今回はそこそこ長いのと登場人物が多いので難しかったです。
余計文が汚かったり誤字脱字があったりするかもしれません。ご了承ください。
それでは第3話、どうぞ。
朝6時。我が家のリビングからカメラのシャッター音が鳴り響く。
「...なあ。もういいだろ母さん!」
「ダメ!後も〜少し!も〜少しだから!」
「そう言って、もう30分も撮ってるだろ!」
何故こうなったのか。簡単に言うと、制服を着た俺の写真を撮りたいと母さんが言い出したからだ。何回見てもいいらしい。
「まあまあ母さん。その辺にしておいてあげなさい。雷閃も、もう行かないと行けないんだから。」
(父さん、ありがとう....!)
父が出してくれた助け船のおかげで、なんとか家を出られた。
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「てなことがあったわけよ。」
「おまえんちの母さん、だだ甘だよな、お前に。」
という今朝の出来事を駅のホームで川越に話していた。
「まあ、正直写真撮られるくらいなら、逆に嬉しいくらいなんだけど。」
「お前も大概甘いわ...。嬉しいのはそうだけど。」
そんな風に駄弁っていると、後ろから声をかけられる。
「よう、雷閃!」
「あ、お前は龍の。」
「反応薄くね?」
試験の時にあった龍に変身したやつがいた。本当にこの辺だったのか。
「雷閃、こいつ誰?」
「あぁ、こいつはこの間の試験の時に話しかけて来たやつ。」
「初対面にこいつって、口悪いなあんた!」
「まあまあ。そういや名前聞いてなかったな。なんていうんだ?」
「おう!俺の名前は天童 龍児!個性は「龍」だ!よろしく!」
「「おお、よろしく!」」
「息ぴったりだなお前ら...」
そんなこんなで、天童もいっしょに通学することになった。
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雄英校舎
「そういや、クラスどっちか聞いてなかったな。お前ら、A、Bどっちだ?」
唐突に天童が聞いて来た。
「俺はA。」
「私もA。」
「なんだよ、俺だけBか。まあいいや。んじゃあ俺らはライバルだな!」
「そうなるのかな?」
「なんで疑問系なんだ。」
なんかツッコミ役になって来てるな、天童。
「そういや今日何やんのかな〜?」
「さあ?ガイダンスとか?入学式はあるかどうかわかんないけど。」
「案外、いきなり実技とかな!」
「ありえるなぁ〜!」
川越はとにかくワクワクしている様子だ。そりゃ憧れの雄英だし、雄英が行うってだけで試練でも式でもすごいものだろうという期待がある。正直俺もめっちゃ興奮している。
そんな風に三人で話していると、教室に着いた。
「じゃあなー」
「「おう」」
天童はB組に入っていった。さて、俺らもA組に入るか。そう思い異様にデカい扉を開ける。
「おはようございまーす」
「おはざーす」
教室を見ると、俺ら以外は既に席についていた。なんか気まずいな...。そう思いながらクラスメイトの顔を見ていると、何人か試験中とかに見かけた人もいる。そして
「あ、操神さん!受かってたんだね。改めて、よろしく!」
「あっは、はい。よろしくお願いします。雷閃さん。」
いや〜よかった。知ってる人がいるに越したことはない。正直話したりできるか不安だったし。
「よ。私ともよろしくな」
「は、はい、操神一手です。よろしくお願いします。」
「川越恭子。よろしく!」
他のクラスメイトも、各々自由に話している。すると、再び教室のドアが開く。
「みんなおっは〜!」
なんと、入って来たのは試験の説明係だった「ブレイン」!この教室に入ってくるってことは、多分そういうことだ!
「今日からみんなの担任の、ブレインこと美才計だよー。気軽に計チャン先生って呼んでねー!」
周りの何名かからおおっと声が漏れる。まさかブレインが担任だなんて、やっぱりすごいな雄英!入れてよかった〜!
「さぁて、今日一日何をやるか気になってると思うんで、早速発表しちゃうよー!」
「今日やるのは〜....じゃん!レクリエーション!」
「レクリエーション?」「入学式とかじゃないんだ...」「いったい何やるんだろ...」
初日でいきなりレクリエーション...。仲を深めるとか、そういったことで行われるようなものだが、初日でやるのはどうなんだ?
