を叩き出し、全国二回戦では三校の点数を完璧に調整してみせての勝利。打ち出した記録の悉くが前代未聞。咲ほどの実力者が世間から、麻雀業界から放って置かれるわけがない。

 加えて、今日の段階で照の親族だということを公にされた。今後咲がどう立ち振舞おうとも、その事実は咲に付いて回るだろう。

 なら一層の事、開き直った方が賢明である。そう、プロになると表明してしまえばいいのだ。

 別に咲はプロになることを嫌悪している訳ではない。むしろ、強い相手と対局出来るのなら進んでその道を行くタイプだ。忘れている人の方が少ないはずだが、咲は照と同様、麻雀においては好戦的な性格をしている。そのため、プロという舞台は打って付けなのだ。

 

 照も状況を理解し、咲の提案に納得した。残る問題はこの危機を乗り越える方法だが、其方はもう解決したと言っても過言では無い。

 何しろ此方が提供する賭け金は二人の人生。しかもその二人は、当世の麒麟児である照と咲。彼女たちのプロ確約の誓いなら、麻雀協会を黙らせることも可能のはず。

 

 だから、後は如何に感動的に丸め込めるかな〜と咲は楽観視していた。因みに、健気な妹路線を取り消すことは早々に諦めている。もう修復不可能だと察したからである。

 

 準備万端で挑んだ本番。本当に、途中までは順調だった。

 照のプロ確約の誓い。それに伴い会場の熱が増していき、此処ぞというタイミングで咲は切り出した。ここからが本番だった。

 

 予測し得ない、イレギュラーが発生しなければ。

 

「──別にいいのではないですか? 本人がそう言っているのですし」

 

「「……はっ?」」

 

(あっ、思わず素が出ちゃった……)

 

 打ち合わせにない横槍に邪魔されて、咲は恨みがましく声の行方を睨む。

 瞬間、絶句した。

 

(何、この人……⁉︎)

 

 異常だった。異様だった。

 纏うオーラが。放つ威圧感が。

 

(量も質もヤバすぎる……一体、誰?)

 

 答えは、隣で瞠目している姉から齎された。

 

「……小鍛治プロ」

 

 照はそう呟いた。その名前には、周りに興味が薄い咲ですら心当たりがあった。

 

(小鍛治……あぁ、思い出した。小鍛治健夜。確か元世界ランキング2位とかその他諸々で有名なプロ雀士の人かぁ〜……。……?)

 

 ──何でそんな大物がこの場面で現れる?

 

 意味が分からない。

 眉を寄せて訝しげに見つめるが、健夜は微笑しているだけで大した反応を見せない。何か怖かった。

 結局どう動けばいいか判断つかなかった咲は、仕方なく記者から見えない位置で照のスカートをクイクイと引っ張る。此方を向いた照とアイコンタクトを交わした。

 

 ──ねぇ、どうするの? てかこの人何しに来たの?

 ──うーん、どうしよっか……。正直小鍛治プロの登場は私も予想外。本当に何しに来たんだろ……?

 ──まぁ、そうだよね。……とりあえず、発言的には私にプロになってほしいってことかな?

 ──多分……。狙いは分からないけど、もしそうなら味方に引き込めるかも?

 ──方法は?

 ──……、……全力でオーラ叩き込んで、こっちに協力してって伝えてみるとか?

 ──……よし、その方向性で行こう!

 ──そうしよう。

 

 ……この程度の意思疎通、咲と照なら目と目で見つめ合うだけで可能なのである。

 

((では早速……))

 

 ──少し話が変わるが。

 咲と照は個人でも、放つ威圧感は尋常でないものである。それはこれまでの対局風景が物語っているだろう。実際に起こる現象として、対人間なら『冷や汗をかく』、『顔が青褪める』、『吐き気を催す』など。対物質なら『会場の電球を割り停電に追い込む』、『能力と関係があるモノクルを木っ端微塵にする』などがある。

 そんな二人が同時に、しかも全力全開を発揮したらどうなるのか?

 

 答えは、『空気が軋む』である。

 

『ッ!!?』

 

 刹那、会場全体が寒気に覆われた。実際の温度は1度足りとも変化していないが、少なくない人が背筋に走る悪寒を感じていた。

 しかしこれは二次災害。本当の狙いは全く別のところにある。

 

 ──とりあえず私たちに協力して下さい!

