それでは、第2話をご覧下さい。
巨大な校舎、UAのトレードマーク、大きく近代的な門をくぐり、ついに雄英高校へと足を踏み入れた。
(ついにきたんだ...)
緊張で朝飯が出そうになる。念のため、トイレにもう一度行っておくか?
そう思っていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた。
「おーい!雷閃ー!」
「川越!」
そのいつもと変わらない声に少し安心した。
「よお、気分悪そうじゃん。どした?」
「なんでも。少し緊張してただけだ。」
「へぇ〜」
なんとも余裕のある態度だ。そんな自信があるのだろうか。
「そういうお前は緊張してないのかよ?」
「たりめぇよ!この日に向けて頑張ってきたからな。自分の頑張りを自分が信じなきゃどうするって話よ。」
「確かに...」
珍しくいい事を言っている。しかし、それもそうか。俺も今までの努力を信じるか。
「それに、今日はヒーローの中でもトップクラスのヒーローに直接お目にかかれるんだ。否が応にも元気が出るってもんよ!」
「そういえばそうだな。」
緊張でほとんど忘れていたが、試験の説明や監督は雄英所属のプロヒーローがやる。つまり、そのプロと一時的だが関われる機会なのだ。
しかも雄英所属のヒーローは誰も彼も有名。テレビでみたことのあるヒーローも多い。こんな機会、普通に生きていたらほとんどないだろうな。そう思うと、まだ少し残っていた緊張がどんどん解れていった。
「なんかやる気出てきた!うし、絶対合格するぞ、川越!」
「応!」
そんな話をしている内に、試験説明会場についていた。
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これまた広い説明会場に入り、指定された席に座る。
全席が埋まり、会場が暗くなる。すると、前方のステージにこれから説明するだろう女性ヒーローがやってくる。
先生というよりかはその格好は女子高生というものに近く、制服のようなジャケットに大胆に胸元が空いたチェック柄のシャツとミニスカート。そのコミュ力と戦闘センス、計算能力の高さで、 デビューからあっという間にトップヒーローにまで上り詰めた。"JKヒーロー"「ブレイン」こと、美才 計。
「おーし、全員いんねー?んじゃ試験内容の説明してくからシクヨロー。」
(すげー、マジで本物だ...!)
その声、容姿、全てが本物。本当に本物がいるんだ〜...!当たり前のことだけど...!
周りも少しざわざわしているが、流石は雄英を受験する者たち。すぐに我を取り戻し、再び静寂が訪れる。
「ほーい、じゃ早速。まずこれからみんなには要項にある通り、10分間の「模擬市街地演習」を行ってもらうよー。アイテム等の持ち込みは自由。説明終わったら各自指定の演習場に向かってねー。」
受験番号カードに書かれていた演習場の場所を確認する。俺はCで、隣に座っていた川越はAだった。
「ほーん、会場一緒じゃねぇってことは...」
「同中や友達同士で協力させない、ってことか。」
まあ、それはそうだろうな。そう思っている間にも説明は進んでいく。
「演習場内には3種の仮想ヴィランが多数配置されてて、それぞれの強さに応じて強さが割り振られてるよー。みんなはそれぞれの仮想ヴィランを戦闘不能にしてポイント稼いでく、ってのが目標だね〜。他の受験生への攻撃や妨害はご法度だかんね。」
仮想ヴィランはプリントに書いてあるやつねー。と補足する。それに合わせてプリントを眺める。プリントには仮想ヴィランの図は4つ。だが先の説明と前のスクリーンに映っているのは3つ。
数が合わない。
おかしいな、そう思っていると
「あ、あの〜...しっ、しし、質問があるんですけどぉ〜...」
と、そろーりと前に座っていた女子が手を挙げる。
「ん、質問ね。いーよー。」
「は、ははは、はい〜...」
「あ、あの、先程のせ、説明ではぁ、仮想ヴィランのしゅ、種類は3つですが、プリントにあるのは4種なんですが、こ、ここ、これは印刷ミスでしょうかぁ...?」
かなり声が震えている。大丈夫だろうか。
それは置いておいて、そのもっともな質問にブレインは答える。
「お、いー質問だね〜、受験番号4158ちゃん。答えてしんぜよう。ズバリ、その4つめのヴィランは会場に一台いるお邪魔虫。得点は0。ただデカいだけの会場を徘徊するギミックだよ。倒してもいいけどメリットはない。極力避けたいやつだねー。」
「あ、あり、ありがとうございましたぁ〜。」
さっきより声震えてる...。
「さて、模擬市街地演習の説明はこれくらい。今から、みんなに我が校の校訓を授けよう。」
「かの英雄、ナポレオン・ボナパルトは言った。"真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者"と。」
「更に向こうへ、Plus Ultra!」
プルスウルトラ...。更に向こうへ...。その言葉に、思わず強く拳を握り込む。
「それじゃあみんな〜、良い受難を〜」
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演習場C
ついにきた。あともう少しで試験が始まる。手袋をはめながら、手の感覚を確かめる。
(うん、いつも通りだ)
良くも悪くもない、いつも通り。そういうのの方が、逆に不安がない。
調子を確かめながら、周りにいるライバルの様子も確認する。
皆、準備万端、闘志が漲っている様子だ。ただ、その中で一人、特に何もせずキョロキョロとしている子が一人。
(あ、さっきの...)