実際何人かは不安そうな顔をしている人もいる。
「センセー!レクリエーションって何やるんすか?!」
俺の斜め前の金髪が声を上げた。てか声でかいな。
「よーし。じゃあ説明するかんねー。よーく聞いときー!」
「ズバリ、今日やるのは〜、ゾンビパンデミックゲーム!いえー!」
「ゾンビ〜?」「噛まれたりするのかなー?怖ーい!」
「まあゾンビっつっても設定だけどねー。では、ルールを説明しよう!」
そういうと、前の黒板に文字が表示される。すごいハイテク!
「まず設定は、ゾンビパンデミックが起こり、このクラスのメンバー以外は全滅してしまった世界。その中で、要救助者である私を守りながら、ゾンビの群れと約30分間戦ってもらうゲーム!クリア条件は30分間戦いきるか、ゾンビを全滅させたらクリア!ちなみに、みんなが全滅したり、私がやられちゃったらアウトだから、頑張ってお互いに守りあってねー!」
「おお!たのしそー!」「これは協力が大事だな!」
なるほど。つまり俺らの結束力を測るゲームということか。ゾンビパンデミックという設定も、結束力が試されるような状況だ。
「つーわけだから、体操服に着替えてグラウンドαにレッツラゴー!」
「よっしゃー!頑張るぞー!」「力の見せどころね!」「喉の調子は絶好調だ!」
コスチュームか...。俺はいいかな。早く行ってウォーミングアップしよう。
「川越、操神さん、行こうか」
「あ、わ、わたしは、装備、必要だから、着けてから行きます。」
「わかった。また後でね。」
「急げよ〜!」
「は、はい〜。」
そうして一旦別れ、更衣室で着替えに行った。
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グラウンドα
体操服に着替え、グラウンドαに到着する。ストレッチをしながら、合流してきた操神さんの装備を見る。
「なんか、鎧?みたいな装備だね。どういうやつなの?」
「あ、えっと、これは、サテライトシールドって言って、一枚が浮いたりくっついたりして自立型の盾や武器になるの。防御力はそこそこだけど、少ししたら充電が必要で...。」
「へー!すげーな!もう持ってきてるってことは自作か?それ。」
「は、はい。そうなんです!」
「え、マジ?!」
すごすぎ...。どう作ったんだろ?
「はーい!みんなー!そろそろウォーミングアップは終了!次は全員でミーティングをしてもらうから、集まって〜!」
「はーい!」
「という訳で、今からみんなにはミーティングをしてもらいます。時間は20分。では初めい!」
ミーティングっていってもなぁ。やっぱり役割は決めた方がいいか?
「やっぱりまずは役割分担を決めるべきだと思うけど。」
「じゃあ、誰が何できるか知っとく必要があるよな。一人ずつ言ってこう。」
「ああ。俺はー」
全員が順番に名前と個性を言っていく。みんなすごい個性を持っている。応用が効いたり、一撃必殺って感じだったり。今のうちに誰と連携しやすそうかとか考えておこうかな。
それから全員が言い終わり、陣形を考えることになった。
「やっぱり、近接できる奴は前でやってた方がいいよな。」
「「「ああ。暴れ回るのは得意だぜ」」」
真取吉賀と仏山阿修羅がそう言う。そういうのは、川越の得意分野だな。ただ、俺はスタミナがない。前線で走り続けるのも疲れるし、動けなくなったら周りに迷惑がかかる。俺の能力を活かせる立場は...。
「俺は前でやり続ける程のスタミナがない。だから、後ろでバックアップをやりたいんだが、いいか?」
「雷閃は確か、走り続けるとスタミナ切れで動けなくなるんだよな?」
「ああ。休憩しつつでも30分間戦いっぱなしはキツい。」
「確かにね。前線組も30分ずっとゾンビ全部を抑えるのは大変だし、後ろに倒しきれなかったやつのカバーもいる。」
「じゃあ、ちょうどいいな。よろしく頼むぜ!雷閃!」
「ああ!」
みんなに認めてもらえたみたいで少し嬉しい。そこから意見が加わったりして最終的な形は、
前線:近接・拘束系
バックアップ:スピード・遠距離持ち
後方:ガード系・サポート系
という風になった。
そこからは各々の個性を鑑みて戦術を練った。ああしたら、これとこれを組み合わせて、ここがこうなら...と、みんなで連携や作戦を考えるのは、思いの外楽しかった。
そうしてミーティングは終わり、全員が配置に着く。
「よーし。そんじゃあ、ゾンビパンデミックゲーム、スターート!!」
そう言うと、グラウンド全体からガタガタと機械音が響く。すると、真正面、一本道の大通りからゾンビロボの大群が押し寄せてきた。
その数、軽く千は超えている!さすがに多くないか?!