 

 二人の視線の先にいる健夜に目線で訴える。きっと普通の人相手ならこれはお願いなどではなく脅迫に近いのだが、咲と照がその程度の茶飯事を気にするわけがない。……そのうち「世界は自分たちを中心に廻っている」とか言いそうな傲慢さであった。

 対して健夜であったが。

 

 

 

 ニコリ。

 

 

 

「「っ!!?」」

 

 びっくりした。反射的に身構えてしまう程に。

 

(……まさか微動だにせず笑みを浮かべられるとは)

 

 訪れたのは一瞬の硬直。

 だが、健夜が機先を制するのには十分な隙であった。

 

「お二人は初めましてですね。つくばプリージングチキンズ所属のプロ雀士、小鍛治健夜です。以後お見知りおきを」

「……白糸台高校先鋒、宮永照です」

「……清澄高校大将、宮永咲です」

 

 唐突に自己紹介をするはめに。健夜が此方の意図を察してくれたのかの把握は出来ないが、この時点で咲は一つだけ悟っていた。

 

(ミスったなー、会話の主導権奪われちゃった。もうコントロール出来ないや)

 

 当初の計画は既にご破算。更に悪いことは重なり、この場は健夜の支配下に置かれた。

 

(……もう、最悪だよ……)

 

 咲は面倒事の気配をひしひしと感じていた。

 

 

****

 

 

「あははは! なんかスッゴイ面白いことになってるんだけど!」

 

 白糸台控え室にて。淡はテレビ画面に指を差しながら、腹を押さえ爆笑していた。ここ二、三ヶ月の中では稀に見る上機嫌さである。

 ストレスとは無縁で常にテンションが高い淡であるが、ここまでご機嫌なのも珍しい。例えるのならば、溜まりに溜まった鬱憤をこの機に晴らしているかのようだ。

 もしかしたら全国大会ということで、日頃は能天気な淡も淡なりに気を張り詰めていたのかも……と思ったら大間違いで。

 

「あはは、サキのざまぁッ!! 今迄のバチが当たったんだよ、バァァァーーッカァッ!!」

 

 がっつり私怨の籠った叫びが響き渡った。淡ちゃんは凄く嬉しそうです。

 

 淡が視聴しているのは当然の如く咲と照の会見である。

 最初は絵に描いたようなシナリオ通りの茶番劇が繰り広げられていたため、淡的にはある意味で面白くはあったが新鮮味は皆無だった。照の演技はとうの昔に見飽きたし、妹である咲も相当な演技力を持っているのは知っていたから、「まぁこんなもんかぁ〜」くらいの感想しか浮かばなかった。

 状況が一変したのはその直後。何故かは全くもって不明だが、あの場の人、いや、全国でこれを見ている全ての人にとってイレギュラーが発生した。

 

 小鍛治健夜の登場。

 

 驚いたが、淡からするとこの展開は面白すぎた。

 

(だって私、全く関係ないもんね〜)

 

 理由の一つは自分が傍観者の立場で高みの見物が出来る点。

 そしてもう一つ。此方が遥かに大きいが。

 

(サキが困るとか超愉しい! 死ね、死ね! そのまま社会的に死んじゃえ!)

 

 咲の不幸だけを全力で願う淡ちゃんであった。

 

 同室にて寛いでいた尭深は、淡に関しては見て見ぬ振りを決め込んだのか完全無視。新しいお茶を注いで一人楽しんでいる。

 "チーム虎姫"で二番目に真面目な誠子は、二人を見て溜め息を吐いた。この一大事を憂慮しているのは、恐らく自分と部長である菫だけなのだろう。

 照を筆頭に、何故こんなに個性的な面々が都合悪く集合したのか。これまでこのチームを率いてきた菫の手腕に、改めて感嘆の想いを抱いた。

 

「……淡、一応白糸台の今後の動向が掛かってるんだぞ。少しは心配くらいしてやれ」

 

 一応、本当に一応苦言を呈す誠子だが。

 

「はん、や〜なこった! 誰があんな性悪女の心配なんかしますかっての」

 

 けっと、鼻で笑われた。一度くらいブン殴ってもいいんじゃないだろうか。誠子は素直にそう思った。

 

『お久しぶりです小鍛治プロ』

『はい、お久しぶりです。以前はお世話になりました。監督業は順調のようですね』

『えぇ、まぁそうね』

 

「へぇー。監督と小鍛治プロって知り合いなんだー」

「……まぁ元プロだからな。そのくらいの繋がりあってもおかしくないだろう」

 

 監督と健夜は知己だったのか少々の雑談を交わしていた。この時点で咲が会話の主導権を握れないことを察し、淡は笑みを更に深める。

 

