タロット使いが呼ぶ異世界最強共   作:金属粘性生命体

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その2

 

 

 

『日本政府が発表した異世界からの侵略行為は真実なのか』

『異世界からの侵略者はどんな存在?』

『ついに狂ったか、日本政府』

『世界の終わり?アポカリプスの始まりか』

 

 ボロボロになったマンションの一室から出て歩く。行政機関から避難命令も出ているので周囲の人たち全員が避難するために広い空間へ移動している。その中でまだ携帯が使えたので情報集めている訳だが、どうやら世界各国は異世界から侵略されたことを公表したようだ。対応が早い、日本にしては異常な速度だがそれほど危険視していたのだろう。

 

 手元のタロットカード弄りながら今後のことを考える。とりあえず俺の力はあまり他人には言えないだろう、どうやらこの世界にも裏の世界というものがあるようで魔術やら妖術やらを使う連中がいるみたいだ。そう、こいつが言っている。

 

『こいつとは酷い、年齢で言えば同じくらいだろう?』

「まだ21だ」

『俺は25、同じくらいだな。ま、よろしく頼むよディーラー』

 

 2人目のタロットカードの住人。どうやら表に出てきて統括する存在が未だに目覚めていないようでこうやって自由に話しかけてくる奴が出るらしい。今のところ吊るされた男(ハングドマン)(タワー)審判(ジャッジメント)、そして未だ半覚醒状態の世界(ザ・ワールド)しか居ないらしいが。

 

 そしてこのクソうるさいのがタワーである。元いた世界では暗殺者をやっていたらしく、裏の事情に詳しいらしい。この世界にまだ呼び出していないのになぜそんなことがわかるのか聞いたらシンプルに魔法と答えられた。魔法を使う暗殺者……なのに使う武器が近未来的で工学的な銃なのか、どうなら異世界転移したヤツらしいが。

 

『そういうわけでな、あまり下手に動くな。最悪その力を恐れられて封印されてしまうぞ……そうなったら多分世界(ザ・ワールド)が動くだろうけどなぁ

「分かった、隣町に移動したらとりあえず生活環境を整えよう。何するにしても生活ができなければ」

 

 ドゴーン。そんなふうに諸々を考えていた時、またもや大きな音が鳴り響く。本日三度目ほどの爆音だ。

 

「…………」

『あれは、妖怪だな』

「見たらわかる、百々目鬼だろ」

 

 全長30m程の巨躯、全身に着く無数の目が特徴的な存在。体全体から醸し出すその異様な気配は人外のそれで、周辺にいた人達はもれなく大パニック、人を薙ぎ倒しながら逃げる人や呆然と座り尽くす者もいる。

 

 そんな中百々目鬼は忙しなく全身の目を動かしながら空を動き回るナニカに向けて拳を振るい続けていた。

 

『どうやらあの百々目鬼はここの土着の神らしい。そしてそんな存在を見つけた異世界連中は支配、もしくは殺害をして足がかりにするつもりだな』

「つまり面倒事だ」

 

 歩む足を百々目鬼の方へ向ける。恐らくだが百々目鬼は負けるだろう、どうにも見てる限りだとちまちまと削られているせいで被害が分かりにくいが相手はノーダメージなのを考えれば負ける可能性の方が高い。

 

 だから今後の為にも妖怪たちに接触することにした。彼を足がかりとして裏社会で立場を確立する、その為の第一歩が土着神の救済だ。

 

「行けるか?」

『モーマンタイだな、あの程度ならナイフ一本で充分、というかナイフしか持たされないなこれ』

 

【召喚:(タワー)

逆位置

【該当条件:予期せぬ事態権力失墜】

認証

(タワー)の召喚が成功しました】

 

(タワー)!」

 

 裏路地にまで入り、そこでタロットカードへ力を注ぐ。また眩い光が空間を満たし──黒髪黒目、全身を黒で染め上げられたソレが太もものナイフを引き抜きながらニヤリと笑った。若いその姿は20代で、ピッチリとした近未来的なスーツが全身を覆うように展開されていく。

 

「久々の日本でこんなファンタジーを味わうとは思わなかったなぁ、百々目鬼を助ければいいんだな?」

「あぁ、頼んだ」

「任せろ、あの程度ならすぐ終わる」

 