さっきの説明の際に質問をしていた女子だ。ストレッチすらしてないので、大丈夫かと思い声をかけようとする。
「ねぇ、君」
「うわぅぇぇ?!な、な、なん、なんですかぁぁ?!」
思った以上に動揺している。本当に大丈夫だろうか。
「そろそろ始まりそうだから、準備した方がいいよ。」
「え?えあ、ありがとうございます...。」
さっきの驚きぶりと打って変わって落ち着いた。テンションの上下が激しいな...。
「今日はライバルだけど、お互い頑張ろうな。」
「あ、はい...。」
?...なんだ、その「変な人だなぁ」みたいな目は。まぁ、その通りだけど。他の受験者と喋ってるのなんて俺ぐらいだ。
まあ、人のことを気にかけるより自分のことをやった方がいいか。そう思い、ストレッチに戻ろうとすると
「おい、あんた。」
「?なんだ?」
「お前、赤坂中の走田だろ?お前も来てるなんてな。」
と、声をかけられた。中学のことは喋ってないと思うんだが...近くの中学なのか?
「そうだけど...君は誰だ?」
「俺か?俺の名前は、天ーー」
「はいスタート!」
会話の最中に唐突に飛んできた試験開始の合図。あまりの急さに少し思考が追いつかなかった。
「何してんの〜?もう始まってんですけどぉ〜?」
くそ!出遅れた!
「...は?いや、急すぎだろー!」
後ろの方から俺より遅れて動き出したあいつの声が聞こえた。ほんと、最悪のタイミングだ!
数秒の遅れを取り戻すため、少し"本気"で走る。
すると、一瞬にして目の前にいた他の参加者達の列を追い越す。
そのままの勢いで通り道にいた仮想ヴィランを貫く。足の調子もちょうどいい。
そのまままっすぐ通り抜ける。道中にいる仮想ヴィランも全て蹴り壊す。
1台、2台、3台、4、5、678910。通り過ぎただけでもざっと17台。ポイントにすると28ポイントと言ったところか。好調の滑り出しだ。
このままフィールド上のロボ全ての狩り尽くしてしまおうか。今ならいける気がする!
そう思う心とは裏腹に体は動きが鈍い。久しぶりに長めに走ったせいで"息切れ"だ!
(くそ!早く動けよ!)
焦る気持ちに追い討ちをかけるように
「目標、捕捉!ブチコロス!!」
という仮想ヴィランの声が聞こえてきた。
(まずい、やられ...)