だがしかし、俺らには先程考えたいくつかの戦術がある。それらがあれば、これくらい捌き切れる!
「みなさん!作戦開始です!」
後方司令塔の千里さんが声を上げ、全体が動き出す。
「出力全開...!いくぞ、みんな!」
点籐がそう言うと、その掌から小さい球のようなものが出て、ゾンビロボ共に飛んでいく。すると、その球は奴らと周囲の瓦礫やビルの一部を吸い込み、その場に固定した。
「彩色、頼むぞ!」
「オッケイ!喉の調子は万全!」
彩色が思い切り息を吸い込み、声を出す。
「ズガーーーーーーン!!!」
彩色が叫ぶとその口からは大きな文字が飛び出て、そのまま直線上にいるゾンビロボ共を一掃した!
これが作戦その1!点籐の「引点」と彩色の「コエカタマリ」のコンボ技で一気にゾンビを一掃する!
そして次の作戦その2は...。
「トラップエリアまで到達しました!トラップの作動をお願いします!」
「任せたまえ!」
その合図と共に、ビルの合間、マンホールの中、至る所から絵の具が飛び出し、ゾンビを拘束する!しかし、それだけではない。
「操神さん、かかりました!」
「は、はい!いきます!」
操神さんが地面に手をつき、力を込めると、その先にあるサテライトシールドに電波が共鳴し、ゾンビまで届く。すると、ゾンビロボの一部を操神さんの支配下に置いた!
「やっ、やった、できた...!」
これが作戦その2。筆染の「絵の具操作」と操神さんの「機械操作」でロボの大群を味方につけ
る。こうすることによって、壁兼攻撃役にすることで、前線の負担を軽減することができる。
あとは俺たちがゾンビを減らしていけばいい!
「よし!後ろはロボとバックアップに任せて俺たちはゾンビを叩くぞ!」
「いよっしゃぁー!」
とは言っても、前線の奴らがやられないわけではない。俺達バックアップ組も気をつけておこう。
最初の10分間は最初の一掃とロボの支援もあり、何体か撃ち漏らしがあっても余裕を持って捌けていた。千里さんの指示や操神さんのサテライトシールド、遠距離攻撃の支援もあり、バックアップも若干暇を持て余していた。
しかし、10分を超えると、さらにゾンビの数は増え、新たに試験のときにも出てきた巨大ロボも5体出てきた。
「はあ、はあ、やばい...!抑えきれない...!」
「ワ、ワリィ...俺も...!」
「まずい...。一旦前線を下げるぞ!点籐!いけるか?」
「ああ、やってやるよ...!」
点籐が再び最大出力の引点を何個か出し、ゾンビを拘束し、拘束したゾンビを壁としたおかげで、前線を下げることはできた。
「クッソー...。こんな奴らへじゃないのに、数が多すぎる!」
川越はまだ体力に余裕があるが、多すぎるゾンビを捌き切れない。力はあっても一人の人間。手の届く範囲には限りがあるか。
「しかし、厄介なのがあの巨大ロボですね。操神さん、あれは操れないんですか?」
「え、えと、流石に距離があるのと、サテライトシールドも全部サポートに回しちゃって、やるなら私が直接出るしか...。」
後方の支援も限界がある。俺らバックアップも前線に出ているが...。
「ゲホ、ゲホ、うぉぉお!ドガーーーーン!!」
「インクでの拘束も限界があるぞ!どうする!」
全体に疲労が見られる。バックアップでも遠距離攻撃をしていた奴らは特に。そうこうしている内に引点の残り時間も残り少し。
「...まずは、デカいのから落とした方がいいだろ。」
「そいつは同感!」
「じゃあ、私、行きます!」
「私もいくぜ!2体は潰す!雷閃、手伝ってくれ!」
「ああ、任せろ!」
「残り2体は私たちに任せなさい!」
