個性:人修羅   作:飲んだくれ閣下

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おまたせしました


第3話

 

 

 

 

さて、まだ夏休みは終わらない

まだ2週間もある。だが学生故に遊びにかまけていられない

残り10日で、せめてあと1人か1組は欲しい。トガだけでも行けなくはないが、警備や小金稼ぎになるのが必要だ

いくら自分が宝石やマッカでいくらでも稼げるからと言っても、足が着く可能性が高い

だったら、どうせバレても別に違和感はないな、と思わせる稼ぎであれば良い。自分に辿り着か無ければ良い

 

つまり、ネットだ。インターネット、PC技術に詳しい存在だ。練度の高い存在であればなお良い

 

思い立ったら即行動。時間が1週間と少ししかない事をトガにも伝え、一緒に東京のアキバにある宝石商の場所に赴く

トガの情報を仕入れた場所だ

トガには腹パンしたゴロツキの体を少し弄って、女性らしい体つきにしてもらった。変身の個性の応用で、複数人の特徴を混ぜ合わせれば服は変身元の男、肉体は変身先の女って芸当が出来るようになった。おかげでお忍びでボディガードのような姿になってもらった事により、違和感無く路地裏に一緒に入っていける

 

 

前回来た時の店員に今度はエメラルドを渡す

 

「どっから仕入れているんですかね…………500万出しますよ。ケースは?」

 

前回のアクアマリンの時の金額より、嘘のよう跳ね上がった金をケースに入れて渡してきた

 

「あの後アクアマリンを精査しました。本来、裏の市場で出回る物の倍以上の値段で売れましてね。その礼も兼ねて金額を足しておきました。こちらも良い買い物ができて助かりますよ」

 

良い買い物をしたと思えば良いか、こっちも儲けが出て助かる

前回来た時に話してた紳士の情報を聞く

 

「ああ、例の紳士……確か、ジェントル・クリミナルと名乗ってましたね。どうやら小悪党らしいですよ。義賊って名乗って動画投稿してるようで、並のプロヒーローよりは強い事はわかってますが……まぁよくある動画配信者って感じですね」

 

プロヒーローより強い小悪党って響きが懐かしい。昔の自分がそれに近い呼ばれ方をされた記憶がある

 

感覚的にはヒジリに近いが、実力があるから魔人達に似たようなものを感じる

だが、強いなら引き入れたくなるのが人修羅たる自分のスタンス。野生のスルトを事故でスライムにする暴挙はしない。なったらなったでLv99スライムとかにはするかもしれないが

 

そういえば2人組だったって話はどうなったのかを聞いてみる

 

「小さい子供の方が動画を撮ってるようですね。何らかの個性を使ってるらしいですが、どんな個性なのかはわかりませんね」

 

紳士を引き入れれば子供の方も着いてくるだろう。僥倖だ

動画配信や投稿をしてるなら、自分が持っている宝石を上手く魅せ、オークションでより高値で売りに出せるだろう。欲しい人材だ

クーフーリンをアマラの海に行かせて宝石をかき集めさせるのも良いかもしれない。引き上げる為にトウテツにも行かせよう。贅沢させてるから仕事をさせる。報酬は弾ませればトウテツは頷くだろう。クーフーリンは無償でやりそうだから無理やりにでも受け取らせなければ……

 

ともかく、近くにあるコンビニに行けば会えそうだ。配信する時は大体コンビニが多いとの事。視聴者の傾向は堕落してるプロヒーローに対する制裁や、無能の発露……か

 

現行社会に対しての不満があるとみた。引き入れるなら今しかない

完全なヴィランではないのを確認できた為、ルビーを1つ店主にチップで渡して店を出る

トガに紳士の特徴を見せ、周辺のコンビニで紳士を見かけたかを警察に変身して聞き込みさせる

自分はその現場を抑える為にトガに着いていく。勇の帽子が役に立つ。私立探偵とでも思われれば御の字だ

 

………

アキバの一角で紳士がいたという情報があった

トガと一緒にそのコンビニに向かうと、既に倒されたプロヒーローがコンビニの外で伸びていた

 

紳士は金をコンビニに置いてそのまま子供と一緒にビルの上までジャンプして飛び移って行く

──あの身体能力、明らかに何かしらの強化があるだろう。おそらく子供の方の個性で強化されている。逃げる為に使う辺り、引き際を弁えてる

万里の望遠鏡で見れる範囲の情報を見て、後は推理だ。少なくともあの紳士は見た目は老けてるように見せてるだけなのはわかった。後は子供の方の個性によって強化されて、プロヒーローを容易く撃退してるか、実力だけでプロヒーローを倒し、逃走する時にだけ強化をされてるのだろう

 

どちらにせよ欲しい人材だ。ピクシーに後を着けさせる。見つからないようにできるのは妖精の特権だ。ピクシーは直接戦闘もできるが、追跡に於いては右に出る者はいない

 