やられる。そう思った瞬間、バギャアという金属が壊れる音がした。
「はー危ない危ない、危うく走田に全部倒されるとこだった!」
マジか...俺に追いついたのか?走ってまだ少ししか経ってないぞ。
「あ...ありがとう。速いな、あんた。」
「まぁな!なんてったって、俺は天を行く龍だからな!」
龍...確かに、さっきとは姿が違う。背中や手足に鱗が生え、細い尾や金色のヒゲ、ツノまで生えてる。見た感じ、龍に変身する個性か。
「それじゃあ、俺はこれで。ダラダラ喋っててもポイントは稼げないからな。また会おうぜ!」
「ああ。」
そういい、奴は飛んでいった。凄い個性だなぁ。
俺も、まだまだポイントを稼がなければ。体も動くようになった。少し自重して、なるべく走るのは控えよう。
「よし!いくぞ!」
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「ふーん、なかなかやるねぇ。」
試験会場近くの高台。今回の試験監督、美才計はCブロックでの一連のやり取りを眺めていた。
「スピード系の個性が二人。どちらも出遅れたけど、ソッコー巻き返した。最初に飛び出した方はスピードこそトップクラス。でも、すぐに体力が尽きてた。あれだけ派手な個性なら使い慣れてないのかもね。」
「龍になった方はスピード、パワーもあるバランスの取れた個性。こっちは持久力もありそうだ。」
「他にも、Cブロックはいい感じの子がいっぱいいるねぇ。あの二人以外だと、着実に稼いでるのがあの三人か。」
その視線の先には、硬化した髪でロボを壊し続ける女子、ロボを吸引し、ぶつけ合わせ壊す男子、絵の具を操り、戦う男子。
「なかなかやるねぇ。今年は豊作じゃーん。」
「そんで、あとは...」
彼らの次に目を向けたのは、スタート前、走田が声をかけた女子。スタートの際、出遅れはしなかったが単に運動能力の差で追い抜かれ、現在はちまちまと仮想ヴィランを倒している。
「いい個性持ってんだけどナァ〜、本人の気が小さいせいか、派手に動くっていう考えが無いのかなぁ?」
もうちょいポイント稼いだ方がいいよー、といいそうになるのを堪えて残り時間をアナウンスする。
「後り時間後3分〜!...そういや、そろそろ"あれ"が来る頃か。今年はいっかなぁ?すごいヤツ?」
そう呟き、ニヤッと少し意地の悪い笑みが浮かぶ。
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残り時間3分となり、試験もあと少し。受験生も全体的にバテてきており、ペースを緩める者や、逆に周りに差をつけようとペースを上げる者も居る中、試験中にギミックと説明された0ポイントが投入される。
ゴゴゴ、とビル群を破壊しながら超巨大仮想ヴィランが、受験生たちの前に現れた。
「いや、デカすぎだろ!!」
雷閃だけではなく、他の受験生もそう思ったことだろう。
(さすがにこいつは避けるべきか...?)
もうポイントは十分。しかし、最後まで油断はできない。ここは賢明に残りのヴィランを狩った方がいいな。
そう冷静に判断した雷閃は逃げようとする。だが、振り向いた先には試験前話しかけた女子が、腰を抜かして怯えていた。
「おい!大丈夫か?」
「あ、あああ、あの、あの...!」
この状態じゃ流石に置いては行けない。抱えていくか。
女子を抱え、仮想ヴィランから距離を取る。
「動けるか?」
「わた、私は大丈夫なんですけど、そ、その、あそこに人が!」
そう指を指す先には確かに人が足を負傷したのか倒れている。仮想ヴィランにやられる一歩手前だ!
(マジか!あれ、流石にやばいだろ...!)
すぐに駆けつけ状態を確認する。足首を捻ったぐらいだ。すぐに安全な場所に...
そう思っていると、突然周囲が暗くなる。空を見上げると、上空に仮想ヴィランの手が迫ってきていた!
「やべ!」
すぐに走り攻撃を回避する。いきなり飛び出したせいで思いっきり転んだが、なんとか救出成功!
「危なかった〜。」
というか死ぬかと思った!想像以上にデカいヤツの攻撃は怖いということがわかった。
「だ、大丈夫ですかー...?」
先程の女子が壊れた仮想ヴィランに乗ってやってきた。どういう個性なんだろ。
「ああ、教えてくれてありがとう。」
「い、いえ...わ、私は腰抜かしてただけでなにも...」
「そんなことない。君が教えてくれなかったら気づけなかった。」
すごい落ち込んでる様子。しかし、実際自分は気づけてなかったし、彼女がいなかったらきっと救えなかった。俺は自分の視野が狭いことを反省しつつ、救出した人をそっとおろす。
「後1分30秒〜〜!」
「え!?」
救助したし、自分もポイント稼ぎに戻ろうとしていると、彼女がそんな声を上げた。まさか、そんなにポイント少ないのか?
「それじゃあ、俺はこれで...。またいつか会おうな!」
「あ、え!ちょ、ちょちょ!」
申し訳ないが、俺にできることはない。すまない。名も知らぬ少女よ!
それから俺は気持ちを切り替えて、ポイントを稼ぎ始めた。
それから少しして、残り時間があと1分ちょっとというところで、さっきまでその辺を動き回っていた巨大仮想ヴィランが動きを止めた。
(誰かが無効化したのか?)
派手な戦闘音もなかったし、機械に強い個性で止めたのかな。そんなことを考えていると、巨大仮想ヴィランが再び動き出した。
しかしその動きは先程までとは違い、的確に仮想ヴィランを狙った動きだ。
(操作系の個性なのかな...)