「操神!俺が跳び乗る!乗れ!」
全員が現状をどうにかするために戦っている。残り15分。ここを乗り越えれば、希望が見えてくると信じて!俺は川越と共に巨大ロボ2体を相手する。
「いくぞ!ぶっ飛ばせ!」
「応!」
合図と共に巨大ロボへ跳び、思い切り蹴り上げる!だが、大きさが違いすぎる。少し揺れる程度で、致命打にはならない。
「おぉうらぁ!」
しかし、そこに川越がロボの顔面にパンチをぶち込み、思いっきり後方にぶっ飛ばす。その下敷きになり、多くのロボが倒れた。
「よし!まず一体!」
「次行くぞ、川越!」
「ああ!」
その調子でもう一体に跳び、更に2発蹴りをぶち込む。大きく凹んだ胴に川越のパンチが入ると、胴に風穴があき、また倒れた。
「うし!がんがん巻き返すぞ!」
「ああ!」
ここから一気にゾンビを蹴散らす!最後の十分までにある程度一掃しておかねば!
その頃、操神さんは
高山の個性「超ジャンプ」で、ビルを飛び移り巨大ロボの頭部に着地した。
「よし、ついたぞ。...大丈夫?顔真っ青だけど...。」
「は、はひ...。た、たた、高いと、ところ苦手で...。」
「でも、これでコイツを操れます。いきます!」
操神がロボに手をやると、先程まで暴れ回っていたロボは動きを止め、操神の制御下に入った。
「できました。そ、そそ、それじゃ、下に降りましょう?」
「ああ。向こうもうまくやってる。こっから形勢逆転だな!」
「少なくとも、20分まではそうですね。」
こうして二人は再び後方と前線に戻り、それぞれサポートに戻った。手に入れたロボにより一気に戦力は拡大。どんどんと前線を押し返していった。
残り2体の方は
「沈めたわよ!」
「了解!解体する!」
静海の「沈下」により、ロボの足を止めて、解場の「解剖」で解体していく。既にキャタピラは機能せず、頭部と両腕は完全にバラバラになっていた。
「もう一発...!」
「ナイス!オラァ!」
こちらも点籐の「引点」により固定し、炎海が炎を纏い内部から焼き切ることで無力化を図る。
「動きが止まった!もういいぞ炎海!」
「ああ。最後に、風穴空けてやるぜ!」
最大出力で胴の装甲を焼き、撤退する。また、解場達の方も完全に無力化され、周囲にパーツが散らばっていた。
前線
「あいつらに負けてらんねぇな!俺らも押し上げるぞ!」
「「「あぁ!あいつらばかりに頼ってらんねえ!」」」
「でもあんまり無理すんなよ!まだ10分以上あるからな!」
「押忍!」
全員が気力を取り戻し、前線をどんどん押し上げる。千以上いたゾンビは既に残り100もいないぐらいになり、かなり余裕を保てつつあった。
そうして最後の10分。再び大量のゾンビが押し寄せる。だが、20分までの巨大ロボはおらず、普通のゾンビロボしかいなかった。
「「「こんだけかぁ?!まだまだいけるぜぇ!!」」」
「ハイになってんな!いいねえ!」
「いや、よくはないだろ。」
全員が勢い付いている今、大量のゾンビなどもはや脅威ではなかった。そうして残り5分、ゾンビは順調に減り、このまま全滅も狙えるペースだ。
「またすごい数...。」
「ええ。でも、皆さんの気合いは十分。このままいけば、最後まで行けます!」
(とはいえ、最後まで何があるかわからない。気を抜かず、しっかりと状況を把握しないといけませんね。)
そうして千里は個性「千里眼」でゾンビの残数、前線の状況、バックアップの位置を把握し、指示を出す。そして、また巨大ロボなどがいないか、ゾンビの大群のその奥まで確認する。
その先にいたのは–
(!あれって?!)
