フィールドに出た俺達は、早速10人のプレイヤーと遭遇し、廃墟エリアで戦闘をしていた。
まずは母さんが狙撃ポイントに向かい、俺とエイが誘導しつつ応戦をしている。
今も、廃墟の物陰に隠れて相手の出方を伺っていた。
「敵は残り7人。皆ショットガンの使い手だな」
「ガトリングとその護衛を始末したからだ。攻勢に出る。母さんに連絡を頼む」
「了解だ」
母さんに通信を送ってから、物陰から飛び出すと、3人のプレイヤーに見つかり、ショットガンを向けてくる。
銃口からバレットライン…弾道予測線が放たれて俺の体に当たる。
このままだと、弾道予測線通りに弾が飛んできて命中することになるが、素直に当たるわけもなく、一気に加速して距離を詰める。
「正面から来るぞ!撃てぃ!」
「―――!」
彼らのショットガンが火を噴く。
俺は小さい体と素早さを利用して、弾丸の間をスピードを落とす来なく走り抜け、右腰に携えているGNソードを抜刀し、ソードモードで真ん中にいるプレイヤーの首を斬り落とす。
「はや―――」
「お前たちが遅いだけだ!」
GNソードをライフルモードに変形させて、残りの二人の眉間を撃ち抜く。
残りの四人を探そうとするが、大きな銃声と共に断末魔が聞こえてくる。
通信で二人に確認をすると、残りは仕留めたと言ってきた。
よし、なら合流して目的地に向かおう。
「さて…ピトフーイは相変わらずなのかね……はっ!」
背後から感じた殺気。
咄嗟にしゃがむと、俺の頭があった位置に赤い光が横切った。
あのまましゃがんでいないと、首と体が真っ二つだ。
そんな事を、平然と笑いながらやる奴は一人しかいない。
「お・ひ・さ。ユキト君」
「ピ、ピトフーイ……」
目当ての人物であるピトフーイだ。
なんとも言い難い笑顔を浮かべて、フォトンソードを握っている。
相変わらずえげつない女だな。
「こんなところで会えるなんてねぇ。お命とウルティマラティオ頂戴するわ」
「逆にピトがやられると思うけど?」
「あら。言ってくれるじゃない!」
フォトンソードを再び振り下ろしてくるが、俺は横に飛びながら地面を転がると、彼女の左手にはアサルトライフルが握られていた。
「甘いわよ!」
「―――と!」
左手を前にだすと、肘に装備している武装のレバーが手元に伸びてくる。
レバーを握り、一番上のスイッチを押すと、スラッシュアンカーが射出され、近くの木に突き刺さり、二番目のスイッチを押し、アンカーを巻き戻して、銃弾を回避する。
「何よそれ!?」
「発想の違いかな?」
木に着地してからアンカーを抜き、ピトフーイとの間合いを詰めようとしたが、西から一発の銃弾が飛んできたので回避する。
「それも避けるなんてやるわね!」
「っち。エイ!エムは頼むぞ」
別の場所にいるエムはエイに任せ、フォトンソードを振り回しながら近づいてくるピトフーイの対応をしよう。
接近戦で来るならこちらも受けたいが、左手にアサルトライフルを持っている以上はそちらも警戒しないといけない。
「さぁさぁ殺し合いましょうユキト君!」
「それが望みならいいぞ」
GNソードを二本もち、その内の一本をライフルモードで構えると、ピトフーイはライフルを向けてくる。
俺もGNソードを向けるが、一発の銃弾がピトフーイのライフルを撃ち落した。
「狙撃―――!?」
「ナイスだ母さん!」
一気に加速して間合いを詰める。
GNソードを首にめがけ振るが、ピトフーイは高くジャンプして背後に回避し、背中にフォトンソードを振り下ろしてくる。
その一撃を、左手に持っていたGNソードを逆手に持って防ぐ。
「ははっ!いいよユキト君!」
「そうかい!」
逆手で持っている方を薙ぎ払いつつ、右手のGNソードで再び首を狙うが、ピトフーイはにやけながら、少しだけ首を下げてギリギリで避ける。
「なっ―――(届かない!?)」
「腕短いわよ!」
「っち!」
顔をめがけてフォトンソードを突いてくるが、右腕で彼女の肘を叩いて軌道を逸らす。
それにより、フォトンソードは頬を掠めるだけで済み、体力も少ししか減らなかった。
「もらった!」
一歩踏み込んでピトフーイの腕を掴み、そのまま足払いをかけて転倒させてから、彼女の首筋にGNソードを当てる。
「勝負あり…だな」
「本当憎たらしいほど強い人ね。私と付き合わない?」
「香蓮に殺されるよ」
「それもそうね…で?殺さないの?」
「…ちょっと相談。お茶でもどう?」
お茶の誘いをすると、ピトフーイは二つ返事でオッケーを出す。