「あっははー、さてさてどうなるどうなる?」

「……淡ちゃん」

「ん? なにタカミー?」

 

 声に振り向くと、一頻りお茶を味わって満足したのか、ほっこりした顔の尭深が出来上がっていた。淡はそんな彼女を当たり前のようにスルーする。

 

「淡ちゃんは咲ちゃんのことが大好きなんだね」

「はっ? 何言ってんのタカミー?」

 

 急に何を言われるのかと思えば、事実無根で御門違いの内容。何を世迷い言を。

 

「だって、さっき誠子ちゃんは白糸台の心配しろって言ってたのに、淡ちゃんが第一に心配するのは照先輩や監督じゃなくて咲ちゃんなんでしょ?」

「………………な゛っ!!?」

 

 淡の胸に言葉の刃が突き刺さった。深く深く心の臓に。

 無意識のうちに墓穴を掘っていたことに気付く。

 

(は、嵌められた……!?)

 

 誰も嵌めてない。

 

「ふふふ、淡ちゃん可愛い」

「んなっ!? べ、別に私は! サキのことなんて全然心配してないんだからねッ!!」

「ふふふふふふふふふ」

「わ、笑うなッ!!」

「あらあらまぁまぁ」

「んぎゃぁあーッ!!!」

 

 口許に手を寄せ上品に笑う尭深。意外と様になっていた。

 他が弄り、淡が騒ぐ。

 いつもの光景を眺めながら、誠子はふと思い返す。

 

(尭深、こんなに性格悪かったかな〜?)

 

 何時からだろう。尭深がこのように明け透けに、他人(主に淡)に容赦が無くなったのは。

 

(……うん、100%咲ちゃんの所為だな)

 

 この件については那由多の彼方にでも放り投げよう。

 

『それで、小鍛治プロはこのような場に一体どのような用事が? 解説はどうしたのですか?』

『今はこーこちゃんが頑張ってくれているので大丈夫です……多分ですが……。それで、此処に来た要件ですが』

 

 健夜は咲と照の二人に向き直る。

 

『お二人に話したいことがありまして』

『……私たちに何か?』

『えぇ、私は……』

 

 会場の緊張度が尋常でなく増しているのが分かる。次に健夜が齎す一言に、全国の人々が注目していることだろう。

 

 ──さぁ、何が出てくる。

 

 気付けば静かになっていた控え室で、映像を凝視しながら三人は固唾を呑む。

 一瞬にも満たない短い時間、それでもとても長く感じられた間隙を開けて、健夜は遂に口を開いた。

 

『私は、お二人のプロ入りを歓迎します』

 

 

 

 

 

 ──この日から、日本の麻雀業界が急加速していく。

 到来するのは弩級の荒波。

 将来。咲と照、それ以外の高校生雀士達も巻き込まれていくことを、今はまだ、誰も知らない。

 

 

 

 




衣「堅!」
容易に想像できました。

・和ちゃんスレる
・衣ちゃんテンション上昇
・小鍛冶プロとの夢の共演
・淡ちゃんツンデレる

の4本立てでお送りしました。衣の口調とすこやんのキャラに関してはあまりツッコマナイデ。


オマケはニコ動でアップされてる実況動画が面白すぎたため衝動的に書きました。

オマケ:京ちゃんに言われてVitaやってみた

「はぁ? 私たちがゲームになった? 何言ってるの京ちゃん?」
「いや、そのままの意味だって!」

 休日の昼下がりにいきなり電話で呼び出され、赴いた京太郎の家で聞かされたのはそんな内容の話だった。正直、何を言っているのかさっぱり分からない。
 咲は胡乱な瞳で京太郎を見る。その奥には、『まさかこの程度のことで「緊急事態だから来い!」と宣ったのではないよね?』という、無言の圧力が存在していた。
 その気配を敏感に嗅ぎ取った訳ではないだろうが、京太郎はずいっと押し付けるように何かを咲に見せてきた。

「これだよこれ! いいから見てみろって!」
「……何これ?」
「PS Vitaってゲーム機。まぁ咲にそんな詳しいこと求めてねーから気にすんな。それより重要なのは中身なんだよ!」
「さっきからテンション高いよ京ちゃん……。私にはよく分かんないから、一先ず京ちゃん主導で操作して」
「それもそうか、よぉし、ちょっと待ってろよ」

 意気揚々とゲームを操作する京太郎。最近何か様子がおかしいと思っていたが、今の姿を見る限りどうやらこれをやりこんでいたらしい。何してるんだか……と、咲は溜め息を漏らすが、京太郎の耳には届いていない模様である。