「先生、あの方って...」
「ああ、そーだよー。あ、言い忘れてたわ!今日の最後には、"特別ゲスト"がいること。みんなに伝えてあげて〜。」
メンゴメンゴ、と謝るその姿に謝意は感じられなかった。だが、そんなことを言及している暇はない。もうすぐ"来る"
「みなさん!!散開してください!!今すぐ!!」
後方からの唐突な散開指示に驚愕する前線。今は攻めた方がいいはずなのに、前線を下げる行動をする意図が読めなかった。
しかし、その指示の意味を理解する時間など、もう無い。
「操神さん!シールドを!!」
「え、あ、はい!」
咄嗟にシールドを集合させる。それと同時に、"それ"はきた。
瞬間、とてつもない暴風が吹き荒び、ゾンビは全て吹き飛び、前線にいた者をも吹き飛ばす。周囲のビルはガラスが割れ、壁が削れ、瓦礫が舞う。道路はえぐれ、土が露わになる。
咄嗟にシールドを集めガードをしたことで要救助者の計には傷はついていない。だが、それ以上の問題が目の前にある。
「今回の特別ゲストとして呼ばれたけど、まさかのヴィラン役とはなあ...」
最強最高のヒーロー。実力、人気共にNo,1。多くの人々が彼をそう讃える。
「よぉ、準備運動は済んだかい?有精卵共!」
平和の象徴、オールマイト。その人であった。
「嘘、だろ...?」
「マジで、本物じゃん...。」
先程までの勢いが、今の一撃で完全に粉砕された。
そりゃそうだ。ここは雄英だぞ。最後の最後に何もなく終わるなんてありえない。とびきりの秘密兵器がある。どうしてそれを考えられなかったんだ?
「おい、雷閃...。」
唖然としていると、川越が声をかけてくる。
「見ろよ。マジのオールマイトだぜ、なぁ。」
「私たちの憧れが、目の前にいるぞ。」
そう昂った声で話す。川越の目を見れば、その目は獣のようにギラついていた。
そうだ。あれが、No,1。俺たちが憧れた男だ。その人と戦えるんだ。ワクワクしなくてどうする。
「どうした?来ないなら、こっちから、いくぞ!」
そう言うと、彼はこちらにとびかかってくる。
彼の最初のターゲットはー
「あ」
「君の個性は厄介だからね。先に潰させてもらう!」
点籐。
彼の腕が点籐を襲う。
「ん?」
しかし、その腕は点籐には当たらず空を切る。間一髪、雷閃が割り込み点籐を救出した。
「素早いなぁ少年!追いかけっこでもするかい?」
余裕を見せるオールマイトの背後に川越がとびかかる。
「おっとこちらは囮か...!」
反応しきれなかったのか、うまく防御できず頬に一撃を喰らう。
「どうだ!まず一撃!」
「イテテ、いいものもらっちゃったな...!」
大袈裟に痛がる素振りをするオールマイト。しかし、効いているようには見えない。
「それじゃあお返しに...!」
「!」
川越に向かって一撃が放たれる。ギリギリで操神のサテライトシールドが割り込みダメージを軽減したが、それでも十数メートルは吹き飛ばされた。
「川越!」
「さて、次は、君かな?少年。」
彼の眼光が俺を射抜く。たとえ全力で逃走したとしても、彼からは逃れられない。そう感じさせるほどの迫力がある。
「クラスメイトがやられてるのを、見てるだけなんてごめんよ...!」
起き上がった静海が彼にとびかかる。個性で沈めようとするが、沈下する地面からオールマイトはすぐに脱出し、逆に静海を地面に沈める。
「悪いが、こちらもそう簡単に負けるつもりはないよ!」
「それはこっちもだ!オールマイト!」
炎海が全力の炎を纏い、攻撃を仕掛ける。
「あっつ!だが、この程度じゃあ、ちょうどいい温度だぜ!」
「たりめぇだ!俺の最大火力、くらいやがれ!」
炎海の手のひらから爆発のような火があがり、オールマイトと炎海の身を包む。
「うぉぉぉおお!!」
火はより燃え上がり、その大きさと火力は増していく。
しかし、その火は暴風によりかき消され、火の中からは皮膚が一部焦げた炎海と少し焼けた程度のオールマイトが現れた。
「ふう、危なかった...!流石にやばかったな...!」
(だが、その身を焦がすほどの火力を、なぜここで?まだ時間は4分ある。まさか、無策の一か八か?...いいや)
「そういうことか...!」
炎が消えると同時に周囲から引点、インク、鎖、爪。全員の個性が飛んでくる。全員での拘束を行うための時間稼ぎを、炎海と静海は全力で行っていた。
(やはり引点の少年を最初に狙うべきだったか...!)