辺りの仮想ヴィランを狩り尽くしたところで、巨大仮想ヴィランを観察していると、肩の辺りに見覚えのある人がいる。あの時の女子だ。ポイントを稼げて無さそうだったが、あの調子なら大丈夫そうだ。
「よう、走田。お前もあれ見てんのか?」
そう話かけてきたのは、試験のはじめに俺にちょっかいを出したヤツだった。
「ああ。お前もこの辺のロボは狩り終わったのか?」
「おう。まぁもうあと10秒、探してくるけどな。最後まで気は抜けん!」
確かにそうだ。俺も眺めるのは終わりにして、もう少しポイントを稼ごう。
「試験終了〜!」
と思った途端にこれだ。気を抜きすぎだろ、俺。
試験終了の合図と同時に、全てのロボが動きを止める。
巨大ロボも動きを止めた。すると、肩に乗っていた女子は急な角度で止まったせいで、巨大ロボから滑り落ちそうになっていた。
「またか...!」
正直自分で言うのもなんだが今日は何回人助けをしてるんだろうか。とにかく全速力で駆けつける。
流石に地面に落ちる速度よりも俺の方が速い。着地地点を見据え、待ち構える。
「よっと...お疲れ。」
「あ、ありがと、ございばず...」
泣いてた。そりゃそうだ。急に空に身を投げ出されたら余程肝が据わったヤツじゃなきゃ泣く。俺だって泣く。
そんな様子を見ていると、自分の緊張も解け、今までの疲労がどっと押し寄せてくる。あぁ、やばい...。この10分間ほぼずっと走ってたから、体力が、もう...。
その場でバタン、と横になる。意識はあるが起き上がれない。足がガクガクだ。
すると、担架をつけた二台の小型ロボがやってきた。すごいな雄英。こんなものまであるなんて。
「ヨウキュウゴシャ、イチメイ。ウンパン、カイシ!」
そう言うと、一瞬で担架に寝かせられる。このまま少しは休憩できるかな...。にしても、鍛えてたつもりだったが、思ってた以上に個性の消耗が激しかった。やっぱり、もう少し個性を使っておくべきだったかなぁ...。そんなことを考えつつ、少し目を瞑り眠りに落ちるのだった。
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「う〜〜ん...」
まだ取りきれない疲労感と共に目を覚ます。周りを見渡すと、どうやらここは保健室のようだ。何やら視線を感じ、隣の方を見ると、川越がパイプ椅子に腰掛けていた。
「よっ!」
「よう、お疲れ。」
「やっと起きたか〜。そんな疲れてたのか?」
「ああ、思いの外、個性の消耗が大きかった...」
「へー。」
体感数十分ぐらいしか離れていなかったはずなのに、久しぶりに川越と話すような気がした。
「んでよー、あのでっけぇのぶっ飛ばしてやったわけよ!」
「すごいな、お前。」
あれ、めちゃくちゃデカかったんだけど...。流石だな。
「私を誰だと思ってんだよ!そんで...ん?」
続きを話そうとしたところで、背後の視線に川越が気がつく。そこには、今日何かと縁のあった彼女だった。
「あ、ああ、あの、その、そこの人に、た、助けてもらったお礼を、しに...」
「へー、なんかしたの?雷閃。」
「まあ、ちょっと助けたぐらい。」
「ふーん、じゃあ私外しとくわ。また後でなー。」
「おう。」
そういい川越は席を立つ。さっきから立ちっぱの彼女に座るよう促す。
「どうぞ」
「あ、はい。し、失礼します...。その、今日は何回も助けていただいて、ありがとうございます。その、私、本当にあなたの足を引っ張ってばっかで...、すみません...。」
「いいよ。俺が勝手にやっただけだからさ。無事でよかった。」
「はい...。優しいですね、雷閃さん。私なんかにもこんなに優しいなんて...。」
「そんなことないよ。だって、俺は君の話を聞こうとせずに自分を優先してしまった。」
「い、いえ、それは別に...。ちゃんとポイント稼いでなかった私が悪いですし...。」
...。なんだか重い空気になってしまった。こういう時は、話題を切り替えるのがベスト!
「それより、最後の方のロボットを操ってたのすごかった!あれ、君の個性?」
「あ、はい...。機械系を操る個性で...。」
「へー!すごいね!今回の試験にも相性バッチリじゃん!」
「あ、いや、そんな...。えへへ。」
つい一方的に盛り上がっていると、かかっていたカーテンが開かれる。
「なんだい騒がしいと思ったら、もう目が覚めてるじゃないか。元気になったならさっさと帰んな。保健室は休憩所じゃないよ。」
「「あ、リカバリーガール!」」
この保健室の主、リカバリーガールであった。感動だ!大ベテランのヒーローが目の前に!