「それで、これはどういうゲームなの?」
「だから最初に言っただろ? お前たちのゲームだって」
「……私たちのゲームって何……?」
「要するに──」

 目の前に差し出された画面上には、麻雀牌が沢山映っていた。

「麻雀のゲームだっ!」
「……麻雀のゲーム?」

 そう言われて思い出すのは、合宿で経験したパソコンでの麻雀だ。苛つくほどに勝てなかったそれは苦い思い出だが、それと自分たちがどう繋がるのかが想像出来ない。

「いやな。咲を筆頭に、お前たちは偶に超常的な自摸とか事象を麻雀で起こすだろ? それを面白がって、どっかのゲーム会社がそれを体験出来るようにって張り切ったらしくてな。そんで生まれたのがこれよ!」
「……ふーん」

 咲にとっては日常茶飯事のそれらは、一般人からすると脅威にしか映らないと京太郎が過去に言っていた記憶がある。
 その様をゲーム化しようなどという酔狂な物好きがいるとは。世の中何が起こるか分からないものだ。

「因みにどんな感じなの?」
「今実際に対局してるから見てみるか?」
「うん。見せて見せて」

 京太郎の側に顔を寄せ、画面に広がる対局シーンを目に収めた。
 イマイチ理解出来ていないが、画面下に見える牌は自身の手牌で、中央にあるのが捨て牌だということは判断出来た。
 また先の京太郎の説明から察するに、画面隅にいる各人の写真? が、今体験している麻雀プレイヤーの誰かなのだろう。見覚えのある顔写真が画面上に並んでいるのは、何だか不気味でもあった。水着姿の人がいるのも謎だった。

「……それで、京ちゃんは誰なの?」
「ん? 今は千里山の園城寺怜さんだ!」
「……ということは」
「あぁ、今の俺は一巡先が見えるぜ!」

 そう言って立直を仕掛ける京太郎。その際、怜の立直をする画像が現れるではないか!

(何という無駄スペック……)

 苦笑いが溢れる咲だったが、最近のゲーム事情に詳しくないためこれ位が普通なのだろうと、特に気にしないことにした。

『ツモ』
「ふふ、来たぜ一発自摸!」

 怜の声とともに自摸宣言がなされる。同時に、怜の際どい決めポーズ写真が現れるではないか!

「……あれ? まさかの脱衣麻雀なの? というより負けた人じゃなくて和了った人が脱ぐの?」
「……いや、別に脱衣麻雀じゃねぇぞ」
「……へぇ〜。……斬新なアイデアだね!」
「だろ!」

(……大人のいかがわしい欲望に塗れてるよね、これ……)

 一瞬で水着姿が存在する理由を看破した。何処で手に入れたんだこの写真……なるほどなるほど、これは酷い。
 開き直った見苦しい京太郎を咲は優しい眼差しで見つめる。今度からはもっと配慮して対局してあげようと心に誓った。

(……うん。趣旨は分かったかな?)

 機嫌の良い京太郎を見て、咲も何となくだが、所謂このゲームの醍醐味というのを理解出来た。
 『八咫鏡』という能力を持つ照には無縁の世界だろうが、それ以外の大多数の人からすれば、これは夢のような体験が可能なゲームなのだ。日頃、咲たちにボコボコにされている京太郎がハマるのも無理はない。

「よし、勝利っと。折角だから咲もやってみろよ」
「うーん、まぁいっか。とりあえず操作方法だけ教えて京ちゃん」
「オッケー任せろ!」

 興味がないと言えば嘘になるが、別にそこまで……という気持ちなのが本音。しかし、態々足を運んできて何もしないというのも癪に障る。京太郎の言う通り、折角なのでやってみることにした。
 早速京太郎から簡単なレクチャーを受ける。相変わらず機械は苦手な咲だが、今では龍門渕から頂いた携帯の基本的な機能は使い熟せるまで成長していたのだ。この程度のゲーム操作など造作もない。
 という訳で、然程時間も掛けず操作方法をマスターした咲は色々と弄ってみることにした。

「えーと、フリー対局に通信対局に……ショップ? 何かよく分からないのが沢山あるね。それでー、これは……カスタマイズ?」
「あー、それは各キャラを育成して、自分好みの強い雀士を作ろうぜ! みたいな感じだな」
「……なるほど」

(全然意味分かんないけど……)

 とりあえず、咲は先ほど京太郎が使用していた怜の欄を見てみることにした。

 能力  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 精神力 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 威圧  ☆
 抵抗  ☆
 自摸  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 配牌  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 運   ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「………………」

(……私は何も言うまい……)

 育成すご〜いとか、抵抗? 威圧って何? とか、精神力とは一体……? などなど突っ込みどころは多数あるが、咲はその持ち前の精神力で全てを無視することに決めた。

「……対局しよっと」

 フリー対局っ!