「だが、このくらい...!」
「させっかよ!!」
「いくぞ、川越!」
「応!」
雷閃と川越のダブルアタックにより、脱出しようにも引点に押し込められる。石爪や鎖、筆染のサポートもあり、容易には抜け出せない。
これこそが1-Aが出した、オールマイトに対する策。それは、「動きを止めて叩き続けること」だった。
そこからは、全員が必死にその場から逃げ出さないよう攻撃を仕掛け続ける。
(なるほど...!こいつは厄介!全員の連携により、一瞬の隙もない!)
(何より、沈下の少女のせいで地面の沈下が進み、踏ん張りもうまく効かない!)
全員が1秒の隙もないくらい密度の高い攻撃を仕掛け続ける。操神も残り少ないサテライトシールドで押さえつける。
このチャンスを逃せば後はもう無い!
(だが、それも初めのうちだけ!既に疲弊しまくっている君たちは、どれだけこれを続けられる?)
オールマイトの予想どうり、攻撃に間が空いたり、拘束が弱まっている。そして、その少しの間を見逃すほどオールマイトは甘くなかった。
「やられっぱなしは、カッコ悪いんでね!」
そういい、彼は力任せに引点を抜け出し、拘束を解く。
残り時間は、あと1分30秒。全員の体力はあと僅か。この時間を、どう耐えるか。
彼らに策は、もう無い。
「おい...。どうするよ。もう一度罠に掛かってくれるとは思えないぜ?」
「...万策尽きたか。」
全員に諦めのムードが漂う。
「どうやら、もう次の手は打ってこないようだな。」
オールマイトが、一歩ずつ近づいてくる。
「それじゃあ、そろそろ終わりにしようか!」
「待て。」
川越が彼の前に立つ。
「私が相手だ!」
「まだまだ元気いっぱいじゃないの。それなら、かかって来なさい!」
「遠慮なく!」
川越が全力で打撃を繰り出し、オールマイトはそれを軽くいなす。
(川越...!)
二人の様子を眺めている雷閃。今あの場に飛び込んでいっても、オールマイトと殴り合うのでは速攻でやられるのがオチ。今自分にできることは何か、考える。
それは雷閃以外の全員もそうだった。自分の個性で、自分の力で、何ができるのか。ただ待っているだけではいずれ川越もやられ全滅してしまう。
そうして30秒が経過し、残り1分。状況は初め川越が攻めていたのがオールマイトが攻めに一転し、川越にも体力の限界が来ていた。
「そろそろ、きついんじゃないの?」
「まだ、まだァ !」
そういい繰り出した一撃は、明らかに勢いが減り、オールマイトには全く効いていない。
「あ...。」
「そろそろ休みな!」
無理に出した一撃により体制を崩し、その隙を狩られる。
「川越!」
彼は声を出すよりも先に飛び出し、彼女を救う。
「悪りぃな...」
「いや、ありがとう。残り50秒ぐらい、俺たちで稼いで見せる。川越は先生を守ってくれ。」
「あぁ、頼んだぜ。」
川越から雷閃達にバトンは渡された。
「あと少し!あと少しだ!」
「「「ここまで来たら最後までやり切りてぇ!!!」」」
「ゲホ、ゲホ、最後のぉ、いっぱぁつ!ドガーーーン!!」
「これで終わらせる!」
正真正銘、全員の最後の一発。1-Aの全てがオールマイトに向かう。
「最後の賭けに出たか!」
これで決めきれなければ全員が抵抗もできずにノックダウン、そのままゲームオーバーになる。
拘束と押し込めを再び行う。
「だが、攻撃の連携に隙が多いな!」
「それは、速さでカバーする!」
常に雷閃が攻撃をし続けることで連携の隙間を埋め、決して脱出させない。
「おおぉぉぉおおお!!!」
(やるじゃないか...!攻撃に一ミリの隙間もない!抜け出せない!)