「あ、ああす、すみませんすぐ出ます〜!」
「そうしなさいな。ああ、そうだ試験お疲れ様のグミあげようね。はい。気をつけて帰るんだよ〜。」
ホァー!リカバリーガールからグミもらっちゃった!やべー!雄英最高!
「...ウェヘヘ」
隣を見ると彼女も同じようににやけていた。
雄英を出て川越に合流する前に、彼女の名前を聞いてなかったのを思い出した。
「そういえば、君、名前は何ていうの?」
「あ、わ、私、操神 一手です。」
「操神さんね。合格したら、また会おう。」
「はい!」
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一週間後
受験が終わってからは、本当に気が気でなかった。筆記はそこそこ。実技は十分な点は取れたが、他の受験生を超せたと自信を持って言えるほどではなかった。どうにか気分転換しようにも、不安は結局拭えなかった。
そんなある日
「雷閃〜!来たよー!通知!」
そう大慌てで母が突っ走ってきた。俺は合否通知を受け取り、部屋で開封することにした。
「なんか...重いな...。」
自分でもそうじゃないだろという感想が出た。めっっっちゃ緊張してる。とにかく、開けよう。合格か不合格かはそうしないとわからない。
「ふん!」
通知を開けると、中から円いプロジェクターが転がり、映像が投影された。
「やあ!僕が投影されたのさ!」
(ネズミだ...。)
「それでは早速、雷閃君。君の合否を発表するのさ!筆記、実技共に申し分ない成績。どちらも合格点を超えている。特に、実技試験の最中にもかかわらず同じ受験生を助けるという判断を何回もしたことは、ヒーロー志望としてとても素晴らしい行動だ。実は、そういったヒーローとして当然な人助けといった行動も、得点として評価していたのさ!その名もレスキューポイント!雄英教師陣による審査制で評されるのさ!」
そうだったのか。確かに、ヒーローとしてああいった緊迫した状況で自分より周りに気を使える人間性は大事かも...。投影された校長から語られる自分の評価に少し顔がにやけてしまう。
「〜〜ああ、でも、試験中に気を抜いた場面も多かったり、そういう自制心なども課題としてー、え?もうそろそろ合否発表を?ああ、すまないね。それでは、発表するのさ!結果は...合格!」
合格。その短い言葉に、とてつもない安堵と喜びを感じた。ああ、よかった〜!ほんとに、受かったんだぁ。
「ようこそ!ここが、君の、ヒーローアカデミアさ!」
ああ、ここから始まるんだ。俺のヒーローとしてのストーリーが。
家族へ報告をしたところ、母は狂喜乱舞、普段は滅多に騒がない父まで大きな声で喜んでくれていた。
「本当に、よくやったなぁ!誇らしいぞ!雷閃!」
......まだ抱きしめられた時の感触が残っている。
「あ、そうだ。川越にも連絡しよう。」
川越のケータイに電話をかける。するとワンコールもしないうちに電話に出た。
「かわこ「受かったぞぉぉぉぉぉ!」
うぉぉぉぉ!と電話越しに川越の叫び声が響く。うるさ!
「落ち着け川越!」
「おぉ...。悪い悪い。雷閃も受かったんだよな?」
「あぁ!お互い、これから頑張ろうな。」
「おう!」
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「いやーレスキューポイントがあるなんて気づけなかったなあ。」
「な。まあ、ヒーローに相応しい人間を多く選ぶ為の仕様なんだろうけど。」
「そうだよなぁ〜。あ、もうこんな時間。んじゃ、私もう寝るわ!」
「あぁ、おやすみ。」
そう言って電話が切れる。時計を見ると、もう23時。俺もそろそろ寝るか〜、とベッドに寝転ぶ。
(はぁー、にしても、高校生活か...。どんな風なんだろ?)
やっぱり、友達と遊んだり、青春みたいなことがあるんだろうか?いやでも、ヒーロー科だしな...。
(あ...、そういや、操神さん、受かったのかな?連絡先、交換しとけばよかった。)
あの人とも、また話したいな。
そうして、夢の高校生活を思い描きながら、眠りについた。ここからが、本当の俺の、スタートラインだ。
次回予告
無事、雄英受験を突破した雷閃達。
そんな彼らを待ち受けるのは、前代未聞の地獄のレクリエーション。
彼らは、雄英が与える試験を、乗り越えられるのか。
次回 第3話 「Dirty Deeds Done Dirt Cheap」
そろそろリアルがテスト週間で勉強頑張らないといけないので次回はいつになるかわかりません!()
来月までには投稿します...。