その代わりに、対物ライフルの情報があればすぐに伝える、という約束の元で。
そんなわけで、エイに拘束されたエムと、狙撃ポイントにした母さんと合流してからSBCグロッケンに戻り、適当な喫茶店に入ってから、それぞれ飲み物を頼み、相談したいことを伝える。
「なぁエム。知り合いでカーボンを扱っている人いない?」
「カーボン?なんだ?新しい武器にでも使うのか?」
「違う違う。エイのボディだよ。リアルで動く体」
「成程な…知り合いにいたか……」
腕を組んで誰か居ないか思い出そうとするエム。
彼のリアルの知り合いを当てにしてみたが、彼の必死に思い出そうとしている顔を見ると、居ないっぽいな。
となると、自力で何とかするしかないか。
「ちょっとエム。何とかしなさいよ」
「何とかしてやりたいが、知り合いにいない。それに、居たとしてもかなり値が張るぞ」
「財布キッツいなぁ……」
昼間の事を思い出し、少し落ち込んでしまう。
すると、隣に座っていたエイが、頭に手を置いて何かを考える。
少し待っていると、エイは俺と母さんを交互に見てから言った。
「七星に頼ってみたらどうだマスター?無茶ぶりを要求してきた代わりに」
「七星って…あぁ、あの子は人脈凄そうだな」
「うん。話は私が作っておく。あとはスカイ次第だ」
「分かった。任せるよ」
流石エイだ。
なかなか俺達が言い出せないようなことを平然と進言する。
もしかすると、ロボットを無理やり動かして壊した件を、彼女なりに何か感じているのかもしれないな。
「よし。では私は向こうに戻るよマスター。何かあればすぐに連絡を」
「了解…っと。そうだ、来週から香蓮とユウキが北海道に行くから手配だけよろしく頼む」
「任せて欲しい。決まったら香蓮に連絡を入れておく。ではまた」
「じゃあ私も戻るわ。エム君もピトちゃんもまたね」
アジトに戻っていくエイと母さん。
その後ろ姿を見送ってから、俺も二人と別れてある場所に向かう。
そのある場所というのはGNソードを作ってもらった小汚い武具屋である。
「入るよマスター」
「……お前か」
カウンターで作業をしている、黒サングラスをかけたスーツの男。
どこぞのヤクザかと言わんばかりの姿だが、こう見えてものすごくいい人である。
色々とわがまま聞いてくれるし、要求通りの物を作成してくれるし。
「アレ出来た?」
「あぁ…昨日できたところだ。少しまて」
マスターは店の奥に向かい、一本の武器を持ってくる。
俺の身の丈ほどの両刃の剣が、小型のサブマシンガンに装着されたGNソード。
設計したとおりに品物だ。
「一番上のスイッチは実弾。二番目は変形。三番目は変形解除。シールドもつけれるがどうする?」
「そうすると重いからいいよ。刀身でガードできるし。値段は?言い値で払う」
「分かった。この値段だ」
値段が表示され、俺は迷うことなく入金し、武器を受け取って詳細を確認。
重さはウルティマラティオより少し軽く、実弾の弾数は50発だ。
刀身は宇宙船の装甲を利用し上で、刃の部分は特殊加工してあり、淡く白銀色に輝いている。
これなら…BoBでもいいところ行けそうだ。
「装備しても問題ない。ALOの相棒と同じぐらいの重さだし、肘で固定出来るから、ウルティマラティオと両立も出来る。流石だね」
「ふっ…それが俺の仕事だ。それに、小僧がいつも面白いものを設計して、素材を渡してくれるからな」
「それは頼む身としては当たり前。それに、今回頼んだ物は、サブマシンガンはSPBバタフライを元にしてるし、刀身だって余りだし」
「その分コストは安い。壊すなよ」
軽く脅されてしまう。
流石に壊したりはしないし、簡単に壊れるような設計にしていない。
雑に扱っても可動部への影響はほとんど無いようにしている。
「んじゃ行くよ。またよろしく」
「あぁ。今後も御贔屓に」
マスターに手を振ってからお店を出る。
さて…この後は予定はないし、アジトに戻ってログアウトしよう。
そろそろユウキの復習も終わっているだろうし。
「あ。その前にお金還元しておこう」
ゲーム内マネーを少しだけ還元してから、アジトに戻ってログアウトしてリビングに戻ると、ソファーでスヤスヤ寝ている木綿季と、晩御飯を作っている香蓮の姿があった。
「木綿季お疲れだね。手伝うよ」
「ありがとう。かなり難しかったみたいだから、今日は木綿季の好きな物を作ろうと思って。テスト頑張ったご褒美」
「成程ね。じゃあ俺もそうしますか」
冷蔵庫の中身を確認し、早速料理を作り始めるのであった。
GNソードは某ガンダムの武器ですね。