残り時間10秒
「はぁ!はぁ!はぁぁ!」
「いけぇ!」
9
「ぐ...!」
8
「後、少し!」
7
「ここまで来たら!」
6
「最後まで、やり切る!」
5
「絶対勝〜つ!」
4
「私たちが!」
3
「ラストーーー!」
2
(これは、勝負あったかな...!悔しいけど...!)
1
「終了〜!」
計の掛け声と共にブザーが鳴り、レクリエーションの終わりを告げる。
「ッハァ、ハァ、ハァ、ハァ!」
常にオールマイトに攻撃し続けていたせいで、雷閃はだいぶ息が荒くなっていた。
「うあー、終わったぁ〜...。」
「も、無理...。」
それは雷閃だけではなく、その場の全員がそうだった。全員地面にへたり込み、もう動けないといった様子だった。
「みんなおつかれ〜!よく頑張ったね!まさか最後まで粘るとは、ちょっと予想以上だったよ!」
計が驚いたようにそう言う。彼女からしてみても、1-Aがオールマイト相手に5分間耐えるのは予想外だったらしい。
「いや〜先生にも傷一つないし、完璧!ゲームクリアだよー!」
「ありがとう、ございます...。」
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教室
気絶していた静海と炎海を保健室に送り、全員が制服に着替え、教室に再び集合した。
「という訳で、改めてお疲れ〜!今回のレクリエーション、どうだったかな?楽しかった?」
「くそ辛かったです...。」
全員が口を揃えそう言う。その顔はほんとうに疲れ切っていて、幽霊のようだ。
「まぁ、オールマイト相手にすりゃあね。つー訳で、今回は言い忘れてたけど、特別ゲストとして、No,1ヒーロー、オールマイトさんに来ていただいていましたー!いえーい!」
「今更だけど、私が来たー!」
全員が感動と驚きと疲れで感情がオーバーヒートしている。その成果、誰も反応出来なかった。
「HAHAHA!おいおい、静かすぎだろ!少年少女達!」
そう笑う姿は本当にテレビで映っていた姿そのままだ。そういえば、彼は忙しいはずなのに、どうして来てくれたのだろうか?
「あの、なんでオールマイトが今日来たんですか?オールマイトじゃなくてもよかったんじゃ...。」
「あー、まぁ、たしかにその通りなんだけど理由が2つあって、超強いヴィラン相手にどうするか見たかったのと、どうせ相手してもらうなら、世界最高峰の人のがいいでしょ?」
なるほどなぁ。確かに、オールマイトを相手にするのはキツかったが、いろいろ勉強になった。
「それじゃあオールマイトに今回のレクリエーションについていろいろお話ししてもらお〜う!」
「ああ。それではまず、全体を通してみた感想だが、全体がまとまっていて、かつそれぞれが自身の役割を全力で果たしていた。」
オールマイトは俺たちの顔を見てそう言った。オールマイトにそう言ってもらえるだけで入学できてよかったと感じる。
「あまり動けなかったと感じる少年少女もいるだろうが、人には適材適所というものがある!自分を卑下せず、自身の行うべきことはなんだったか、それができていたかを反省し、今後に繋げていってくれ!」
言い終わると自然と全員が拍手をする。実際に多くの現場、ヒーローを見て、そのなんたるかを知っている人からの話は重みが違うな。
「ありがとうございました。そんじゃあ、私からも一つ。」
そう言い計先生も話しだす。
「今回はだいぶキツめに設定してあって、しょーじきオールマイト来たところでやられちゃうかな〜、て思ってたんだけど、意外と耐えてびっくりしたよ。」
そういいつつも、計先生の表情はあまり驚いていないようにみえる。俺たちなら乗り越えられると信じていたように。
「これからも雄英は大きな困難を君たちに与えていくけど、この調子で、それらも乗り越えていってよ!以上!」
また全員から拍手があがる。彼女の言葉はヒーローとしてではなく、一雄英教師としての言葉に感じた。彼女の大きな期待。その期待に応えられるよう頑張ろう、そう思える。
「そんじゃあ、私たちは用事があって一旦抜けるから、自由にしてていいよ〜。」
そう言って彼女達は教室を出て、俺たちは休み時間となった。