「だ・れ・に・し・よ・う・か・な♪」

 淡ちゃんの言う通りっ!
 即決だった。基本咲の中では淡 = 生贄の方程式が成り立っているのだから仕方が無い。
 ここの淡はキチンと育成されているようだ。☆が一杯あるからきっとそれなりに強いのだろう。

「因みに能力はーっと……」

 大星淡、能力。
 ・絶対安全圏…他家の配牌を悪く(五向聴以上)する。
 ・ダブリー…能力を発動させると配牌時に自分の手牌が聴牌状態になるり
 ・カン裏…発動中は最後の山牌の角前の直前で暗槓を行うと次のツモで必ず和了れ、カン裏ドラが乗る。

「ほぉーっ、相変わらず能力だけ見ると反則仕様だねー」

 まぁ負ける気は一切しないけどねと、内心付け加える。

「それじゃあ、レッツスタートッ!」

 ポチッとな。





 東一局

 能力発動っ!

『リーチッ!』

 カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ(全自動)。

『カンッ!』

 カタカタカタ(全自動)。

『ツモッ!』
『ダブル立直 2飜、門前清模和 1飜、ドラ 4飜。跳満』

 東二局

 能力発動っ!

『リーチッ!』

 カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ(全自動)。

『カンッ!』

 カタカタカタ(全自動)。

『ツモッ!』
『ダブル立直 2飜、門前清模和 1飜、ドラ 4飜。跳満』

 東三局

 能力発動っ!

『リーチッ!』

 カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ(全自動)。

『カンッ!』

 カタカタカタ(全自動)。

『ツモッ!』
『ダブル立直 2飜、門前清模和 1飜、ドラ 4飜。跳満』





「京ちゃーん! 私こういうの知ってるよー! クソ○ーって言うんだよねーっ!」
「おいっ! 人が楽しんでやってるゲームをクソゲ○呼ばわりするな! それにそれはどう考えても神ゲーだ!」
「いや、だって、これはないよこれは。淡ちゃんでこのゲームやったら何が面白いのか一切分かんないよ? 光ってるボタンを押すだけだよ? その他は全自動だよ? もはや目を瞑ってでも出来るよ?」
「それはまぁ、否定しねぇけど……。そんなこと言ったらお前たち宮永姉妹はもっとアレだぞ?」
「そうなの? ……じゃあお姉ちゃんから」

 宮永照、能力。
 ・和了ると積み込みが発生し、有効牌を引きやすい。
 ・危険牌を察知できる。

「積み込みが発生って何ーっ!?」

 やはり○ソゲーか。
 とりあえずポチッとな。





 東一局

 照魔境はなし。
 和了ってないのに何故か配牌が鬼。
 五巡くらいで普通に高め聴牌。

『リーチ』
『ツモ』
『立直 1飜、一発 1飜、門前清模和 1飜、平和 1飜、ドラ 2飜。跳満』

 東二局

 能力発動。
 配牌が更に鬼。
 四巡くらいで清一色聴牌。

『リーチ』
『ツモ』
『立直 1飜、門前清模和 1飜、三暗刻 2飜、清一色 6飜、ドラ 2飜。三倍満』

 東三局

 能力発動。
 配牌が「国士無双和了ってくださいね」と言っている。

『ツモ』
『国士無双。役満』

 東四局

 能力発動。
 配牌が「緑一色和了ってくださいね」と言っている。

『ツモ』
『緑一色。役満』





「京ちゃーん! 間違いない、これク○ゲーだよっ!」
「……お前の姉ちゃん超強いからなー」

 最後に自分。
 その際京太郎のアドバイスの元、少し設定を弄ってみることになった。
 スタートっ!





 対局面子。
 宮永咲vs宮永咲vs宮永咲vs宮永咲。

『カン』
『カン』
『カン』
『カン』

 流れ。

『カン』
『カン』
『カン』
『カン』

 流れ。

『カン』『カン』『カン』『カン』

 流れ。

『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』『カン』

「──フンッ!!」
「俺のVitaぁああああっ!!?」

 ──麻雀って楽しいよね!

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