 音もなく上空へと身を跳ね上げたタワーは虚空を己の筋肉のみで蹴り上げて百々目鬼の元へと飛び去って行った。

 それを追うように俺も走る速度を上げる、遠目に見える戦いの様子は凄まじいの一言。

 

 百々目鬼を傷つけていたナニカの攻撃をナイフ一本で受け止めたタワーは地面へソレを叩きつけるように踵を叩き込んでいた。

 

「つっよ」

 

 誰かの家の屋上に梯子を使い登った後、再度百々目鬼の方へ視線を向けるとどうやら既に決着が着いていたようだ。

 人型のソレはタワーによって心臓をナイフで貫かれており、その最後の体勢からして叩きつけられた場所から上空へ飛び出しながら剣を突き出していた。だがそこをカウンターで刺されたようだ。

 

「弱いね」

「ありえ、ん──」

 

 そしてタワーの全身から滲み出た黒い液体のようなものがソレを取り込んでいき──最終的に全て飲み干されていた。

 

「ヨシ、こんなものかな」

「助かったタワー」

「お安いもんさ、もといた世界じゃもっと大変なやつを殺してたからな。んじゃ、また呼んでくれよ」

 

 そう言い残しタロットカードへ戻っていくタワー。逆位置で召喚された彼の役割が終わった。

 

 しゅるるるるる。

 

 空気が抜ける音がして、そこに居た巨大な百々目鬼の姿が徐々に縮んでいく。全身の目が充血し、一部の目があった場所からは血を流している百々目鬼は、こちらへ歩んでくる。その姿は普通の人間のようで、肌色の肌にそこかしこに目があるところ以外は至って変なところはなく。

 

「……お主が先程の者の(あるじ)か」

「そうらしい」

「ふむ……?なにか事情がある様子、何はともあれ助かった」

「助かったなら少し協力して欲しいかな」

「言ってみよ、ただこれからこの世界は戦乱の世になる。よっぽどの事でない限りお主を優先することは出来ぬぞ」

「あぁ、そこまで気にしなくてもいいよ、ちょっと裏の社会で立場を確立したくてね」

 

 その言葉に訝しむように全身の目が細まる。そういえば気づかなかったが、どうやら百々目鬼は女らしい。伝承でも元は女だったな、盗人の女だっけか。ボロボロになった着物で分かりずらかったが胸が出ているし、くびれもあるようだ。

 

「俺ってこの力に目覚めたばっかでね、でも結構危険な力なもんで。だから裏の立場を確立して自衛出来ればいいかなって感じ。あんたなら知ってるだろ?土地神としてのコミュニティがあるんだろう?」

「確かにそう言った繋がりはあるが……ではお主を上の神々へ会わせよう。それで如何(どう)か?」

『充分だディーラー。土地神の上の神々といえば日本神話の神々なるだろう、神と人では考えが違う、比較的安全だろうな』

「あぁそれで頼む、そこから先は俺自身で手に入れる」

「ならばお主にこれを渡しておこう」

 

 差し出されたのは1つの札。なんか字が書かれているが崩されすぎてよく分からなくて読めない。

 

「我が神社にて販売している札だ。ご利益はある故な、これを持っていればお主の居場所が分かる。上の神々の使いはそれを元に辿ってくるであろう」

「販売してるて」

「ふん、我らとてただ信仰を得るだけではダメだと知っているだけよ。物の売り買いという繋がりを持って縁を結び、金の対価としてご利益を渡す。それだけだ」

 

 まぁそれもそうか。受け取った札をそのまま懐へと仕舞い込みでは、と。2人揃ってその場から退散する、お互い向かう方向は違えど退散する理由は単純で。人が集まってくるからである。

 

「そういえば俺の名前言ってないな──まいっか」

 

 この力がバレてはいけない俺は当然の如く逃走を。百々目鬼はどうやらシンプルに人目が嫌いなようだ、目が沢山あるからこそ視線に対しては敏感なようで人に見られにくい道を通りながらこの土地の神社へと走っている。

 

「さて、これからが大変だぞ」

 

 ポケットに仕舞っているタロットカードを走りながら取り出して眺める。

 どうやらタロットカードの住人全員が目覚めたらしい、それに伴い統括存在であるマスターカードも起動しているとの事。

 

「どうスっかねぇ〜」

 

 

 

 

 

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