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その後は保健室に居た静海と炎海も復帰し、全員で雄英の施設の紹介や教員の紹介がされ、その日はそれで終わった。
今は天童、川越、操神さんと一緒に下校しているところだ。
「いや〜、にしても今日はすごかったな...。」
「そんなすごかったのか?」
「ああ、25分入試のロボ共と戦ったと思ったら今度は5分間オールマイトの相手しなくちゃいけなかったんだぜ。」
「あ、あれは大変、でしたね。」
「マジ!?オールマイト!?」
今日のレクリエーションの話をすると天童はもの凄い勢いで食いつく。
「マジか〜俺もオールマイトに会いたかったなぁ〜〜!」
「私たちは戦っただけじゃなくて応援の言葉まで貰っちまったもんなー。」
得意げな顔をして川越はそう言う。道中でも常ににやけていたから、本当にオールマイトとの戦いや言葉が嬉しかったのだろう。
「オールマイトの言葉は、身に染みましたね...。今後について、ちゃんと考えないと...。」
操神さんは反対に、冷静に自身の課題について考えているようだった。そういった姿勢を見習っていきたい。
「いいなぁー。俺もA組が良かったぜ。B組が嫌ってわけじゃねぇけどよ。」
そんな風に4人で駄弁りながら、俺たちは各々の家に帰った。
ベッドの上で今日一日のことを振り返る。時間的には短かったのに、ずいぶん長く感じた。
(入学早々オールマイトに会えるとか、思っても見なかったな。他にも雄英内の施設もすごかったし。ハリポタの気分だったわ。)
明日からは本格的にヒーロー科としての授業がスタートする。あの学校でヒーローとしてのいろはを学べるなんて、本当に最高だ。勉強とか頑張ってよかったー!
明日のことも考えて早く寝ようと布団を被れば、一日の疲れもあり、眼を閉じればすぐに眠りに落ちた。
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時は戻り、レクリエーション後の職員室。
「いや〜、今日はほんとありがとうございますオールマイト!まさか本当に来てくれるとは...。」
「いやいや、私もたまには若い子供の相手をしてみたいと思ってね。」
計の用事が済み、これから事務所に戻るオールマイトと少し話をしていた。
「それに、ここは私の母校だからね。思い出深いから、少し来てみたかったのさ。」
「そうですか〜。」
しみじみと語る彼の顔はいつものような眩しい笑顔ではなく、自然体の柔らかい笑顔だった。
「まぁ、いい思い出も、苦しい思い出もたくさんあったけどね...。この学校のおかげで、今の私になれた。母校に恩返ししたかったのもあるかな。」
「だったら、うちで教師に、っていうのは流石に無理ですか。」
「...いや、落ち着いたら、ここで教鞭を取るのも悪くないかもね。」
今度は、少し思い詰めた表情をしている。
「...いったいいつになったら、ヒーローに暇ができるんですかねー。」
「案外、近いうちかもね。彼ら、今回の一年生はなかなか見どころがある。彼らがプロになれば、人々にとって心強い拠り所になるだろうね。」
その言葉に、彼はそんなつもりはないのだろうが、とてつもない期待が込められているように感じた。主に計に。
「頑張って指導しまーす!」
彼にそう言われては、頑張らざるおえない。そう思いながら宣言する。
「おっと、もうこんな時間!それじゃあ、そろそろ行かせてもらうよ!それじゃ!」
「はい!今回はありがとうございました!」
そういい、彼は文字通り空へ飛んでいった。
「...さーて、あとは皆んなに校舎の施設の説明とか案内しないとなぁ〜」
頑張ろー、とひとつ背伸びをしながら計も教室に戻っていった。
次回予告
地獄のレクリエーションとNo,1との戦闘を経て一歩大きく前進した1-A。
ついに始まる花の高校生生活。そして初めてのヒーロー基礎学。
これからいったいどんな日常が始まるのか、期待に胸を膨らませる少年達。
第4話 新たな日常
冬休みに入りますが、相変わらず執筆スピードが亀さんです。頑張ります!本当に!