トガは手早く倒れてるプロヒーローから血液を摂取し、足だけ変身して自分に追いついてくる

どうやら個性の影響で身体的特徴が足に出てるタイプだそうだ。おかげで追跡で置いていくことがなくて助かる

トガと一緒に追いかける。基本ステータスで遥かに勝る自分と、機動力が上がったトガが食いついてくるからか、ビルを飛び移る方法から路地裏に着地に切り替え、路地裏のコンクリでバウンドして機動力を落とさずに逃げ出した

おそらくあのバウンドするのが個性だろう。ゴムのようなモノや性質にする個性か、あの子供の方の本当の個性か……紳士の方の個性とみて動く事にする

 

それでもピクシーの速さと隠密からは逃げられない。常時情報を自分に送ってくれるから先回りして逃げ道を少しづつ潰してスタミナ切れを狙う事にする

トガと挟み込む形で逃げ場を潰し、逃走方向を固定、ピクシーからの情報で自分が先回りし、トガが紳士の背後から迫る形で追い込む

メディラマでトガを癒しつつ追従し、人気の無い廃工場まで追い込む事が出来た

 

ここまで逃げれるなら問題ない。必要な情報を現場から生きて持ち帰るのはこの個性社会では間違い無く有用だ。元から目をつけてたが、ここまで有用だと是が非でも引き入れたい

 

無論、2人セットでだ

 

「はぁ…はぁ…ど、どこまで追いかけてくるんだこのリスナーは」

「とことん先読みされてるよジェントル!!ここも長くは……」

 

──そういうことだ

2人の正面から姿を表す。トガも追いつき、後ろから出てくる

 

「挟まれた……か」

「逃げてる時もずっと挟むようにしてきた。先を読む個性?」

 

──勿論違う。何、簡単な事だ

 

2人の背後から見えない何かが離れ、自分の中に戻る

ご苦労様ピクシー。後で単体五千もする良いケーキをプレゼントしよう

 

「憑けられてたか」

──倒して引渡しに来た訳じゃない

 

では、交渉開始だ

 

──────

 

 

「どう言った理由なんだ……?」

「本当にリスナー?にしてはえぐい追っ掛けじゃない?」

 

まず、敵意が無い証拠を見せる必要がある

──トガ、解いて良い

 

「やっとですぅ〜」

いつもの学生服に戻るトガを見て驚愕する2人

 

「なんと!?」

「学生に追われてたのか……」

 

変身を解いたトガが2人を素通りしてこっちまで来て向き直る

──これで後ろに逃げ場が出来た。警察も来なければヴィランも来ない

 

「……襲う気は無いのは理解した。して、我々をどうしたいので?」

 

敵意が無いのを理解したのか、子供の方を降ろして戦意を霧散させる

よし、交渉の席には着いた。これでコンプレックスを刺激させられる

 

──正直に言おう。自分達は来るべき戦いで必要な戦力を少数精鋭で集めている

「来るべき戦い?」

──そう、ヒーローとヴィランの全面戦争。それによる壊滅的な被害を抑える為のチームだ

 

嘘ではないし、寧ろ本命まである。将門公の目的が結果的に自分の戦力増強に繋がるから双方得をする訳だ

 

「オールフォーワン……だったか。ヴィラン側のオールマイトのような存在がいるって聞いた事があるわジェントル」

「それが復活する、という事かね?」

──それは分からない。だが、それに類する存在がいるからこそ起こる全面戦争

既に事態は動いており、被害は確実に出る

だが、抑える事は後からでもできる

 

「だが、こちらには関係ない事。当たるアテが間違ってる」

──これを機に名を残す事ができるなら、どうする?

 

 

「───なに?」

 

 

紳士の琴線に触れたようだ。名を残す事──つまり、ヒーローに憧れてる事になる

小悪党らしいが、義賊と名乗るという事はヴィジランテに近い。個性社会の法や仕様が紳士にとって不利に働いた事になる

配信場所にしたコンビニとかは不正があったり、プロヒーローの汚職や堕落があった事の裏付けになった。根に正義感がある。

単なる小悪党にしておくには勿体なさすぎる

 

──自分らは個性によって偏見を持たれ易い

後頭部の角を見せ、トガは血液の入った瓶を見せる

 

──そのイメージを拭い、有用性を示す。現社会風刺を破壊し、嘲笑う者共を驚愕させ、名を示す

 

暗い廃工場で、光る線が浮かび上がる

トガはそれに寄り添い、共に歩いて近づいていく

 

──誰もが我らを笑えず、必要者とし台頭する

 

ゆっくりと、動かない紳士に手を差し伸べる

トガは子供に手を差し伸べる

 

──名を、名声を、実力を、正義を、価値を、勝利を、存在を

 

──共に示そう

 

 

 

 

 

「………信じて、良いんだな?」

 

──勿論だ

 

「……改めて自己紹介をしよう。私はジェントル・クリミナル。ジェントルとでも呼んでくれ。こちらは相方のラブラバ」

「よろしく!!」

「2人共々、今後ともよろしく頼む」

 

 

スカウト、完了

 

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